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滋賀県 ・ 大平観音堂「親しみの十一面観音の巻」

さる5月の話。

滋賀県米原市春照にある大平観音堂を訪れた。
こちらには円空がわずか4日で彫り上げたとされる像高180cmを超える十一面観音像がいらっしゃいます。
県内に残した9体ある円空仏のうちの1体で、伊吹山四ケ寺の一つ太平寺に祀られてきたが、昭和39年の集団移住で現在の春照に移されました。

180.5cmの桜材の一本造りで元禄2年、円空58歳 晩年の作。
大きくお腹を膨らませた像容から「安産の観音さん」として親しまれ、お腹をさすり安産を祈願する村人が絶えなかったそうです。
観音像の背面には円空自筆といわれる墨書がありわずか四日間で彫り上げられた工程が記されています。

「四日木切 五日加持 六日作 七日開眼
 元禄二己己年三月 初七日 中の房 祐春代 」




拝観予約をお願いした日は生憎の雨模様。
小雨降る中での拝観となりましたが快くお堂を開けてくださいました。

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集会場のようなお堂に上がらせていただくと中にはガラスケース内に安置された十一面観音像がいらっしゃいました。
じっくりと拝観する前に、まずは説明のVTRを見せていただく。
ローカル放送で放映された大衡観音堂を特集されたVTRを見せて頂き円空仏についての知識をいただく。
そしていよいよお側まで寄らせて頂きじっくりとその尊容を確認させていただいた。

ニッコリ。
優しく優しく微笑まれたその穏やかな表情に癒されます。
細く伸びる眉、眼筋そして口角をゆるりと上げた口元からは慈悲というよりは親しみやすさ、親近感のようなものを感じます。
肩をすぼめるように立ちやや窮屈な印象を受けますがそこにもどこか親近感を覚えずにはいられません。
荒彫りでありながらここまでの優しさと整合性を生み出すその像容にただただ感動するばかり。
お腹の優しい丸みがあたたかく優しく、もうあらゆるところが優しさに満ち満ちているように思えて仕方がありませんでした。

ガラスケースを回り込みながらいろんな角度から像容を確認させていただき見入っていると堂守りの方からガラス扉を開けてご覧になってくださいとお声をかけていただき、更には土台を回転させて背面まで確認してくださいと仰っていただきました!
僕自身で土台を回すということにやや恐縮しながら恐る恐る背面を拝観させていただくとそこには墨書がしっかりと確認できました。
背面まで食い入るようにじっくりと拝観させて頂きお写真も撮らせていただくことが出来ました。
怖くて360°は流石に回転させることが出来ませんでしたが(^^;


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非常に貴重な体験をさせていただいた喜びもあり、それ以上に素晴らしき円空仏と出会えた喜びに包まれながら自分自身も観音様のように優しい人になれたような気持ちになりながら大平観音堂を後にしました。







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Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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