奈良県 ・ 白米寺(白米密寺) 「平安期の地蔵菩薩立像!の巻」
この日の最後の予定地は白米寺(はくまいじ)。
本来は白米寺(白米密寺)は「くめじ」(くめみつじ)というそうですが川西町のHPでは「はくまいじ」となっており この辺りは曖昧というか。。収蔵庫で頂いたパンフには「白米密寺」と記されているだけで読みはふられていませんでした。
さて、この白米寺ですが元は大和川右岸の高堂八幡神社付近にあったそうですが近世以前に廃寺となり遺物は分散し、石造物は下永東方の教願寺に、重要文化財の仏像などは八幡神社の収蔵庫に収められることとなったそうです。
今回拝観させて頂いたのは八幡神社境内の収蔵庫に安置されている仏像群です。
重要文化財に指定される2体と県指定の1体、そして十一面観音像や弘法大師像などが安置されています。




ご本尊は阿弥陀如来坐像。
像高143.3cmの半丈六仏。桧の寄木造りで平安末期の定朝様を示す阿弥陀如来です。
穏やかでゆったり堂々とされ、快慶阿弥陀とはまた違う魅力に溢れた阿弥陀様ですね。
快慶の3尺寸の立像阿弥陀も素晴らしく大好きですが坐像阿弥陀はやはり大きい物がいいですね。
丈六の圧倒感が好きで小仏はやや魅力に欠ける気がしていますがこちらの像は半丈六で丈六には満たないですがそれでも十分な迫力。
平安後期のやや浅めの衣紋線が穏やかな優美さを出し力の抜けた肩口の雰囲気や大きめな頭部がいい雰囲気を出していると思います。
パンフ等には頭部が大きくバランスを失しているとありますが、見仏記でのみうらじゅん&いとうせいこう両氏曰くのパース感ってやつではないのかな?
遠近感を出すために頭部を大きめにしているのではないのかな?と思いながら拝観させて頂きました。
現在は収蔵庫内にて間近で拝観出来る状況ですが当時はお堂須弥壇のやや高めの位置に安置されるべく造仏されたのでしょう。
見仏記で両氏がよくされるように四つん這いになり仰ぎ見るように眺めてみるとその存在感は圧倒さを増してより素晴らしくなるのを感じる事が出来ます。
伏し目がちな優しい表情とゆったりとした体躯にこの仰ぎ見る圧倒感こそ阿弥陀如来”坐像”の醍醐味ではないでしょうか?








脇侍の不動明王立像は鎌倉期の良仏。
像高は51.5cmの桧材の寄木造りと小仏ながらグッと胸を貼り天地眼に見据える眼力と大きな存在感を持ちます。
見事な截金彩色が施されていて見応えがあります。
パンフによると京都の峯定寺の重文不道明立像の系列に入る作例とのことです。
僕はまだ峯定寺を拝観に訪れたことがないので比較等は出来ませんが峯定寺の不動明王を模刻したものなのかもしれません。
非常に表情が良く勢いのある若々しさを感じます。
これはかなりの美仏ではないかと思います。イケメンのイケ仏ですね(笑)






同じく脇侍には地蔵菩薩立像。
この白米寺収蔵庫で最も僕の心を掴んだ仏像です。
像高162.4cm 樟の一木造りで平安初期の特徴を存分に見せてくれる地蔵菩薩です。
深き刻まれた翻波式の衣紋表現の見事さと意思の強さを感じさせる顎肉と唇の力感に強い眼差し。
非常に魅力的な地蔵菩薩です。
仏像好きな方には結構 地蔵好きが多いと思います。
法隆寺 地蔵菩薩、橘寺 伝日羅上人像、融念寺 地蔵菩薩、安産寺 地蔵菩薩。。
あげるとキリがありませんが上記像が好きな方には是非ともオススメな地蔵菩薩立像です。
量感あふれる体躯に深く数多く刻まれる衣紋線。
腹回りから大腿部へのY字の美しさは平安仏好きにはたまらない曲線ですね。
腹回りの肉感と腿にかけての太さがたまりません!
右手肘を中心とした流れも重厚で溢れ出る波ですね。
とどまることなく溢れ出してくる泉の流れのようで素晴らしい。
平安初期の太くゴツく深い一木の重みたっぷりの仏像はやはり存在感が段違いですね。
運慶快慶の造仏の存在感とはまた違う確かな量感があります。
衣も特徴的で両肩を覆う偏衫(へんさん)と呼ばれる僧衣にさらに右肩を折り返し覆う形でほとんど平安初期の奈良地方に限られてくる表現だそうです。
上記で挙げた地蔵菩薩がまさにそうした僧衣を着られています。









収蔵庫内にはやや痛々しいお姿の十一面観音や小仏の地蔵菩薩立像、天部像、弘法大師像なども安置されています。
どれも江戸期など比較的新しく、よくお堂の隅にあるような色彩が残りつつ剥落激しい仏像群です。
どこかコミカルな雰囲気があり仏像というよりは人形の雰囲気を感じることも多々ありますがそれだけ庶民の中にまで仏像というものが浸透し「様」ではなくお地蔵さんや観音さんといったように「さん」へと親しみを込めて守られてきた様子が伺えます。





同境内の八幡神社
堂前の阿吽の狛犬は大学の先生が調査にこられた優品だとか。
「どこの大学やったかなぁ。。忘れてしもたわぁ。。」とは世話役の方の弁(笑)
また境内隅にある水鉢も高堂八幡神社の唯一の遺物だと川西町のHPには記録されています。



白米寺(白米密寺)収蔵庫
奈良県磯城郡川西町下永
川西町 教育委員会事務所
0745-44-2214(要予約)

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本来は白米寺(白米密寺)は「くめじ」(くめみつじ)というそうですが川西町のHPでは「はくまいじ」となっており この辺りは曖昧というか。。収蔵庫で頂いたパンフには「白米密寺」と記されているだけで読みはふられていませんでした。
さて、この白米寺ですが元は大和川右岸の高堂八幡神社付近にあったそうですが近世以前に廃寺となり遺物は分散し、石造物は下永東方の教願寺に、重要文化財の仏像などは八幡神社の収蔵庫に収められることとなったそうです。
今回拝観させて頂いたのは八幡神社境内の収蔵庫に安置されている仏像群です。
重要文化財に指定される2体と県指定の1体、そして十一面観音像や弘法大師像などが安置されています。




ご本尊は阿弥陀如来坐像。
像高143.3cmの半丈六仏。桧の寄木造りで平安末期の定朝様を示す阿弥陀如来です。
穏やかでゆったり堂々とされ、快慶阿弥陀とはまた違う魅力に溢れた阿弥陀様ですね。
快慶の3尺寸の立像阿弥陀も素晴らしく大好きですが坐像阿弥陀はやはり大きい物がいいですね。
丈六の圧倒感が好きで小仏はやや魅力に欠ける気がしていますがこちらの像は半丈六で丈六には満たないですがそれでも十分な迫力。
平安後期のやや浅めの衣紋線が穏やかな優美さを出し力の抜けた肩口の雰囲気や大きめな頭部がいい雰囲気を出していると思います。
パンフ等には頭部が大きくバランスを失しているとありますが、見仏記でのみうらじゅん&いとうせいこう両氏曰くのパース感ってやつではないのかな?
遠近感を出すために頭部を大きめにしているのではないのかな?と思いながら拝観させて頂きました。
現在は収蔵庫内にて間近で拝観出来る状況ですが当時はお堂須弥壇のやや高めの位置に安置されるべく造仏されたのでしょう。
見仏記で両氏がよくされるように四つん這いになり仰ぎ見るように眺めてみるとその存在感は圧倒さを増してより素晴らしくなるのを感じる事が出来ます。
伏し目がちな優しい表情とゆったりとした体躯にこの仰ぎ見る圧倒感こそ阿弥陀如来”坐像”の醍醐味ではないでしょうか?
















脇侍の不動明王立像は鎌倉期の良仏。
像高は51.5cmの桧材の寄木造りと小仏ながらグッと胸を貼り天地眼に見据える眼力と大きな存在感を持ちます。
見事な截金彩色が施されていて見応えがあります。
パンフによると京都の峯定寺の重文不道明立像の系列に入る作例とのことです。
僕はまだ峯定寺を拝観に訪れたことがないので比較等は出来ませんが峯定寺の不動明王を模刻したものなのかもしれません。
非常に表情が良く勢いのある若々しさを感じます。
これはかなりの美仏ではないかと思います。イケメンのイケ仏ですね(笑)












同じく脇侍には地蔵菩薩立像。
この白米寺収蔵庫で最も僕の心を掴んだ仏像です。
像高162.4cm 樟の一木造りで平安初期の特徴を存分に見せてくれる地蔵菩薩です。
深き刻まれた翻波式の衣紋表現の見事さと意思の強さを感じさせる顎肉と唇の力感に強い眼差し。
非常に魅力的な地蔵菩薩です。
仏像好きな方には結構 地蔵好きが多いと思います。
法隆寺 地蔵菩薩、橘寺 伝日羅上人像、融念寺 地蔵菩薩、安産寺 地蔵菩薩。。
あげるとキリがありませんが上記像が好きな方には是非ともオススメな地蔵菩薩立像です。
量感あふれる体躯に深く数多く刻まれる衣紋線。
腹回りから大腿部へのY字の美しさは平安仏好きにはたまらない曲線ですね。
腹回りの肉感と腿にかけての太さがたまりません!
右手肘を中心とした流れも重厚で溢れ出る波ですね。
とどまることなく溢れ出してくる泉の流れのようで素晴らしい。
平安初期の太くゴツく深い一木の重みたっぷりの仏像はやはり存在感が段違いですね。
運慶快慶の造仏の存在感とはまた違う確かな量感があります。
衣も特徴的で両肩を覆う偏衫(へんさん)と呼ばれる僧衣にさらに右肩を折り返し覆う形でほとんど平安初期の奈良地方に限られてくる表現だそうです。
上記で挙げた地蔵菩薩がまさにそうした僧衣を着られています。


















収蔵庫内にはやや痛々しいお姿の十一面観音や小仏の地蔵菩薩立像、天部像、弘法大師像なども安置されています。
どれも江戸期など比較的新しく、よくお堂の隅にあるような色彩が残りつつ剥落激しい仏像群です。
どこかコミカルな雰囲気があり仏像というよりは人形の雰囲気を感じることも多々ありますがそれだけ庶民の中にまで仏像というものが浸透し「様」ではなくお地蔵さんや観音さんといったように「さん」へと親しみを込めて守られてきた様子が伺えます。









同境内の八幡神社
堂前の阿吽の狛犬は大学の先生が調査にこられた優品だとか。
「どこの大学やったかなぁ。。忘れてしもたわぁ。。」とは世話役の方の弁(笑)
また境内隅にある水鉢も高堂八幡神社の唯一の遺物だと川西町のHPには記録されています。





白米寺(白米密寺)収蔵庫
奈良県磯城郡川西町下永
川西町 教育委員会事務所
0745-44-2214(要予約)

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