三重県・竹成大日堂「金剛!胎蔵!凛々しい両界大日如来の巻き」

三重県三重郡菰野町 竹成大日堂。
前回エントリーに続き、2体の大日如来像が安置されるお堂です。
妙福寺とは違う点と言えば、智拳印を結ぶ金剛界の大日如来像が2体であったのに対し、竹成では金剛界と胎蔵界の両界の大日如来像が並んで安置される事でしょうか。
時代的には平安時代後期であった妙福寺に対し、竹成大日堂像は室町期。
全く違った魅力の大日如来像をお届けできると思います。

本堂

並ぶ2体の大日如来像
凛々しい、美しい、気高い。
立ち居振る舞いが際立って、造形の美しさが如実に見て取れます。
平安前期の仏像とは違った魅力がある造形。
慶派の美意識や躍動感が大好きな僕には、この両大日如来像は非常に美しく魅力的で大好きな仏像です。
鎌倉時代に慶派の台頭によりリアリティがあり生な仏像が人気となりますが、そこに近しい造形に見えました。
髻の高さや太さには明確な違いがありますね。
このあたりの表現の違いは仏師のそれぞれのこだわりなのか。
胎内に墨書があり、金剛界像は文明11年(1479年)、胎蔵界像は文明13年(1481年)の作で室町時代後期の造像だということが判明してます。
江戸時代の正保4年(1647年)に、京都の仏師安村伊右衛門が修復に携わったという記録があるそうです。

金剛界 大日如来像 室町時代 県指定文化財 ヒノキ材 寄せ木造り 像高109cm

胎蔵界 大日如来像 室町時代 県指定文化財 ヒノキ材 寄せ木造り 像高109cm
元々は漆箔があったそうですが、室町佛といえば金箔や彩色が控えられた素地造りなイメージが僕にはあってそこが好きなので、漆箔が剥がれ落ち木目をあらわにした竹成の大日さまの像容に嬉しさを感じました。
木目大好きな僕としては非常に好みな仏さまなのです。

智拳印を結ぶ印

法界定印を結ぶ印

やや釣り目な金剛界像

穏やかな目線の胎蔵界像
お堂の前には石仏五百羅漢像があり見応えがあります。
この五百羅漢は嘉永5年2月(1852年)竹成出身の照空上人(神瑞和尚)が建立を発願し、桑名の石工 藤原長兵衛一門の手により慶応2年に完成。
1体ごとに表情が違うこの羅漢像は「竹成の五百羅漢」として知られ、県指定史跡になっています。
大日如来を拝観している間にも、この五百羅漢像を見に訪れる参拝者がたくさんいらっしゃいました。

文化財掲示板




竹成大日堂
菰野市 文化財
竹成大日堂
三重県三重郡菰野町竹成2070
TEL : 059-391-1111(菰野町役場) 059-396-0837(竹成観光協会)
宗派 :
御本尊 : 大日如来
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り

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