京都府・地福寺「ミステリアス!魅力だらけの阿弥陀さまの巻き」

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京都府西京区 地福寺。
京都市内より国道9号線を西へ進み、中山稲荷の交差点北側に位置する浄土宗寺院です。
こちらには2009年、市の文化財に指定された阿弥陀如来座像が御本尊としてお祀りされています。
今回は地福寺の、非常に独特な風貌をされた阿弥陀如来坐像をご紹介したいと思います。



平安時代末期の文治2年(1186)法然上人の弟子である遊行聖 花元の創建と伝わり、江戸時代の安永元年(1772)に量空呑海により中興。
平成2年(1990)、義空信道が現在の本堂を再建。



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市指定文化財となっている阿弥陀如来坐像ですが、非常にクセのあるお顔をされています。
薬師如来像には独特な風貌をされた方は多いように思いますが、阿弥陀様でこの様な強烈なインパクトを与えるお像はなかなか珍しいのではないかと思うのです。
行基作と伝えられ、かつては峰ケ堂中山寺に安置されていたものが兵火を逃れ地福寺に移されたとされます。
とても魅力的な、厳しくも美しいクセのある阿弥陀如来坐像を見ていきましょう。




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阿弥陀如来坐像 市指定文化財 一木造り(内剥り有り) カヤorヒノキ材 平安前期9C~10C 像高80.9cm



阿弥陀定印を結ぶお像で、衣は通肩にまとっています。
脚部を含んだ頭体の大部分を一木から彫り出し、内剥りは施すもののあまり深くはないそうです。
特徴的なお顔ですが、瞑想する双眸や眉の彫りは鋭角で非常に厳しい印象と美的な印象を感じます。
しかし、眉から延びる鼻筋のラインや唇の太さは力強く男性的な印象を感じ、頬の丸みや顎の量感からは優しい印象が見えてきます。
一つのお顔の中にあらゆる表現が含まれていて、拝む距離、光量、角度、様々な要因で様々な尊容を見せてくださる阿弥陀如来像でした。



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細く浅い双眸と眉からの鼻筋、太い唇の対比!



見上げるように拝むのと同じ目線で拝むのとでは、目から頬にかけての印象がガラリと変わる。
このあたりの印象が変わるとまるで違うお像のように感じますね。
また、僕の拝観する目線では見れなかったやや上から見る尊容、堂内にそのお写真がありました。
この写真を見るとまた違ったお顔が浮き上がります。
もっとも優しいお顔のように思えますね。
上から見ると、阿弥陀様の双眸がより瞑想的で穏やかに映るんですね。



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同じ目線に立って拝むと穏やかな表情に
光の当たり具合で見にくいかな?




仏様を上から見下ろすという状況はなかなか無いように思うのですが、こちらの阿弥陀様は上から拝むお姿がもっとも穏やかであるように思いました。
平安前期像は厳しいお顔のお像が比較的多いように思いますが、もしかしたらそれらのお像も上から拝むと柔和になるのかな?
上から拝むと双眸は伏し目がちに見えることの影響で、穏やかに見えるのかもしれませんね。

螺髪ほ細やかさも特徴的です。
これは当初からの螺髪なのか、彫り直しがされたのか。
碁盤の目の様に整然と細かく彫り込まれた螺髪も面白いですね。



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やや上からの表情 目の彫りが非常に瞑想的で穏やかさが、そして螺髪の細やかさ




また、この阿弥陀如来像の特徴としては通肩である、ということがあります。
宝冠阿弥陀様は通肩ですが、通常の阿弥陀如来さまで通肩は珍しいのではないでしょうか。
両の肩から流れ落ちていく衣紋線の美しさと力強さ。
肩から胸、腹にかかる衣紋線の太さ。
めちゃくちゃカッコいいですね!

そして結跏趺坐の足の角度。
膝が前に突き出し足首部は腹の方へ引き込み角度が大きい。
この角度が大きいと非常に力強くて、平安前期の匂いがあふれてくるように個人的に思っています。




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姿勢の良さが衣紋の美しさを際立たせている



阿弥陀定印の力強さは突出しているのでは?!
長い人差し指と親指で結ぶ印のダイナミックさ。
これほど山なりな定印はなかなか見れません。
ここにも素晴らしいカッコよさがありますね。



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大きな山をつくる阿弥陀定印


これだけ拝むお姿には魅力がある阿弥陀さまですが、後ろ側の螺髪や衣紋線はほぼほぼ省略されているのだとか。
お堂では後姿を拝むことは叶いませんので、いつか展覧会等でお姿を観る機会に恵まれたいなぁと思います。



お顔、細やかな螺髪、通肩、力強い衣紋線、結跏趺坐の膝角度、盛りに盛った定印に省略の背面。
見どころがあふれんばかりの非常に魅力的で、そしてその尊容は非常にミステリアスな阿弥陀さまです。
異質で魅惑な阿弥陀如来さまに是非、お参りして頂きたいなと思うのでした。








参考にしました
京都市情報館
近畿文化会 会報784号







天林山 地福寺(ちふくじ)
京都府西京区大枝中山町1-14
TEL : 075-331-0255
宗派 : 浄土宗
御本尊 : 阿弥陀如来
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 :







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仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる三十路街道を走る男の拝観日記。
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僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



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