兵庫県・大勝院「堂々たる美しさと威厳を持つ、平安後期の十一面観音像の巻き」

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兵庫県丹波篠山の地に、文保寺という天台宗の古刹がある。
大化元年(645年)に法道仙人によって開かれた聖備山長流寺(しょうびざんちょうりゅうじ)が始まりとされています。
しかし、天暦の乱(947年)において堂宇を焼失し、荒廃は極みに達しますが、正和年間に慈覚大師作という千手観世音菩薩を安置し再興。
文保年間、宝鏡寺の宮門跡一品親王真筆の勅額を下賜されて以後、「文保寺」と称します。


最盛期には21坊を数えた堂舎も現在は真如院、大勝院、観明院の3院を残すばかりです。
今回はその残る3院の内の一つ、大勝院に安置される十一面音菩薩立像を紹介したいと思います。
平安後期の観音像ですが、非常に霊威のあるカッコいい十一面観音菩薩立像です。




訪れたのは昨年(2016年)の11月。
丹波の小新屋観音ご開帳に合わせてお参りさせて頂きました。
小新屋観音は、丹波市観光100選にも選ばれるもみじの名所で、御本尊33年に一度のご開帳で秘仏の十一面観音像にお参り。
お像自体は金箔の輝く古佛とは言えないお像でしたが紅葉の映える中、ご開帳という大きな祭事を味わってきました。



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小新屋観音ご開帳


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紅葉の時期で美しい境内


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33年に1度のご開帳




さて、大勝院。
文保寺の塔頭寺院の一つで、文保寺の参道中ほどにあることから通称中寺と呼ばれています。
この大勝院に安置される御本尊 十一面観音菩薩立像をお参りさせて頂きました。


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山門


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本堂


平安後期の像とされますが、スタイリッシュで穏やかさはあるものの感じるオーラというか雰囲気は穏やかというよりも畏敬を感じるようなオーラがありました。
それはこの像の尊容によるものであると思われます。
堂々と立たれるお姿と、半眼に見据える目線に、結ぶ口元。
凛々しく非常に力みなぎるお姿です。
見上げるように拝むことになる位置関係もあるかもしれない



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本堂内陣


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十一面観音菩薩立像 市指定文化財 平安後期 一木造り ヒノキ材 像高88cm


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顎を上げ堂々と直立する十一面観音像



下半身に施される衣紋表現は非常に太く濃密で、簡素なイメージがあった平安後期とは違った印象を与えてくれました。
天衣の造形も存在感があり素晴らしいです。
足首にまでどっしりと衣が乗り、太い衣紋の波がドンっと刻まれています。
横から見ると、腰回りの太さもしっかりとしていて量感たっぷりです。
なかなか後期像とは思えない迫力があると思いますね。



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天衣や衣紋など、なかなかに複雑に太く彫り込まれる


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横から見る腰回りと量感は素晴らしい



尊容の魅力に注目したい。
顎を上げ気味に堂々とした姿勢を見せる十一面観音像で、半眼見据える双眸もその威厳を増し増しにしているように思います。
鼻筋からの口元は力強さを感じさせ男性的な力を感じます。
しかし観音像、慈悲の優しさは下がる眼尻の柔らかさで表現されているのかな。
このあたりに注目すると慈母な優しさ美しさがグッとあふれるように思います。
厳しくも見え、柔和にも見え、仏像彫刻の変幻自在さを痛感する美しさですね。



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顎の角度、肩から胸の張り、堂々としていますね



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下がる眼尻には慈悲の美しさがあふれている




平安後期の十一面観音菩薩立像。
美しく力強く、太く優しいという色んな魅力を持たれた、非常に見ごたえのある観音像です。
仏像愛好家の方々はきっと夢中になる十一面観音像ではないかと思います。
お近くの方はぜひ、また近くに来ることがあればぜひお参りして頂きたいです。


そこで!
近くに来たくなる、来なくては!と思う情報を一つ。
平成30年、文保寺はご開帳を迎えます。
文保寺再興700年記念御開帳法要です。
御本尊は聖観音菩薩と千手観音菩薩で、千手観音は正和年間(1312~1317年)慈覚大師作とされているそうです。
室町期の千手観音像でしょうか。
御開帳の詳細はまだ分かりませんが、是非訪れたいなと思います。
皆様もぜひ!!



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平成30年 秋、ご開帳行事が!






大勝院の魅力はまだ終わりません。
脇佛にも注目したいですね。
なかなか見る機会が少ない、レア佛の枠組みになると思うのですが虚空蔵菩薩像。
宝剣がちょうどお顔にかかり尊容は見えないのが残念ですがレア佛 虚空蔵菩薩がいらっしゃいました。
また、非常に愛らしく可愛い地蔵菩薩立像。
截金の美しさと童子のような愛らしいお顔がたまらないですね。
そして見逃してはならない定朝様を見せる阿弥陀如来坐像。
定番すぎてスルーしがちですが、ここもしっかり拝みたいですね。

そして大勝院 脇佛の最高峰は不動明王立像。
めちゃくちゃカッコいいです。
立ち姿がとにかく素晴らしく、勇ましい。
力強く尊い不動明王像にも出会えて大満足でした。





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宝剣にお顔を隠されていますが。。レア佛 虚空蔵菩薩像


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愛らしさ爆発な地蔵菩薩立像


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安定の美しさ、定朝様 阿弥陀如来坐像


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美しく尊さ。凛々しい不動明王立像









参考にさせて頂きました
文保寺公式HP












大勝院(だいしょういん)
兵庫県篠山市味間南1094
TEL : 079-594-0117
宗派 : 天台宗
御本尊 : 十一面観音
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り


松尾山 文保寺(ぶんぽうじ)
兵庫県篠山市味間南1097
TEL : 079-594-0073
宗派 : 天台宗
御本尊 : 聖観音菩薩 千手観音菩薩
拝観 : 秘仏
駐車場 : 有り
















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仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる三十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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