奈良県・西岳院「平安後期の巨像!!3mを超える千手観音菩薩立像を拝すの巻き」

奈良県大和郡山市 西岳院。
奈良市内より車で20分ほどのこの地に、像高は3mを超える平安後期の一木造り 千手観音菩薩立像がお祀りされています。
これほど大きな千手観音像はなかなか見ることは出来ないのではないでしょうか。
仏像愛好家の方々には是非とも訪れていただきたい仏像を紹介したいと思います。
迦楼馬イチオシの仏像です。

西岳院 本堂
西岳院は聖徳太子が46の寺院建立を誓い建てた46伽藍最後の寺院 満願寺の塔頭で(奥ノ院ともいわれる)、西方の丘の上にあったことから西岳院と称したと伝えられています。
満願寺は富雄川氾濫による水害のため廃寺となり、本尊 十一面千手観音菩薩像は西岳院へと移されました。
寛政二年(由緒書きは寛延二年となっていますが、領主片桐貞章の生没年から寛政年間であると思われます)に、小泉藩主片桐貞章の招きにより黄檗山14代龍統和尚が西岳院に隠棲、黄檗宗となります。(一部、竜玩和尚との表記もあるが龍統和尚であると思われます)
地名に満願寺の名はあるものの、今は西岳院のお堂を残すのみ。
聖徳太子四十六願により46の寺院が建立され、その最後の寺院 満願の寺院であった満願寺の御本尊 十一面千手観音菩薩立像を拝しに西岳院を訪れました。

西岳院 由緒書き
西岳院に到着するとすでにお堂の扉は開かれ、外からもそのその巨大な千手観音像のお姿が目に飛び込みます。
今年の6月に初めてのお参り、8月に佛友さんを連れて二度目のお参り。
二度目でもこの千手観音像の大きな美しさは色褪せることなく僕の目に飛び込んできました。

本堂内陣
非常に優美なお姿。
平安後期 定朝様の穏やかな美しさをしっかりと伝える大きな千手観音菩薩です。
豊かな頬に、なだらかな体躯。。
そして薄彫りの衣紋線が彫り込まれています。
平安後期を代表する奈良の観音像だともっともっと注目されて欲しいですね。

十一面千手観音菩薩立像 県指定文化財 平安後期 一木造り ケヤキ材 像高305cm
横から見るお姿が美しい。
立ち姿が非常に美しい千手観音像です。
3mを超える巨像でありながら優美さが損なわれない造形美に息を飲みます。
県指定文化財。
そこ止まり?と正直、思わずにはいられませんでした。
奈良でなければ、直ぐにでも重文になるのではないか?それほど僕の心を打つ素敵な千手観音さま。

横から拝む全体像の美しさ
尊容も非常に優しく慈愛にあふれています。
ふっくらとした頬に、クッと結んだ口元と顎の力強さ。
なだらかな肩口から緩く流れる合掌手の手の両腕。
合掌がまた優しいなぁ。

合掌手の美しさたるや
足元の衣紋は想いの外 太く彫り込まれています。
体部分の衣紋は薄く穏やかであったのとは印象が違いました。
平安も中期のころの面影が残るのかな。
太い波に魅了されますね。

翻波式衣紋とまではいかないまでも、太い衣紋が足元に残る
脇手の花咲き方も美しい。
腕の太さも大きく、かなり僕好みの千手観音脇手。
非常に存在感を持ったガッツリ脇手でカッコいいですね。
持物もっしっかりと持ち見事でした。

腰あたりを中心に花開くように生える脇手
昭和38年に修復を受けています。
後補の部分も多分にあると思います。
それゆえの県指定止まりであるのかもしれない。
僕の素敵だと感じる部分にも多くの後補の手が加わっており、当初の物ではないかもしれません。
それでも今あるお姿は美しいく魅力的で、僕の心を掴んで離さない。
本当に大好きな千手観音菩薩像です。
奈良の仏像を紹介して欲しいと問われれば、真っ先にこの千手観音菩薩像を推すでしょう。
奈良にお越しの際はぜひ西岳院 十一面千手観音菩薩立像をお参りすることをおススメします。


八咫烏と月の兎に頬が緩む
参考にしました
奈良県立図書館情報
福寿山 西岳院(さいがくいん)
奈良県大和郡山市満願寺691
TEL : 0743-53-7047
宗派 : 黄檗宗
御本尊 十一面千手観音
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 軽なら境内に可

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