大阪府・正念寺「大阪市内に残る平安佛!聖観音菩薩&毘沙門天像の巻き」

大阪市内には以外にも平安佛が多く残されている。
先の戦争での大阪大空襲で焼け野原になったイメージがありましたが、天王寺区付近には多くの平安佛が残されています。
今年の春、そんな大阪佛を巡って来ました。
その中でも個人的にとびきり目を引いたのは天王寺区の正念寺。
平安期の聖観音菩薩立像、毘沙門天立像がお祀りされています。

天明年間建立。総けやき造りの貴重な山門

桜の時期に訪れた本堂
上町筋を南下し、「上本町5」の信号を左へ(東へ)すぐ、大阪四十八願所阿弥陀仏巡礼24番札所にもなっている正念寺があります。
寛永20年(1643)に廊誉岸光上人が創建。
その後、兵火により堂宇を焼失するが、天明年間に再建されます。
昭和20年(1945)大阪大空襲で山門・観音堂を残して他の堂宇を焼失しますが、昭和37年に本堂・庫裏が再建されました。

観音堂に安置されていた三体の仏像。現在は本堂に安置
この正念寺に安置されるのは平安時代後期とされる聖観音菩薩立像と毘沙門天立像。
この2体の平安佛がすこぶるイイ。
聖観音菩薩像は平安後期の、穏やかで静かな瞳で瞑想されているお顔には木目が浮き上がり、その状態がなおさら聖観音菩薩の神秘的な魅力を溢れさせているように思います。
お顔に現れる木目の表情が僕は好きでたまりません。

聖観音菩薩立像 市指定文化財 一木割剥造り ヒノキ材 平安時代後期12C前半 像高157.4cm

木目の現れた非常に美しさを感じる尊容
体躯の方は脱力されたような柔らかな上半身から真っすぐに立つ下半身で衣文表現は簡素。
平安後期像の特徴かなぁと思いながら見つめる。
しかし見上げると肩幅もあり胸板もしっかり、横から見ると腰回りは肉感もよくなかなかのボリューミーでした。
このボリュームを感じるのはひょっとするとこのお像が一木造りの像だからかもしれません。
平安も後期のお像になると寄せ木造り像が増えますが、大阪市内に残る平安佛は後期の像が多いですが、一木像が多いように思います。

全体の優美さとは違い力強さも

長くV字に垂れる裳

衣文表現は簡略化され足元にかけてスラリ
一木の重みと、平安後期の優美さがあるお像、後補の部分も多分にあるのかもしれませんが非常に魅力的で、たたずまいが優しく美しい観音像です。

見上げるように拝むと、頬や胸板に量感がある

角度を変えれば優美なお姿に
対して、同じ平安後期像でありながら無骨さと力強さを感じる毘沙門天像。
パット見ると非常に対照的な雰囲気を感じるのですが、見比べているうちに良く似合った2体の様にも感じてきます。
下半身のどっしり具合が非常に魅力的で、なおかつ僕の大好きな目玉が盛り上がったお顔で、大きな鼻に結ぶ口元。
頬の張りも力強い。
しかし、このお顔も後補の彫り直しが入ってるようです。

毘沙門天立像 市指定文化財 一木造り ヒノキ材 平安時代後期11C後半 像高132cm

非常に好みな天部の顔

体の摩滅具合や太さ
堂内には大阪市の文化財に新指定された折のポスターが張られているのですが、このポスターを見ると違和感が。
右腕が完全に変わっている。
戟を握るように上げていたはずの右腕は、降ろされてゆったりと戟を握ります。
振りかざしていた右腕は関節的にも違和感のある動きのようだったので、指定に合わせて修正されたのかもしれませんね。

新指定時のポスター

右腕は降ろされ緩やかに戟を握る

かっこかわいい毘沙門天立
2体の平安佛の隣には観音堂安置時代から一緒に祀られている江戸時代の地蔵菩薩立像。
奇麗な衣文にきらびやかな彩色、肌の白がよく残る。
肌の彩色が残る地蔵菩薩は美しいのと、そして少し生々しさがあり怖さも感じてしまう。
ご本尊は阿弥陀三尊像。
脇には善導大師像と法然上人像。
阿弥陀三尊像は本堂再建の際に京仏師により造像されました。


見ごたえのある非常に素晴らしい聖観音菩薩立像&毘沙門天立像。
4月にお参りしてからすぐに再訪もしてしまい、お気に入りの平安佛です。
西念寺(さいねんじ)
大阪市天王寺区下寺町2-2-36
TEL : 06-6771-6840
宗派 : 浄土宗
御本尊 : 阿弥陀如来
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り

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