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和歌山県・慈光円福院「魅惑の密教佛!紀州を代表する十一面観音像の巻き」

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何度でもお参りしたいお寺がある。
それは、何度でもお会いしたい観音様がいるから。
和歌山県和歌山市にある慈光円福院はそんなお寺の1つ。


3度お参りさせていただいていますが、いつも高齢の女性が対応して下さり、近くまで寄って良いよ、写真も撮って良いよと心ゆくまで拝ませて下さります。

慈光円福院は、円福院と慈光寺が合併して出来た寺院です。
円福院は、江戸時代初期に近江志賀谷の長善阿闍梨が紀州藩家老の水野氏の誘いを受けて和歌山市新通りに建立。
しかし、昭和20年戦災により全焼してしまいます。
慈光寺は、歌山市下和佐の和佐八幡宮の別当寺院であったが、明治の廃仏毀釈により荒廃。
円福院再興にあたり、慈光寺から御本尊、本堂を現在地に移し慈光円福院となり現在に至ります。


〝何度でもお会いしたい観音様"はもともとは慈光寺の御本尊だったんですね。
平安前期の、非常に威光があり、密教感の強い癖のある魅力的な十一面観音菩薩です。



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山門

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本堂



和歌山県立博物館で「有田川中流域の仏教文化」展を見に行った日、久しぶりにお参りしてきました。
本堂へと招き入れていただくと、お厨子の扉は開かれており、妖艶な十一面観音さまのお姿が目に飛び込んできました。
遠目にもお像から発せられる異様な雰囲気というか霊威をビンビンに感じ、近くまで寄っていいよ、と仰っていただき目の前まで迫ります。
見上げるように望むそのお姿の威光たるや言葉を失う。見入ってしまう。
慈悲の観音さまでありながらそのお顔は非常に厳しいものがあり、密教佛らしいオーラがみなぎっています。



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本堂内陣


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十一面観音菩薩立像 国指定重要文化財 平安前期10C 一木造り ヒノキ材 像高149.7cm

 

内剥りを施さない一木造りで、頭上面や垂下する天衣、左手や足先など後補ではありますが、もともとは可能な限り一木で彫り出していたようで、深く鋭く彫られた翻波式衣文や渦文、裳や天衣のねじれや揺らめきなど非常に装飾的で檀像彫刻風な観音像です。
耳に巻いて肩口へ流れる頭髪や、天冠に腕釧など細かく入念に造形されています。
一度お姿を拝み始めると目が離せなくなってしまうほどの魅力があちこちに見受けられます。



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射抜くような厳しい双眸


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折り返し揺れるねじれる裳と天衣


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美しい翻波式衣文



目を半眼よりも大きく開き、遠くを見つめる目線は厳しく密教感を感じるのですが、下から見上げているとどこか悲しさというか憂いのある表情にも見えてくる。
見る角度によってカラリと印象が変わってくる尊容でした。
許されるのなら何時間でも居続けたい、朝のお顔、昼のお顔、夜のお顔、全部見たい。
朝から日が暮れるまで居て、一日を通して表情を見比べたいと思ってしまいます。
また猛烈に会いに行きたくなってきた!



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天冠、髪など細やかな装飾と厳しい目線


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見上げると憂いのある儚げな瞳


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翻波式衣文もずっと見ていられる



和歌山を代表する観音像。
1体の十一面観音像にくぎ付けになること間違いなしです。
何度でもお参りしたくなります。

現在(2017.10.28)、和歌山県立博物館では「道成寺と日高川」展が催されています。
お近くなので合わせてお参りしてみてはどうでしょうか♪

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参考にさせて頂きました
和歌山市の文化財
和歌山西国三十三か所観音霊場






清涼山 慈光円福院(じこうえんぷくいん)
和歌山県和歌山市金屋丁31
TEL : 073-423-3589
宗派 : 真言宗
御本尊 : 十一面観音菩薩
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : お寺前へ








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Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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