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平安佛の大洪水!白山を仰ぐ「福井の仏像」展の巻④~菩薩編~

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並んで展示される2体の菩薩坐像は共に大日如来像であったのではないだろうかとされる像だそうで、1体は八坂神社の菩薩形坐像、もう1体は大安禅寺の文殊菩薩坐像。

八坂神社の像は明治時代の神仏分離令により隠された蔵であったらしく、本殿改修の折に床下より発見されました。
両腕の前腕部から先を失しているため尊名を確定できず菩薩形とされていますが、金剛界智拳印を結ぶ大日如来像であったのではないか、との解説でした。
定朝様を感じさせるゆったりと穏やかな姿勢で、ふくよかなお顔と合わせて非常に豊かな表情を持たれた方です。


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八坂神社 菩薩形坐像 重要文化財


大安禅寺像はどっしりとした体躯で堂々と剣を握る力強い方。
八坂神社像よりもさらに力強い像容。
真っ直ぐに正面を向く顔に伏せた双眸があり、知的な男性像に見えました。
肩や肘のつぎはぎ面の角度は後補により改変され、また腹部正面には定印を収めるような跡が残っており、元は法界定印を結ぶ大日如来像であったと考えられるそうです。


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大安禅寺 文殊菩薩坐像 県指定文化財




嶺北地方で現在最も古いとされる象も展示されています。
それは越前市 神宮堂の虚空像菩薩坐像です。
49cmの小像でありながら非常にパワーのある方で、見応えがあります。
この像を目当てに来館される方も多かったのではないでしょうか。


体に厚みがあり力強く、衣紋も深く刻まれます。
広い肩幅に張った胸板、非常にカッコイイですね。
肩より垂れ下がる天衣は脚部へと落ち、巻き込むように流れていき見応えがあります。
頭部やお顔など、後補の厚い漆箔に覆われ、尊容がつかみにくい面もありますが、それでもこれだけの迫力があるのだから素晴らしい。



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神宮堂 虚空像菩薩坐像 県指定文化財


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脚部を巻き込むように彫り込まれた天衣




展覧会へ向けて現地より搬出するのに、最も大変であったと仰られていたのが越前市 神明神社の千手観音菩薩立像。
頭体幹部、合掌手の前腕半ばまでを一木で彫り出し、宝珠手、脇手を剥ぎ付けているため、非常に重く持ちづらい。
現地では腰上ほどの須弥壇内に安置されているため、かなり苦労されたと思います。



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現地の安置状況


さて尊容ですが丸く引き締まるお顔は体のサイズよりやや大きく感じ、どこか童子を思わせる。
翻波式衣紋がみれれたり、腰から折り返す裳は2枚に重なるように表現されており特徴的です。
横へ広くひろがる脇手は非常に大きく、救いの手を求める信仰の強さが現れているのかなぁと思いながら眺めました。
脇手の裏には細かな板状の脇手が嵌め込まれており、真数千手の様相でした。
愛らしくもあり、信仰の強さも感じさせる素敵な千手観音でした。




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神明神社 千手観音菩薩立像 県指定文化財


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大きく広がる脇手


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腰から折り返す裳はU字に重なり合うように








会期は終わってしまいましたが、当ブログの更新はもう1回続きます。
更新が遅れ申し訳ございません!!






福井市立郷土歴史博物館
福井県福井市宝永3丁目12-1
TEL : 0776-21-0489
e-mail : kyoudo@city.fukui.lg.jp
「福井の仏像-白山を仰ぐ人々と仏たち-」展
会期10月14日~11月23日







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仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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