平安佛の大洪水!白山を仰ぐ「福井の仏像」展の巻②~聖観音菩薩編~
前回の更新、プロローグ&如来編はこちら。
如来像に続き展示されるのは観音菩薩像。
多くの仏像好きがこのラインで夢中になってしまうのではないでしょうか。
素晴らしい数々の聖観音菩薩像や十一面観音菩薩像が列をなしています。

最初に展示されるのは鯖江市 加多志波神社の聖観音菩薩立像。
観覧前からポスター等でそのお姿は確認していましたが、実佛を目にしてまず思ったのが小さい!
勝手な想像で等身大の像で170ほどの像高があるものと思っていたので104cmという小ぶりな像容に思わず頬が緩みました。
可愛らしいと思えたのです。
お腹周りから太腿にかけて非常に量感たっぷりな体躯であるんですが、通常の観音像よりは短いように見えた垂下する右腕や、ふくよかな頬に小さく穏やかに刻まれた目鼻、口元などの印象からか、どこか童子のようにも感じられ、体幹部の量感も”堂々とした”というよりも”ゆったりとした”という表現も用いたくなりました。
像の各所には大きな節(ふし)が見られ、これらは特別な霊木より彫り出されたことを表しているとか。
霊木より彫り出されたどこか童子を思わせるようなこの像に多くの時間を費やしてお姿を眺めるのでした。

加多志波神社 聖観音菩薩立像 県指定文化財

大らかで優しさが溢れる、どこか童子の様にも見えた尊容

深く刻まれる衣紋 足元には翻波式衣紋が
同じくポスターや公式HPにもお顔が取り上げられていた福井市 法承寺の聖観音菩薩立像。
17年に1度の御開帳という秘仏で、今回の展覧会には特別に出展された目玉ともなる聖観音さま。
加多志波神社の像とは変わって、衣紋の彫りは浅く彫られ、スラリとした立ち姿の像です。
スラリとしていて薄彫りの、ともすれば印象が薄くなりがちの像容を特異なものにしているのは何と言ってもそのお顔。
衣紋とは打って変わってしっかりと彫り込まれた目鼻立ちは、その大きな鼻と、少し開いているようにも見える口元、そして伏し目で目線の合わない双眸で威厳あるオーラを発散させています。
秘仏がよくぞお出ましいただけました!!

法承寺 聖観音菩薩立像 市指定文化財

鼻翼の広がり、少し開いた口元、伏した目 独特なものを感じる

なで肩で、首をやや前に出しているような姿勢も魅惑的

薄く彫られてはいるが翻波式衣紋が見られる
非常に人気の高かった聖観音菩薩立像は越前市 荒谷観音堂の観音さまだったのではないでしょうか。
足を揃え、脇を締め未敷蓮華を胸前で持つ姿は、儚さも感じるような。
全体的にやや左へと傾いた立ち姿は霊木から彫り出された故か。
像容も各所にノミの跡を残す、霊木・神木より出現する仏の姿を表す表現方法を用い、頭体から蓮台、天衣に持物に至るまでが一木より彫り出され、いかにこの像が神聖にお祀りされることを考え彫り出されたかが伺えます。
美しく儚げでありながら菩薩像としての表情は凛々しい素敵なお方です。
また、驚いたのは内剥りは施されていないこと。
像高170cmの一木造りでありながら内剥りが無いにも関わらず、目立った割れが生じていなかったこと。
背面には斜めに木割れがあるものの、尊容を含め前面部には無いことに霊木の御力を感じるのでした。

荒谷観音堂 聖観音菩薩立像 県指定文化財

脇を締め胸前で蓮華を持つ姿にグッとくる

美しい菩薩像のお顔を見せる横顔
全ての観音像をご紹介することは難しいですが、その他の観音像にも軽く触れてみたい。
つまりは全てが素晴らしいのです。
福井市 西光寺 聖観音菩薩立像
下半身の量感がものすごく、安定感抜群。
上半身のスラリと伸びる感じとは対照的な下半身に目がいきます。
尊容は面長で頬の張りと地方色を感じた。


坂井市 円海寺 聖観音菩薩立像
衣紋の彫り込みが非常に緻密で装飾的。
髻の大きく渦を巻く形状は僕の好みに合致して非常に好きなお方です。
お顔は唇を少し突き出すように表現されていて厳しさを感じる。


展示された仏像すべてを載せてしまいそうになってしまうので、このあたりで自重いたしましょう。
次の更新は白山の本地仏 十一面観音菩薩編です。
福井市立郷土歴史博物館
福井県福井市宝永3丁目12-1
TEL : 0776-21-0489
e-mail : kyoudo@city.fukui.lg.jp
「福井の仏像-白山を仰ぐ人々と仏たち-」展
会期10月14日~11月23日

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如来像に続き展示されるのは観音菩薩像。
多くの仏像好きがこのラインで夢中になってしまうのではないでしょうか。
素晴らしい数々の聖観音菩薩像や十一面観音菩薩像が列をなしています。

最初に展示されるのは鯖江市 加多志波神社の聖観音菩薩立像。
観覧前からポスター等でそのお姿は確認していましたが、実佛を目にしてまず思ったのが小さい!
勝手な想像で等身大の像で170ほどの像高があるものと思っていたので104cmという小ぶりな像容に思わず頬が緩みました。
可愛らしいと思えたのです。
お腹周りから太腿にかけて非常に量感たっぷりな体躯であるんですが、通常の観音像よりは短いように見えた垂下する右腕や、ふくよかな頬に小さく穏やかに刻まれた目鼻、口元などの印象からか、どこか童子のようにも感じられ、体幹部の量感も”堂々とした”というよりも”ゆったりとした”という表現も用いたくなりました。
像の各所には大きな節(ふし)が見られ、これらは特別な霊木より彫り出されたことを表しているとか。
霊木より彫り出されたどこか童子を思わせるようなこの像に多くの時間を費やしてお姿を眺めるのでした。

加多志波神社 聖観音菩薩立像 県指定文化財

大らかで優しさが溢れる、どこか童子の様にも見えた尊容

深く刻まれる衣紋 足元には翻波式衣紋が
同じくポスターや公式HPにもお顔が取り上げられていた福井市 法承寺の聖観音菩薩立像。
17年に1度の御開帳という秘仏で、今回の展覧会には特別に出展された目玉ともなる聖観音さま。
加多志波神社の像とは変わって、衣紋の彫りは浅く彫られ、スラリとした立ち姿の像です。
スラリとしていて薄彫りの、ともすれば印象が薄くなりがちの像容を特異なものにしているのは何と言ってもそのお顔。
衣紋とは打って変わってしっかりと彫り込まれた目鼻立ちは、その大きな鼻と、少し開いているようにも見える口元、そして伏し目で目線の合わない双眸で威厳あるオーラを発散させています。
秘仏がよくぞお出ましいただけました!!

法承寺 聖観音菩薩立像 市指定文化財

鼻翼の広がり、少し開いた口元、伏した目 独特なものを感じる

なで肩で、首をやや前に出しているような姿勢も魅惑的

薄く彫られてはいるが翻波式衣紋が見られる
非常に人気の高かった聖観音菩薩立像は越前市 荒谷観音堂の観音さまだったのではないでしょうか。
足を揃え、脇を締め未敷蓮華を胸前で持つ姿は、儚さも感じるような。
全体的にやや左へと傾いた立ち姿は霊木から彫り出された故か。
像容も各所にノミの跡を残す、霊木・神木より出現する仏の姿を表す表現方法を用い、頭体から蓮台、天衣に持物に至るまでが一木より彫り出され、いかにこの像が神聖にお祀りされることを考え彫り出されたかが伺えます。
美しく儚げでありながら菩薩像としての表情は凛々しい素敵なお方です。
また、驚いたのは内剥りは施されていないこと。
像高170cmの一木造りでありながら内剥りが無いにも関わらず、目立った割れが生じていなかったこと。
背面には斜めに木割れがあるものの、尊容を含め前面部には無いことに霊木の御力を感じるのでした。

荒谷観音堂 聖観音菩薩立像 県指定文化財

脇を締め胸前で蓮華を持つ姿にグッとくる

美しい菩薩像のお顔を見せる横顔
全ての観音像をご紹介することは難しいですが、その他の観音像にも軽く触れてみたい。
つまりは全てが素晴らしいのです。
福井市 西光寺 聖観音菩薩立像
下半身の量感がものすごく、安定感抜群。
上半身のスラリと伸びる感じとは対照的な下半身に目がいきます。
尊容は面長で頬の張りと地方色を感じた。


坂井市 円海寺 聖観音菩薩立像
衣紋の彫り込みが非常に緻密で装飾的。
髻の大きく渦を巻く形状は僕の好みに合致して非常に好きなお方です。
お顔は唇を少し突き出すように表現されていて厳しさを感じる。


展示された仏像すべてを載せてしまいそうになってしまうので、このあたりで自重いたしましょう。
次の更新は白山の本地仏 十一面観音菩薩編です。
福井市立郷土歴史博物館
福井県福井市宝永3丁目12-1
TEL : 0776-21-0489
e-mail : kyoudo@city.fukui.lg.jp
「福井の仏像-白山を仰ぐ人々と仏たち-」展
会期10月14日~11月23日

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