平安佛の大洪水!白山を仰ぐ「福井の仏像」展の巻
2016年も終わりが近づくなか、美術館、博物館において仏像を展示する展覧会が各地で催されています。
福井市立郷土歴史博物館においても「福井の仏像-白山を仰ぐ人々と仏たち」展が14日から始まりました。

泰澄大師が白山を開山し来年で1300年を迎えることを記念した同展覧会には、白山信仰が盛んであった嶺北地方で守られてきた、秘仏であったり普段拝することはなかなか難しい仏像34体(1体前期後期で入替わり有り)が展示されています。
※写真は全て内覧会での許可の元、撮影したものです


開幕前夜に催されたブロガー向け内覧会に参加させていただき、その全貌をいち早く体験してきたのですが、その濃密な空間は神秘的で個人的には今年1番の仏像展であると断言したい。
この展覧会の情報をいただいた時から、今年1番になるに違いないと感じていましたしTwitterでもそう発言してきましたが、観覧して改めて間違いないことを感じました。
仏像愛好家のなかで、いわゆる”地方佛”と呼ばれる類の仏像を愛する方にはマストではないでしょうか。
過去にも名展覧会だったとずっと話題に上る展覧会がありますが、この「福井の仏像」展もそうなるだろうと感じさせる素晴らしい仏像郡が一堂に会しておりました。
会場には平安時代の仏像がずらりと並びますが(34体のうち1体のみ鎌倉)、まず目に飛び込むのは会場右手中央に塔建築内に安置されていることを想像させる曼荼羅状に展示された滝波五智如来堂の五智如来坐像。
3年がかりの修復を終え戻られた(釈迦如来、阿弥陀如来は先月戻られたばかり!)五智如来像が360°で拝観出来ます。

滝波五智如来堂 五智如来坐像 県指定文化財

修復により当初の尊容が現れる阿弥陀如来坐像

薬師如来坐像
江戸時代に全体を紙貼りされその上から彩色、漆箔を施すという修復を受け、当初の尊要は隠れてしまった状態でありましたが、今回の修復では紙貼りも剥がされ、当初の尊容を取り戻されています。
そして今回はその紙貼りの一部も展示。
江戸時代より数百年、そのお姿で守らててきたことを考えると紙貼りのマスクも信仰する人たちによって祈り守り継がれてきたお顔です。
尊像と合わせてこのマスクにもぜひ注目して見ていただきたいです。

江戸時代修復の紙貼りマスク
※図録にはこの修復過程が非常に細かく記載されており必見です。
拝観順路を辿るとまずは如来像。
薬師如来像が立像坐像を含め3体が並びます。
高尾町 薬師神社 薬師如来立像
帆谷町 帆谷薬師堂 薬師如来坐像
国山町 愛染寺 薬師如来坐像

中でも高尾町薬師神社の薬師如来立像は素晴らしく惹きつけられました。
カツラ材の一木造りで内剥りは施さず。
内剥りを施されていないことから霊木から彫り出された可能性があると藤川学芸員の解説。
お顔の表情や衣紋線は浅く刻まれますが、左脇より流れ胴を巻いていくように刻まれる衣紋は美しく、そこに厳しめの表情で彫られたお顔が対比的で、この様な表現により一層の神秘性を感じさせてくれるように思います。

薬師神社 薬師如来立像 市指定文化財

美しい衣紋の流れに目を奪われる
※この方、10月31日までの展示です。
絶対に逃されないことをオススメしたいです。
福井市立郷土歴史博物館
福井県福井市宝永3丁目12-1
TEL : 0776-21-0489
e-mail : kyoudo@city.fukui.lg.jp
「福井の仏像-白山を仰ぐ人々と仏たち-」展
会期10月14日~11月23日
当更新をプロローグ&如来編とし、次回は観音菩薩編を更新したいと思います。

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福井市立郷土歴史博物館においても「福井の仏像-白山を仰ぐ人々と仏たち」展が14日から始まりました。

泰澄大師が白山を開山し来年で1300年を迎えることを記念した同展覧会には、白山信仰が盛んであった嶺北地方で守られてきた、秘仏であったり普段拝することはなかなか難しい仏像34体(1体前期後期で入替わり有り)が展示されています。
※写真は全て内覧会での許可の元、撮影したものです


開幕前夜に催されたブロガー向け内覧会に参加させていただき、その全貌をいち早く体験してきたのですが、その濃密な空間は神秘的で個人的には今年1番の仏像展であると断言したい。
この展覧会の情報をいただいた時から、今年1番になるに違いないと感じていましたしTwitterでもそう発言してきましたが、観覧して改めて間違いないことを感じました。
仏像愛好家のなかで、いわゆる”地方佛”と呼ばれる類の仏像を愛する方にはマストではないでしょうか。
過去にも名展覧会だったとずっと話題に上る展覧会がありますが、この「福井の仏像」展もそうなるだろうと感じさせる素晴らしい仏像郡が一堂に会しておりました。
会場には平安時代の仏像がずらりと並びますが(34体のうち1体のみ鎌倉)、まず目に飛び込むのは会場右手中央に塔建築内に安置されていることを想像させる曼荼羅状に展示された滝波五智如来堂の五智如来坐像。
3年がかりの修復を終え戻られた(釈迦如来、阿弥陀如来は先月戻られたばかり!)五智如来像が360°で拝観出来ます。

滝波五智如来堂 五智如来坐像 県指定文化財

修復により当初の尊容が現れる阿弥陀如来坐像

薬師如来坐像
江戸時代に全体を紙貼りされその上から彩色、漆箔を施すという修復を受け、当初の尊要は隠れてしまった状態でありましたが、今回の修復では紙貼りも剥がされ、当初の尊容を取り戻されています。
そして今回はその紙貼りの一部も展示。
江戸時代より数百年、そのお姿で守らててきたことを考えると紙貼りのマスクも信仰する人たちによって祈り守り継がれてきたお顔です。
尊像と合わせてこのマスクにもぜひ注目して見ていただきたいです。

江戸時代修復の紙貼りマスク
※図録にはこの修復過程が非常に細かく記載されており必見です。
拝観順路を辿るとまずは如来像。
薬師如来像が立像坐像を含め3体が並びます。
高尾町 薬師神社 薬師如来立像
帆谷町 帆谷薬師堂 薬師如来坐像
国山町 愛染寺 薬師如来坐像

中でも高尾町薬師神社の薬師如来立像は素晴らしく惹きつけられました。
カツラ材の一木造りで内剥りは施さず。
内剥りを施されていないことから霊木から彫り出された可能性があると藤川学芸員の解説。
お顔の表情や衣紋線は浅く刻まれますが、左脇より流れ胴を巻いていくように刻まれる衣紋は美しく、そこに厳しめの表情で彫られたお顔が対比的で、この様な表現により一層の神秘性を感じさせてくれるように思います。

薬師神社 薬師如来立像 市指定文化財

美しい衣紋の流れに目を奪われる
※この方、10月31日までの展示です。
絶対に逃されないことをオススメしたいです。
福井市立郷土歴史博物館
福井県福井市宝永3丁目12-1
TEL : 0776-21-0489
e-mail : kyoudo@city.fukui.lg.jp
「福井の仏像-白山を仰ぐ人々と仏たち-」展
会期10月14日~11月23日
当更新をプロローグ&如来編とし、次回は観音菩薩編を更新したいと思います。

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