滋賀県・佛法寺「平安時代の魅力詰まった大日如来像と聖観音菩薩立像の巻き」

滋賀県野洲市。
文化財指定された仏像だけでも40を超える、仏像愛好家には幾度も巡ることになる地域です。
今回は野洲市井口の佛法寺を紹介したいと思います。
創建等は不明ですが、立誉上人により慶長年間(1596~1615年)に浄土宗の寺院として再興されます。
その佛法寺には元々は境内の東側にあった万福寺にお祀りされていた尊像が安置されており、今回はその尊像をお参りさせていただきました。

山門

本堂
さっそく本堂へ上げていただくと目に飛び込んでくるのは像高170cmを誇る半丈六のご本尊 大日如来坐像。
これだけ大きな大日如来像はなかなか見れませんので、存在感は丈六並みの大きさを感じます。
金剛界の智拳印を結び、ふくよかな頬の優美な平安後期の定朝様を見せるお方。
穏やかに腹の前で印を結びますが、腕の角度が美しい。
柔らかでいて最後キュッと締まるような。
目は彫眼で金箔が押されているので、視線を特定は出来ないところが超然としていて、いろいろな角度から自分にしっくりと感じる位置を探したくなりますね。

大日如来坐像 市指定文化財 寄木造り ヒノキ材 平安後期 像高170cm

智拳印を結ぶ腕の流れや角度が美しい
横から見ると、腹回りや太ももの太さは凄くて量感たっぷり。
坐像の醍醐味は下半身のどっしり感にあると思います。
こちらの大日如来像は申し分ないほどの量感。

大きくどっしりとした安定感のある下半身
後補の部分は多分にあるとのことですが、お像の魅力を壊すことなく素敵に修復されていると思います。
僕自身が魅力的と感じた部分も後補である可能性も大きいですが、いまここにいらっしゃる大日如来像の美しさに惚れ込むのでした。

肉付きの良い大らかな尊容 ただし玉眼を彫眼に補修されている

智拳印を見ると心躍る
御本尊の大日如来像に向かって右手には平安中期頃の聖観音菩薩立像がいらっしゃいます。
平安前期の太さと後期の優美さが合わさったような魅力的な聖観音菩薩。
鼻や唇、顎周りの太さにどっしり感。
下半身に行くにしたがって穏やかさが強くなっていきます。
膝下の衣紋は柔らかな翻波式衣紋が見えますが、彫りは浅くて裾丈も後期に近くなっていますね。

聖観音菩薩立像 市指定文化財 一木造り ヒノキ材 平安中期 像高153cm

眉根からに鼻筋と太い唇。イイね!

下半身は割とスラリと伸びている
平安前期、地方色。
そんな雰囲気が大好きなんですが、この聖観音像からもそんなエッセンスが感じられる部分があります。
もちろん中期のお像ですから、これからやってくる後期のエッセンスもたっぷりあって両時代の魅力が融合した、いろんな部分をいろんな見方で拝める聖観音様ですね。
お顔の雰囲気が凄く好きです♪

鼻翼、唇の太さと、スーッと線を引いたような瞳

緩く上げた右膝、足元に表現される翻波式衣紋
魅力的な大日如来坐像と聖観音菩薩立像。
共に平安前期&後期の、両時代の魅力を感じさせてくれる素敵なお像でした。
大日如来像は半丈六!
大きな大日如来像はそれだけで魅力が半端ないですね。
太さと優美さ、そこに地方色のエッセンスで魅力あふれる聖観音像。
湖南地方に訪れる際には、是非お参りして欲しいお寺です。
参考にさせて頂きました
滋賀県:歴史・観光・見所
佛法寺(ぶっぽうじ)
滋賀県野洲市井口524
TEL : 077-589-3005
宗派 : 浄土宗
御本尊 : 大日如来
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り

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