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京都府・西福寺「優しさに包まれる 平安一木造りの聖観音菩薩像の巻」

京都府綴喜郡井手町。

JR奈良線 玉水駅から西へ徒歩圏内に井手町最古の仏像である、平安期の観音像を安置する西福寺があります。
お参りをお願いしていた時間より幾分早く到着しましたが、快く迎え入れて下さり、平成に再建された新しい本堂の町指定文化財となる聖観音菩薩立像を拝観させて頂きました。



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平成に再建された山門

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同じく平成再建の本堂



本堂へ入りまず目に飛び込んできたのは色彩鮮やかな智拳印を結ぶ金剛界大日如来坐像。
お堂を新しくされた際に、もともと本尊としてお祀りされていた阿弥陀如来立像では小さく合わないという事で、大日如来像を造像されたということでした。
脇には元本尊の鎌倉期 阿弥陀如来立像。そして同じく鎌倉期の十一面観音菩薩立像。



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本堂内陣


お目当ての聖観音菩薩立像は本堂向かって右手の一番奥にひっそりと佇まれています。
側へ近づかせていただき、そのお姿を目にした瞬間の感動は非常に大きなもので、その慈愛に満ちた本当に優しいお顔に吸い込まれるように魅入ってしまうのでした。



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内陣右手

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聖観音菩薩立像 町指定文化財 一木造り 平安時代中期 像高111.5cm


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美しく慈悲深いお顔

ご住職からは、立った状態での目線としゃがんだ状態からの目線では観音様のお顔が変わると教えていただき、立ったりしゃがんだりを繰り返しお顔の違いを確認。
ご住職が仰られるように、たしかに見上げるように拝するお顔は目尻が下がり、より優しいお顔に見えました。
非常に大きな耳も優しさを増す要因になっているような気がしますね


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仰ぎ見る尊容

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目尻が下がりより優しさを増す


衣紋の表現も大袈裟なものはなく、尊容に合った静かな表現で、足元に刻む翻波式衣紋も浅く穏やかなものでした。
腰のくびれも美しく非常に優美な方でいつまでも眺めていられます。
しかし、横からお姿を拝むと腰周りから太ももへかけての太さが際立ちます。
正面からでは細く柔らかに見えていた腰つきが、横からではさすが平安一木というどっしりとした量感を感じることが出来ます。



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柔らかな翻波式衣紋

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量感あるお尻から腿の太さ

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大好きな平安の髻


聖観音菩薩といえば、通常は右手を下げ、左手に蓮華を持つ姿が多く見受けられると思いますが、この方は逆手となっています。
修復の際に変わったのか、日光月光だったのか。分かんないけど。
腕部分は後補だということで、大きな後補もあってか町指定の文化財止まりだとか。
京都ではなく地方にいらっしゃれば町指定では有り得ないなぁと感じながらお姿を眺めるのでした。



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文化財看板




堂内には他にもたくさんの仏像が安置され、見所はたくさん。
お参りされる際にはぜひ時間を多めに見積もることをオススメします。
聖観音菩薩立像の横には美しい阿弥陀如来坐像に、幼さもありながら凛々しい大日如来坐像。
本堂左手には不動明王立像、不動明王坐像に役行者像。
更には薬師三尊に十二神将という目白押しぶり。
素人目には時代の選定は出来ませんが、平安や鎌倉の匂いも感じるような素敵佛であるように思いました。
諸仏に関してはまたいつか記事にしたいと思います。



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本堂左手 不動明王郡

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本堂左手 薬師三尊&十二神将




 

参考にさせて頂きました
西福寺 HP
井手町役場HP





遍照山 西福寺(さいふくじ)
京都府綴喜郡井手町大字井手小字柏原73
TEL : 0774-82-2427
宗派 : 真言宗智山派
御本尊 : 大日如来
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り









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この記事へのコメント

素敵な観音さん! - 桃 - 2022年02月12日 12:26:36

ご無沙汰しております。
お元気ですかー?

まんぼう明けて落ち着いてきたら京都に行きたいな…と考えていて… (子連れで💦)めちゃくちゃ参考にさせていただいています!

西福寺さん、駅近だし素敵な観音さんいらっしゃるし良いですね✨

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迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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