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奈良県・龍泉寺「圧巻の小像!珍しき拳印を結ぶ如来坐像の巻」

2016年の6月末、県指定文化財の如来坐像を拝観しに東吉野にある龍泉寺へお参りに行ってきました。
桜井市より国道166号線を南東伊勢方面へと進み、奈良県農協 東吉野支店を越えたあたりに龍泉寺の碑が見える脇道が出てくるので その坂道を登ってしばらくすると境内が見えてきます。



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野見観音堂


龍泉寺は1558年竜巌によって開基された曹洞宗のお寺で、天誅組志士の菩提寺として知られ境内には樹齢1500年ともいわれる岩松群像があります。
本尊は野見観音と呼ばれ、首から上の病にご利益があると信仰を集める聖観音菩薩。

今回拝観させていただくのは如来堂と呼ばれる収蔵庫に安置される平安前期の如来坐像で、小さなお像ながら非常に力を感じる方でした。



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如来堂

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如来坐像 県指定文化財 カヤ材 一木造り 平安時代初期 像高43.5cm


堂々とした量感で、胸板や身につけている袈裟の下からも感じ取ることが出来るはち切れんばかりの肉の圧というか、筋肉質な力強いエネルギーが発散されています。
収蔵庫の扉が開き目に入った瞬間に驚きの声を上げてしまう仏像好きはかなりの数に上るのではないでしょうか。

遠くを見つめるような瞳は鋭さも感じられ、男性的な強さはこの瞳からも感じられます。
”尊厳”という言葉が非常によく似合う尊像で約44cmという小像とは思えないようなエネルギーが随所に現れているように思いますね。



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柔軟で力強い肉の圧を感じる体幹


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遠くを見据えるような深い眼差しと 張りのある頬



正面から見ても側面から見ても、袈裟を押し上げるように膨れ上がる体躯で、その体躯から生まれる衣紋もしっかりと彫り込まれ、二の腕から肘にかけて、腿から膝周りを経て足首に巻き込んでいく流れは力強さもあり、そして全てが規則的ではなくところどころに見える乱れというかリアルさがまた美しい。

施無畏印をみせる右腕は後補となりますが、非常に珍しい拳印を結ぶ左手は当初のままで寺伝では釈迦如来と伝えられていますが、拳印から不空成就如来と考えられているそうです。






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表情豊かに流れる衣紋


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窮屈な角度に捻り握る左手首


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非常に珍しい拳印


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後補の右腕も元の像容に合う肉感たっぷりの腕


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眉から伸びる鼻筋の美しいライン



どの角度より拝しても美しさと力強さを感じ、感嘆のため息を漏らさずにはいられませんでした。
盛り上がる体の量感は岩のゴツさとは違う、ゴムのような弾力性を感じさせ、触れれば触れた指を弾き返すのではないか?と思えてしまう。
木であることを忘れさせるような柔軟性、弾力性を感じることが出来ました。

この方に会うために東吉野を訪れる-。
有りだと思います。
美しく力強く、堂々たる小像の如来坐像に是非ともお会いしに来ていただきたいですね。



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参考にさせて頂きました
東吉野村観光協会
奈良の寺社





瑞応山 龍泉寺(りゅうせんじ)
奈良県東吉野村鷲家256
TEL : 0746-42-0555
宗派 : 曹洞宗
御本尊 : 聖観音菩薩
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り









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仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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