京都府・阿弥陀寺「霊威あふれだす圧巻の薬師如来像の巻」

2015年10月、京都府城陽市の阿弥陀寺をお参りしてきました。(先の記事 法雲寺と同日)
このお寺には2体の文化財指定された仏様がお祀りされていて、1体は本堂に安置される御本尊 鎌倉時代 阿弥陀如来坐像。
もう1体は収蔵庫に安置された平安時代初期の薬師如来立像です。


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まず案内されたのは収蔵庫。
この阿弥陀寺はもとは地蔵院といい、専順和尚が真言宗の寺として創建。
江戸時代に浄土宗に改め、明治12年、付近にあった3寺と合併して現在の阿弥陀寺となったそうです。
そして、案内された収蔵庫にいらしゃる重要文化財に指定された薬師如来像は、すぐ近くの枇杷庄天満宮社 神宮寺薬師院の本尊として祀られていましたが、明治の神仏分離令により薬師院は廃寺となり、阿弥陀寺へ移されました。



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平安時代初期像 薬師如来立像。
像高は95.1cm。
1mに満たない像から発せられる圧力は小像とは思えないものがあります。
ヒノキ材より彫り出された檀像風の一木彫像で、内ぐりを施さず台座中央の蓮肉まで一木造り。
彩色のない素地像とする説や、僅かに残る衣紋部や唇などの色彩を当初のものと考え檀像風に造り上げた彩色像とする説があるそうです。


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薬師如来立像 重要文化財 ヒノキ材 一木造り 増高95.1cm 平安時代初期


体幹部の太さ、衣紋の彫り口の鋭さ深さは平安初期像を如実に思わせ、一木造りの圧力が波のように押し寄せます。
左腕の巻き込むように流れていく彫り込みや、腹部から脚部へのY字に刻まれる衣紋。
随所に刻み込まれるように見られる翻波式衣紋は本当に見事で、この衣紋表現だけで魅入ってしまう魅力を持っています。


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上腕から流れ落ちる、腹部からY字に流れる衣紋


そしてこの像を何よりも特別なものにしているのはその尊容でしょう。
非常に厳しい尊容で、もとは枇杷庄天満宮社 神宮寺の本尊であった、神仏習合佛であるという霊力がひと目で見て取れる怖さ。
奈良時代から平安初期に見られる、霊木からの一木造り像や、神仏習合像に見られる畏怖させる程の厳しい尊容で、吊り上がるように彫られた目筋は鋭く、吊り上り開く鼻翼などどれもが一級の異相に彫り上げられています。


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吊り上がる目、大きく膨らむ尾翼。 唇には彩色が残る


衣紋などの細部を細かく分けてみていくと、非常に繊細に丁寧に彫り込まれているのが分かるのですが、何故かそのどれもが特異で霊威的に見えてくるのが不思議。
何のことはない足先(後補?)ですらその肉厚な円を描く甲や指先にもみなぎる力が見えてくるのです。
飲み込まれるような圧力を持った本当に特異な薬師如来像でした。


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左側面の衣紋表現

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左側面の流れ落ちる衣紋

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右側面に見られる美しい翻派式衣紋

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掛かる衣の重みから弧を描く足の甲から指の美しさ

この素晴らしき薬師如来像をギリギリで拝する事が出来たご縁に感謝しかありません。
と言うのも、お参りさせて頂いたこの直後の11月に、この薬師如来立像は京都国立博物館へと寄託されました。
今後は阿弥陀寺での拝観は叶わず、京博での展示を待つ他ありません。





収蔵庫を後にした次は本堂にお祀りされたご本尊阿弥陀如来坐像を拝観させて頂きます。
鎌倉期の阿弥陀如来坐像。
どっしりと座したお姿は力強く、その胸板の厚さや精悍な顔つきは男性的で鎌倉期のリアリズムが非常によく表れています。
なのに繊細で柔らかな指先の美しさの対比がこの像の持つ魅力を何倍にも際立たさていると思います。



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本堂内陣

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阿弥陀如来坐像 市指定文化財 ヒノキ材 寄木造り 像高86.2cm 鎌倉時代


城陽市の解説によれば、運慶の嫡子 湛慶の作風に近く同時代の相当の実力を持った仏師の作であるとのこと。
凛々しく精悍な顔つきは湛慶工房の特徴か。


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遠くを見つめるような深い眼差しを持った尊容


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精悍な顔つき、堂々とした体躯とは対比的に柔らかで美しい指先



そして脇には膝周りの衣紋が美しく、鎌倉期にも見える(個人的に)十一面観音座像や、破損佛 上人像がいらっしゃいます。
十一面観音坐像は美しいなぁ。
いつの時代の像か明記されていませんでしたが、凛とした美しさはなかなかのもの。


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美しい十一面観音座像

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僧形の破損佛





参考にさせて頂きました
京都府観光協会
京都府観光ガイド




阿弥陀寺(あみだじ)
京都府城陽市枇杷庄大堀14
TEL : 0774-52-0421
宗派 : 浄土宗
御本尊 : 阿弥陀如来
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納





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仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる三十路街道を走る男の拝観日記。
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僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



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