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岡山県・勇山寺「力強くユーモアで可愛らしい 不動三尊像の巻」

昨年の11月5日、岡山県真庭郡にある勇山寺を訪れました。
この日巡った1日の速報記事はこちら

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真言宗高野山派の古刹。
創建は奈良時代726年(神0亀3年)、聖武天皇の勅願により行基菩薩によって開基されたといわれています。
六尺五寸の薬師如来を彫り七堂伽藍を創定。
815年(弘仁6年)に弘法大師がこの地を訪れ不動明王、矜羯羅童子、制吒迦童子を厄難除けのため一刀三礼の元に彫りあげ安置する。


本尊の薬師如来、不動明王と二童子像は国指定の重要文化財、本堂は真庭市の文化財に指定されています。

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この日はあいにくご住職は不在で檀家総代さんに対応いただきお目当ての不動三尊像を拝観させて頂きました。
ご本尊の薬師如来坐像は秘仏であり33年に1度の開扉、次回扉が開かれるのは平成45年となります。
肩幅広く逞しい、お写真からは太さを感じる方。
実際にお会いするとどんな印象を受けるのか、ご開帳が楽しみですね。


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勇山寺 由緒書きより



さて、今回拝観させて頂きました不動三尊像は、一目見てその特徴的なお顔に引きつけられずにはいられない、どこかユーモアであったり、真逆の怖さを感じたりもする非常に特徴的なお顔をされた三尊です。

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中尊 不動明王坐像は像高187cm、ヒノキ材の一木造りで彫眼。
お顔は天地眼であり牙上下出で平安時代後期の作と考えられる像との事ですが、体幹の厚さや怒り肩、堂々とした力強さは初期の匂いも感じられるように思いました。
眉間から巻き上げる様に渦を巻く頭髪の表現や、背筋を反り返るほどにしっかりと伸ばして胸を張る姿勢、本当に堂々とされた不動明王様でした。


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不動明王座像 国指定重要文化財 ヒノキ材 一木造り 像高187cm 平安時代後期


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牙を噛み下げ、深く刻まれた巻き毛から垂れ下げる弁髪


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堂々とした胸と、剣を握る力強い右腕





脇に立つ二尊像の数多の経験を積んできた感があふれる矜羯羅、制吒迦両童子のドヤ感。
もはや童子とは呼べないような貫禄があふれています。
どちらも不動明王像と同じく、ヒノキ材の一木造り。
像高は矜羯羅童子151.3cm、制吒迦童子144.3cm。
スッと立ち蓮の花を優しく持つ完全におばさんな制吒迦童子と、腰を捻り肘を内に入れやや窮屈な感じにも見える様に力強く立つおっさんな矜羯羅童子。
これほど引きつける矜羯羅、制吒迦両童子にはそうそう出会えませんね。


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矜羯羅童子 国指定重要文化財 ヒノキ材 一木造り 像高151.3cm 平安時代後期

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制吒迦童子 国指定重要文化財 ヒノキ材 一木造り 像高144.3cm 平安時代後期

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拝観後にはお茶菓子のおもてなしを受け、肌寒いこの日の朝にほっこりとした温かさを頂いて勇山寺を後にするのでした。
静かな静かな境内に他にないような尊容を見せて下さる不動三尊像を堪能しさせて頂きました。


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大寺山 勇山寺(いざやまじ)
岡山県真庭郡落合町鹿田482
TEL : 0867-52-0454
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 無し









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Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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