迦楼馬-カルマ-presents 佛旅Vol.4 in多摩仏像研究会 AMタイムテーブルの巻き
4月20日。
18日、19日と関西で猛威を振るった仏像LINK春の秘仏ツアーに仕事の事情で参加できなかった僕は、関東より来阪されツアーに参加された佛友さんと共に、滋賀県湖南方面へと後祭を楽しんできました!
今年の初めに、東京は多摩方面の仏像を巡る企画より誕生した多摩仏像研究会の第2回フィールドワークとして、湖南方面を巡る佛旅を企画させて頂き、我が見仏号タントがこの日も大活躍してまいりました。
8時半、南草津駅ロータリーに集合した一行は前回の佛旅同様、雨模様の空に不安を感じながら1ヶ寺目となる草津市志那町の橘堂(たちばなどう)へと向います。
橘堂に安置される三面六臂の観音像は、南都興福寺の僧定恵和和尚が天武天皇の勅願により北大萱(きたおおがや)に宝光寺を創建した際に、同時に建立されたそうです。
現在、吉田・白井両家により管理され15年に1度の秘仏となってはおりますが、拝観のお願いをすれば扉を開けて下さるようです。
小雨の中到着すると吉田さんがお堂の扉を開けて待って下さっており、早速 観音像を拝観させて頂きました。

後補の部分も多いとの事ですが、穏やかな尊容としなやかで優しい指先の美しさは見事でじっと見つめてしまい目線を外せない。
観音菩薩のスッと下げた視線の先に印を結んだ指先があり、その姿を見つめているとため息が漏れてしまうのです。
全体的に見るとほっそりとしているように感じたのですが、細部を見ていくと実は非常にふくよかで肉付きが良い方。
穏やかで美しく繊細な本当に素晴らしい観音菩薩像でした。


橘堂から車で15分、守山市の東門院(とうもんいん)へ。
通常は堂外からの拝観で堂内へ上げて頂くには団体のみとなっているようですが、今回はご住職に無理を聞いていただきお厨子の真ん前から拝する機会を得ることが出来ました。
東門院は、伝教大師最澄が比叡山延暦寺を開基した際、寺の東西南北にそれぞれ門を構えたうちの東門が始まりとされ、「比叡のお山を守る寺」で比叡山東門院守山寺。守山の地名の由来ともなっているそうです。

拝観させて頂いたご本尊十一面観音菩薩立像は、平安初期に琵琶湖の底から網で引き揚げられたといわれる像で、杉材による一木造りで檀像風の造形の方でした。
足元に施された衣紋表現はしつこいまでに密に彫られており、天衣の際にはギザギザとした文様となる彫り込みまで見られます。まるで飛鳥時代の金銅仏の装飾を思わせるような見事さで橘堂に続きまたしても大きなため息が漏れるのでした。
素朴なお顔は簡素でありながらも独特の風貌で、密に彫り込み一種異様なまでの存在感を感じる衣紋との対比がこの像から目が離せなくなる魅力なのかもしれません。


この時点ですでに予定の時間は大幅にオーバーしておりましたが、ご住職から通常は信者さんのみしか入ることが許されない護摩堂に、重要文化財に指定された不動明王坐像がいらっしゃるから お堂を開けてあげましょうというお言葉を頂き特別に見せて頂けることになりました!
近江一の大きさを誇り全国でも10体に入るとされる不動明王で一同はさらに興奮を高めるのでした。
大幅に遅刻しながら向かったのは野洲市にある佛性寺(ぶっしょうじ)。
かつては大伽藍を有する寺院だったそうですが信長の兵火により焼失したそうで、厄災を免れた阿弥陀如来坐像が収蔵庫には残されています。
丈六を超える像高281cmの見事なまでの阿弥陀如来像で国の重要文化財。
庫外より目に入った瞬間から鳥肌が立つほどの気品と迫力を持たれた方でした。
平安後期藤原時代の定朝様の気品と、来たる鎌倉の迫力が芽吹くような圧巻の阿弥陀様で、ここまで飲み込まれるような迫力ある阿弥陀如来座像には、なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。


また、本堂には市の文化財に指定された薬師如来坐像も。
この方はスタイリッシュで小顔のイケメン。
筋肉質で男性的な薬師如来坐像で、衣紋表現は簡易的であっさりとしています。
しかしお顔はじっくりと力強い尊様になるように彫り込まれているようで、仏師の方のこだわりがあったような気がしました。


続いて午前中最後の予定地は佛法寺(ぶっぽうじ)。
仏性寺から10分かからないほどの近在で共に巡られることをお勧めいたします。
こちらでは平安時代後期、一木造りの聖観音菩薩立像を拝観します。
非常に楽しみにしながら堂内へ上がらせて頂くと目に飛び込んできたのは大日如来坐像。
ふいに飛び込んできた智拳印に一瞬呼吸が止まる。
修復の手が多く入っており指定は市の文化財止まりですが、智拳印を結ぶ腕の力強さや趺坐する腿の量感はたっぷりで見上げるお姿は本当にカッコイイ!

目的の聖観音菩薩像は錫杖を持つ珍しい造形で、左足に重心を乗せ腰を突き出すような体のラインが丸くもあり力強くもある方。
腕など後補の部分もあろうかと思いますが一木の量感と力強さが溢れ出す聖観音菩薩像。
尊容は大きな鼻に厚い唇と線を引いた様な目元。
木目が現れ非常に優美でありながら土着臭さも感じれる地方佛でした。


押しに押しまくった結果、昼食を予定していたうどん屋さんへは寄れず。。。
食も楽しむカルマ’s佛旅が早くも挫折を迎えます(笑)
昼食を抜いて次の拝観予約を入れている湖南市の正福寺へと向かうのでした。

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18日、19日と関西で猛威を振るった仏像LINK春の秘仏ツアーに仕事の事情で参加できなかった僕は、関東より来阪されツアーに参加された佛友さんと共に、滋賀県湖南方面へと後祭を楽しんできました!
今年の初めに、東京は多摩方面の仏像を巡る企画より誕生した多摩仏像研究会の第2回フィールドワークとして、湖南方面を巡る佛旅を企画させて頂き、我が見仏号タントがこの日も大活躍してまいりました。
8時半、南草津駅ロータリーに集合した一行は前回の佛旅同様、雨模様の空に不安を感じながら1ヶ寺目となる草津市志那町の橘堂(たちばなどう)へと向います。
橘堂に安置される三面六臂の観音像は、南都興福寺の僧定恵和和尚が天武天皇の勅願により北大萱(きたおおがや)に宝光寺を創建した際に、同時に建立されたそうです。
現在、吉田・白井両家により管理され15年に1度の秘仏となってはおりますが、拝観のお願いをすれば扉を開けて下さるようです。
小雨の中到着すると吉田さんがお堂の扉を開けて待って下さっており、早速 観音像を拝観させて頂きました。

後補の部分も多いとの事ですが、穏やかな尊容としなやかで優しい指先の美しさは見事でじっと見つめてしまい目線を外せない。
観音菩薩のスッと下げた視線の先に印を結んだ指先があり、その姿を見つめているとため息が漏れてしまうのです。
全体的に見るとほっそりとしているように感じたのですが、細部を見ていくと実は非常にふくよかで肉付きが良い方。
穏やかで美しく繊細な本当に素晴らしい観音菩薩像でした。


橘堂から車で15分、守山市の東門院(とうもんいん)へ。
通常は堂外からの拝観で堂内へ上げて頂くには団体のみとなっているようですが、今回はご住職に無理を聞いていただきお厨子の真ん前から拝する機会を得ることが出来ました。
東門院は、伝教大師最澄が比叡山延暦寺を開基した際、寺の東西南北にそれぞれ門を構えたうちの東門が始まりとされ、「比叡のお山を守る寺」で比叡山東門院守山寺。守山の地名の由来ともなっているそうです。

拝観させて頂いたご本尊十一面観音菩薩立像は、平安初期に琵琶湖の底から網で引き揚げられたといわれる像で、杉材による一木造りで檀像風の造形の方でした。
足元に施された衣紋表現はしつこいまでに密に彫られており、天衣の際にはギザギザとした文様となる彫り込みまで見られます。まるで飛鳥時代の金銅仏の装飾を思わせるような見事さで橘堂に続きまたしても大きなため息が漏れるのでした。
素朴なお顔は簡素でありながらも独特の風貌で、密に彫り込み一種異様なまでの存在感を感じる衣紋との対比がこの像から目が離せなくなる魅力なのかもしれません。


この時点ですでに予定の時間は大幅にオーバーしておりましたが、ご住職から通常は信者さんのみしか入ることが許されない護摩堂に、重要文化財に指定された不動明王坐像がいらっしゃるから お堂を開けてあげましょうというお言葉を頂き特別に見せて頂けることになりました!
近江一の大きさを誇り全国でも10体に入るとされる不動明王で一同はさらに興奮を高めるのでした。
大幅に遅刻しながら向かったのは野洲市にある佛性寺(ぶっしょうじ)。
かつては大伽藍を有する寺院だったそうですが信長の兵火により焼失したそうで、厄災を免れた阿弥陀如来坐像が収蔵庫には残されています。
丈六を超える像高281cmの見事なまでの阿弥陀如来像で国の重要文化財。
庫外より目に入った瞬間から鳥肌が立つほどの気品と迫力を持たれた方でした。
平安後期藤原時代の定朝様の気品と、来たる鎌倉の迫力が芽吹くような圧巻の阿弥陀様で、ここまで飲み込まれるような迫力ある阿弥陀如来座像には、なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。


また、本堂には市の文化財に指定された薬師如来坐像も。
この方はスタイリッシュで小顔のイケメン。
筋肉質で男性的な薬師如来坐像で、衣紋表現は簡易的であっさりとしています。
しかしお顔はじっくりと力強い尊様になるように彫り込まれているようで、仏師の方のこだわりがあったような気がしました。


続いて午前中最後の予定地は佛法寺(ぶっぽうじ)。
仏性寺から10分かからないほどの近在で共に巡られることをお勧めいたします。
こちらでは平安時代後期、一木造りの聖観音菩薩立像を拝観します。
非常に楽しみにしながら堂内へ上がらせて頂くと目に飛び込んできたのは大日如来坐像。
ふいに飛び込んできた智拳印に一瞬呼吸が止まる。
修復の手が多く入っており指定は市の文化財止まりですが、智拳印を結ぶ腕の力強さや趺坐する腿の量感はたっぷりで見上げるお姿は本当にカッコイイ!

目的の聖観音菩薩像は錫杖を持つ珍しい造形で、左足に重心を乗せ腰を突き出すような体のラインが丸くもあり力強くもある方。
腕など後補の部分もあろうかと思いますが一木の量感と力強さが溢れ出す聖観音菩薩像。
尊容は大きな鼻に厚い唇と線を引いた様な目元。
木目が現れ非常に優美でありながら土着臭さも感じれる地方佛でした。


押しに押しまくった結果、昼食を予定していたうどん屋さんへは寄れず。。。
食も楽しむカルマ’s佛旅が早くも挫折を迎えます(笑)
昼食を抜いて次の拝観予約を入れている湖南市の正福寺へと向かうのでした。

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