福井県・谷田寺「素地造り!千手観音菩薩立像の魅力の巻き」

谷田寺。
721年、白山信仰の開祖・泰澄大師が熊野日吉金峰山の神託により一棟のお堂と千手観音菩薩立像及び脇仏を刻み安置したのが始まりだと伝わり、鎌倉期には頭塔十二坊を有する大寺として若狭国の第二の御願所として栄えたといわれています。
現在は平成6年(4年?谷田寺由緒書きにおいて4年、6年と違った記載有)に落慶された収蔵庫(本堂)に当時の興隆を思わせる多数の仏像を安置しています。


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ご本尊は千手観音立像。
平安様式を踏襲し刻まれたという鎌倉時代の寄木造り。
像高は179.4cm、カヤの寄木造りで彩色を施さない素地の檀像風です。
下半身の衣紋の造形が古様でありながらスタイリッシュで違和感の様なものを感じたのですが、平安時代の造形を模した鎌倉期の像ですよとご説明いただいて納得。



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千手観音菩薩立像 重要文化財 鎌倉時代 カヤ材 寄木造り 像高179.4cm

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木肌があらわである分、非常に柔らかで優しい印象を受ける。
合掌手、宝鉢手もふっくらとした指先で本当に穏やか。
膝下に広がる衣紋は美しくて見とれてしまいますね。
翻派式衣文ではありませんが(小波無し)刻まれる大波の流れる美しさはたまらないものがありました。
足の間に刻まれる渦紋表現もや裳のはためき折り目の感じも平安期を感じさせながら、髪筋の彫り込みや耳に掛かる雰囲気は鎌倉時代。
不思議でありながら凄く引き込まれる千手観音菩薩立像でした。


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脇侍の不動明王立像、毘沙門天立像も素晴らしい。
堂々の量感と見栄を切った不動明王像。
迫力ある天地眼と牙上下出から、量感があふれだす腹回りの肉感は見事でカッコイイ。
そのカッコ良さを感じさせるのはその姿勢であろうと思います。
左足を踏み出し腰を右に切る。
動きを感じさせる腰周りのたっぷりとした量感が下肢回り、腰から下の衣紋表現をより美しく見せているように思えます。
剣を握る右腕の力の入った曲げの角度は実際にやってみるとかなりキツイ角度。
この手首の1点に集約される力が不動明王たる力強さが溢れているように感じました。
美しく力強い見事な不動明王像です。


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不動明王立像 重要文化財 鎌倉時代 ヒノキ材 寄木造り 像高130.7cm


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量感たっぷりの腹回り


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実際にやってみるとかなりキツイ角度の手首



同じく見事な量感の毘沙門天像。
腰周りから太ももにかけての太さは物凄い圧力で、やはり鎌倉期よりは平安期のどっしり感が伝わってきます。
一本芯の通った重みのある造形で、そこへ鎌倉期のはためく様に腕から延びる衣のたなびき。
裾をぎゅっとと絞ってなお動きがあるのはカッコイイなぁ。
両にたわむ肉感的な頬の造形に中央に寄った目鼻立ちは特徴的で。
そして突き出したお腹に乗る獅子口のカッコ良さ!
ここまで腹回りや太ももの量感が見事であると気になるのはやはり邪鬼!
起き上がろうと足掻きながらも踏みしめられ、目玉を飛び出さんばかりに見せ場を作っているこの邪鬼は素晴らしい。


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毘沙門天立像 重要文化財 鎌倉時代 ヒノキ材 寄木造り 像高135.5cm

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豪快にはためく袖と圧巻の太ももに腹回り

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カッコ良すぎる獅子口

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懸命に支える左腕肩口の筋肉!表情もイイ



他にも市指定文化財である精悍な顔つきをされた木造大黒天像、気品ある阿弥陀如来坐像、そして堂内のぐるりを二十八部衆が取り囲んでおります。

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数多くの仏像を今に伝える谷田寺。
ご本尊を収めるお厨子や脇檀などは、かつての旧本堂の古材を使用し、また扉も以前の物を使用され往年の面影を残されています。


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普門山 谷田寺(たんだいじ)
福井県小浜市谷田部24-4
TEL : 0770-52-2874
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納










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仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる三十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



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