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奈良県「仏友と巡る奈良快慶仏尽しツアーの巻き②」

お昼にラーメンを食べてお腹を見たし、向かったのは大和郡山にある洞泉寺。
ここは快慶作と銘が発見されている訳ではなく、いわゆる伝快慶作という来迎阿弥陀三尊像がいらっしゃいます。


洞泉寺周辺は道が細く、一方通行が入り組み車で向かうにはやや不向きであるかもしれませんが、境内前には駐車場もあるので車での拝観も可能です。
周囲の混み合った雰囲気からはガラリと変わり境内は広々として非常に清潔感にあふれ空気が澄んでいるような気すらしてきます。
真新しい本堂へと上がらせて頂き今ツアーお目当ての阿弥陀三尊像を拝観させていただきました。

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きらびやかなお厨子に祀られた来迎の阿弥陀三尊像は伝快慶の形容に違わぬ美しさ。
実際には快慶作というよりは弟子筋の造形だろうと思われますが見事な造形です。
金泥の淡いほのかな金の色合いが衣文の波をより一層に美しく感じさせ、快慶の技法をしっかりと受け継いで昇華しているように感じます。
中尊 阿弥陀如来立像の体を覆う衣文のドレープの金泥の陰影は本当に美しく、それは脇侍 観音勢至の足元の衣紋にも共通します。
両菩薩像の体周りの衣の折り返しや天衣の垂れなどは凝っているものの衣文は簡略化されたようにも見れますが、三尊全体的に非常に整った美しさを見せ来迎しているふわりとした柔らかさが非常に良く表れているように思います。

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また、こちらは阿弥陀三尊像だけではありません。
みんなが喜ぶアフロ様がいらっしゃいます。
そう、五劫思惟阿弥陀像です。
大きな鼻にキュッと結んだ口元、見据えるような厳しい目線はまるでお局様の様。
しかし離れてじっと見ていると凄く優しい雰囲気に包まれた方のように見えてくるのです。

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また、今回洞泉寺を訪れて初めて出会ったお像があります。
洞泉寺には3度目の訪問なんですが以前にはいたのかな?その頃の僕は気にしなかっただけかもしれません。
お聞きするとなんでも天井裏から発見されたとかいう釈迦如来坐像で、両の手先は欠損しているもののキリッとした双眸から印象づける凛々しき表情と、線の数はすくなけれど深く彫り浅く彫るの強弱をつけた衣文表現に惹かれ個人的には大注目させて頂きました。
時代的には鎌倉時代以降だとは思うのですがご本尊の阿弥陀三尊像と時代を同じくするのかどうかは分かりません。
他にも多数の仏像が安置されていますので仏像好きには是非とも訪れて長い時間を過ごして頂きたい寺院です。

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過去の洞泉寺拝観記事



洞泉寺から車で15分、唐招提寺の奥ノ院とされる西方院へ訪れる。
こちらにも快慶作 三尺阿弥陀がお祀りされております。
収蔵庫となる本堂に安置される阿弥陀如来立像は墨書に法眼快慶の銘が見られ、快慶晩年の作と分かっています。
頭体のバランスや体躯の豊かさ、衣文の流れも自然でわざとらしさのない柔らかな美しさ。
表情も精悍さと柔らかさが混在し、快慶の年齢とリンクしているような気がしてきます。
この日一日快慶の仏像を見てきて感じたのは、快慶自身が若かりし頃の像物はその表情は溌剌で力強く、晩年になるに深みと柔らかさが加味されているように感じました。
時代を知って見ているからこそ時代認識の先入観でそう感じているだけなのかもしれませんが、非常に面白く感じながら拝観するのでした。

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過去の西方院拝観記事




そして醍醐寺展。
今ツアーのきっかけとなる奈良国立博物館で催されている特別展です。
京都 伏見の醍醐寺の名宝が大集結した展覧会で中でも個人的にもツアー的にも大注目なのは、現在 拝観が停止されている醍醐寺三宝院ご本尊 快慶作弥勒菩薩坐像がお出ましとなっている事です。
拝観が可能であった時でも堂外より望む形での拝観であったのが、今回はガラス等の仕切りもなく間近より拝観できる環境での展示とあって興奮の度合いがハンパじゃないです。
ご覧になられましたか?金泥に施された見事なまでの神々しさを。
照らされる灯りによって潤む慈悲深き双眸を。
密教の経典や儀軌は正直全然知識がなく無知ではございますが、この弥勒像から伝わる救いの眼差しと感じる尊容はどうでしょうか。
救いを求める衆生が仏教の経典を読んだでしょうか?教えを実践してきたのでしょうか?
おおよそほとんどの救いを求める人間は知らなかったはず。
そんな人をも経典なくして仏の尊さ、仏教の教えを伝えんとしたものが仏像であるならば、これ程までにその意味を成す仏像は他にはないのではと胸に込み上げる感動を押し鎮めながら考えるのでした。

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飲み込まれるような快慶 弥勒菩薩像の威光尊さに心を震わせながら、心より吐き出される安堵のため息を一つ。
この日一日の仏像拝観を終了し、ビストロ中華 へいぞうで打上げへとなだれ込むのでありました。
この日は、高級魚のどぐろが入荷しており、刺身に焼き身とねっとりとした脂の旨みと口中に広がる甘みを堪能させて頂きました。
鉄板のカルパッチョや蒸し餃子は言うまでもなく、見仏の締めはへいぞうさん!これ間違いないですね。
仏友さんと奈良の快慶仏を巡り、へいぞうさんで美味しい料理とお酒で酔いしれる。
これ以上の幸せがあったら教えて下さい(笑)
素晴らしき一日をありがとうございました。


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迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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