奈良県・法徳寺「法隆寺伝来の阿弥陀仏の巻き」

西光院で宿院仏師の地蔵菩薩を拝観して次に向かったのは法徳寺。
奈良まちにあり十輪院さんの隣りに位置する法徳寺は元興寺の別院として始まり、慶長10年(1659)に陪厳(ばいがん)上人が再興し融通念仏宗の寺院となったと伝えられます。


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お約束の時間に伺うと奥様にお堂を上げて頂き堂内へ。
ご自由に拝観くださいと庫裡の方へと戻られてしまいました。
こちらには毘沙門堂があり、中には多数の仏像が安置されているのですが今回はご住職御不在で拝観叶わず。
拝観にはご住職へ頼み込むか、掃除される歳の扉を開けている時に拝観可能だとか。
今回はご縁がありませんでした。
しかしながら本堂には平安後期の素晴らしい阿弥陀如来立像がいらっしゃいます。


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須弥壇上のお厨子に安置されるご本尊阿弥陀如来立像は平安後期の作とされ、江戸時代の作と考えられている台座には墨書が残され、この阿弥陀如来像が法隆寺伝来である事を伝えています。
穏やかな表情にゆったりとした体躯、下半身の薄く彫られた衣文表現は平安後期の特徴に見えますが、ふっくらとした豊満な頬の量感は初期に通じるようにも思え、全体的にはどっしりとした印象を持ちました。
表情が穏やかで豊満でまさに阿弥陀様といった慈愛に満ちています。
スーッと伸びる伏した目元と、三角に綺麗に盛り上がる鼻筋、綺麗に弧を描く眉など見事な比率で配されているようで尊い尊容です。
腹回りの衣紋は深く刻まれて如来腹。
そのままの量感でどっしりした太もも。
重く垂れた腕からの衣も量感たっぷりで造形の随所に大きさを感じます。
見事な阿弥陀様でじーーーっと吸い込まれてしまいました。


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阿弥陀如来立像 平安後期 ヒノキ材 寄木造り 像高95.7cm 奈良市指定文化財

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脇には鎌倉時代と思われる持国天像が。
木札には南北朝時代とあるけどそうなのかなぁ?
力強い表情に、衣は風になびき甲冑も細かに彫り込まれています。
南北朝ならもっとのっぺりしてる気がする。
素人目線では難しいなぁ。


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見事な踏まれっぷりを表す邪鬼像



五髻文殊は若く凛々しく厳しい表情。
幼き尊容ながら非常に厳しい表情をされていて鎌倉期の善派仏のような印象を受けましたが、衣は細かく密に連続する衣文線ではなくゆったりとした造形。
姿勢も崩した感じで、キッチリしっかりとした印象の文殊菩薩からは意外な感じでした。
僧形文殊なんかではゆったりとした姿勢を見た事があったかな。


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他にも面白い像が。
元のご本尊は丈六仏であったようで、その光背に彫られていた天人像が残されています。
藤原時代とのことで、現ご本尊と同時代かそれよりも若いのか。
この丈六仏を失い現ご本尊が法隆寺より移されたのかな?
お話を聞きたかったけどご住職はご不在で聞けず。
僕のない知識で想像するのでした。
で、この天人像ですが非常にユーモアな表情をしており大きな鼻に太い唇で二重に垂れる顎とかなりの量感。
これで天を舞えるのかと思ったほどの鈍重な印象の天人像でした。
珍しい表現の天人。さすがに天女とは言えなかったか(笑)


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またご本尊向かって右の脇には非常に興味深い如来坐像が2体。
地方仏的な尊容をされる大きな鼻を持たれた如来坐像。
釈迦如来なのか薬壺をなくされた薬師如来なのか。
衣文線も太く見事に流れていくようです。
しかし仏花が横たわっていて細かなところが見えにくい。。
致し方なし。
そしてその前には神像のごとく両の手を袖口へと隠した如来像が。
螺髪はおそらく元から無いと思われる造形でつるりとした表現。
簡易的な造形ではありますが非常に興味深い像でした。
ご住職がいらっしゃれば詳しいお話を聞きたかった!


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ご縁のなかった毘沙門堂、興味深い数多くの仏像と再訪するのに十分な楽しみを残した法徳寺でした。
次はご住職のご都合が合うときにお参りしたいですね。








光明山 法徳寺(ほうとくじ)
奈良県奈良市十輪院町23
TEL : 0742-22-3451
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 無し










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仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる三十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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