兵庫県・大國寺「1体で三如来を表す、一仏三身の如来像の巻き」
3時間ほど滞在した達身寺を後にし向かったのは車で40分ほどの場所、篠山市美間奥にある大國寺。
飛鳥の時代に空鉢仙人が国家安泰を祈願し、自作の薬師如来像を安置し開創したと伝わります。
播磨の国には空鉢仙人の伝承が多いですね。

本堂は室町時代の建立、唐様と和様の折衷で当時の最新技術であったそうです。
重要文化財に指定された本堂内には藤原時代作とされる、これも重要文化財に指定される仏像が5体安置されています。
格子戸の奥、内陣に安置された5体の平安仏はライトアップされ浮かび上がるように目の前に現れてきます。

ご本尊は「一仏三身」を表すといわれる薬師如来坐像。
頭上には宝冠を抱き、印相は阿弥陀定印。
そして定印を結ぶ手の平に薬壺を乗せています。
大國寺では薬師如来としてお祀りされていますが、文化財指定では大日如来。
非常に穏やかな静かな表情で、力を抜いたリラックスした状態に身をかまえ、見るともなく見ている表情で衆生が祈願するであろう外陣を眺めています。
一仏三身 薬師如来坐像


阿弥陀定印を結ぶその手は後補だそうで、全体から感じる穏やかで繊細な印象とは違った丸く太い指。
江戸期あたりの補修だそうでご住職もやや残念そうに尊容に合わなくてと仰っていました。
宝冠、光背、蓮華座は当時の藤原時代の物がそのまま残る非常に貴重な物で、宝冠には当時の文様がはっきりと見て取れます。


脇侍には中尊よりは一回り小さい阿弥陀如来座像と大日如来座像が。
阿弥陀如来像は背筋を伸ばししっかりとした目線で外陣に眼差しを向けます。
指はしなやかに花開くように印を結んでいらっしゃいます。
大日如来像はどっしりとたっぷりの量感を下半身に持つお方。
腹回りから太ももにかけての肉量が物凄いですね。
でっぷりとし過ぎやろ?!と思ってしまいます。
阿弥陀如来坐像


大日如来坐像

三尊とも非常に都仏の造形を見せますが、ご住職曰く、「都で造られたものが運び込まれたのではなく、実際のお堂を見て配置を計算し大きさ目線を考慮して造像されたと思います。仏師がこの地を訪れ、この地で彫られたと。」と、仰っておられました。
そして左右には持国天像、増長天像の二天が安置されています。
元々は境内に二天門があり、そちらに安置されていたとの事ですが現在は内陣にお祀りされ大迫力の造形で守護しております。
もう立ち姿が勇ましく見事!阿形像の持国天に吽形像の増長天、特に見事に感じたのは阿形の持国天像。
巻き上げてくる風をもろに感じさせてくれる衣のはためき、その迫力に負けない憤怒の相と迫りくる造形です。
増長天は腰に手を当てどっしりと構えます。
また、腹に彫り込まれる歯噛みバックルも素晴らしい。
技量溢れる細工という訳ではないですが武骨な彫り込みながら像容に非常に良く合った力強いバックル。
踏みつけられる邪鬼はこれでもかと踏みつけられ最早潰されております。
踏まれっぷりを披露する場を封じられ見せ場なし、と思いきや諦めた感で悲しみを表現しています。
素朴でプリミティブな2体の邪鬼が大人しくなってる様は素晴らしいですね。しかも2体なんですよ。
増長天像




持国天像




素晴らしい平安期藤原彫刻の仏像を堪能させて頂いた後に境内を散策。
境内には天満宮、大日堂、弁天堂など小さな社がありますが、通常こう言った社の扉は閉じられている事が殆どですが大國寺では全てご開帳。
お祀りされている各木彫像、石仏をじっくりと拝み、その愛らしさに心癒され大國寺を後にしました。
天満宮

神像

大日堂

大日如来像

弁天堂

八臂弁財天像

安泰山 大國寺(だいこくじ)
兵庫県篠山市美間奥162
TEL : 079-594-0212
拝観 : 8:00~17:00
拝観料 : 500円
駐車場 : 有り

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飛鳥の時代に空鉢仙人が国家安泰を祈願し、自作の薬師如来像を安置し開創したと伝わります。
播磨の国には空鉢仙人の伝承が多いですね。

本堂は室町時代の建立、唐様と和様の折衷で当時の最新技術であったそうです。
重要文化財に指定された本堂内には藤原時代作とされる、これも重要文化財に指定される仏像が5体安置されています。
格子戸の奥、内陣に安置された5体の平安仏はライトアップされ浮かび上がるように目の前に現れてきます。

ご本尊は「一仏三身」を表すといわれる薬師如来坐像。
頭上には宝冠を抱き、印相は阿弥陀定印。
そして定印を結ぶ手の平に薬壺を乗せています。
大國寺では薬師如来としてお祀りされていますが、文化財指定では大日如来。
非常に穏やかな静かな表情で、力を抜いたリラックスした状態に身をかまえ、見るともなく見ている表情で衆生が祈願するであろう外陣を眺めています。
一仏三身 薬師如来坐像


阿弥陀定印を結ぶその手は後補だそうで、全体から感じる穏やかで繊細な印象とは違った丸く太い指。
江戸期あたりの補修だそうでご住職もやや残念そうに尊容に合わなくてと仰っていました。
宝冠、光背、蓮華座は当時の藤原時代の物がそのまま残る非常に貴重な物で、宝冠には当時の文様がはっきりと見て取れます。


脇侍には中尊よりは一回り小さい阿弥陀如来座像と大日如来座像が。
阿弥陀如来像は背筋を伸ばししっかりとした目線で外陣に眼差しを向けます。
指はしなやかに花開くように印を結んでいらっしゃいます。
大日如来像はどっしりとたっぷりの量感を下半身に持つお方。
腹回りから太ももにかけての肉量が物凄いですね。
でっぷりとし過ぎやろ?!と思ってしまいます。
阿弥陀如来坐像


大日如来坐像

三尊とも非常に都仏の造形を見せますが、ご住職曰く、「都で造られたものが運び込まれたのではなく、実際のお堂を見て配置を計算し大きさ目線を考慮して造像されたと思います。仏師がこの地を訪れ、この地で彫られたと。」と、仰っておられました。
そして左右には持国天像、増長天像の二天が安置されています。
元々は境内に二天門があり、そちらに安置されていたとの事ですが現在は内陣にお祀りされ大迫力の造形で守護しております。
もう立ち姿が勇ましく見事!阿形像の持国天に吽形像の増長天、特に見事に感じたのは阿形の持国天像。
巻き上げてくる風をもろに感じさせてくれる衣のはためき、その迫力に負けない憤怒の相と迫りくる造形です。
増長天は腰に手を当てどっしりと構えます。
また、腹に彫り込まれる歯噛みバックルも素晴らしい。
技量溢れる細工という訳ではないですが武骨な彫り込みながら像容に非常に良く合った力強いバックル。
踏みつけられる邪鬼はこれでもかと踏みつけられ最早潰されております。
踏まれっぷりを披露する場を封じられ見せ場なし、と思いきや諦めた感で悲しみを表現しています。
素朴でプリミティブな2体の邪鬼が大人しくなってる様は素晴らしいですね。しかも2体なんですよ。
増長天像




持国天像




素晴らしい平安期藤原彫刻の仏像を堪能させて頂いた後に境内を散策。
境内には天満宮、大日堂、弁天堂など小さな社がありますが、通常こう言った社の扉は閉じられている事が殆どですが大國寺では全てご開帳。
お祀りされている各木彫像、石仏をじっくりと拝み、その愛らしさに心癒され大國寺を後にしました。
天満宮

神像

大日堂

大日如来像

弁天堂

八臂弁財天像

安泰山 大國寺(だいこくじ)
兵庫県篠山市美間奥162
TEL : 079-594-0212
拝観 : 8:00~17:00
拝観料 : 500円
駐車場 : 有り

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