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奈良県・慶田寺「ほほえみの観音菩薩の巻き」

慶田寺。
1470年海門興徳(かいもんこうとく)和尚の開基で芝村藩織田家の菩提寺として知られる曹洞宗の寺院です。
こちらを訪れたのは、客仏として納骨堂に安置される十一面観音菩薩立像を拝観するためでした。
ほほえみの観音様とも呼ばれる平安古仏で非常に美しい方。
雨の中での拝観となりましたが、奥様に非常に温かく迎え入れて頂き十一面観音とご対面してまいりました。


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本堂へ上がらせて頂き、内陣奥を通って納骨堂へ。
堂内右隅の方にお目当ての微笑む十一面観音像がスラリと立たれています。
スーーッと線を引いた様な細い目に大きな鼻と微笑む口元。
口元だけでなく目元からも微笑む表情が見えてきます。
異国的なお顔立ちにも見え、古仏のいい風合いを感じさせてくれますね。



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十一面観音立像 平安時代 ケヤキ材 一木造り 像高203cm


頭上の化仏や大きく結われた髻は磨滅が進み痛みが見て取れますが、髻の高さは見事で当時は壮観な頭頂上部だったんだろうなと思わせ、体部にも磨滅は見られますが足元には翻派式衣文、渦紋を刻み平安初期の見事な造形を見て取ることが出来ます。
個人的にはもう少し古い大安寺の天平時代一木造りの像に通じてくるような雰囲気も感じました。
大安寺像を大人しくしたようなそんな雰囲気を。素地の見えた状態、異国的な風貌、そんな感じなのが似てるのかなぁ。
元はこの像自体を木心とし、上に漆を重ねた乾漆像だったそうで、ひょっとすれば大安寺像の様な量感もあったのでは?なんて想像して見たりもします。
ともあれ、あたたかな微笑みをたたえた優しい十一面観音菩薩像は非常に美しくたたずまれていましたよ。



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納骨堂中央には鎌倉時代の阿弥陀如来座像が。
非常に凛々しいお顔をされ力強い。
138cmの座像という事で半丈六の大きさを誇り、なかなかに太い両の腕からも力強さがうかがえますね!
十一面観音像の陰に隠れてしまいがちですが、この阿弥陀像は見事な都仏ですね。
元はこの阿弥陀如来座像と十一面観音菩薩立像は近隣にあった広読寺のお像だそうで、明治期の廃仏毀釈により廃寺となったため、慶田寺へと移されたそうです。


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阿弥陀如来坐像 鎌倉時代 寄木造り 玉眼 像高138cm


他にも腕を後ろへと誤った修復?を受けたであろう不動明王立像も。
なんでこんなことになったんでしょうか?
腕が喪失してしまったが為に、他の破損仏で残された腕を形が合わないのを承知でも腕を付けてあげたいとの思いからの結果なのだろうか。


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本堂

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ご本尊は宿院仏師の十一面のような気がしないでもない。。
もっとはっきりと見てみたい。。。

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由緒書きより






慶田寺(けいでんじ)
奈良県桜井市大字芝753
TEL : 0744-42-6209
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り








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この記事へのコメント

- q(^-^q)いんどら! - 2014年10月17日 20:52:47

うわぁ! お不動さまがお気の毒です ちゃんと修復をさしあげたいです

- 迦楼馬-カルマ- - 2014年11月04日 19:52:25

>いんどらさん
お返事遅くなりまして。。。(^^;
本当にねぇ、関節を極められてねじられている様な。。。
直してあげて欲しいけど、簡単にはいかない事なんでしょうね。

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Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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