静岡県・願成就院「運慶の空間の巻き」
かんなみ仏の里美術館で大幅に時間を費やし、慌てて次の目的地へ。
願成就院。
言わずと知れた国宝仏・運慶作の仏像を安置するお寺です。
ひっそりと佇む境内に少し戸惑う。
国宝仏が安置され、しかもそれは運慶の作である。
奈良、京都といった仏教観光地ではないにしても、この静けさなんだ。
しかしそれは、運慶仏としっかりと向き合うことが出来る至福の時間を与えてくれました。


拝観受付を済ませ、早速堂内へと進む。
扉を開けた瞬間にもう思わず「おぉ~~っ!」感嘆の声をあげてしまいます。
写真では何度も見てきたあの運慶仏が目の前に美しく凛々しく厳しく現れるのですからたまったもんじゃありません。
遠目に見ても迫力が凄い。
どの像もパンパンにはち切れんばかりの量感で圧倒的でした。
大横綱、千代の富士や朝青龍の様なとてつもない筋量の上に薄っすらと肉を乗せた、そんな見事な量感。
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阿弥陀如来坐像の胸前で組む印相が破損してしまっているのは残念なのですが、何故かそこに美しさを感じてしまうのは日本人だからでしょうか。
衣文表現は平安後期の整然と美しく流れる表現とは全く違った、松の枝のように分かれて広がり複雑に絡み合うように刻まれます。
もうどこから見ても力強さが物凄くて、完全に男性的な空気を身にまとわれた阿弥陀様。
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阿弥陀如来坐像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 彫眼 像高143.5cm 国宝
非常に理知的で精悍な顔つきをされた毘沙門天立像。
顔の骨格、肉付き、視線、どれもが圧巻で生きているように思えてなりません。
完璧に役作りをしてきた役者さんが実際の甲冑を身にまとって立たれているような生きてる感、存在感が溢れ出てて見ているうちに迫力に飲み込まれていきます。
甲冑の下に眠る、パンパンにあふれた筋肉の肉感が甲冑越しに伝わる見事さで、戦国武将に愛されたいうのも分かるくらいの武将っぷり。
これほどの生命力は他の彫刻ではまず見れないんじゃないかな。
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毘沙門天立像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 玉眼 像高147cm 国宝
そして不動三尊なわけですよ。
完全に煩悩を焼き切り断ち切ってくれること間違いなしの大迫力の憤怒相で睨みを利かせています。
露出した肌からは毘沙門天にも負けない迫力の筋量を感じる。
筋肉の筋や陰影が付くように肉の盛り上がりなどが彫り込まれている訳ではないのに。
腕や胸、腹と体型はどちらかというと丸みを帯びてく彫られているのにだらしない体型ではなく、物凄い力強さを感じさせるのは姿勢と張りから感じるのか。
木彫だとは思えないような張りが素晴らしい肉感美と、これぞ忿怒相と言うべき怒りの表情と合わさって猛烈な恐ろしさ。
そんな恐ろしさもここまで突き抜けてくると めちゃくちゃ美しく見えるんだから不思議です。
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不動明王立像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 玉眼 像高136.5cm 国宝
制吒迦童子と矜羯羅童子の脇侍の対照的なたたずまいは面白い。
のんびりと穏やかにぼーっとしているような矜羯羅童子は少女なのか美少年なのか中世的な雰囲気をまとわれています。
不動明王と同じく丸みを帯びた体つきなんですが、こちらは柔らかさを感じるのです。
プニプニとした肉感で、触ってもいないのに触って知っているような気さえしてくるんだからそれ程リアルだという事なんだろうな。
それに引き換え制吒迦童子の腕白ぶり。
矜羯羅童子にはない力強さがあって動きも豊かで見ていて面白い。
運慶は全てに意味を持たせているのかな。
腕白さを表すのに肩を怒らせ、膝を伸ばしてしっかりと踏みしめた立ち姿に衣の裾を膝までまくりあげる。
衣文の彫り方までも腕白さが表れる様に決めているように感じます。
矜羯羅童子のなで肩、指のふくよかさ、風になびかずストンと落ちた衣は幼さや少女っぽさを感じさせるのに見事な表現だと思います。
矜羯羅童子像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 玉眼 像高78cm 国宝
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制吒迦童子像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 玉眼 像高82.6cm 国宝
仏像の前を何度も往復し、近づいて見たり離れて見たりとここでも予定をかなりオーバーして滞在してしまいました。
5体もの運慶仏を堪能し、また来よう、また来ようと鼻息荒くブツブツつぶやき次の目的地へと向かうのでした。
天守君山 願成就院(がんじょうじゅいん)
静岡県伊豆の国市寺家83-1
TEL : 055-949-7676
拝観 : 9:00~16:00(火・水定休)
拝観料 : 400円
駐車場 : 有り

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願成就院。
言わずと知れた国宝仏・運慶作の仏像を安置するお寺です。
ひっそりと佇む境内に少し戸惑う。
国宝仏が安置され、しかもそれは運慶の作である。
奈良、京都といった仏教観光地ではないにしても、この静けさなんだ。
しかしそれは、運慶仏としっかりと向き合うことが出来る至福の時間を与えてくれました。


拝観受付を済ませ、早速堂内へと進む。
扉を開けた瞬間にもう思わず「おぉ~~っ!」感嘆の声をあげてしまいます。
写真では何度も見てきたあの運慶仏が目の前に美しく凛々しく厳しく現れるのですからたまったもんじゃありません。
遠目に見ても迫力が凄い。
どの像もパンパンにはち切れんばかりの量感で圧倒的でした。
大横綱、千代の富士や朝青龍の様なとてつもない筋量の上に薄っすらと肉を乗せた、そんな見事な量感。
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阿弥陀如来坐像の胸前で組む印相が破損してしまっているのは残念なのですが、何故かそこに美しさを感じてしまうのは日本人だからでしょうか。
衣文表現は平安後期の整然と美しく流れる表現とは全く違った、松の枝のように分かれて広がり複雑に絡み合うように刻まれます。
もうどこから見ても力強さが物凄くて、完全に男性的な空気を身にまとわれた阿弥陀様。
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阿弥陀如来坐像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 彫眼 像高143.5cm 国宝
非常に理知的で精悍な顔つきをされた毘沙門天立像。
顔の骨格、肉付き、視線、どれもが圧巻で生きているように思えてなりません。
完璧に役作りをしてきた役者さんが実際の甲冑を身にまとって立たれているような生きてる感、存在感が溢れ出てて見ているうちに迫力に飲み込まれていきます。
甲冑の下に眠る、パンパンにあふれた筋肉の肉感が甲冑越しに伝わる見事さで、戦国武将に愛されたいうのも分かるくらいの武将っぷり。
これほどの生命力は他の彫刻ではまず見れないんじゃないかな。
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毘沙門天立像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 玉眼 像高147cm 国宝
そして不動三尊なわけですよ。
完全に煩悩を焼き切り断ち切ってくれること間違いなしの大迫力の憤怒相で睨みを利かせています。
露出した肌からは毘沙門天にも負けない迫力の筋量を感じる。
筋肉の筋や陰影が付くように肉の盛り上がりなどが彫り込まれている訳ではないのに。
腕や胸、腹と体型はどちらかというと丸みを帯びてく彫られているのにだらしない体型ではなく、物凄い力強さを感じさせるのは姿勢と張りから感じるのか。
木彫だとは思えないような張りが素晴らしい肉感美と、これぞ忿怒相と言うべき怒りの表情と合わさって猛烈な恐ろしさ。
そんな恐ろしさもここまで突き抜けてくると めちゃくちゃ美しく見えるんだから不思議です。
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不動明王立像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 玉眼 像高136.5cm 国宝
制吒迦童子と矜羯羅童子の脇侍の対照的なたたずまいは面白い。
のんびりと穏やかにぼーっとしているような矜羯羅童子は少女なのか美少年なのか中世的な雰囲気をまとわれています。
不動明王と同じく丸みを帯びた体つきなんですが、こちらは柔らかさを感じるのです。
プニプニとした肉感で、触ってもいないのに触って知っているような気さえしてくるんだからそれ程リアルだという事なんだろうな。
それに引き換え制吒迦童子の腕白ぶり。
矜羯羅童子にはない力強さがあって動きも豊かで見ていて面白い。
運慶は全てに意味を持たせているのかな。
腕白さを表すのに肩を怒らせ、膝を伸ばしてしっかりと踏みしめた立ち姿に衣の裾を膝までまくりあげる。
衣文の彫り方までも腕白さが表れる様に決めているように感じます。
矜羯羅童子のなで肩、指のふくよかさ、風になびかずストンと落ちた衣は幼さや少女っぽさを感じさせるのに見事な表現だと思います。
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矜羯羅童子像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 玉眼 像高78cm 国宝
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制吒迦童子像 鎌倉時代 運慶作 寄木造り 玉眼 像高82.6cm 国宝
仏像の前を何度も往復し、近づいて見たり離れて見たりとここでも予定をかなりオーバーして滞在してしまいました。
5体もの運慶仏を堪能し、また来よう、また来ようと鼻息荒くブツブツつぶやき次の目的地へと向かうのでした。
天守君山 願成就院(がんじょうじゅいん)
静岡県伊豆の国市寺家83-1
TEL : 055-949-7676
拝観 : 9:00~16:00(火・水定休)
拝観料 : 400円
駐車場 : 有り

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この記事へのコメント
ご連絡ありがとうございます。
記事中の写真は全て願成就院さんで購入したポストカードをスキャンした物なので、僕に著作権はないので。。(^^;
ご自由にされて良いかと思います。
記事中の写真は全て願成就院さんで購入したポストカードをスキャンした物なので、僕に著作権はないので。。(^^;
ご自由にされて良いかと思います。
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URL :
- 奈笠弘史 - 2016年12月02日 13:53:38
貴重な記事を拝読させていただき、ありがとうございます。
お願いがあるのですが、当記事中にあります「毘沙門天立像」の写真を当方のブログ内に紹介したく、「ひたすら仏像拝観(迦楼馬)より引用」としてでも借用させていただけますでしょうか。
お許しいただければ大変ありがたく存じます。