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茨城県・楽法寺(雨引観音)「妖しくたたずむ八臂の観音像の巻き」

6月28日土曜日。
前回の4月に引き続き仏像LINK様主催の秘仏ツアーへと参加してまいりました。
以前に速報記事でお伝えしたように、今回のツアー地は茨城県。
総勢40名を超えるバスツアーで各寺院を回りました。

まず最初に向かったのは板東三十三観音霊場第24番の札所となる楽法寺。
ご本尊は基本的に秘仏となっており、日頃は収蔵庫に安置されているそうですが、今年(2014年)は坂東三十三観音霊場の12年に1度の午年総開帳に合わせて、ご本尊は本堂(観音堂)へ戻られご開帳されています。

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この日は朝の集合時より小雨がパラパラと落ちる生憎の天気で、バス移動中にも大粒の雨が落ちてきたりもしましたが法楽寺へ到着した時には曇り空ながらも雨は上がり美しい境内を堪能してきました。

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雨露の残る境内は美しい。
緑が映えるし空気は澄むしお堂の朱も映える。
本当に綺麗な仁王門を堪能してお目当ての観音堂へ。

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やや薄暗い観音堂内へと歩を進めると厨子内に厳かに佇んでいる観音像が浮かび上がってきます。
脇には不動明王と毘沙門天!ロウソクの薄明かりに照らし出される密教感バリバリの空間は本当に痺れます。
多少のライトアップはあったように記憶していますが、印象はユラユラとゆらめく炎の灯りに浮かび上がる諸仏たちといったイメージが強く残っています。


観音菩薩立像(延命観音菩薩、通称雨引観音) 平安時代初期~中期 カヤ材の一木造 像高156.5cm 彩色像
ゆっくりとお厨子の前へと列をなして進んでいき間近より拝観させて頂く雨引観音は、お顔は丸くふっくらとされていて静かな優しいお顔のように思ったら、フッと厳しいお顔に変化されたりと何とも幻想的というか厳かな異世界に紛れ込んだような異質な空気を身にまとわれていました。
恐らくそれは、八臂の腕を持つオーラからくるものだったかもしれません。
左右4本ずつの腕を肩口から真下へと落とし、2本は肘をグッと曲げて上方へ。
残り2本はそのまま下方へと落とし、肘を支点に腕が上下する造形で、そしてなんといってもその左右の腕の隙間からうかがうことの出来る腰の異様なまでの細さに驚かされます。
この胴体部分に集約する異様さというか妖しさがこの像の魅力を強いものにしている気がしました。

また、一緒にツアーを巡らせて頂いた祇是未在(ただこれみざい)さんのソゾタケさんから、足元に彫りこまれた衣文表現の違いを教えて頂きじっくりと観察する。
仰られた通り、左右の膝下に刻まれる衣文の表現が違う事に気づきます。
翻派式衣文を刻んでいるのですが、その波のリズムが違う。
薄暗い中での観察なので、右足の翻派式衣文はあっ!ほんとだ!と確認できましたが、左足は翻派式衣文の様には見えませんでした。
右足はしっかりと翻派式衣文なのに対し、左足は大波のみ確認できました。
薄暗がりの中でもハッキリと違う衣文表現だと分かったのは、ソゾタケさんに教えて頂かなければ気づかなかったので、こういった多くの仏友と共に巡るツアーの醍醐味というか、面白さというか本当に勉強になります。
妖しすぎる観音堂内をぐるぐると何週も回って貴重な機会の雨引観音ご開帳を堪能し、次の目的地へと向かうのでした。



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雨引山 楽法寺(らくほうじ)
茨城県桜川市本木1
TEL : 0296-58-5009
拝観 : 本尊延命観音菩薩立像(雨引観音) 2014年1月1日〜12月31日ご開帳。通常秘仏。
拝観料 : 特別拝観料1000円
駐車場 : 有り(無料)









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迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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