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奈良県・大久保 観音堂「宿院仏師の不空羂索観音像の巻き」

凛々しい大日如来像に別れを告げて向かったのは橿原市大久保にあるという観音堂。
こちらには宿院仏師の作となる不空羂索観音がいらっしゃるそうですが、どちらの観音堂なのかが分からず迷いましたが、大窪寺跡に建つ国源寺さんにいらっしゃるということが分かり訪問してきました。

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どちらの観音堂にいらっしゃるのか分からなかったものですから、当然連絡先も分からず突撃の訪問になり、案の定お寺はお留守。
また、はっきりとこちらに不空羂索観音がいらっしゃるとも分からなかったので大胆な事も出来ずで諦めて帰ろうかと車に乗り込んだら、一人のおばさまがお帰りになり、話しかけたところお寺の方のご親類だそうで。
拝観に訪れた事情を話すと快くお堂へ招き入れて下さいました。非常にラッキー。

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お堂に通して頂き観音堂ご本尊 宿院仏師源次作の不空羂索観音を拝観させて頂きました。
ただ!お厨子には幕が。
尊容は見えずで下から覗き込んでは見るもののやっぱり見えず。
ご対応頂いたおばさまは本当に親切に見やすく、なんとか写真を撮りやすくとお厨子前の仏具なんかを動かして下さったりと試行錯誤して下さいました。
押しかけるような訪問だったのにもかかわらず親切にして頂いて感謝の気持ちでいっぱいです。

像容は漆箔に覆われた、宿院仏師の作では非常に珍しい。
また、ヒノキ材の寄木造りとなるものの、体躯部は一木から彫りだし、内刳りも施さない。
元々は素地であったそうですが後に漆箔が施されます。
しかし後補という考えではなく、不空羂索観音として不十分であろうと考えられおよそ100年の年月をかけて完成されたとみる見解も成立するだろうとの事です。
足元には漆箔の厚みでもったりとした感じでありますが翻派式衣文が確認されます。
やはり宿院仏師は平安時代の古式を取り入れることが多いようです。
写真でお顔や全体像を見ると、体全体の線は細いものの左右のバランスがよく、お顔もやや吊り目の宿院仏師の特徴が見て取れます。
思ってはいけないんだろうけど、金箔がおされていなければなぁと思ってしまう。

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また、堂内には県指定の文化財である上半身を裸形として合掌する幼児の時の姿をした「南無仏太子像」がいらっしゃいます。
ヒノキ材の寄木造りで彫眼、鎌倉時代後期の作で国内に現存する最古の南無太子像だそうです。
像高は77.4cmでお厨子に安置され合掌し強い眼差しで合掌手の先の空間を見つめています。
ふっくらとした頬に肉厚な二の腕と幼児体型を良く表した像であると思います。

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この日一日で巡ったお寺は千體寺(せんたいじ)→千万院→竹田神社大日堂→国源寺観音堂で、出会った宿院仏師の作は4体。
1つも拝観の予約や許可を頂けていない状態でしたが現地を訪れて見るものですね。
これからも宿院仏師の仏像を追いかけていきたいと思います。











国源寺 大久保観音堂
奈良県橿原市大久保町404
TEL : 0744-22-5015
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納







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Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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