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宮城県・仙台市博物館「奈良・国宝 室生寺の仏たち」

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仙台市博物館「奈良・国宝 室生寺の仏たち」。
7月4日より始まったこの室生寺展は”東日本大震災復興祈念特別展”と銘打たれた、室生寺の復興への心が詰まった特別展となっております。

室生寺は1998年に台風により杉の大木が倒れかかり、五重塔が大きな被害を受けます。
しかし、全国からの篤い支援によりわずか2年で復元され元の姿を取り戻しました。
自然災害により大きなダメージを受けても人々の温かい支援があれば、やがては必ず立ち直ることが出来る。
そのことを身を持って体験された室生寺からの東北への恩返し、復興支援がこの室生寺展です。
今回の特別展への出展により、室生寺金堂はご本尊の薬師如来立像を残しその全てが堂外へと出ました。(客仏除く)
また、金堂十一面観音菩薩立像と双璧をなす室生寺の代名詞仏 弥勒堂の釈迦如来坐像も出展されます。
現在の室生寺は”もぬけの殻”とまで表現する記事も目にするほどの状態にしてまでも、この特別展、東北復興への支援を決めた室生寺の心が詰まっています。
まさに”室生寺が東北に来た”と言うしかないほどの特別展です。

展示内容は入った途端にいきなり現れる釈迦如来坐像。
ガラス越しではありますが間近から平安初期彫刻の到達点ともいわれる像を見ることが出来ます。
鋭く彫りこまれ陰影が鮮やかに浮かび上がる翻派式衣文の美しさは圧倒的で、隙間ないほどに波打ちます。
通常堂内安置の際には正面よりしか拝することが出来ないこの像を真後ろは見れないにしても、後方より見ることが出来ます。
左斜め後ろより見る像の美しさは素晴らしく、肩より流れ落ちる衣の表現は圧倒的で、何よりも尊顔が美しい。
切れ長の目に通った鼻筋、キリッと結んだ口元はまさに土門拳が評した、”日本一の美男子”に相応しいお顔でした。

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第4室には立体曼荼羅の如く室生寺金堂の諸仏が一堂に展示されています。
十二神将像、十一面観音菩薩立像は360°拝観。
しかも十二神将像は奈良国立博物館に寄託された2体をも加えた12体全てが揃います。
その他、薬師如来立像、地蔵尾菩薩立像、文殊菩薩立像も真後ろには立てないまでも後姿もしっかりと拝むことが出来る配置。
金堂内では見ることが出来ない後姿や足元の衣表現がかぶりつくように見ることが出来ます。
手の届く位置に躍動感にあふれ、ありとあらゆる表情を見せる十二神将像が立ち並ぶのです。

お像が浮かび上がるように計算されたライティングがその尊容をより美しく、よりユーモラスに、よりエキサイティングに見せてくれます。
ライティングにより十二神将の躍動感あるポーズがさらに躍動感を増し、表情に生命力を与えます。
十一面観音のふくよかな頬のふくらみがより一層と優しさを含んだように量感を持ちます。
後ろへ回り見上げればそこには愛らしい暴悪大笑面が。
おおよそ堂内では見ることが叶わないお姿があちこちにといらっしゃいます。

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十二神将の各所に残る彩色を見止め、柔らかく美しく躍動するユーモアさえ感じるポージングを360°で見て回る。
勇猛であり、ニヒルであり、キュートであり、聡明であり、果敢である、あらゆる表情を見て回ることが出来る、生命力あふれた12体の神将像から生きる力と未来を感じ取れる気がしました。

金堂では見れない菩薩像、如来像の深く刻まれた足元の衣紋表現を確認して回る。
その量感ある肉付きを横から後ろから見て回る。
そして深く半眼に伏した慈悲深き瞳にこれ以上ないくらいの優しさを感じました。

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どの展示室を見てもとにかく凄い。多くの人に訪れてもらいたい。
そこには無意識のうちに手を合わせてしまう慈悲深い仏たちと、生き生きとした生命力の躍動を奮い立たせてくれる諸仏が所狭しと並んで知る。




仙台市博物館
東日本大震災復興祈念特別展「奈良・国宝 室生寺の仏たち」
会期 : 7月4日~8月24日
開館時間 : 午前9時~午後4時45分
休館日 : 月曜日
一般1400円
大学・高校生1100円
小・中学生700円










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Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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