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滋賀県・西明寺「穏やかなのか厳しいか?!心が映る薬師如来の巻き」

湖東三山同時開帳の最後を締めくくるお寺は西明寺。

寺伝によると、平安時代の承和元年834年に三修上人(慈勝上人)が琵琶湖の西方を歩いていると東の空に紫雲が現れまぶしい光が射すのを見ました。
瑞光と見た上人はその光明を目指して湖東の山中に分け入り一筋の光明を放つ池を見つけます。
その光明の意味を知りたいと一心に池に向かって祈念したところ、不思議な事に薬師如来の尊像が現れ、続いて日光菩薩、月光菩薩、そして十二神将が現れました。
この出来事を聞いた仁明天皇は、この地に勅願寺を立てることを命じ、薬師如来が放った光が仁明天皇がいらっしゃった京都の西の空を明るく照らしたという事から「西明寺」と名づけられました。

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境内には国宝に指定された本堂、三重塔が並び立ちます。
反り返る屋根のラインが美しくて本当に見惚れてしまいます。
僕が訪れた時は曇り空と雨天と2度の拝観共に天気には恵まれず、晴天に堂々とそびえるお堂の絶景は見れませんでしたがそれでもなおカッコイイですよね。
建築物ってカッコイイんですよね。ホントにカッコイイ。

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さて、今回ご開帳されたご本尊ですが藤原時代とされる薬師如来立像で、量感たっぷりの太い方です。
肩幅も広く腹回りに刻まれる衣文線も力強く美しい。
圧力の凄い薬師如来だなと感じたのですが、なぜか表情は凄く穏やかで大人しく優しいお顔をされているなと感じました。
帰って来てから特別販売の写真を見ると、表情も堂々とした威厳にあふれ怖いようなお顔をされているのに驚きました。
あれ?お堂で見た時とお顔が違う!とビックリしたんですよね。
お堂では本当に優しい穏やかな、平安後期の観音像の様な素朴さを持たれたお顔だなと思ったものですから。
出会い方や、出会った時の心もちでここまで心象が変わるんですね。仏像って不思議で素敵で素晴らしいです。
2度目の拝観でお参りした時は、威厳あるお顔だぞとの知識が入っていたのかしっかりと厳しく見えました(笑)
1度目の拝観と2度目の拝観で全く違った薬師如来様に縁を頂けたような不思議で特別な気持ちになりました。

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そしてこちらも金剛輪寺と同じく須弥壇上や裏手にも多数の仏像が安置され見どころがたくさんあります。
躍動感にあふれ表情が生き生きとした十二神将はカッコ良く、伝運慶の弟子というのもさもありなんって感じ(笑)
もう少しだけ明るいところで見たい。細部や奥に並ぶ方々が見えぬのだ。
さらには脇を固める二天像の素晴らしさ。
下半身が異常に太く動きも鈍そうなんですが風を受けて流れる前腕部の衣文は美しい。
他が固いからなおのこと柔らかく感じました。
裏手には不動三尊に阿弥陀三尊、清凉寺式釈迦如来。
阿弥陀三尊は伝快慶とのことでしたが、明らかに時代は下ると思うので弟子筋か。

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次見る機会があるのかどうか分からない薬師如来のお姿を最後に拝んでからお堂を後にしました。
これで湖東三山を後にするのかと思うと後ろ髪を引かれますが。
次に訪れるのはいつになるか。
冬の湖東三山を訪れたい。今年かな?来年かな?




龍應山 西明寺(さいみょうじ)
滋賀県犬上群甲良町池寺26
TEL : 0749-38-4008
拝観 : ご本尊は秘仏
駐車場 : 有り









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迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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