奈良県・講御堂寺「静かな阿弥陀三尊の巻き」
後ろ髪を引かれつつも大善寺を後にし次の目的地の講御堂寺へと向かいます。
交通量の多い交差点の奥にありますので見つけにくいかもしれません。
僕も少し迷いました。
さて、門をくぐり境内へ入るとそこは交差点の喧騒とは別世界のような静かな世界が広がっていました。
本当に綺麗に手入れされ枯葉一つ落ちていないと表現したくなるほどの美しさです。
こう言っては何ですが奈良の寺社の境内って結構...なんですよねぇ(^^;
京都の寺社の境内は手入れも行き届き綺麗だなぁと思うのですが。。。
なので奈良でこれほどまでに、隅にまで神経の行き届いた境内を見ると驚いてしまいます。


講御堂寺ですが鑑真和上坐像の里帰りを実現した森本孝順(きょうじゅん)長老が長年住職をしていた寺です。
唐招提寺長老の隠居寺となっているそうです。そう言えばお堂がどことなく唐招提寺っぽい。
さっそく奥様に対応いただきお堂に上がらせて頂きました。
静かなお堂の奥、幕の掛かったそのさらに奥にいらっしゃいましたよ阿弥陀三尊像が。

実は拝観のお願いの電話をした折、なんとなくですが違和感がありました。
拝観させて頂きたいと申し出たのですが意味が通じないような感じでした。
拝観とは?何をしに来られるの?そういった雰囲気が電話越しに伝わる。
これは信仰の仏様を拝観などとはもっての外だというお叱りを受けるのか?と正直ビビったんですが(笑)正直にお堂に上がらせて頂いて仏像を見せて頂きたいのですと伝えると、明日もう一度ご住職のいる時間に連絡を下さいと言われ明朝に再度連絡をしご住職から拝観の許可を頂きました。
そんな経緯もあってか少々ビビりながらお堂に上がらせて頂きました。
さて(笑)、奥様と少しお話をしてから近寄らせて頂くことは可能ですか?と尋ねると快くOKを頂き間近まで寄らせて頂いて外陣からは見えなかった脇侍までしっかりと確認させて頂きました。
こちらには県の文化財に指定されている平安期の阿弥陀三尊像とお前立阿弥陀がいらっしゃいます。
勢至菩薩像は室町期の像との事です。
阿弥陀如来坐像ですが本尊、お前立共に平安後期の定朝様を示す穏やかでゆったりとされた方です。
柔らかな衣文表現に静かなお顔。本当に静かなお顔をされています。
スーッと線を引いた切れ目からのぞく双眸。
穏やかですねぇ。暗く静かなお堂の奥、幕の掛かったその奥にいらっしゃる阿弥陀様。
しかし頭上からは明かりが照らされ美しくそのお姿が浮かび上がっています。

阿弥陀如来坐像 本尊 県指定文化財 平安時代後期 87.5cm 桧材 寄木造り
阿弥陀如来坐像 お前立 県指定文化財 平安時代後期 43cm 桧材 寄木造り


幕の奥を覗き込むように見ると脇侍の観音菩薩と勢至菩薩がいらっしゃいます。
衣文を浅く刻む勢至菩薩と衣文を簡略化された観音菩薩。
童子像のようなあどけない唇と目に優しい気持ちがあふれてきます。
素朴な地方仏の様相もあり素晴らしいです。

観音菩薩立像 県指定文化財 平安時代後期 66cm 桧材 一木造り

勢至菩薩立像 県指定文化財 室町期 73.5cm 桧材 寄木造り
奥様にこれほど素晴らしい境内ならお花の時期はなおの事素晴らしいでしょうねと尋ねると写真を撮りに来られたりする方がいらっしゃいますねと。
仏像の拝観に訪れる方はいらっしゃいませんか?と尋ねると驚いたことに記憶にないとの事。
お堂の外より覗き窓から見ていかれる方はおれど過去に一般の方でお堂に上がって拝観したことはないと仰られます。
あぁ~そういう事かと。予約の電話の際の違和感というか僕の目的が全く伝わらない様な雰囲気はこの為だったんですね。
団体で拝観に来られた時もお堂の外からだったとの事で、電話で厚かましくも・・・恥じらいもなく・・・お堂に上げてくれと失礼な事を言い切った僕に縁が巡りました(笑)
そしてまだ終わりません。
脇仏には室町期の地蔵菩薩半造がいらっしゃいます。
この方がまた美しいんです。
はっきりとした目鼻立ちで伏した目の影が美しい。
ほどよい色白の肌とその表情が素晴らしく合っていて美しさを際立たせます。
そしてこの美しい方が半跏像だというのがさらにその美しさ尊さを倍加させているように思います。
美しく残る文様と尊容に姿勢。
もう抜群ですね。
是非とも拝観して頂きたいお寺です。
奥様にもきっと仏像の拝観者が増えるはずだと、これほどの素晴らしい空間はそうそうないと思いますと伝えてお堂を後に。



満足感というか幸福感というか。
何とも言えない気持ちでお堂を出るとそこに広がる美しい境内にやっぱり素晴らしいぞと思わずにはいられない。
笑顔いっぱいで講御堂寺を後にする。




宝樹山 来迎院 講御堂寺(こうみどうじ)
奈良県五條市五條1-1-14
TEL : 0747-22-2630
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 無し
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交通量の多い交差点の奥にありますので見つけにくいかもしれません。
僕も少し迷いました。
さて、門をくぐり境内へ入るとそこは交差点の喧騒とは別世界のような静かな世界が広がっていました。
本当に綺麗に手入れされ枯葉一つ落ちていないと表現したくなるほどの美しさです。
こう言っては何ですが奈良の寺社の境内って結構...なんですよねぇ(^^;
京都の寺社の境内は手入れも行き届き綺麗だなぁと思うのですが。。。
なので奈良でこれほどまでに、隅にまで神経の行き届いた境内を見ると驚いてしまいます。


講御堂寺ですが鑑真和上坐像の里帰りを実現した森本孝順(きょうじゅん)長老が長年住職をしていた寺です。
唐招提寺長老の隠居寺となっているそうです。そう言えばお堂がどことなく唐招提寺っぽい。
さっそく奥様に対応いただきお堂に上がらせて頂きました。
静かなお堂の奥、幕の掛かったそのさらに奥にいらっしゃいましたよ阿弥陀三尊像が。

実は拝観のお願いの電話をした折、なんとなくですが違和感がありました。
拝観させて頂きたいと申し出たのですが意味が通じないような感じでした。
拝観とは?何をしに来られるの?そういった雰囲気が電話越しに伝わる。
これは信仰の仏様を拝観などとはもっての外だというお叱りを受けるのか?と正直ビビったんですが(笑)正直にお堂に上がらせて頂いて仏像を見せて頂きたいのですと伝えると、明日もう一度ご住職のいる時間に連絡を下さいと言われ明朝に再度連絡をしご住職から拝観の許可を頂きました。
そんな経緯もあってか少々ビビりながらお堂に上がらせて頂きました。
さて(笑)、奥様と少しお話をしてから近寄らせて頂くことは可能ですか?と尋ねると快くOKを頂き間近まで寄らせて頂いて外陣からは見えなかった脇侍までしっかりと確認させて頂きました。
こちらには県の文化財に指定されている平安期の阿弥陀三尊像とお前立阿弥陀がいらっしゃいます。
勢至菩薩像は室町期の像との事です。
阿弥陀如来坐像ですが本尊、お前立共に平安後期の定朝様を示す穏やかでゆったりとされた方です。
柔らかな衣文表現に静かなお顔。本当に静かなお顔をされています。
スーッと線を引いた切れ目からのぞく双眸。
穏やかですねぇ。暗く静かなお堂の奥、幕の掛かったその奥にいらっしゃる阿弥陀様。
しかし頭上からは明かりが照らされ美しくそのお姿が浮かび上がっています。

阿弥陀如来坐像 本尊 県指定文化財 平安時代後期 87.5cm 桧材 寄木造り
阿弥陀如来坐像 お前立 県指定文化財 平安時代後期 43cm 桧材 寄木造り


幕の奥を覗き込むように見ると脇侍の観音菩薩と勢至菩薩がいらっしゃいます。
衣文を浅く刻む勢至菩薩と衣文を簡略化された観音菩薩。
童子像のようなあどけない唇と目に優しい気持ちがあふれてきます。
素朴な地方仏の様相もあり素晴らしいです。

観音菩薩立像 県指定文化財 平安時代後期 66cm 桧材 一木造り

勢至菩薩立像 県指定文化財 室町期 73.5cm 桧材 寄木造り
奥様にこれほど素晴らしい境内ならお花の時期はなおの事素晴らしいでしょうねと尋ねると写真を撮りに来られたりする方がいらっしゃいますねと。
仏像の拝観に訪れる方はいらっしゃいませんか?と尋ねると驚いたことに記憶にないとの事。
お堂の外より覗き窓から見ていかれる方はおれど過去に一般の方でお堂に上がって拝観したことはないと仰られます。
あぁ~そういう事かと。予約の電話の際の違和感というか僕の目的が全く伝わらない様な雰囲気はこの為だったんですね。
団体で拝観に来られた時もお堂の外からだったとの事で、電話で厚かましくも・・・恥じらいもなく・・・お堂に上げてくれと失礼な事を言い切った僕に縁が巡りました(笑)
そしてまだ終わりません。
脇仏には室町期の地蔵菩薩半造がいらっしゃいます。
この方がまた美しいんです。
はっきりとした目鼻立ちで伏した目の影が美しい。
ほどよい色白の肌とその表情が素晴らしく合っていて美しさを際立たせます。
そしてこの美しい方が半跏像だというのがさらにその美しさ尊さを倍加させているように思います。
美しく残る文様と尊容に姿勢。
もう抜群ですね。
是非とも拝観して頂きたいお寺です。
奥様にもきっと仏像の拝観者が増えるはずだと、これほどの素晴らしい空間はそうそうないと思いますと伝えてお堂を後に。



満足感というか幸福感というか。
何とも言えない気持ちでお堂を出るとそこに広がる美しい境内にやっぱり素晴らしいぞと思わずにはいられない。
笑顔いっぱいで講御堂寺を後にする。




宝樹山 来迎院 講御堂寺(こうみどうじ)
奈良県五條市五條1-1-14
TEL : 0747-22-2630
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 無し
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この記事へのコメント
はじめましてQCマスターさん。
講御堂寺へ行かれたんですね!本当に綺麗なお寺ですよねぇ。
お堂内の雰囲気も凄く良くて。
御祖父様のお墓が裏手にあるんですね。
縁のあるお寺なんですね。
観音堂を建てられて名を刻まれているとは素晴らしい宮大工さんだったんですねえ。
橋本院さんへお参りしたくなります。
次に御所巡りをするときはお参りしたいと思います。
ブログも覗かせて頂きますね。
講御堂寺へ行かれたんですね!本当に綺麗なお寺ですよねぇ。
お堂内の雰囲気も凄く良くて。
御祖父様のお墓が裏手にあるんですね。
縁のあるお寺なんですね。
観音堂を建てられて名を刻まれているとは素晴らしい宮大工さんだったんですねえ。
橋本院さんへお参りしたくなります。
次に御所巡りをするときはお参りしたいと思います。
ブログも覗かせて頂きますね。
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五條市エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。
URL :
- QCマスター - 2014年05月26日 19:32:27
先週の土曜日に五條市の講御堂さんに行ってきました。 お堂の裏に祖父のお墓があります。 きれいなお寺さんですね。
私の祖父はもう50年くらい前に亡くなっていますが、宮大工をしており、御所市高天にある橋本院さんの観音堂をたて、その柱の台座に名前を刻んでいます。
橋本院さんにも土曜日に行ってきました。 ホントに静かでいいお寺です。
私もFC2ブログをやっています。 お時間ございましたら覗いてやってください。
「食品の品質管理一筋です」っていいます。
http://foodqcmaster87no.blog.fc2.com/