滋賀県・西野薬師堂

かつて西野の小字寺山に天台宗の泉明寺と称する寺があり延曆の初め頃(782~85)伝教大師がこの地を訪れ薬師如来、十一面観音、十二神将を刻みこの寺に安置したという。
また大友皇子の末裔・西野丹波守家澄が菩提寺として庇護したといわれる。
その後度重なる戦乱により荒廃し、永正15年(1518)2月には浅井氏の兵火にかかり堂宇は灰塵に帰した。
しかし仏像は村人達の手により救い出され、大正15年に国宝の指定を受け、制度の改正によって昭和25年に重要文化財の指定を受け今に至る。
現在は充満寺の所蔵として村人達に守られながら薬師堂に安置されています。

伝薬師如来立像。
像高159.4cm 欅材の一木造り。
両手先は後補となり阿弥陀如来のように来迎院を結んでいます。
後補であるため元々の尊容を伺い知ることは出来ませんが、古くから薬師如来として地域では信仰されてきた歴史から薬師如来として造像されてものと思います。
仏教伝来初期の頃は薬壺を持たない薬師如来が多い。
薬壺を持つ像容が彫られるようになったのは、不空訳「薬師如来念誦儀軌」の伝来以降だと考えられています。
この書に薬師如来は左手に薬壷、碗を乗せるとの記載があるそうです。
どっしりとした体躯でなで肩。
張りのある力強い印象を受けます。
太い腿やY字の衣紋線に平安の特徴が色濃く伺えます。
鼻筋が通り張った頬に男性的な薬師如来だと思います。

十一面観音菩薩立像。
像高166.7cm 檜材の一木造り。
薬師如来と同じく金箔の剥げ落ちた下地の漆材が見え赤褐色の風貌。
しかし造形は趣を異にし、肩は張り胸も厚く腹周りの量感も厚い艶かしい魅力をたたえます。
折り返す衣や両の股の間の禍紋に翻波式衣紋と美しく実に魅力的な方です。


見仏記を好きな方なら必ず写真に収めるであろう「こどもかいかだん」(笑)

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