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三重県・朝田寺「貞観彫刻の霊威に飲まれるの巻き」

2月18日。

初めての三重見仏としての一発目に選ばして頂いたのは朝田寺(ちょうでんじ)です。
こちらには平安前期作の地蔵菩薩立像がいらっしゃます。
平安前期の地蔵菩薩。ワクワクしますよね?この時代の地蔵菩薩像の中には、霊威というか妖異さというかをあらん限りに発散させる地蔵菩薩が何体かいらっしゃいますが こちらの地蔵菩薩像も間違いなくその中の1体であると思います。

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朝田寺縁起によるとこの地蔵菩薩像は空海作として伝わっているということで、ここで簡単にその縁起を紹介したいと思います。

この地に住まれていた練公長者(ねりぎみのちょうじゃ)は篤く地蔵菩薩を信仰していました。770年7月24日の暁、館の西を流れる川に五色の瑞雲が流れるのに気づき向かってみるとそこには流れをさかのぼる長さ九尺、径三尺の霊材が浮かんでいたと。これこそは地蔵菩薩が授けた霊材であると持ち帰り霊材にふさわしい仏師が現れるのを待つ。
 39年ののち現れたのは伊勢参宮のみぎり、朝熊山の雨宝童子に導びかれた空海でした。

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地蔵菩薩立像 重要文化財 像高169cm カヤ材 一木造り


さてその地蔵菩薩立像ですが須弥壇上の厨子内に安置されており、やや見上げる形での拝観ですがご住職のご厚意により台座を出して下さり目線の高さまで上り拝観することが出来ます。
ふっくらとした頬の量感に伏し目がちの双眸。異国的な顔立ちに見えます。大陸風ともまた違うような南方面のようなお顔立ちに感じました。非常に意志の強い表情をされていますね。
衣文表現は貞観仏らしい溢れ出るような太く美しい線を描きます。
体幹部から台座の蓮肉までを一材で彫りだした がっしりとした体躯に強い表情、溢れ出す衣文に見ているうちに飲まれていく自分がいました。
お出しいただいた台座の上に立ち拝観しましたが、ご住職の「台座の一番上まで上って見て頂いて結構ですよ」のありがたい言葉を遠慮してしまうほどでした。
とにかく目を合わせることが出来ません。恐れ多くてとても見つめることが出来ずに一段下から、時折 地蔵菩薩から目線を外しながら見させていただきました。
いや~~物凄い霊威を感じてしまいました。

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朝田寺HPより


本堂右手の方には老朽化の進んでしまった観音堂や弥勒堂といったお堂に祀られていた仏像群が集まっています。
鎌倉期の本尊模刻像はなかなか良く似ていらっしゃり出開帳の際にお出かけになるそうです。
その他にも多数の破損仏が安置されていらっしゃいますが、どの方も想いを感じさせる仏像です。
後補の頭部が無造作に取り付けられ少し痛々しいお姿ではあるのですが、どのようなお姿になられてもそこには信仰があったんだなという香りを感じることが出来ました。グッとくるものがありましたね。

造形的にも体のラインがS字を描くほどに捻っているなぁと感じた聖観音菩薩や、右足を踏み出している感というよりも歩き出していると思えるほどの足の動きを見せている十一面観音菩薩など見どころはたくさんありました。


朝田寺のお堂で特異に感じるのは天井より衣服が吊るされている事です。
このお寺には、道明け供養という珍しい風習があるそうで、お葬式が終わった後に遺族の方が故人の衣服を奉納するそうです。その衣服が本堂に吊るされている(掛衣)そうで、新盆にお参りにいらした際に亡き人の衣類をさがし霊を慰め燃やすそうです。


拝観終わりにご住職からこの後はどこへ行かれるのですか?と聞かれたので田宮寺の初観音へ行く予定ですと答えると、それならば近くの近長谷寺や普賢寺へも行かれるといいと仰って頂いたのですが、予約を取れていないのでと僕。
するとご住職が連絡を入れといてあげると普賢寺へ連絡を入れて下さり拝観の手筈を整えて頂きました。
近長谷寺はこの日は観音会をしているはずなので拝観できるだろうと思っていたのですが普賢寺へは拝観時間の目途が立ってはいなかったので予約を入れることが出来ていなかったんです。
まさかのご住職のご厚意により仏像好きがそっちへ行くよ~と連絡を入れて下さって普賢寺の拝観を確約して頂きました。
素晴らしい縁に恵まれ次の目的地へと向かいました。


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光福山 圓明院朝田寺(あさだじ)
三重県松阪市朝田町427
TEL : 0598-51-8661
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り


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仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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