滋賀県 ・ 大津歴史博物館「新発見!新知恩院の木造釈迦涅槃像の巻き」

2月19日。

前日の三重見仏の熱も冷めやらぬうちに先日発表のあった木造釈迦涅槃像を見るため、滋賀県大津の歴史博物館へ行ってきました。
2月8日から3月16日まで一般公開されています。

目的の涅槃像は展示室1Fにいらっしゃいました、しかも入ってすぐのところに。
展示台の中、ガラス越しの拝観です。
上から覗き込むようにじっくりと細部まで見てきました。
まずは今回の速報展の説明書きをまとめていこうと思います。


『大津市伊香立下在地町に所在する新知恩院は、京都の知恩院が応仁の乱の時に疎開してできたという浄土宗寺院で、疎開時にもたらされたとされる知恩院ゆかりの宝物や、その後に整備されたものも含め、数々の宝物が伝来しています。大津歴史博物館では、1212年に入滅した法然上人の没後800年を記念し、2012年から市内の浄土宗寺院の宝物調査を進めてきました。そのなかで、今回、新知恩院において鎌倉時代に遡る「木造釈迦涅槃像」を確認しました。』

本像の特徴として7つの特徴が挙げられていました。
まず第1に木造の涅槃像であること。
絵画の涅槃図は全国に伝わっているものの、木彫の涅槃像は全国的に例が少なく、重要文化財に指定されているのは奈良県・岡寺像、香川県・観音寺像、広島県・照源寺像の3件、現存数で言えば30~50例ほどしかないそうです。

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特徴2、体長わずか12.8cm。
現存する他の涅槃像は180cmほどの等身大か、半分の3尺像がほとんどで本像のような小像は他に見られない。
頭から踵まで白檀の一木造りで手先、足先に別材を剥いでいます。

特徴3、胸部に推奨をはめ込む。
胸部を彫りこみ金泥を施しさらに胸の形に造った水晶を嵌めています。
この表現は「大般涅槃経後分」に出てくる、釈迦の涅槃時に体から光が発せられたという様子を表していると思われるとの事。 もしくはこの胸部の中に舎利を納入していたと推測する向きもあるそうです。
旨を水晶で表す例は他では知られず極めて珍しい例です。

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特徴4、右手の姿勢が古様。
本像は右手を曲げてやや頭部の方に近づいていますが、これも他の涅槃像にはほとんど見られないものだそうです。この構え方は大津市・石山寺に伝来する涅槃図などの鎌倉時代の古例の涅槃図に見られる姿勢です。
他の像は右手を頭の下に持っていき枕状にするもので鎌倉時代後半から見られるもの。
このことから、本像は鎌倉時代も早いころに流行した古い図像をもとに造像されたと考えられます。


特徴5、快慶工房の作風に近い。
顔の輪郭や少し目じりをあげた理知的な表情、そして衣文の運び方など鎌倉初期の仏師・快慶の作例に近いとの事。
ただし本像はあまりに小さいため、快慶の作と断定するには少し難しいものがあるそうです。

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特徴6、寺院よりも古い。
本像が伝来したのは15世紀ですから、本像は寺阿よりも古いことになります。
新知恩院は知恩院からの疎開でできた寺院である為、知恩院からもたらされた可能性が考えられる。
13世紀の前半は天台浄土教や法然教団が活動を活発にしていた時期であり、快慶工房がこれらの教団の造像を多く手掛けていたことも知られています。

特徴7、現状ではポータブル仕様になっている。
本像は現状で寝台の中に納められるようになって、最終的には袋に入れた上に桐箱に収納されています。
簡易に持ち運びが可能になっており、普段はそのような形状で保管されていたと考えられます。
像本体以外は後の物であり鎌倉期の造像当初からの仕様かは不明ですが興味深い形状である。
本像には背面に小さな穴があり、寝台に取り付けたことがある事を示唆しています。

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また展示室では奈良県・光林寺の快慶 阿弥陀如来立像と造形比較しており非常に見ごたえがありました。
仏師の癖が出るといわれる耳の比較写真や、衣文の流れ、顔の表情と比較写真が並べられ、快慶作との類似点を確認できるように展示されていました。

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他に拝観者はほとんどいなかったので独占するように購入した研究紀要の説明書きを読みながら造形を追い、じっくりたっぷりと見てきました。
3月16日までの展示ですのでみなさんお早目に!


参考
奈良県・光林寺拝観の際の当ブログ記事

奈良県 ・ 光林寺 「深遠なる快慶阿弥陀の巻」








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仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる三十路街道を走る男の拝観日記。
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僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



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