大阪府・常安寺「大阪泉州の平安佛!優しく美しい天部像の巻き」
大阪泉州と言えば、仏像好きの方なら真っ先に貝塚市 孝恩寺を思い浮かべるのではないでしょうか。
収蔵庫には数多くの平安前期の仏像が安置され、その情景にただただ圧倒されることでしょう。
1月の終わり、孝恩寺を訪れたいという佛友さんと泉州の仏像を巡る佛旅をしてまいりました。
泉州のいくつかのお寺を巡ってきたそのなかで、非常に心にグッときた仏像を紹介したいと思います。

堺市 常安寺
堺市常安寺。
浄土宗知恩院に属し、本尊は慈覚大師作とされる旧白庭庵(はくていあん)のご本尊であった阿弥陀如来立像が祀られています。
当初は心光山観音寺と呼ばれ頭塔8坊を持つ大伽藍であったそうですが、その後衰退し本坊観音寺と塔頭白庭庵を残すのみとなります。
慶長12年(1607)、観音寺と白庭庵を合わせて一寺を建て、融誉浄圓大徳(ゆうよじょうえんだいとく)を中興開山として次号を常安寺としました。
お堂は幾度の戦禍により焼失しましたが、現在のお堂は昭和61(1986)に再建されました。

文化財案内板
さて、仏像の紹介をしてまいりましょう!
何と言っても常安寺でお会いするべきは観音堂にいらっしゃる梵天像。
大阪府の指定文化財となっており、指定名は「梵天」ですが信仰的には古くから観音像として祈られてきました。
唐服を身に着け腹前で帯を結ぶ。
横から見るとお腹にボリュームがあり、この像様から腹帯観音様として信仰を集めたそうです。

観音堂内
ご住職がお亡くなりになられてからは拝観を断られているそうですが、この日はご縁を頂く事ができ、お姿を拝む事が出来ました。
”平安の天部像”その響きだけでワクワクしてしまうお像ですが、お姿を目にするとその高揚は間違いではなく、非常に美しい天部像(観音像)に出会えたご縁に感謝しました。

梵天像 大阪府指定文化財 一木造り カヤ材 平安時代 像高 109.2cm
造形的に衣紋や細かな装飾は簡略化され、ズシリと重みも感じる像様ですが、全体的に見ると柔らかな印象を感じます。
口元や目元には微笑みを浮かべているように見え、腹回りの量感と笑みを浮かべた表情から、子宝の観音様と信仰を集めるのもうなずける尊さがありますね。
少し離れてお姿を拝むと、美しいんですよ。
慈悲深いんですよ。
本当に良いお顔をされていていつまでも見ていられる。
眉から鼻筋へのラインも美しくて正面からも横からも素晴らしい。
少し近づくと、慈悲だけではない厳しさもその目元から感ずるように思います。
簡単に、甘い事だけでは子を育てる事はできないよと厳しさもみせているような。
観音像の笑みには妖力ともいうような怖さと美しさが同居したような不可思議な魅力を感じることがありますが、この像もそのような魅力を出すお像でした。

衣紋線はほとんどなく、簡略化された唐服を纏う

肩口や腹回りにかけての量感

膨れた腹に帯を巻く、梵天というよりは吉祥天像の様にも感じる

目元口元、笑みを浮かべているようですが、どこか怖さも持つような魅力的な尊容
美しい怖さという非常に魅力的な”妖しさ”を持つ平安時代の天部像。
今回巡った泉州佛の中でも、孝恩寺の別格感を除いてはイチオシとなる平安佛でした。
スーッと流れる眉から鼻筋への稜線と結ぶ唇。
見る角度によって表情を変える笑み浮かべる視線と刺すような視線。
本当に素敵なお像でおススメです。
本当に素敵な平安の天部像をご紹介させて頂きましたが、どこのお寺でもそうですが、お参りする際は必ずご本尊にも手を合わせてお参りしましょう。
常安寺ご本尊は鎌倉時代の府指定文化財 阿弥陀如来立像です。
鎌倉も中後期になるであろうか、安阿弥様を示すと思えた阿弥陀如来像で、この方を拝まずに常安寺を後にするのは勿体ない。
堺市の紹介を見ると、造像は当時流行の慶派ではなく他派の様式の造形だとのこと。
素人の僕には胸元の造形などから安阿弥様だと感じましたが、別様式なのかな?
お顔は慶派ではないような気はしましたが。
いろいろな考察を踏まえてみるのも面白いですね。
仏像好きな方は平安の天部像に夢中で鎌倉の阿弥陀様を忘れそうですが、必ずお参りして帰って欲しいです。
梵天像には見られなかった美しい衣紋線がうかがえます。
造形の美しさに視点を合わせるのも仏像拝観の楽しみですよね。
流れるような衣紋の美しさにも注目してお参りを♪

本堂内陣

阿弥陀如来立像 大阪府指定文化財 寄せ木造り 鎌倉時代 像高79.7cm
泉州には本当にたくさんの平安佛、鎌倉佛がいらっしゃいます。
ということは文化財指定はなくとも、室町、江戸期の素敵佛と出会える可能性も高いと思うんですよね。
このあたりも”ひたぶつ”では逃したくない。
拝観するに比較的簡単なお寺から、なかなかにご縁の難しいお寺もありますが、少しずつ泉州佛も巡れたらと思うのでした。
心光山観音院 常安寺(じょうあんじ)
大阪府堺市堺区熊野町東5-1-12
TEL : 072-222-1387
宗派 : 浄土宗
御本尊 : 阿弥陀如来
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 :

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収蔵庫には数多くの平安前期の仏像が安置され、その情景にただただ圧倒されることでしょう。
1月の終わり、孝恩寺を訪れたいという佛友さんと泉州の仏像を巡る佛旅をしてまいりました。
泉州のいくつかのお寺を巡ってきたそのなかで、非常に心にグッときた仏像を紹介したいと思います。

堺市 常安寺
堺市常安寺。
浄土宗知恩院に属し、本尊は慈覚大師作とされる旧白庭庵(はくていあん)のご本尊であった阿弥陀如来立像が祀られています。
当初は心光山観音寺と呼ばれ頭塔8坊を持つ大伽藍であったそうですが、その後衰退し本坊観音寺と塔頭白庭庵を残すのみとなります。
慶長12年(1607)、観音寺と白庭庵を合わせて一寺を建て、融誉浄圓大徳(ゆうよじょうえんだいとく)を中興開山として次号を常安寺としました。
お堂は幾度の戦禍により焼失しましたが、現在のお堂は昭和61(1986)に再建されました。

文化財案内板
さて、仏像の紹介をしてまいりましょう!
何と言っても常安寺でお会いするべきは観音堂にいらっしゃる梵天像。
大阪府の指定文化財となっており、指定名は「梵天」ですが信仰的には古くから観音像として祈られてきました。
唐服を身に着け腹前で帯を結ぶ。
横から見るとお腹にボリュームがあり、この像様から腹帯観音様として信仰を集めたそうです。

観音堂内
ご住職がお亡くなりになられてからは拝観を断られているそうですが、この日はご縁を頂く事ができ、お姿を拝む事が出来ました。
”平安の天部像”その響きだけでワクワクしてしまうお像ですが、お姿を目にするとその高揚は間違いではなく、非常に美しい天部像(観音像)に出会えたご縁に感謝しました。

梵天像 大阪府指定文化財 一木造り カヤ材 平安時代 像高 109.2cm
造形的に衣紋や細かな装飾は簡略化され、ズシリと重みも感じる像様ですが、全体的に見ると柔らかな印象を感じます。
口元や目元には微笑みを浮かべているように見え、腹回りの量感と笑みを浮かべた表情から、子宝の観音様と信仰を集めるのもうなずける尊さがありますね。
少し離れてお姿を拝むと、美しいんですよ。
慈悲深いんですよ。
本当に良いお顔をされていていつまでも見ていられる。
眉から鼻筋へのラインも美しくて正面からも横からも素晴らしい。
少し近づくと、慈悲だけではない厳しさもその目元から感ずるように思います。
簡単に、甘い事だけでは子を育てる事はできないよと厳しさもみせているような。
観音像の笑みには妖力ともいうような怖さと美しさが同居したような不可思議な魅力を感じることがありますが、この像もそのような魅力を出すお像でした。

衣紋線はほとんどなく、簡略化された唐服を纏う

肩口や腹回りにかけての量感

膨れた腹に帯を巻く、梵天というよりは吉祥天像の様にも感じる

目元口元、笑みを浮かべているようですが、どこか怖さも持つような魅力的な尊容
美しい怖さという非常に魅力的な”妖しさ”を持つ平安時代の天部像。
今回巡った泉州佛の中でも、孝恩寺の別格感を除いてはイチオシとなる平安佛でした。
スーッと流れる眉から鼻筋への稜線と結ぶ唇。
見る角度によって表情を変える笑み浮かべる視線と刺すような視線。
本当に素敵なお像でおススメです。
本当に素敵な平安の天部像をご紹介させて頂きましたが、どこのお寺でもそうですが、お参りする際は必ずご本尊にも手を合わせてお参りしましょう。
常安寺ご本尊は鎌倉時代の府指定文化財 阿弥陀如来立像です。
鎌倉も中後期になるであろうか、安阿弥様を示すと思えた阿弥陀如来像で、この方を拝まずに常安寺を後にするのは勿体ない。
堺市の紹介を見ると、造像は当時流行の慶派ではなく他派の様式の造形だとのこと。
素人の僕には胸元の造形などから安阿弥様だと感じましたが、別様式なのかな?
お顔は慶派ではないような気はしましたが。
いろいろな考察を踏まえてみるのも面白いですね。
仏像好きな方は平安の天部像に夢中で鎌倉の阿弥陀様を忘れそうですが、必ずお参りして帰って欲しいです。
梵天像には見られなかった美しい衣紋線がうかがえます。
造形の美しさに視点を合わせるのも仏像拝観の楽しみですよね。
流れるような衣紋の美しさにも注目してお参りを♪

本堂内陣

阿弥陀如来立像 大阪府指定文化財 寄せ木造り 鎌倉時代 像高79.7cm
泉州には本当にたくさんの平安佛、鎌倉佛がいらっしゃいます。
ということは文化財指定はなくとも、室町、江戸期の素敵佛と出会える可能性も高いと思うんですよね。
このあたりも”ひたぶつ”では逃したくない。
拝観するに比較的簡単なお寺から、なかなかにご縁の難しいお寺もありますが、少しずつ泉州佛も巡れたらと思うのでした。
心光山観音院 常安寺(じょうあんじ)
大阪府堺市堺区熊野町東5-1-12
TEL : 072-222-1387
宗派 : 浄土宗
御本尊 : 阿弥陀如来
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
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