第24会 地方仏佛像研究会 南熊本ツアー速報の巻き

さて!行って参りました南熊本佛ツアー!
3月14日、15日の2日間にわたり巡る、地方仏像研究会の第24回ツアーに参加させて頂きまして南熊本で守られ、お祀りされている数多くの仏像を拝する機会を得ることが出来ました。
非常に充実した2日間の南熊本の仏像ツアーをダイジェスト的に紹介したいと思います!


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14日、朝の9時に阿蘇熊本空港へと集合し、総勢15名の地方仏像研究会のメンバーはツアーバスへと乗り込み今ツアーの1ヶ寺目となる荒田観音堂へと向かいます。
球麿郡錦町、荒田公民館の脇に立つ荒田観音堂は地域のみなさんによってお守りされたお堂です。
拝観させて頂いたのは県の文化財に指定された釈迦如来坐像。
藤原時代の優美な方でカツラ財の一木造り。
伏し目がちで鼻筋の通った非常に美しいお釈迦様でした。


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中尊に祀られているのは聖観音菩薩坐像でしょうか。
後補の金箔の落剥や剥ぎ目の浮つき等 痛々しさもありますが、高い髻と力強い眼差しのなかなかに興味深い方でした。


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また、敷地内には薬師堂もあり薬師如来立像と天部立像が安置。
素朴で薄い衣紋のお薬師様。
体の厚みが非常に薄い方で頭部はやや大きめか。
隣りに立つ天部像はひしゃげたような造形でユーモア。


そしてこの荒田観音堂では驚くべきお接待を受けました。
村のお母さん方が集まり来たる僕たちへと心尽したおもてなし。
おふくろの味と言えるような野菜たっぷりのお惣菜を用意していてくれたのです。
この後、昼食へと向かうのにもかかわらずお箸が進む。
バスが見えなくなるまで手を振ってくれるみなさまに手を振りかえし、次へと向かうのでした。


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昼食へと向かったのは松の泉酒造。
熊本といえば焼酎。
焼酎蔵を見学させて頂き、ワクワクの試飲タイム。
お酒好きが集まる地佛研でありますからみんなゴクゴク。
美味しい焼酎を飲み昼食 ヒレカツとたご汁定食を頂きました。


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お腹がはち切れそうになりながら向かったのは中山観音堂。
お腹が苦しく動けねーという気持ちを吹き飛ばすどころではない物凄い空間が迎えてくれました。
到着した時には既に開かれていたお堂の扉。
歩を進めるにつれ見えてくる堂内の雰囲気に息を飲みました。


淡い灯りに照らされ浮かび上がるように現れた十一面観音菩薩立像の存在感は僕らの心を簡単に鷲掴みします。
脇に並ぶ四天王像も後補の彩色に彩られていますが、量感たっぷりの堂々とされた方たちで、心の底から漏れるため息が震えてしまうほどに興奮してしまいました。


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続く城泉寺では鎌倉期の阿弥陀三尊像を拝観。
慶派の造像であると考えられる見事な三尊像で、特に脇侍の勢至菩薩像が素晴らしいです。
尊容が抜群に素晴らしく生命力に溢れていました。
観音菩薩も素晴らしいですが勢至菩薩の素晴らしさは頭一つ抜けているんじゃないかな。
ただ、観音菩薩の髪の造形は面白く、流れや結んだ表現など見どころ多し。


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青蓮寺でも阿弥陀三尊像を拝観します。
同じく鎌倉期ですがこちらの方は院派仏。
院玄によって造像された阿弥陀三尊像は、僕が抱いていた伏し目がちで深く静かな気高さのあるような、というのが院派のイメージとしてありましたが、この方は慶派仏に近しいような生命感が溢れるような方でした。
足の指には銀の装飾が施され、造像に際して先鋭的な物を取り入れようとされた事が伺えより院派のイメージとは違ったものを楽しませて頂きました。


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お姿は役場HPで



次に向かったのは青蓮寺と同じく多良木町の栖山観音堂。
ご本尊は2mを超える大きな千手観音菩薩立像ですが修復に出られていましてご不在。
今回拝観させて頂いたのは平安期の毘沙門天像2体と持国天立像。
後補の彩色が施されていますが平安期ならではの固く重い力強さを感じ取ることが出来る天部像でした。
また、お写真ではありますが修復過程のご本尊を見る事も出来ました。
天部像と同じく後補の彩色をまとわれた方でしたが、その彩色が剥され現れ出たお姿は非常に惹きつける魅力を持たれた尊容でした。
11月頃にお戻りになるという事なので再訪したいなぁ。


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阿蘇釈迦堂。
紫のカーテンに囲まれた妖しげな雰囲気漂う堂内に安置されているのは釈迦三尊像&持国天、多聞天の二天像。
そして非常にコミカルな薬師&十二神将像でした。
平安後期の釈迦三尊像は非常に力強く、口元の口角をキュッとさげる共通の尊容をされていました。
向かって右脇にいらっしゃる薬師&十二神将像の可愛さよ。
非常にコミカルでトイストーリーばりに人の目が届いていないときは動き回ってんじゃないの?と思えてくる萌え佛でした。


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初日最後にお参りしたのは荒茂毘沙門堂。
前日に重要文化財へと答申されたばかり。
このタイミングでお参りできる貴重な瞬間でした。
今回はご本尊を含め3体の毘沙門天像が重要文化財に答申され中尊 毘沙門天立像はいらっしゃいますが脇に祀られていた毘沙門天像は修復にお出かけ。
しかしです!ここの右脇にいらっしゃる吉祥天像が凄い。
右腕から太く流れ落ちる衣文がたまらなく、足元に刻まれる衣文も特徴的で非常に非常に注目に値する方でした。


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ここからこの日宿泊させていただく「さがら温泉茶湯里」へ。
ナトリウム炭酸水素温泉でじっくりと体を温め癒し、夜の宴会へと雪崩れこむのでした。
食は美味いはお酒は美味いはでもう大変でございました。



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2日目と続く。。。

福井県・谷田部薬師堂「多様な表情を見せてくれた垂れ目の薬師の巻き」

谷田寺から徒歩10~15分ほどの場所に若宮八幡神社があり、この八幡宮の北側同じ境内に平安後期の薬師如来坐像を安置する薬師堂が次の目的地となる谷田部薬師堂です。

お堂というよりは村の集会所といった雰囲気の薬師堂へと上がると目に飛び込んでくるのは目尻の下がった、やや窮屈な感じで施無畏印と薬壺を持つ薬師如来坐像でした。


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無題

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目尻の下がったそのお顔は見る角度によって与える印象をどんどんと変えていきます。
正面から見る、側面から見る、近くで見る、離れて見る、下から仰ぎ見る。
優しいお顔になったり、垂れ目なのに堂々とした男らしい表情にも見えたり、厳しくも見えたりするんだから不思議です。
おおよそ多くの仏像は見る角度に行って灯りのあたり具合によって表情を変えると思いますが、そこまで変えそうにない様に思えるこの薬師如来の変化に少し驚きました。
その時の心境なども影響すると思いますので、他の方が僕と同じように変化を感じるかは分かりませんが(そこがまた面白い、そして表情を語りながらお顔の写真が少ない...)。


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薬師如来坐像 県指定文化財 平安時代後期 マキ材 寄木造り 像高142cm

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全体的な造形は定朝様でありながらゆったりというよりは少し窮屈な雰囲気がしました。
脇をしっかりと締めて右手肘の角度も鋭角な気が。
窮屈にグッとしてるなぁと思いだすと、薬壺を持つ手や薬壺自体もどっしりとした印象が出てくるから面白くなります。
最初に持った印象にどんどん引っ張られて全体像や細部の印象まで第一印象にならったイメージになっていく。


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説明文を読むとどうやら脚部は後補ではないかとのこと。
というのも、上半身の定朝様の衣紋表現とは異にしたゴツゴツとした彫り口が見られることから後補ではないかとかんがえられるそうです。
上半身に対して脚部は大きいなぁとは思いましたが僕には彫り口の印象までは全然わかりませんでした(笑)
後々に写真を見なおしてみると密に流れる上半身の衣紋と、間隔が広く衣文の山も太い下半身が見て取れこの辺りの違いが”彫り口の硬さ”ということなのかと思いました。


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ご本尊の左右には不動明王&毘沙門天の天台脇侍が。
直立の固い動きではありますが可愛らしく堂々。
こういったメインには上らない、見過ごされがちな脇仏が結構熱かったりしますよね。
前の谷田寺 阿弥陀如来坐像もかなり惹かれましたが、ここの毘沙門天像もかなり好きです。
素晴らしい薬師如来坐像とニヤリとさせる不動明王&毘沙門天像をじっくりと堪能させて頂き次の目的地へと移るのでした。


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谷田部薬師堂(たにたべやくしどう)
福井県小浜市谷田部42
TEL : 0770-53-1111(小浜市文化課)
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 無し










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福井県・谷田寺「素地造り!千手観音菩薩立像の魅力の巻き」

谷田寺。
721年、白山信仰の開祖・泰澄大師が熊野日吉金峰山の神託により一棟のお堂と千手観音菩薩立像及び脇仏を刻み安置したのが始まりだと伝わり、鎌倉期には頭塔十二坊を有する大寺として若狭国の第二の御願所として栄えたといわれています。
現在は平成6年(4年?谷田寺由緒書きにおいて4年、6年と違った記載有)に落慶された収蔵庫(本堂)に当時の興隆を思わせる多数の仏像を安置しています。


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ご本尊は千手観音立像。
平安様式を踏襲し刻まれたという鎌倉時代の寄木造り。
像高は179.4cm、カヤの寄木造りで彩色を施さない素地の檀像風です。
下半身の衣紋の造形が古様でありながらスタイリッシュで違和感の様なものを感じたのですが、平安時代の造形を模した鎌倉期の像ですよとご説明いただいて納得。



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千手観音菩薩立像 重要文化財 鎌倉時代 カヤ材 寄木造り 像高179.4cm

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木肌があらわである分、非常に柔らかで優しい印象を受ける。
合掌手、宝鉢手もふっくらとした指先で本当に穏やか。
膝下に広がる衣紋は美しくて見とれてしまいますね。
翻派式衣文ではありませんが(小波無し)刻まれる大波の流れる美しさはたまらないものがありました。
足の間に刻まれる渦紋表現もや裳のはためき折り目の感じも平安期を感じさせながら、髪筋の彫り込みや耳に掛かる雰囲気は鎌倉時代。
不思議でありながら凄く引き込まれる千手観音菩薩立像でした。


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脇侍の不動明王立像、毘沙門天立像も素晴らしい。
堂々の量感と見栄を切った不動明王像。
迫力ある天地眼と牙上下出から、量感があふれだす腹回りの肉感は見事でカッコイイ。
そのカッコ良さを感じさせるのはその姿勢であろうと思います。
左足を踏み出し腰を右に切る。
動きを感じさせる腰周りのたっぷりとした量感が下肢回り、腰から下の衣紋表現をより美しく見せているように思えます。
剣を握る右腕の力の入った曲げの角度は実際にやってみるとかなりキツイ角度。
この手首の1点に集約される力が不動明王たる力強さが溢れているように感じました。
美しく力強い見事な不動明王像です。


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不動明王立像 重要文化財 鎌倉時代 ヒノキ材 寄木造り 像高130.7cm


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量感たっぷりの腹回り


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実際にやってみるとかなりキツイ角度の手首



同じく見事な量感の毘沙門天像。
腰周りから太ももにかけての太さは物凄い圧力で、やはり鎌倉期よりは平安期のどっしり感が伝わってきます。
一本芯の通った重みのある造形で、そこへ鎌倉期のはためく様に腕から延びる衣のたなびき。
裾をぎゅっとと絞ってなお動きがあるのはカッコイイなぁ。
両にたわむ肉感的な頬の造形に中央に寄った目鼻立ちは特徴的で。
そして突き出したお腹に乗る獅子口のカッコ良さ!
ここまで腹回りや太ももの量感が見事であると気になるのはやはり邪鬼!
起き上がろうと足掻きながらも踏みしめられ、目玉を飛び出さんばかりに見せ場を作っているこの邪鬼は素晴らしい。


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毘沙門天立像 重要文化財 鎌倉時代 ヒノキ材 寄木造り 像高135.5cm

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豪快にはためく袖と圧巻の太ももに腹回り

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カッコ良すぎる獅子口

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懸命に支える左腕肩口の筋肉!表情もイイ



他にも市指定文化財である精悍な顔つきをされた木造大黒天像、気品ある阿弥陀如来坐像、そして堂内のぐるりを二十八部衆が取り囲んでおります。

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数多くの仏像を今に伝える谷田寺。
ご本尊を収めるお厨子や脇檀などは、かつての旧本堂の古材を使用し、また扉も以前の物を使用され往年の面影を残されています。


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普門山 谷田寺(たんだいじ)
福井県小浜市谷田部24-4
TEL : 0770-52-2874
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納










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福井県・馬居寺「煩悩喰らい尽くす馬頭観音の巻」

この年の秘仏めぐりで最も注目された秘仏が馬居寺のご本尊である馬頭観音菩薩坐像。
24年ごとの午年に本開帳される(中間の午年に中開帳あり)若狭を代表する秘仏です。

9月に訪れた仏像LINKツアーでは落雷による電気系統のトラブルにより、ご本尊 馬頭観音像が安置された収蔵庫は蝋燭の灯りでの拝観となり、10月に訪れたみょうこうさん解説ツアーでは電気トラブルも改善されLEDの輝きの元で拝観させていただきました。
異なる環境下でこの馬頭観音像を拝する機会を得ることが出来たのは非常にラッキーだったと思います。
見にくいというほど暗くはありませんが、やはり蝋燭の灯りで照らし出される秘仏は艶めかしい。
また、現代の電気環境下で拝する馬頭観音像は彫りの細部や像の奥行きをじっくりと見ることが出来ました。


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収蔵

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馬頭観音菩薩坐像 重要文化財 平安時代後期 一木割剥ぎ造り 像高100.3cm

なで肩でありながらも猛々しい印象を受ける馬頭観音菩薩像で、中山寺の洗練された美しさと力強さ、生命力を兼ね備えた美術的に完璧なまでの馬頭観音像とは異なり、武骨で禍々しさがあるような、まさに全ての煩悩を食らい尽くすという様なオーラを発散しまくるゴツゴツの馬頭観音像でした。
茶褐色の光沢が忿怒の相と良く合って迫力はどんどんと増しています。
書籍当の評価では穏やかな造形でとの表現が見られたりもしますが、僕個人の想いは凄い迫力だと感じました。
中山寺 馬頭観音像と馬居寺 馬頭観音像を続けて拝観し見比べるという贅沢すぎる時間を堪能させて頂きました。




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庫裡

ご本尊を堪能した後に庫裡へと向かいます。
こちらには平安中後期の弁財天像が拝観することが出来ます。
そして堂内には衝撃のお写真が。。。
ご本尊 馬頭観音像は昭和55年に美術院で修復を受けたのですが、その修復前のお姿の写真が飾られていました。
そのお姿たるや!
後世の分厚い彩色にまみれた漫画チックな馬頭観音像のお姿が笑いを誘うように。。。(失礼!)
秘仏にお参りだ!お厨子の扉が開く!出てきたのがこのお像であったなら拝観者はズッコケるよ(笑)
見事な修復で馬頭観音たる威厳を取り戻されたお姿は見る者の心をより強く惹きつけて離さないことでしょう。
「馬居寺 馬頭観音 修復」で画像検索かけてみましょう!(笑)





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本堂

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本光山 馬居寺(まごじ)
福井県大飯郡高浜町馬居寺3-1
TEL : 0770-72-1264
拝観 : ご本尊秘仏









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プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる三十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

リアルタイムな仏像拝観速報はTwitterにて!
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