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奈良県「仏友と巡る奈良快慶仏尽しツアーの巻き②」

お昼にラーメンを食べてお腹を見たし、向かったのは大和郡山にある洞泉寺。
ここは快慶作と銘が発見されている訳ではなく、いわゆる伝快慶作という来迎阿弥陀三尊像がいらっしゃいます。


洞泉寺周辺は道が細く、一方通行が入り組み車で向かうにはやや不向きであるかもしれませんが、境内前には駐車場もあるので車での拝観も可能です。
周囲の混み合った雰囲気からはガラリと変わり境内は広々として非常に清潔感にあふれ空気が澄んでいるような気すらしてきます。
真新しい本堂へと上がらせて頂き今ツアーお目当ての阿弥陀三尊像を拝観させていただきました。

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きらびやかなお厨子に祀られた来迎の阿弥陀三尊像は伝快慶の形容に違わぬ美しさ。
実際には快慶作というよりは弟子筋の造形だろうと思われますが見事な造形です。
金泥の淡いほのかな金の色合いが衣文の波をより一層に美しく感じさせ、快慶の技法をしっかりと受け継いで昇華しているように感じます。
中尊 阿弥陀如来立像の体を覆う衣文のドレープの金泥の陰影は本当に美しく、それは脇侍 観音勢至の足元の衣紋にも共通します。
両菩薩像の体周りの衣の折り返しや天衣の垂れなどは凝っているものの衣文は簡略化されたようにも見れますが、三尊全体的に非常に整った美しさを見せ来迎しているふわりとした柔らかさが非常に良く表れているように思います。

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また、こちらは阿弥陀三尊像だけではありません。
みんなが喜ぶアフロ様がいらっしゃいます。
そう、五劫思惟阿弥陀像です。
大きな鼻にキュッと結んだ口元、見据えるような厳しい目線はまるでお局様の様。
しかし離れてじっと見ていると凄く優しい雰囲気に包まれた方のように見えてくるのです。

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また、今回洞泉寺を訪れて初めて出会ったお像があります。
洞泉寺には3度目の訪問なんですが以前にはいたのかな?その頃の僕は気にしなかっただけかもしれません。
お聞きするとなんでも天井裏から発見されたとかいう釈迦如来坐像で、両の手先は欠損しているもののキリッとした双眸から印象づける凛々しき表情と、線の数はすくなけれど深く彫り浅く彫るの強弱をつけた衣文表現に惹かれ個人的には大注目させて頂きました。
時代的には鎌倉時代以降だとは思うのですがご本尊の阿弥陀三尊像と時代を同じくするのかどうかは分かりません。
他にも多数の仏像が安置されていますので仏像好きには是非とも訪れて長い時間を過ごして頂きたい寺院です。

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過去の洞泉寺拝観記事



洞泉寺から車で15分、唐招提寺の奥ノ院とされる西方院へ訪れる。
こちらにも快慶作 三尺阿弥陀がお祀りされております。
収蔵庫となる本堂に安置される阿弥陀如来立像は墨書に法眼快慶の銘が見られ、快慶晩年の作と分かっています。
頭体のバランスや体躯の豊かさ、衣文の流れも自然でわざとらしさのない柔らかな美しさ。
表情も精悍さと柔らかさが混在し、快慶の年齢とリンクしているような気がしてきます。
この日一日快慶の仏像を見てきて感じたのは、快慶自身が若かりし頃の像物はその表情は溌剌で力強く、晩年になるに深みと柔らかさが加味されているように感じました。
時代を知って見ているからこそ時代認識の先入観でそう感じているだけなのかもしれませんが、非常に面白く感じながら拝観するのでした。

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過去の西方院拝観記事




そして醍醐寺展。
今ツアーのきっかけとなる奈良国立博物館で催されている特別展です。
京都 伏見の醍醐寺の名宝が大集結した展覧会で中でも個人的にもツアー的にも大注目なのは、現在 拝観が停止されている醍醐寺三宝院ご本尊 快慶作弥勒菩薩坐像がお出ましとなっている事です。
拝観が可能であった時でも堂外より望む形での拝観であったのが、今回はガラス等の仕切りもなく間近より拝観できる環境での展示とあって興奮の度合いがハンパじゃないです。
ご覧になられましたか?金泥に施された見事なまでの神々しさを。
照らされる灯りによって潤む慈悲深き双眸を。
密教の経典や儀軌は正直全然知識がなく無知ではございますが、この弥勒像から伝わる救いの眼差しと感じる尊容はどうでしょうか。
救いを求める衆生が仏教の経典を読んだでしょうか?教えを実践してきたのでしょうか?
おおよそほとんどの救いを求める人間は知らなかったはず。
そんな人をも経典なくして仏の尊さ、仏教の教えを伝えんとしたものが仏像であるならば、これ程までにその意味を成す仏像は他にはないのではと胸に込み上げる感動を押し鎮めながら考えるのでした。

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飲み込まれるような快慶 弥勒菩薩像の威光尊さに心を震わせながら、心より吐き出される安堵のため息を一つ。
この日一日の仏像拝観を終了し、ビストロ中華 へいぞうで打上げへとなだれ込むのでありました。
この日は、高級魚のどぐろが入荷しており、刺身に焼き身とねっとりとした脂の旨みと口中に広がる甘みを堪能させて頂きました。
鉄板のカルパッチョや蒸し餃子は言うまでもなく、見仏の締めはへいぞうさん!これ間違いないですね。
仏友さんと奈良の快慶仏を巡り、へいぞうさんで美味しい料理とお酒で酔いしれる。
これ以上の幸せがあったら教えて下さい(笑)
素晴らしき一日をありがとうございました。


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奈良県「仏友と巡る奈良快慶仏尽しツアーの巻き①」

9月3日。

この日は奈良国立博物館で催されている「醍醐寺展」を訪れるべく関東から遠征してこられた仏友さんを迎え、醍醐寺展の目玉である三宝院 快慶弥勒菩薩にちなみ丸一日快慶尽しにしようと計画。
関西の仏友さんもお誘いし奈良の快慶仏を巡るツアーを行いました。



朝の9時に桜井駅に集合し最初に向かったのは安倍文殊院。
国宝に指定された渡海文殊像の拝観です。
過去に何度も訪れていますが国宝に指定されてからは初の参拝で気持ちがかなり高揚していました。
関東から遠征してこられた仏友さんも大の快慶好きとあり、しかも一発目にあの文殊菩薩ですから興奮しないわけがございません。
御抹茶の接待を受けていよいよ渡海文殊群とご対面です。


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もう4度目か5度目の拝観ですが、本堂内へと入り飛び込んでくる渡海文殊像群を目にした時の感動は一向に薄れることがありません。
これ程の迫力を持って迎え入れてくる空間は他にないんじゃないかな?
博物館等の特別展で展開される仏像群の迫力にも引けを取らない物凄いオーラを文殊院の五尊像は放っております。
文殊菩薩騎獅像のカッコ良さは見事としか言いようがなくこの方以上にカッコイイ仏像なんてないでしょ?と何故か自慢したくなる。
誰に自慢って僕がお会いしているこの瞬間に、文殊様にお会い出来ていない全ての仏像好きに対してです(笑)
頭体のバランスや甲冑、衣の造形美など快慶にしか彫れないと思えるほどの美しさ。
もう絶賛する言葉をいくつ書き連ねても全然足らないほどのお方です。


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脇侍四像も素晴らしいのです。
先導する善財童子の豊満な頬に純真な瞳、風を感じる衣の運びに躍動感あふれる動作と、運慶の八大童子像にも負けない見事さです。
美しさという点では快慶の右に出る仏師はいないでしょう。
優填王像の尊容も厳めしく大迫力で、甲冑は文殊菩薩と同じく細部にまで彫り込みを加えられ本当にカッコイイ。
全体を通してみても風の動きが計算されたようにそれぞれのお像の衣がなびき、これら五尊の大パノラマはとてつもない感動を僕たちに与えてくれました。


安倍文殊院 渡海文殊像群




この日の1寺目にしてピークが訪れたような衝撃を受けながら次の目的地は田原本の安養寺。
こちらの収蔵庫には快慶仏として最も多く残る像高100cm前後のいわゆる三尺阿弥陀像が安置されています。
像高は81.4cm、三尺というにはやや小さいですが足ほぞに「巧匠安阿弥陀佛」という墨書が残されており快慶無位時代の像である事がうかがえます。
切れ長でやや吊り目で頬の張りも力強い。
衣文表現は美しく、まさに流れるようなという表現がピタリとくる見事なもの。
脇には同じく鎌倉時代の作とされる観音菩薩勢至菩薩像が。
両脇侍に関しては快慶作であるとはされていませんが、寺伝によれば当初より一具でいらしたとの事。
元は川向うにあった浄國寺のお像であったそうですが、廃寺となった折にこちらへ客仏として招かれたそうです。
写真で見るよりも実仏の素晴らしさは段違いです。
是非とも目の前でこの阿弥陀像の美しさを感じてもらいたいですね。


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また、本堂には桃山時代の作であるご本尊阿弥陀三尊像がいらっしゃいます。
この日はご住職御不在で堂内へは上げて頂けないとの事でしたが、堂外よりガラス戸超しにへばりついて見ていると見かねた奥様が本堂内へと上げて下さいました(笑)
ご迷惑になってしまったかと思いましたが、一同大喜びで堂内へ。
脇侍の観音勢至は片膝を立てた前傾姿勢で来迎する形式。
非常に美しい阿弥陀三尊像で快慶阿弥陀なくしても、このご本尊をお参りするために安養寺を訪れるのも全然ありです。

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過去の安養寺拝観記事






続く3寺目は安養寺から車で10分ほどの光林寺。
川西町安田にある浄土真宗の寺院で曽我川沿いに建ちます。
境内前に駐車場はありますが道は狭く停めれるのは数台ですので、光林寺北側の川沿い交差点に停めれれば停めるのがいいかも。
今回の拝観でもそこへ停めて光林寺さんへと向かいました。

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内陣奥の金色のお厨子に祀られた快慶 阿弥陀如来立像は1221年の銘があり晩年の作。
お厨子の扉は前だけでなく左右も開かれ間近へと寄って拝観させて頂けます。
安養寺像よりも衣文の表現は柔らかとなり若干ではありますが捻りや折り返しが加味され装飾性が増す。
尊容も溌剌とした若々しさがあった安養寺像よりも幾分落ち着いた雰囲気で造像当時の快慶の年齢も影響しているのだろうか。
流れ出す衣文や来迎印を結ぶ指のしなやかな美しさはため息物の美しさでたまらない。
左右からも見れることから、お腹周りの量感に巻き付くように流れていく衣文、肩口や腕から流れ落ちていくような衣紋が非常に良く見て取れます。
神々しさのある見事な阿弥陀様でした。

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過去の光林寺拝観記事




この後はお昼となり次の目的地洞泉寺の側にあるラーメン屋さん「むっしゅ亭」へ。
こちらで魚介のつけ麺を頂き昼からの見仏へと備えるのでした。


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奈良県・宗祐寺「藤原時代 どっしり安定感の多聞天立像の巻き」

西峠会館から車で5分、国道165線沿いに建つ宗祐寺へと向かいます。

聖徳太子開基とも伝わる宗祐寺は、融通念仏の祖 良忍が当地に来たおりに融通念仏の勧進をしたと伝わります。
寺運が大いに衰退した1559年に織田信長の家臣、服部宗祐が入寺し私財をもって堂宇を再建し中興の上人とされました。
彼の名を持って寺名を宗祐寺に改められ現在に至ります。


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宗祐寺には重要文化財に指定された多聞天立像が本堂に安置されており、早速堂内へと通していただきお姿を拝観させて頂きました。
中央お厨子の脇段にお祀りされていた多聞天像は平安時代の作で腰を入れて立つお姿は非常に力強い造形。
しかし、上半身はほとんど幕の中でよく見えず。
お写真でお顔や全体のお姿を見させていただくと、腰周りの太い安定感や腕を捻って三叉槍を持つ右手もカッコイイ。
首元からマントのように造形されてる衣も気になるなぁどんな風に流れていってるんだろう。
膝周りの造形なんかも細かくて、全体的には凝った彫り込みではないけど細部にこだわりの造形があるように思えます。
幕の中ではなく、いつか全体像を眺めて見たいと強く思います!


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また、文化財には指定されてはいませんが他にも宗祐寺で最も古いとされる地蔵菩薩立像や薬師如来坐像もいらっしゃいます。
地蔵菩薩立像も同じく幕の内にいらっしゃるので頭部は隠れ気味ですが多聞天像よりはよく見える。
しかしいかんせん黒の闇が強くて細かなところは判別できず。結構すごい地蔵菩薩様の様な気がする。
薬師如来坐像は坐像であるので幕に隠れずしっかりとお姿を確認することが出来ました。
厳しめの表情に力強い胸板と非常に男性的なお薬師様でした。


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本堂天井には釈迦族の末裔という仏画師によって描かれた仏画が嵌め込まれております。
当初出来上がった画はインド的な仏様だったそうですが、日本の仏様を細かに伝え何度も書き直し出来上がった画だそうです。
日本の仏様とインドの仏様が混ざり合ったような美しさと妖しさに満ちた素晴らしい仏画です。
多聞天像を拝観に上がった際には是非とも天井画を見て下さいね。



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鎌倉時代作の「絹本著色仏涅槃図三幅」は釈迦入滅の2月15日に公開。





良栄山 宗祐寺(そうゆうじ)
奈良県宇陀市榛原萩原2596
TEL : 0745-82-0029
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り







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奈良県・西峠区薬師堂(西峠会館)「平安定朝様の薬師如来坐像と柔和な温かさの釈迦如来坐像の巻き」

時間は押し押しながら次の目的地は西峠区にある薬師堂。
宇陀市の文化財課HPに記載された住所を頼りに向かいましたがそれらしい場所が見当たらず。。
記載されていた住所では着かないので気を付けて下さいね(^^;


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さて、何とか到着した薬師堂はお堂というよりは田舎の自治会館で西峠会館と呼ばれております。
訪れる際はグーグルマップで「宇陀、西峠会館」と検索すれば迷わずに行けると思います。
堂内には県指定文化財の薬師如来坐像をはじめ、阿弥陀如来立像に阿弥陀如来坐像になるのかな?それとも説法印をされた釈迦如来座像か、がいらっしゃいます。


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この土地でずっと守られてきたといわれる薬師如来坐像は、平安後期 定朝様の優美なお薬師様でありながら表情には見据えるような強さを持ち、定朝様でありつつ わずかながら平安初期像の様な厳しさも持ち合わせているように思いました。
「定朝様」「寄木造り」が流行した平安後期にありながらヒノキの一木造り(内刳施す)で造像されており、中央仏師の作であるのか土着の仏師の作であるのか興味深いところです。時代の混在したような造形は土着仏師の作なのかなぁ。
光背は後補ではありますが板光背であるという事も注目したい。
宇陀の平安仏で板光背といえば室生寺の諸像を思い浮かべますが、室生寺の諸像に影響を受けたのか、宇陀という土地に板光背の流れがあったのか。
僕の様な仏像初心者にも非常に興味深い薬師如来像です。


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また、非常に興味を引かれたのは薬師如来坐像の右隣り(向かって左)に安置されていた釈迦如来坐像。
来迎印の阿弥陀如来であるのか釈迦如来であるのか判断が出来ませんでしたがこの方が非常に味のあるお顔をされており、穏やかで優しいその表情にホッコリと癒されてしまいます。
大きな鼻に厚い唇、ほとんど閉じているような双眸は地方仏的な温かさを感じずにはいられませんでした。
いつ頃に造像されたのかは専門家の方が見られたら螺髪の大きさや衣文の表現などからおおよその時代見当がつくのかもしれませんが僕には判断が付きませんでした。
世話方さんもお像に関する詳しい事は分からないとの事で詳細は知れずでしたが、包み込むような温かさを感じこの方の前に座してなかなか動けずにいるのでした。


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阿弥陀如来立像は頭髪が横へと広がりだす」室町期頃かと思われる像で、安阿弥様が美しい方。
腹回りの衣紋表現や指先の優雅さは秀逸ですね。

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西峠薬師堂(西峠会館)
奈良県宇陀市榛原萩原
TEL : 0745-82-3976
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 開館前に1台可









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奈良県・青龍寺「捻る腰!睨む天地眼!平安後期の不動明王像の巻き」

戒長寺を後にし慌てて向かったのは車で20分ほどの青龍寺。
10時に拝観のお願いをしていましたが到着したのは10時35分。
お待ちくださっていた奥様は非常に優しく迎え入れて下さりホッと胸をなでおろす。
奥様はご自由にのんびりしていって下さいと仰り境内の掃除へ。
先程の戒長寺とはうって変わって放任自由拝観でした。


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青龍寺お目当ての仏像は奈良の文化財に指定された不動明王立像。
像高94.6cm、欅の一木造り。
境内 不動堂に安置され遠目に見ても腰のくびれが凄い。


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肩口から胸回り二の腕と柔らかさのある感じで幼さの残るような不動明王ですが表情はしっかりと作っております。
大きく鼻の穴を膨らませ牙は上下に突き出す。
眉間に力強くシワを刻んで天地眼。
柔らかく幼年を思わせるような体躯に、老年な年季の入った表情。
厳しい憤怒というよりは温和さも見えてくるような憤怒相で全体的に柔らかな印象を持ちました。
遠目から飛び込んだ腰の捻り具合が印象の全てを決めたのかも。
吊り上げるが如くに腰を突き出して右手に県を握ります。


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また不動堂内には室町期と思われる阿弥陀如来坐像も。
この方がまたいい表情をされているんです。
深ーい遠ーい目をされて鋭い威厳が、神々しさですねがありました。
広げた趺坐の両膝から頭頂までが二等辺三角形で結ばれるような均整のとれた美しさで、不動の護摩焚きの煤を浴びた燻し金な金箔が造形の良さを増しているように思いますね。


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本堂には失礼ながら申しますと、なかなかにふてぶてしい表情を見せる大日如来像が。
非常に金箔がよく残り江戸期あたりの造形にも見え、平安期くらいにも見えたりと、ちょっと僕には見分けがつきません。
目には玉眼は入っていなかったと思います。
見ていると不思議と引き込まれていくような魅了されていくような、不思議な大日如来像でした。


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奥様からバヤリースオレンジの缶ジュースを頂いて境内でほっこり一休みしてから次の目的地へと向かうのでした。

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青龍寺(せいりゅうじ)
奈良県宇陀市榛原萩原256
TEL : 0745-82-3365
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り









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奈良県・戒長寺「平安時代後期の薬師三尊&半丈六!お前立薬師の巻き」

本年も師走を迎え今年1年の見仏を振り返る時期になりましたが、ブログ記事は夏真っ盛り。
更新は8月の見仏へと入っていきます。

8月27日。
この日巡ったのは奈良県宇陀市。
単発的に奈良の寺院を拝観することは何度もありましたが、じっくりと一日かけて奈良の寺院を巡るのは久しぶりの事。
ブログを見返してみると一日奈良巡りは2月以来!
地元を疎かにしてはいけませんね、もっともっと奈良も巡らなければ。


さて、この日最初に訪れたのは宇陀市榛原の戒長寺。
県指定の天然記念物 お葉付イチョウが有名で晩秋には黄金の絨毯が広がるそれは見事な景色になるそうです。
秋の時期にも訪れたいなと思いながら当ブログではやはり仏像。
戒長寺には県指定文化財に指定された薬師三尊像と薬師如来坐像が安置されています。


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本堂へと上げて頂くと目に飛び込んでくるのは須弥壇中央に安置される薬師如来坐像。
定朝様の気品ある方で、美しい衣文表現も素晴らしいです。
像高は134.6cm、ヒノキ材の寄木造り、半丈六の見事な方。
一見ご本尊のように感じますが、ご本尊は須弥壇裏手に安置されこの像はお前立的な意味もあるそうです。
須弥壇中央にドーンと安置される半丈六定朝様のお前立仏。
奈良の奥深さを感じずにはいられません。
ご本尊となる薬師三尊像はどのようなお姿なのか非常に気になります。


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宇陀市文化財課より


ご住職は非常に話好きな方で、お寺の歴史や境内に植えられた樹木や花の話を嬉しそうに語って聞かせて下さいます。
非常に有り難いのですが、この日は次のお寺への拝観予約もあり時間がない。
刻一刻と過ぎ行く時間に焦りだす僕。
申し訳ないのですが気が気じゃなくなりご住職のお話が一向に頭に入ってきませんでした。。。(^^;
とうとう次のお寺への予約時間が来てしまい、ご住職のお話を申し訳なくも遮って次のお寺へ遅延連絡。
その後ようやく須弥壇裏のご本尊へと案内いただき対面してまいりました。



慌てる様に拝観してきたので記憶に誤りがあるかもしれませんが、須弥壇の裏手に扉を開けお厨子の様な造りの中に薬師三尊像が安置されていたように思います。
造形は平安後期の像で、穏やかで美しい方々でした。
特に中尊は彩色の白がうっすらと見え非常に神々しい印象を受けた事を覚えています。
吸い込まれるような穏やかさと優しさがありました。
脇侍も平安後期の味のある方。
しかし印象をあまり思い出せない(--;
慌てていたのでメモも取っていないので余計に思い出せない。。。
次回はじっくりと時間を取って必ず再訪したいです。
この薬師三尊像、お写真を見ると凄い良いんですよねぇ。
絶対に再訪いたします。


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宇陀市文化財課より
宇陀市文化財課URL







境内には正応4年(1291年)の銘がある梵鐘は鐘身に十二神将像を鋳出する非常に珍しく貴重な梵鐘。
重要文化財に指定されています。


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戒場山 戒長寺(かいちょうじ)
奈良県宇陀市榛原戒場386
TEL : 0745-82-1301
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り







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奈良県・法徳寺「法隆寺伝来の阿弥陀仏の巻き」

西光院で宿院仏師の地蔵菩薩を拝観して次に向かったのは法徳寺。
奈良まちにあり十輪院さんの隣りに位置する法徳寺は元興寺の別院として始まり、慶長10年(1659)に陪厳(ばいがん)上人が再興し融通念仏宗の寺院となったと伝えられます。


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お約束の時間に伺うと奥様にお堂を上げて頂き堂内へ。
ご自由に拝観くださいと庫裡の方へと戻られてしまいました。
こちらには毘沙門堂があり、中には多数の仏像が安置されているのですが今回はご住職御不在で拝観叶わず。
拝観にはご住職へ頼み込むか、掃除される歳の扉を開けている時に拝観可能だとか。
今回はご縁がありませんでした。
しかしながら本堂には平安後期の素晴らしい阿弥陀如来立像がいらっしゃいます。


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須弥壇上のお厨子に安置されるご本尊阿弥陀如来立像は平安後期の作とされ、江戸時代の作と考えられている台座には墨書が残され、この阿弥陀如来像が法隆寺伝来である事を伝えています。
穏やかな表情にゆったりとした体躯、下半身の薄く彫られた衣文表現は平安後期の特徴に見えますが、ふっくらとした豊満な頬の量感は初期に通じるようにも思え、全体的にはどっしりとした印象を持ちました。
表情が穏やかで豊満でまさに阿弥陀様といった慈愛に満ちています。
スーッと伸びる伏した目元と、三角に綺麗に盛り上がる鼻筋、綺麗に弧を描く眉など見事な比率で配されているようで尊い尊容です。
腹回りの衣紋は深く刻まれて如来腹。
そのままの量感でどっしりした太もも。
重く垂れた腕からの衣も量感たっぷりで造形の随所に大きさを感じます。
見事な阿弥陀様でじーーーっと吸い込まれてしまいました。


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阿弥陀如来立像 平安後期 ヒノキ材 寄木造り 像高95.7cm 奈良市指定文化財

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脇には鎌倉時代と思われる持国天像が。
木札には南北朝時代とあるけどそうなのかなぁ?
力強い表情に、衣は風になびき甲冑も細かに彫り込まれています。
南北朝ならもっとのっぺりしてる気がする。
素人目線では難しいなぁ。


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見事な踏まれっぷりを表す邪鬼像



五髻文殊は若く凛々しく厳しい表情。
幼き尊容ながら非常に厳しい表情をされていて鎌倉期の善派仏のような印象を受けましたが、衣は細かく密に連続する衣文線ではなくゆったりとした造形。
姿勢も崩した感じで、キッチリしっかりとした印象の文殊菩薩からは意外な感じでした。
僧形文殊なんかではゆったりとした姿勢を見た事があったかな。


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他にも面白い像が。
元のご本尊は丈六仏であったようで、その光背に彫られていた天人像が残されています。
藤原時代とのことで、現ご本尊と同時代かそれよりも若いのか。
この丈六仏を失い現ご本尊が法隆寺より移されたのかな?
お話を聞きたかったけどご住職はご不在で聞けず。
僕のない知識で想像するのでした。
で、この天人像ですが非常にユーモアな表情をしており大きな鼻に太い唇で二重に垂れる顎とかなりの量感。
これで天を舞えるのかと思ったほどの鈍重な印象の天人像でした。
珍しい表現の天人。さすがに天女とは言えなかったか(笑)


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またご本尊向かって右の脇には非常に興味深い如来坐像が2体。
地方仏的な尊容をされる大きな鼻を持たれた如来坐像。
釈迦如来なのか薬壺をなくされた薬師如来なのか。
衣文線も太く見事に流れていくようです。
しかし仏花が横たわっていて細かなところが見えにくい。。
致し方なし。
そしてその前には神像のごとく両の手を袖口へと隠した如来像が。
螺髪はおそらく元から無いと思われる造形でつるりとした表現。
簡易的な造形ではありますが非常に興味深い像でした。
ご住職がいらっしゃれば詳しいお話を聞きたかった!


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ご縁のなかった毘沙門堂、興味深い数多くの仏像と再訪するのに十分な楽しみを残した法徳寺でした。
次はご住職のご都合が合うときにお参りしたいですね。








光明山 法徳寺(ほうとくじ)
奈良県奈良市十輪院町23
TEL : 0742-22-3451
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 無し










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奈良県・西光院(奈良まち)「裸形大師と地蔵菩薩半跏像の巻き」

7月23日。
この日はぶらり奈良まちへ。
向かったのは西光院。


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こちらのご本尊は奈良三裸像と言われる裸形の弘法大師像。
奈良市指定文化財で「廿日(はつか)大師」「裸形大師」と呼ばれ、玉眼を用いた鎌倉時代の像。
ゆったりと着せた衣のせいか穏やかな優しい雰囲気。
10年に一度のお衣替えがあるそうで、来年(2015年)がその年に当たるそうです。
是非とも再訪したいと思います。



非常に珍しい弘法大師像を拝観させて頂きましたが、今回西光院さんを訪れたのはご本尊の脇に安置されている地蔵菩薩がお目当て。
室町時代の地蔵菩薩像で像高は82.1cm、ヒノキ材の寄木造りで半跏の姿勢を取ります。
こちらの方も奈良市指定の文化財です。
像内に墨書が残されており、1548年 実清(じっけい)の作と記され また、奈良宿院仏師 源次 源三郎 源四郎の名も結縁されていることから宿院仏師も造像に大きく関わったと考えられているようです。


実清は宿院仏師誕生に携わる指導者であり作風は吊り目の宿院仏師の作風をより吊り目にしたような感じ。
鋭さのある尊容を彫った実清から、少しだけ穏やかに人間味が加味されたのが宿院仏師のように思います。
堂内のやや暗がりで拝するお顔は非常に厳しい睨むような尊様でした。
宿院仏師の参加があれど実清の作風が強いのかもしれません。
力強い衣の流れを間近で拝観させて頂きました。


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日本の美術12 宿院仏師より



さらに、地蔵菩薩半跏像の横手には厨子の中に地蔵菩薩立像が。
お厨子内にいらっしゃるのでこちらの方は暗く細部は見にくい。
しかしこちらの地蔵菩薩像も宿院仏師の作。
源次の作で像高は59.3cm、ヒノキ材の寄木造り。
大きな鼻に切れ長の吊り目。
半跏蔵と比べると穏やかな表情をされた方でした。


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他にも堂内には立ち姿の非常にカッコイイ玉眼を嵌め込んだ不動明王立像や、眉の繋がった味わいあるお顔をされた阿弥陀如来立像も。
間近でじっくりと拝観させて頂き厳しい厳しい表情の地蔵菩薩像を堪能させて頂きました。




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紫雲山 西光院(さいこういん)
奈良県奈良市高御門町21
TEL : 0742-26-2234
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り







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神奈川県・弘明寺「幼さと尊さが同居する鉈彫り十一面観音の巻き」

7月14日。
2日間に渡った仏像LINKツアーを終え(最終の仙台市博物館は更新済み)開けて14日、この日は関西への帰り道に1ヶ寺だけ寄り道を。
訪れたのは神奈川県 弘明寺。


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非常に力強い仁王像P1090106.jpg

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西川きよしでございますぅ~


鉈彫りで有名な十一面観音菩薩像をご本尊とする真言宗寺院です。
聖武天皇より天下泰平祈願の勅願を奉じ、全国を巡った行基菩薩がこの地で一刀三礼の至誠を尽くして彫刻祈願されたと伝わる十一面観音菩薩像。
多くの仏像写真集や書籍等でお姿を知るたびに、いつかいつかとお会いできる機会を待ち望んでいた方です。


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鉈彫り仏とは、仏像の表面にノミの跡を残した特殊な像で漆箔等は施されず木肌があらわとなっております。
仏像の造像過程である荒彫りの段階で止まってしまった「未完成品」と考えられる事もあったそうですが、現在では日本古来からある樹への信仰、いわゆる神木・霊木と呼ばれる木々より彫りだされ、霊木より現れ出でる姿を表現していると考えられているそうです。


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早速 拝観の受け付けをしていただき内陣へ。
お厨子の真ん前でお姿を拝観させて頂き、その鉈彫り像のノミ跡をじっと見させて頂きました。
頭部から胸、腕、足と規則正しく横線を引くようにノミの跡が。
大きめの頭部にニッコリと微笑んだ表情に幼子のような純朴さを感じ、樹木である事の温かさをノミ跡の表現から如実に感じることが出来ます。
像高は181.7cmの一木造り。
やはり霊木より彫りだされたのであろう、姿勢はやや右へと傾いています。
歩き出そうとしているような姿にも見えますが、そのように造形したというよりは やはり霊木の形状ゆえの姿勢なんだろうなと思いました。
幼く可愛らしいと感じる像でありながら全身から見て取れるノミ跡により神聖な気高さも持ち合わせた見事な十一面観音像でした。


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藤森武 「日本の観音像」より






瑞鷹山 弘明寺(ぐみょうじ)
神奈川県横浜市南区弘明寺町267
TEL : 045-711-1231
拝観 : 8:00~17:00
拝観料 : 500円
駐車場 : 有り







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山形県・松尾山観音「込められた”想い”があふれだす菩薩立像の巻き」

2日間に渡って巡ってきた仏像LINK宮城・山形ツアーもいよいよ終盤。
素晴らしい清凉寺式釈迦如来像を拝んだ法来寺から南下しやって来たのは松尾山観音。

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こちらには平安時代の造像で山形県の文化財に指定される聖観音菩薩立像と勢至菩薩立像が安置されています。
調べるところによれば十一面観音と勢至菩薩と記される所もありますが、伝承によると行基菩薩の作とされ元明天皇の和銅元年の頃の話となるそうで、

行基菩薩がこの地を行脚し野宿している時、無量寿仏、観音、勢至の三仏が柱の木に留まる夢を見た。
山深く分け入ると夢に見た桂の古木が目の前に現れたので、これを切って三仏を彫ります。
その三仏は応永年間に盗難に合いますが、急な大雨に打たれ辺りは一体は洪水の様に氾濫し仏罰を恐れた盗賊は三仏を置いて逃げたそうです。
無量寿仏は雨に流され行方が分からなくなってしまいますが、観音菩薩、勢至菩薩は村の人びとにより今日まで大切に保存されているという事です。
伝承から辿るとお守りされている仏像は観音菩薩、勢至菩薩という事になるのでしょうか。
頭頂に仏面がある事から考えれば十一面観音となるのかな。


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お堂へ到着するとご住職がお待ちくださっており堂内へと上げて頂きました。
堂内奥には固く閉じられたお厨子の扉が。
あの奥にいらっしゃるんだなと息を飲みます。
ご住職のお話を聞き、いよいよお厨子の扉が開く。

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扉が開き、両菩薩のお姿がゆっくりと現れ。。。。
堂内がどよめくような、ウォ~~~~という歓声が沸き起こり2体の大きな菩薩立像が目の前に。
見上げるほどの大きな方たちで、そのお顔は本当に慈悲深い。
閉じられていた間に内包されたとでもいう様な物凄い圧が、開かれた扉から流れ出し押し寄せてきました。
全身に鳥肌が立つような凄い感覚で、共に巡った仏友さんの中には感極まり涙を浮かべ戸惑う方もいらっしゃったほど。
涙が止まらない、そんな感情の高まりをしっかりと理解できるくらいに僕もこの両菩薩像に飲み込まれていました。

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手首は失われ、腹はえぐれ、足元は大きく破損する状態ですが、その尊厳は失われることなく綺麗に残り確認できる尊容から強いあたたかさを感じずにはいられません。
地方仏の特色であると僕が感じているこの”あたたかさ”は、まだまだ各地を全然巡れていない僕が言うのもおこがましいのですが、「地方仏」と呼ばれうる仏さまに必ず共通してくるように思います。
守られてきた土地の人びとの想いがこもりその表情をあたたかくしているように思えてならないのです。
祈り、願い、寄り添った人びとの想いがきっと仏さまにも伝わり月日の流れと共に刻まれていったに違いないのです。
そうでなければ、一目見た瞬間にこれ程までにも心に訴え揺さぶるような感情の芽生えを説明できません。
何百年もの人々の祈り願いが、今回拝観させて頂いた僕たちに仏さまを通じて流れ込んできたように思います。



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拝観後はご住職と楽しく雑談。
しかしなまりが強く仰られている事の半分は分からない。。いや、ほとんど分からないか(笑)

神木より彫りだされたという伝承を実感できる非常に神々しくあたたかい見上げる巨像に、自然と沸き起こった仏像LINKツアー主催者様への拍手喝采。
参加されたみんなが感動と心に込み上げるものを感じたからこその拍手だったのでしょう。
この方とお会いできる機会を下さってありがとう。
本当に素晴らしい菩薩像でした。


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松尾山観音堂
山形県山形市蔵王半郷2
TEL : 023-688-3328
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り







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プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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