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山形県・法来寺「これぞ釈迦のオーラ!神々しき清凉寺式釈迦如来像の巻き」

平塩よりバスに揺られて30分ほどでしょうか、次の目的地は山形市釈迦堂にある法来寺。
こちらには平安後期から鎌倉初期と考えられている釈迦如来立像が安置されています。
頭髪は螺髪ではなく、縄を編み込んだような頭髪で衲衣は首元まですっぽりと覆う造形の、いわゆる清凉寺式釈迦如来像という像です。

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法来寺へ到着する頃には結構な本降りとなり傘が必需品な天候となってきました。
雨が濡らす樹木や霞み見えるお堂は綺麗ですね。
雨は降らないに越したことはないんですが、雨の仏閣は非常に美しく僕は大好きなんですよね。
雨に濡れた佛足石も綺麗です。

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堂内へ上がると十六羅漢が施された絢爛な閉じられたお厨子が。
お厨子の脇には十大弟子像か。
薄暗いほのかな明かりのもとで見る堂内は非常に美しく荘厳。
展覧会で見る佛も素晴らしいですが、やはりこの雰囲気ですよね。

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ご住職の説明の後、いよいよお厨子の扉が開きます。
おもむろに須弥壇へと上がり、お厨子の扉へと手をかけるご住職。
興奮はクライマックスへと到達します。
開かれた扉から現れたお姿は言葉に尽くせないほどの素晴らしい釈迦如来立像。
釈迦のオーラ全開の物凄い方が表れた!そんな興奮に飲み込まれる見事な像です。
もう訪れる寺院訪れる寺院飲み込まれっぱなしです。

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お厨子内はライトアップがされ浮かび上がるように清凉寺式釈迦如来像が表れます。
目は彫眼で鼻筋はスーッと通った凛々しい表情。
光りの加減では無表情の様な少し怖いような表情にも見えます。
杏仁形の様に見える双眸に強めに結んだ口元が威厳たっぷりで、そしてセクシー。
色気も凄いわぁ~

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向かって右側へと移動して見ていくと幾分 表情が和らいでいく。
口元はやや微笑を含むような気がしてくる。
しかし変わらず目は厳しさをはらんでいて釈迦の尊厳が微塵も薄れずとんでもないオーラが半端ない。
見ていてずっと感じたのが、釈迦ってスゲーでした。
軽くて稚拙な言葉でスイマセン。
素直に釈迦如来はやっぱり他とは違うなという神々しさを常に感じていたんですよねぇ。

首元から間隔狭く密に流れ出す波紋は本当に美しくて、幻想的な堂内の雰囲気も重なって本当に神々しいお方でした。
幻想的な堂内と、この密な間隔で流れる衣文表現や杏仁型の瞳が この幻想的な空間をより一層深めて、ある種の恍惚を呼び込むが如くの美しさでした。
鼻息を荒くし、うっとりとしたため息をつきながら最後の目的地へと移動します。


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白馬山 法来寺(ほうらいじ)
山形県山形市大字釈迦堂66
TEL : 023-629-2712
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納








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山形県・平塩寺「威厳と慈愛 阿弥陀三尊像の巻き」

平塩熊野神社からお隣りの平塩寺へ。

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護摩堂、内御堂、如法堂の三社からなる平塩熊野神社の如法堂を、江戸時代に平塩寺と改め現在の平塩寺の源流となりました。
この頃の平塩寺は今日の平塩寺とは異なり、鎮護国家・天下泰平の祈願所として機能していました。
しかし明治期の神仏分離令により神道へと帰ることとなりますが、村民の要望により人々の葬祭を担う新しい平塩寺が誕生し、神仏習合の熊野神社は神道と仏教とに分かれ、仏教を引き継いだ平塩寺は現在に至ります。

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本堂に施される彫刻が非常に美しい。
木鼻の獅子は勇猛でありながら目の上に掛かる巻き毛の前髪が愛らしくカワイイ。
向拝の彫刻も緻密で精巧でなかなか見れない素晴らしさでした。

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本尊は阿弥陀三尊像。
南北朝時代の院派の作と伝わるそうです。
正面より拝すとスーッと伸びる目尻が美しく威厳ある風貌に見えてきますが、横手より望むお顔は目尻がやや下がり優しさと慈愛にあふれるようです。
正面から威厳、横手から慈愛といった風に感じ方が変わってきました。
これは脇侍の観音勢至両菩薩像にも共通しており横手からのお顔好きだわ~。
南北朝時代の院派仏との事でしたが、南北朝の院派仏のお顔は能面のような面長な印象がありましたが、こちらの三尊は丸顔で暖か味のある、やや印象の違うお方でした。
中尊は胸にある傷がやや痛々しく可哀想ですが、尊容や体躯は堂々としたもので見事。

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脇侍の観音菩薩・勢至菩薩像は蓮台を掲げず、合掌手をしない、中尊側の手を掲げ外側の手を下げる造形。
観音勢至というよりは日光月光のようでした。
これら脇侍も非常に美しいのですが、特に勢至菩薩像の美しさは僕好みで、目線の遠さや通った鼻筋結んだ口の形など本当に静かで美しいです。

脇侍 観音菩薩立像
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脇侍 勢至菩薩立像
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また須弥壇には不動三尊像や江戸期の普賢菩薩・文殊菩薩像が。
中尊の釈迦如来像は廃仏毀釈により失われたそうです。
脇仏には破損仏の地蔵菩薩像が。
この方は平安期までさかのぼるそうですよ。


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熊建山 平塩寺
山形県寒河江市大字平塩1-1
TEL : 0237-86-6228
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納









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山形県・平塩熊野神社「大きな十王像のご威光の巻き」

洪水のような仏像群に飲み込まれて次に向かったのは同じ寒河江の平塩。
養老5年(721)紀州熊野より行基によって勧請されたと伝わるこの地きっての古社である平塩熊野神社がひっそりと佇んでいます。
もと熊野三所権現にならい、護摩堂、内御堂、如法堂に分かれていましたが、明応年間に現在地に合祀されたそうです。
この平塩熊野神社には山形県の文化財に指定される平安後期の木彫像、伝十王像二体が安置されています。
寒河江市の指定文化財、吉祥天立像も。
また、江戸時代の明暦元年(1655)2月、如法堂を熊建山(ゆうごんざん)平塩寺と改め、今現在も平塩熊野神社と並び建っています。

だんだんと日差しが強くなってくる中、平塩の地に到着。
平塩熊野神社、平塩寺と並んで建っていますので、ツアー参加者は二手に分かれて前半後半で入れ替わるシステムで拝観。
僕はまずは平塩熊野神社へ。


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すーーっと延びる石段を、テクテク歩いていくおばあちゃん(宮司さんのお母様?)の後ろを追うように上ります。
この石段を登っていくとお堂が見えてくるって感じが大好きです。
自然世界に飲み込まれていった先に見えてくる聖域という雰囲気。
こちらの平塩熊野神社もそういった雰囲気にあふれており非常に神秘的。
境内にポツンとたたずむ石佛 大黒天像も神秘的で美しく吸い込まれてしまいます。



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招き入れて頂いた堂内は内陣外陣が区切られており、格子戸の向うに見える伝十王像の威光は距離を置いてでもヒシヒシと伝わってきます。
宮司さんの説明のあと、内陣へと上がらせて頂き間近よりお姿を拝観させて頂きました。
そのお姿は非常に厳しく、一文字に結ばれた方と、への字に結んだ方と。
目は吊り上がり、こんな怖い顔した方にあの世で裁判を受けるのか。。。とちょっとビビる。
体躯も逞しく非常に力強い。
とてつもない威厳にあふれた方々ですね。
平安時代後期のお像で像高は共に140~50cmくらいか。
神像として造像されたのではと言われており男神像と女神像とも考えられているとの事。
いったいどちらが女神像なのだろうか。。。両方ともめっちゃ怖いぞ。

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非常に大きく、量感溢れる力強さを見せてくれる十王像を前にまたもや飲み込まれるのでした。
木肌のささくれ立ちがより一層迫力を際立たせご威光をかもし出しているような、そんな気がいたしました。
十王像であり神像であるこの2体の像に神仏習合の歴史を感じながらお隣りの平塩寺へ。


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堂内ガラスケースには県指定文化財の吉祥天像と多くの破損仏も
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美しく精巧に彫り込まれた衣文
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平塩熊野神社(ひらしおくまのじんじゃ)
山形県寒河江市大字平塩
TEL : 0237-86-2111 (寒河江市役所 観光課)
  0237-86-0165 (建部宮司)
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納








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山形県・慈恩寺「溢れ出す密の空間!慈愛の空間!躍動の空間の巻き」

仏像LINK宮城山形ツアー2日目は慈恩寺特別開帳の早朝拝観!
前日の親睦会でのお酒が残り重い頭を抱えながら到着します(笑)


さて慈恩寺です。
何をメインに見ようか事前に決める事すら出来ないほどの仏量を誇り、どれもが一級品である物凄い仏空間が広がっています。
鎌倉期 慶派の造仏と考えられる見事な十二神将像。
平安後期、文殊菩薩像、普賢菩薩像。
平安後期、腕を欠損した儚さが漂う菩薩坐像。
三重塔に安置される鎌倉期、一木割剥ぎ造りの大日如来像。
そして今世紀初!今回の特別開帳で公開された本堂 宮殿に安置されるご本尊弥勒菩薩坐像及び脇侍を含めた五尊像。
とてつもない量のとてつもない造形美の仏像群が押し寄せてきます。



そんな期待を胸に、泊まったホテルからツアーバスに乗り込み一路慈恩寺へ。
そして朝霧の中 訪れた慈恩寺は神秘的な空間でこれからお会いする仏さまの霊威をより高めるような神々しい雰囲気に満ちていました。

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境内全体から発する雰囲気がもうたまらなくワクワクさせてきます。
唾をゴクリと飲み込むような、興奮が爆発してしまうのを抑えようがないぞという高まりを感じながら本堂へと。


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本堂へと上がり目に飛び込んでくる宮殿、そしてご本尊弥勒菩薩坐像及び脇侍たち。
グニャリっと空間が歪んで見えるほどの密の空間がそこにはありました。
尊像より発するオーラがゆらめき立ち空気が揺れて見える。
完全に飲まれてるんでしょうね僕は。

ご本尊をはじめ鎌倉後期の作とされる尊像で、中尊 弥勒菩薩坐像。
五仏宝冠を被り定印を結ぶ、醍醐寺 三宝院の快慶弥勒と同じ。
弥勒菩薩が胎蔵界大日如来と同じ定印を結ぶのは12世紀末以降に真言宗で唱えられた「大日即弥勒」思想によるものだそうで、持物に五輪宝塔をとると「不二大日」といい胎蔵界・金剛界の両大日如来を意味することになるそうです。
それを表すように、脇侍には降三世明王、不動明王という金剛界大日如来との組み合わせで醍醐寺系の「尊勝曼荼羅」の構成になる。
現在は持物を持たれてはいませんが当初は五輪宝塔を掲げていたのでしょうね。
また、脇には地蔵菩薩坐像と釈迦如来坐像が。
これらの組み合わせは過去、現在、未来の「三世」救済仏を表しています。

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鎌倉期というよりは宋風の影響を強く受けた室町期の仏像に近い造形。
頭髪の群青と唇の朱が際立ち素地造りの木の生命感が溢れ出してより一層に霊験を高めています。
衣の表現は波打ち折り返し非常に動的で宋風。
弥勒、地蔵、釈迦の切れ長でやや吊り目の鋭い眼光は、気高く尊い。
なんと妖しくも美しいんだろうかと鼻息を荒くしてしまいます。

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宮殿横手から裏手にも仏像群がびっしり。
それらの中でも特に凄いのは菩薩坐像__。
仏像好き、仏像好きでないに関わらず、この方の美しさ儚さは万人の心を打つのではないでしょうか。
日本人の心にある儚き美への憧れというか、日本人の涙腺にダイレクトに響いてくる美しさがあります。
この方を目にした瞬間、一切の音が消えたような気がしました。
上方から照らされる光にそっと静かに佇み、静かに見つめている。
ともすれば力尽きる寸前の様な、命の灯が尽きそうなまでの儚さを感じ、守ってあげなくてはといったような使命感すら込み上げてくる。
あぁ~....なんて美しく儚いんだろうか。


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次いで薬師堂へと足を運ぶ。
いろんな書籍等で見てきたあの十二神将がここにいらっしゃるんだ!と本当にドキドキしながら堂内へ入ると、まずは鎌倉後期院派仏師である院保の作であるとの墨書が残る薬師三尊像が。
当初よりこの三尊の形式であったかは定かではないとの事で、言われて見てみれば日光も月光も共に右手を上に掲げて蓮の花を持っています。
通常なら左右対称となっていることが多いですよね?

そしていよいよ薬師三尊の裏手へと回ります。
そこには躍動感にあふれかえった見事な十二神将が。
甲冑や衣、筋肉の表現も素晴らしいけれど、何と言っても秀逸なのはその表情でしょう。
視線が生きています。
魂の入った生きた目で遠くを見つめている。
魂の入った生きた目で遠くに睨みを利かせている。
魂の入った生きた目でじっと見つめてくる。
本堂の菩薩坐像とは全く違った美しさがありました。
単純にカッコイイ!!そしてカッコイイってのはこれ程までにも美しいものなんだなと感動してしまいました。
1体1体の姿勢、表情、目線を穴が開くほど見つめさせて頂きました。
本当に素晴らしい十二神将像です。


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本堂、薬師堂から少し離れたところに立つ三重塔。
こちらには鎌倉後期 大日如来像が安置されています。
十二神将像とはうって変わって穏やかな像です。
静かに目を伏せて瞑想している、そんな風に見えます。
しかしながらやはり鎌倉期、内に秘めた意志の強さの様な力強さも感じるのですから仏像って不思議ですね。
あぁ穏やかな優しい方だなぁと一目見て思っても、見ているうちに別の表情に見えてきたり。
初めの印象とは真逆の印象に変わっていくこともあるんですから本当に不思議で魅力的で引き込まれてしまいますね。


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ツアー2日目の1ヶ寺目。
次に訪れるお寺がこの後まだまだ控えているので、いつまでも留まる訳にはいきません。
本当に後ろ髪を引かれながら、まだいたいもっと見たいと思いながらバスへと戻るのでした。

来年にも特別公開が行われるそうで、2015年は「慈恩寺の美仏と阿弥陀仏たち」と銘打たれ阿弥陀如来像群にスポットを当てた公開が行われるようです。
平成27年5月23日〜7月20日。





瑞宝山 慈恩寺(じおんじ)
山形県寒河江市大字慈恩寺地籍31
TEL : 0237-87-3993
拝観 : 8:30~16:00
拝観料 :500円
駐車場 : 有り







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山形県・宝積院「美しく厳しく魅惑的な檀像十一面観音の巻き」

大光院を後にし、宮城県を離れて山形県へと走ります。
向かったのは山形市鮨洗の宝積院。
平安初期の檀像十一面観音菩薩立像が安置されています。
元々は京都醍醐の光台院末寺であった山形の宝幢寺(ほうとうじ)に安置されていましたが、明治時代の廃仏毀釈により宝幢寺の門戸寺であった宝積院へと移されたそうです。


須川の堤防にバスを停め、テクテクと日も傾きかけた道を歩いてほどなく見えてきた小さなお堂。
この中に会いたくて会いたくてたまらなかった檀像十一面がいらっしゃるのかと胸が高鳴ります。
お堂へ上げて頂くと、堂内奥に耐火式ガラス張りのお厨子的な空間に安置された十一面観音菩薩立像が目に飛び込んできました。

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美しくライトアップされたそのお姿は肉感的で色気があり非常に魅力的なお方で、台座を含めてカヤの一材より彫りだされた檀像彫刻。
衣・天衣の装飾的な細かな表現は見事です。
檀像彫刻のこの緻密で繊細なため息の出るような彫技には感心するばかり。
厳しい顔つきからは男性的な威風堂々とした凄味を感じますが、胸や腰、衣越しに伝わる膝周りのの柔らかな肉付きは優雅な女性的な魅力も感じさせてくれます。
頭頂の如来像は頭部のみならず両手を含む下半身まで掘り出された非常に珍しい造形だそうですが、下半身があるのかないのかは見えずで確認出来ませんでした。
お堂から出ると夕焼けの空となっており今日一日の仏像巡りが終了したことを満足感をもって感じさせてくれました。


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法流山 宝積院(ほうしゃくいん)
山形県山形市鮨洗136
TEL : 023-684-3577
    0237-64-2235(管理・大江町 西林寺)
拝観 : 8月1日
それ以外は要連絡(「見せて下さい」「拝観したい」との申し出はお断りするそうで、「拝ませて頂きたい」「ご縁を頂きたい」といった申し出がベター
拝観料 : 志納
駐車場 : 無し








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宮城県・大光院「愛らしき4体の鉄仏阿弥陀の巻き」

角田市で高蔵寺 阿弥陀堂、小針薬師堂と拝観させて頂いき次に向かったのは柴田町にある大光院。
こちらには「発汗(あせかき)如来」と呼ばれる4体の鉄仏阿弥陀が安置されています。
文永三年(1266年)造像の銘がある事から鎌倉時代の作である事が分かり、東北の地に残る数少ない貴重な鉄仏です。


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境内にある収蔵庫に横一列に並んで安置され、お地蔵さんのように赤の頭巾をかけられた非常に愛らしい方々でした。
元々は五智如来として造像されたそうで、「略縁起」によると、厄災に苦しんでいた此の地の長者が旅の僧に相談したところ「五智如来像をを南蛮鉄で鋳造し厚く供養せよ」との言葉を頂き造像しました。
その内の1体は娘の身代わりとして供養され難を逃れた、庭の池に投げ入れると池が沸き立ち厄災の元凶であったヒルが浮かび上がったとも言われているそうです。
また、これらの像は村に厄災及ぶとき全身に汗をかいて異変を知らせるといわれ「あせかき如来」と呼ばれ厚い信仰を集めています。



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収蔵庫の外より拝観させて頂いたので細部は分かりませんでしたが、非常に良く似た4体が並んでおり、鉄仏である事から同じ鋳型から造られたのかと思いましたが、お顔が違う様な感じです。
凛々しいお顔をされた方、穏やかな優しいお顔をされた方といらっしゃいます。
これらの違いは当初よりの造形の違いなのか、磨滅具合により尊容に違いが表れてきたのかは分かりませんが、似ているようで少し違う、そんな4体の鉄仏 阿弥陀でした。


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大光院(だいこういん)
宮城県柴田町西船迫1-12-12
TEL : 0224-54-2524
拝観 : 自由
駐車場 : 有り









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度重なる中止を乗り越え巡った地 岡山!とんでもねぇー仏に会ったよの巻き

11月5日、関西の仏友さんと岡山の地を巡ってきました。
元々は10月13日にクラブツーリズムさんが主催された岡山ツアーへ仏友さんに誘われ参加したのですが、信じられないことにツアー開催定員に満たず中止。
それならばと、元々のツアー予定寺へ個人で拝観のお願いをし+αのお寺を加え岡山巡りの企画を立てました。
すると今度は強烈な台風19号が直撃となりやむなく当日の朝に中止するという立ち直れないほどのショックを受ける。。。
諦めきれない岡山巡りを即座に決断し、11月5日にリスケジュールして 僕自身初の岡山仏を巡る旅に行ってきました。


早朝8時に岡山駅に集合し、僕の運転するマイカーにて岡山を巡って参りました。
この日の行程は勇山寺→安養寺→岡山県立博物館→余慶寺→遍明寺→東寿院→明王寺。
そして夜は奈良へと戻って「ビストロ中華へいぞう」にて打ち上げと2度にわたる中止を振り切る楽しすぎる素晴らしい岡山仏巡りツアーを堪能させて頂きました。
これもお付き合い頂いた仏友さんのお陰でございました。



ではまず1寺目。
岡山県真庭市にある勇山寺へ国の重要文化財に指定される不動明王三尊を拝観。
2つとない非常に独特のお顔をされた三尊で1寺目からトップギアの素晴らしさ。
ご本尊は薬師如来坐像で33年に1度の秘仏。
次の公開は20年後。。。


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2寺目に倉敷浅原にある安養寺。
収蔵庫には36体にも上る平安期毘沙門天立像が!
圧巻の空間で度肝を抜かれる。
安置される毘沙門天像の中にはポッコリとお腹の出た、先日 当ブログでも取り上げた達身寺と造形を同じくするお像も。
達身寺様と形容される毘沙門天像が倉敷でも見られることからも、達身寺に仏師の工房があった説をさらに裏付ける証となるのか。非常に興味深く拝観。


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次に訪れたのは岡山県立博物館。
こちらでは特別展「護国山曹源寺」が催されており訪れることに。
常設展に展示される仏像にも期待をしていたのですが、今回は特別展に合わせお隠れになっており次への課題となりました。
展示されていた仏像は江戸期の像が殆どではありましたが山門に安置される宝冠釈迦如来坐像や羅漢像は見応えたっぷり。


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午後の1寺目は余慶寺。
秘仏となっている観音堂の千手観音菩薩像は2、3年前にご開帳があったそうですが今回訪れたのは本堂奥の収蔵庫に安置されている薬師如来坐像、聖観音菩薩立像、十一面観音菩薩立像の三尊。
国宝 醍醐寺薬師如来坐像に非常に良く似た素晴らしい方で見事な造形でした。
平安初期の圧倒的な圧を持った物凄い方でしたね。
ご住職もノリノリで拝観させて頂きました!


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続いて遍明院。
こちらには平安後期となる五智如来像が!
深ーい瞳をされた5体の如来像が安置される収蔵庫は、本当に心震えるほどの空間で素晴らしかった!
大日如来を見つめていると胸がドキドキして心拍数がかなり上がってしまいました。
ここは凄いですよ!凄すぎて息苦しくなってしまったほど!


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そしてお隣りの東寿院へ。
なかなか拝観の難しい塔頭らしかったのですが、代替わりがあったのか非常にスムーズに拝観予約の許可を下さり、拝観当日も気持ちよく拝観をさせて頂きました。
こちらには鎌倉時代の大仏師 快慶の作となる阿弥陀如来立像がご本尊としてお祀りされています。
火災の被害にあわれたとの事で螺髪部分は室町頃の後補となっているそうですが、元あった螺髪の型に合わせるように、造形を損なわないようにと修復が施されており、当時の修復の流れからは特異な像だそうです。
この頃の修復って完全に像容を損なう修復であったり、尊容を変えるような修復が目立ちますがこの像に関しては当時の像容を尊重した修復がされました。


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最後に訪れたのは明王寺。
もう凄い聖観音菩薩立像が!
平安初期の造形で衣文の表現は物凄く、厚い波の表現から緻密な波の表現からもう凄い。
そして光量がまたいい感じでお像を最も美しく威厳あふれる様に照らし出してくれていました。
この日巡った仏像はどれも素晴らしくため息をつき通しの一日でしたがこの方は凄かったなぁ。


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夕方の渋滞する中国道を抜けて帰り着いた奈良の地で打ち上げ。
もちろんへいぞうさんでワイワイ楽しむ、見仏→へいぞう という黄金コースでこの日を締めくくりました。
仏友さんを連れて巡った岡山の地。
もっと効率良く巡る事も出来たはずだなぁと反省点も多々ありますが至福の一日となりました。
詳細は後日アップするぞーーー!(いつになることやら...)


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宮城県・小針薬師堂「これぞ地方古仏!鳥肌たつ薬師如来の巻き」

高蔵寺から車で10分ほどで到着するのは小針薬師堂。
高蔵寺のご住職に案内され薬師堂内に安置されている鎌倉期の薬師如来坐像を拝観。
通常ではなかなか拝観することが出来ない像ですが、今回は仏像LINKツアーでご縁を頂くことが叶いました。


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ポツンと建つ小さなお堂の中、お厨子に安置される薬師如来坐像は建長6年(1254)の年号がある鎌倉中期の古仏です。
鎌倉期といえど写実的な都仏の像容ではなく、彫技的には簡素で簡易的な方。
しかし、このお像から伝わる魅力は彫技や造形美といったものではなくお像全体から発するオーラ、神秘的な魅力が伝わってきます。
小さなお堂であったため、10人程度に分かれて順次堂内へと上がり拝観します。
堂内へ入ってからも数列に並び順番に前へと進みお姿を拝観させて頂いたのですが、1列進み見上げるごとに、薬師如来に近づくたびにその尊容を変えていきます。
僅か数十センチ見上げる角度が変わるだけでも印象が変わりゾクゾクするような興奮を覚えました。
なにがどう違うのか、言葉で表すことは出来ないんですが鳥肌が立ち湧き上がってくる興奮に飲まれてしまう魅力がありました。



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この日 拝観させて頂いた仏像の中でも最も心に残りグッときた仏像。
頭部はやや大きめで優しいお顔をされた、造形美よりも像全体が発する地方古仏の魅力を存分に味わうことが出来る素晴らしい薬師如来坐像でした。
お姿は以下のHPから確認することが出来ます。
小野 幹 -東北の仏像-







小針薬師堂
宮城県角田市稲置字小針
TEL : 0224-65-2038(高蔵寺)
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納








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宮城県・高蔵寺「力強く坐す丈六阿弥陀如来坐像の巻き」

7月12日。
この日は3度目の参加となった仏像LINK様主催の秘仏めぐりツアーへと参加してきました。
今回巡る地は宮城県&山形県。そう!1泊2日の宿泊ツアーでした!
たくさんの仏友さんたちと秘仏を巡り、夜更けまで飲み明かすなんとも贅沢なツアーに参加させて頂きました。
あまりにも楽しすぎて大興奮に包まれた2日間の模様をこれから1寺ずつ紹介していきたいともいます。



当ブログにてツアー参加後の速報記事はこちら
仏像リンク主催!山形宮城仏オフツアー!ダイジェスト速報



8時40分、東京駅に集合し目的地へと出発するツアーバス。
バス内では恒例の参加者自己紹介を披露し、その後5時間かけて目的地を目指します。
まず向かった今ツアー1寺目は宮城県角田市にある高蔵寺阿弥陀堂。
高蔵寺由緒書きによると、阿武隈川の下流、角田市の西方に位置する高蔵寺は西暦819年に徳一菩薩が創建したと伝わります。
平安時代の建造物は、現在全国で二十六しか残っておらず、阿弥陀堂としては七ヵ所のみとなっており、現存する数少ない文化遺産で重要文化財に指定されています。


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ご本尊は同じく重要文化財に指定された平安時代後期、藤原秀衡とその妻が作らせたと伝わる丈六の阿弥陀如来坐像。
像高は270cmの寄木造りで、蓮華座から天井に届かんとする見事な透かし彫りの飛雲光背を合わせると518cmにも上る大きさです。
台座、光背共に当時のままで現存し、像容は非常に力強く厳しいお顔をされています。
体躯も平安時代後期のゆったりと穏やかなというよりは肩周りもガッシリとした力強さを持った方です。
平安時代後期から鎌倉期への過渡期の作風との事です。
通った鼻筋から厚みのある唇にゴツンとした顎などは非常に厳しさを感じ、威厳にあふれた強烈な尊容でした。
手も大きく、太く長い指に衣文表現にも平安後期の浅く整然とした表現よりは彫りが深みを増し力強さが目立ちます。
全体的に力強いオーラを発散する方で、個人的には鎌倉期への過渡期というよりは平安初期の力強さを感じたりしました。
お堂へ差し込む日の光が、尊容をより力強く見せてくれる素晴らしい環境で強烈な丈六阿弥陀を拝観するのでした。


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堂内には他にも大きく破損した阿弥陀如来坐像も安置され、この像はご本尊よりも5、60年も古い物だという。
胸部が破損したり、左腕を失ったりとかなり痛々しいお姿ではありますが、当時の寄木法が見て取れます。



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勝楽山 高蔵寺(こうぞうじ)
宮城県角田市高倉寺前49
TEL : 0224-65-2038
拝観 : 要予約
拝観料 : 300円
駐車場 : 有り








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兵庫県・石龕寺「丹波の山に躍動する肥後法橋定慶の仁王像の巻き」

大國寺を後にして次に向かったのは石龕寺(せきがんじ)。
こちらの仁王門には鎌倉時代の慶派仏師、肥後定慶作の仁王像が安置されています。
突然の休みだったので、予約せずとも拝観出来るところという事で、仁王門なら大丈夫だろうと訪れました。


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静かな山間の中に表れる仁王門は雄大で美しい。
安置される仁王像は重要文化財に指定され定慶作との事もあり、さながら収蔵庫の様な造りとなっており仁王門の中にさらに扉があり像が収められている。
開け放しとなっているのか、毎日開け閉めされているのかは分かりませんでしたが、僕が訪れた際は扉は開かれておりじっくりと仁王像を拝観させて頂きました。

誰もいない仁王門の前で静かに仁王像と向き合います。
じっくりと見ることは出来ますが頭頂部や足元は見えづらい。
像容は慶派らしい力強い写実的な仁王像。
肥後定慶と言えば鞍馬寺 聖観音像や千本釈迦堂 六観音像など観音像のイメージが強く、阿吽の力強い忿怒の造形はどうなんだろうと興味を持って見に来ましたが、さすがは慶派といったところですね!
やや簡易的な印象も受けますが衣の造形などからは定慶得意の宋風なはためきも感じられうむうむと一人頷くのであった。


吽形像
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阿形像
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本堂
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岩屋山 石龕寺(せきがんじ)
兵庫県丹波市山南町岩屋3
TEL : 0795-77-2345 (丹波市観光協会山南支部 )
拝観 : 自由
拝観料 : 紅葉期間中300円
駐車場 : 有り







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兵庫県・大國寺「1体で三如来を表す、一仏三身の如来像の巻き」

3時間ほど滞在した達身寺を後にし向かったのは車で40分ほどの場所、篠山市美間奥にある大國寺。
飛鳥の時代に空鉢仙人が国家安泰を祈願し、自作の薬師如来像を安置し開創したと伝わります。
播磨の国には空鉢仙人の伝承が多いですね。


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本堂は室町時代の建立、唐様と和様の折衷で当時の最新技術であったそうです。
重要文化財に指定された本堂内には藤原時代作とされる、これも重要文化財に指定される仏像が5体安置されています。
格子戸の奥、内陣に安置された5体の平安仏はライトアップされ浮かび上がるように目の前に現れてきます。


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ご本尊は「一仏三身」を表すといわれる薬師如来坐像。
頭上には宝冠を抱き、印相は阿弥陀定印。
そして定印を結ぶ手の平に薬壺を乗せています。
大國寺では薬師如来としてお祀りされていますが、文化財指定では大日如来。
非常に穏やかな静かな表情で、力を抜いたリラックスした状態に身をかまえ、見るともなく見ている表情で衆生が祈願するであろう外陣を眺めています。


一仏三身 薬師如来坐像
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阿弥陀定印を結ぶその手は後補だそうで、全体から感じる穏やかで繊細な印象とは違った丸く太い指。
江戸期あたりの補修だそうでご住職もやや残念そうに尊容に合わなくてと仰っていました。
宝冠、光背、蓮華座は当時の藤原時代の物がそのまま残る非常に貴重な物で、宝冠には当時の文様がはっきりと見て取れます。


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脇侍には中尊よりは一回り小さい阿弥陀如来座像と大日如来座像が。
阿弥陀如来像は背筋を伸ばししっかりとした目線で外陣に眼差しを向けます。
指はしなやかに花開くように印を結んでいらっしゃいます。
大日如来像はどっしりとたっぷりの量感を下半身に持つお方。
腹回りから太ももにかけての肉量が物凄いですね。
でっぷりとし過ぎやろ?!と思ってしまいます。


阿弥陀如来坐像
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大日如来坐像
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三尊とも非常に都仏の造形を見せますが、ご住職曰く、「都で造られたものが運び込まれたのではなく、実際のお堂を見て配置を計算し大きさ目線を考慮して造像されたと思います。仏師がこの地を訪れ、この地で彫られたと。」と、仰っておられました。




そして左右には持国天像、増長天像の二天が安置されています。
元々は境内に二天門があり、そちらに安置されていたとの事ですが現在は内陣にお祀りされ大迫力の造形で守護しております。
もう立ち姿が勇ましく見事!阿形像の持国天に吽形像の増長天、特に見事に感じたのは阿形の持国天像。
巻き上げてくる風をもろに感じさせてくれる衣のはためき、その迫力に負けない憤怒の相と迫りくる造形です。
増長天は腰に手を当てどっしりと構えます。
また、腹に彫り込まれる歯噛みバックルも素晴らしい。
技量溢れる細工という訳ではないですが武骨な彫り込みながら像容に非常に良く合った力強いバックル。
踏みつけられる邪鬼はこれでもかと踏みつけられ最早潰されております。
踏まれっぷりを披露する場を封じられ見せ場なし、と思いきや諦めた感で悲しみを表現しています。
素朴でプリミティブな2体の邪鬼が大人しくなってる様は素晴らしいですね。しかも2体なんですよ。


増長天像
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持国天像
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素晴らしい平安期藤原彫刻の仏像を堪能させて頂いた後に境内を散策。
境内には天満宮、大日堂、弁天堂など小さな社がありますが、通常こう言った社の扉は閉じられている事が殆どですが大國寺では全てご開帳。
お祀りされている各木彫像、石仏をじっくりと拝み、その愛らしさに心癒され大國寺を後にしました。


天満宮
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神像
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大日堂
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大日如来像
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弁天堂
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八臂弁財天像
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安泰山 大國寺(だいこくじ)
兵庫県篠山市美間奥162
TEL : 079-594-0212
拝観 : 8:00~17:00
拝観料 : 500円
駐車場 : 有り








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兵庫県・達身寺「丹波の里で出会う究極の仏像群の巻き②」

-つづき-

本堂から出た奥の収蔵庫には比較的破損の少ない仏像や、造像途中と思われる仏像など重要文化財に指定されている像を中心に安置されています。
収蔵庫正面には漆箔が施された中尊 阿弥陀如来坐像に脇侍の様に十一面観音坐像、薬師如来座像が。
たっぷり堂々とした量感に非常に薄く簡略化された衣文表現の中、薬師如来座像だけは肩口から胸元には繰り返し折りたたまれる表現や細かな衣文線が施され非常にお洒落。
時代的に違うのか他の寺院の像が集まったのか。この方たちは他の達身寺像に比べてお腹周りの量感がないんですよねぇ。
この辺りは後に触れます。


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中尊 阿弥陀如来坐像

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脇侍 十一面観音坐像

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脇侍 薬師如来坐像

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更に脇に安置された地蔵菩薩坐像は肩幅は広くゆったりと坐された方で、切れ長の伏した瞳が非常に慈悲深さを感じさせて下さいます。
じっくりと寄って眺めると切れ長で力強い瞳であることが分かります。
遠目に見る伏した優しげな印象からはまた違った深い強い意志を持った瞳の光を見ることが出来ます。


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地蔵菩薩坐像

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同じく慈悲深く力強い尊様を示す阿弥陀如来坐像。
同仏師の作かと思える魅力にあふれた阿弥陀如来坐像で平安後期の優しさと威厳が満ち溢れています。
地蔵菩薩坐像とは鼻筋が非常に似通いながらも口元はキュッと結んだ地蔵菩薩と、ゆるく口角を下げた阿弥陀如来とで違いは見て取れますが全体から感じる印象は似ていたように思いました。
非常に優れた仏師の見事な造像だと感じました。


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阿弥陀如来坐像

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そして、その阿弥陀如来の隣りに坐されているのが薬師如来坐像。
最も心惹かれた像で、体躯的にも尊容にもたっぷりとした量感を持ちどっしりとした安定感を感じさせる像です。
右手首は欠損し体部は全体的に磨滅していますが、膝先などの剥き出しとなった幾重にも重なる年輪の層が、あたかも衣文表現の如く映り非常に美しい。
全体的に見てもその尊容、体躯表現ともに地方の一流の仏師が彫ったであろうことが見て取れます。
この1体が放つ魅力はとてつもないものがあるように感じかなりの時間見入ってしまいました。


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薬師如来坐像

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力強い表情にゴリゴリと彫り込まれた紋表現を見せる非常に男性的な吉祥天立像。
腕から垂れ落ちる衣の衣紋が深く彫りこまれ見事。
眉を吊り上げてにらみつける様に見据える目線、力強く結んだ唇からも非常に男性的で、ともすれば憤怒相のようにも見えてくる吉祥天像でした。


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吉祥天立像

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抜群の色気を持った2体の聖観音菩薩立像。
見事なS字ラインを描く腰つきの艶めかしさは素晴らしく、その腰から延びる太い下半身がより力強く感じさせる。
尊容は大きな鼻に強く結んだ口元と非常に男性的ですが、この腰つきで非常に柔らかい印象を受け、力強さと優しさを感じますね。
もう一方は腰の捻りは抑えられていますが、量感を持った下半身は共通で尊容も非常に良く似ています。
薬師如来とも共通する尊様ですね。
非常に右手が長く、こちらも力強さと優しさを兼ね備えているように感じました。


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抜群のS字ラインを見せる聖観音菩薩立像

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力強く腕の長い菩薩立像

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他に3体並ぶ十一面観音立像は大きさや尊容に違いこそあれ、全体を通しての造形は非常に似通っており同工房で造像されたことを伺わせます。
衣文表現も非常に似ているのですが、何と言っても目を引くのはポッコリと突き出した腹部。
他に並ぶ聖観音菩薩立像や、兜跋毘沙門天像、先程紹介した薬師如来坐像などにも共通しており、いわゆる”達身寺様”よ呼ばれる造形です。

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達身寺は、元々仏師の工房があったのではないか?とも考えられています。
その理由に、本尊仏となるべきクラスの仏像が複数存在すること、1寺に1体祀ればよいとされる兜跋毘沙門天像が16体も存在すること、造像途中の未完の仏像がある事、そして共通する達身寺様の造形が見られること。
そのような事から、達身寺は「木彫仏の原郷」とも呼ばれています。
地佛的な尊様にポッコリと突き出したお腹。見事すぎてたまらないものがありますね。



達身寺様の腹部群
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本堂の脇にも素晴らしい破損仏が安置されています。
如来形立像に兜跋毘沙門天像。
かなりの破損と磨滅具合ではありますが、はっきりと達身寺様が見て取れる造形。
平安初期頃のタップリとした量感や力強さが感じれます。


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本堂、本堂裏収蔵庫、奥収蔵庫と80体の仏像が安置され、そのどれもが心に訴えかけてくる魅力を持っています。
美しく、力強く、慈悲深く儚い、おおよそ安置されている仏像のほとんどが”欠け仏”と呼ばれる破損仏ですが、素晴らしい仏像は朽ち方も素晴らしい。
いや、美しい朽ち方をしているから素晴らしく思うのか、うまく言葉では表せない魅力が達身寺の仏像群には溢れています。




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※仏像の写真は今回特別に許可を頂き撮影させて頂きました。
通常は撮影禁止となっておりますのでご注意ください。





十九山 達身寺(たつしんじ)
兵庫県丹波市清住259
TEL : 0795-82-0762
拝観 : 9:00~16:00
拝観料 : 400円
駐車場 : 有り









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迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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