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滋賀県・百濟寺「根付きで彫られた植木観音の巻き」

4月16日、5月21日と2度のお参りをしてきたのは3ヶ寺の秘仏本尊同時開帳が行われた湖東三山です。
8年前の2006年に天台宗開宗1200年記念で三山同時開帳が行われましたが、今回は昨年10月に開通した「湖東三山スマートインターチェンジ」を記念してのご開帳です。

高速道路の開通といえば昨年、一昨年と小浜市でも舞鶴若狭自動車道の全線開通を控え、若狭地域への観光誘客拡大を目的にと同時開帳が行われとのは記憶に新しいところですが、今後もこういった機会の特別公開が増えそうですね。
来年の秋?くらいに丹後丹波でも京都縦貫道の丹後方面の開通を記念してご開帳が予定されているとの情報もありますし。

まず最初におとずれたのは百済寺。
こちらでご開帳されるご本尊は植木観音と呼ばれる聖徳太子御自作の観音像と伝わり、太子が根の付いたままの樹木に十一面観音を彫られたことに由来します。

寺伝によると、聖徳太子が慧慈と共に湖東の地に来られた折り、毎夜 東の山中に瑞光が見られたので慧慈に尋ねたところ、翌朝、慧慈の案内でその場所へと分け入ると上半分が切られて光明を放つ杉の巨木が立っていた。
この杉の上半分の幹は百済の龍雲寺の本尊十一面観世音菩薩像を彫る為に運ばれたそう。
そこで太子は、素晴らしい御衣木を得たと根の付いたままの下半分の幹に十一面観世音菩薩像を彫ったと伝わっています。
また、当時の先進技術・文化が百済から日本に移植・定着されたという意味もこの植木という言葉には込められているそうです。


桜の時期と新緑の時期の対比写真
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桜の時期と新緑の時期に二度訪れ、それぞれの美しい景色を楽しみながら登る参道。
ゆっくりと登り見えてくる仁王門からはまさしく異世界への扉の様な神々しいオーラが感じられます。
静かな景色の中に表れる仁王門の神秘さは素晴らしい。
石段を登り、ゆっくりと、徐々に、見えてくる仁王門やお堂の屋根に感動し興奮するのは僕だけではないはず。

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本堂へ上がらせて頂くと通常であれば外陣からの拝観となりますが、今回は内陣へと入ることが出来ます。
一昨年に紅葉の時期に訪れたとき、外陣より拝観した室町期の聖観音菩薩坐像、如意輪観音菩薩坐像も間近で拝観出来ました。
しかし、やはり釘付けになるのはご本尊の十一面観音菩薩立像。
こう言っては申し訳ないですが流石にこの独特な妖しさを発散させるご本尊の前には脇侍さん達は霞んでしまいます。
それ程までにご本尊から漂う空気は拝観者を飲み込むほどの粘度を持っていらっしゃいました。

非常に広い方幅を持ち、怒り肩のように首をすぼめ、その上に乗るお顔の特異さ。
独特のお顔で、目や鼻口がキュッとしています。 力が入りすぎたような印象も。
下半身に見える衣文の表現は、まさに刻んだというような力強く荒々しい彫り口がうかがえ、洗練された造仏とはまた違った真に迫る魅力を感じさせてくれます。
何とも言えない、言葉にできない魅力と雰囲気を全身から発散させる十一面観音菩薩立像に完全に飲まれてしまいました。

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釈迦山 百濟寺(ひゃくさいじ)
滋賀県東近江市百済寺町323
TEL : 0749-46-1036
拝観 : ご本尊は秘仏
駐車場 : 有り













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プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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