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京都府・京都国立博物館「南山城の古寺巡礼展の巻き」

5月1日前期展。
5月28日後期展。
京都国立博物館で催されている「南山城の古寺巡礼」展に上記日程で2度訪れてきました。
非常に充実した内容で、この南山城という地域に残された仏教美術の質の高さや重要性が如何なく示された素晴らしい展覧会です。
南山城の寺院に関しては過去に数度訪れており、ほとんどの仏像は1度ないし2度拝観している方々ですがまた別の魅力を感じさせて頂きました。

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今回スポットがあてられた南山城という地域は、京都府の南部に当たり、京田辺、木津、加茂町など木津川流域一帯を指す呼称で、文化的には京都でありながら隣接する奈良の影響を色濃く受けた地域であり、当時の最新技術を持った渡来系の人々が多く住む地域でもありました。
その為、他の地方に先駆けて大規模な伽藍を有する寺院が多数築かれ、平安時代以降には山岳修行の地ともなり、奈良や京都の大寺の争いを逃れた高僧たちが庵を結んで隠棲する場所ともなります。
その結果、この地には多数の優れた仏教美術品が残される文化財史的にも非常に重要な地域となっています。

それらの文化財を一堂に会し、また3年に渡る文化財調査の成果発表の場として催された南山城展。
第1章「南山城の歴史と文化」から始まり、第2章からはそれぞれの地域、寺院に分類され あたかも南山城の寺院を順番に訪れていく感覚になります。
まさに南山城の古寺巡礼であり、交通の便的には訪れることがなかなか難しいとよく聞くこれら一体の寺院を巡礼する疑似体験をさせて下さいます。

当ブログ的にはやはり仏像に注目していくわけですが、大注目はやはり浄瑠璃寺と岩船寺の章で展示された秘仏 大日如来像と薬師如来坐像でしょう。
浄瑠璃寺 灌頂堂に安置される大日如来像は通常非公開で年に3日間のみの公開(1/8~1/10)。
その秘仏が全期間を通してお出ましとなりガラス越しとはいえ間近より拝すことが出来ます。
像容は一目して慶派仏と感じることができ、運慶作として名高い円成寺 大日如来像との共通点が多く、顔つきなど細部の特徴は運慶の父 康慶の作風とも共通すると指摘されている。
頬の張りや肘の張り等、穏やかで大人しい作風から、円成寺像などを手本として造像された鎌倉時代初期の慶派仏と考えられているようです。
確かに言われてみれば円成寺像と比べ勢いというか張りが抑えられた感はありますが、それでもなお凛々しく若々しさの伝わる素晴らしい像容です。
後補の泥地彩色が剥されたことにより、はっきりと現れたその尊容がこの像の魅力を伝えてくれます。

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同じく浄瑠璃寺 三重塔に安置されている薬師如来坐像は正月の三が日、毎月8日、お彼岸と年に限られた期間しか拝観することが出来ません。
また、拝観時期でも拝観距離が遠く像容ははきっりとは見えないとか。僕自身は現地ではまだお会いしたことがないので断言は出来ませんが。
その秘仏 薬師如来座像が後期展示内に(6/1まで)出展されています。
浄瑠璃寺はその寺名からも分かるように薬師如来の住む東方浄瑠璃世界に由来します。
本像が浄瑠璃寺の創建と深く関わっていることは間違いなく、当初の本尊であったとも考えられています。
非常に神秘的なお顔をされた薬師如来像で平安後期の作ではありますが力強く堂々とした男性的な像だと感じました。
胸板の感じなどは筋肉質な感じで、首周りから肩口に掛けても非常に逞しく感じます。
斜め前方より拝すとめちゃめちゃイケメンでグッとくる。
この1体が見たいが為に後期展を訪れたのですが間違いないです。
本当に素晴らしい薬師如来坐像です。

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書き出せばキリがなく終わらないので(笑)、この南山城展のメイン仏について。
南山城の2大巨頭、寿宝寺 千手観音菩薩立像と禅定寺 十一面観音菩薩立像。
共に南山城を代表する素晴らしい仏像で今回の展示でも中央の部屋で一際目立つ展示をされていました。

寿宝寺 千手観音像は昼と夜の顔を持つと言われる千手観音菩薩で、寿宝寺にて拝観すると収蔵庫の扉を開け閉めして下さり光りの当たり方を調整し昼夜の顔を見せて下さいます。
今回の展示では光が正面から当たることによって浮かび上がる厳しい昼のお顔と、上からの光により影をもたらす慈悲のお顔の中間的な斜め上からの照明で展示されていました。
どちらかといえば夜寄りの慈悲深いお顔が浮かび特に横から拝むお姿は陰影が見事で素晴らしかった。
暗く影を落とした瞳、鼻筋、唇のラインが本当に美しく感動します。
横からの拝観は寿宝寺では出来ない拝し方ですのでこの展覧会だからこそ実現した美しさでしょう。

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禅定寺 十一面観音菩薩立像 像高は286.3cm。
堂々たる大きさの十一面観音像で材質は主要部分をサクラ材で彫りだしヒノキ材を併用している。
この当時、通常であればヒノキのみで彫りだされることが一般的であったがサクラ材を利用していることからそれが神木であった等の特殊な事情が想定されるそうです。
足元に見せる翻派式の衣文や各所に見せる渦紋表現は素晴らしく、これだけの巨像でありながらも細部までが非常に美しいです。
なまめかしい腰つきから しなやかな指先まで巨像とは思えない繊細さがあふれています。

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他にも寿宝寺の155cmを超える降三世明王&金剛夜叉明王。
ダイナミックで荒々しく飛び出す双眸が圧倒的。
野性的で吼える声が聞こえてくるような迫力が迫ります。

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禅定寺 地蔵菩薩半跏像は美しい。
見事に流れ落ちる衣文に、左足をやや開き気味に垂下させるその姿は静かで尊い。
この方が荒ぶる降三世&金剛夜叉の両明王の向かいにいらっしゃるのが対比があって面白い。

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神童寺蔵の愛染明王、白不動明王、日光月光両菩薩像も素晴らしい。
この神童寺像は弓矢を天に向けて構えるお姿で、その造形から天弓愛染明王と呼ばれるお姿。
天弓愛染の造形は天台宗の円珍が日本へ請来したものと伝わりますが、その残存は真言宗寺院に残されているそうで、天台系から真言系へと広まった理由など謎が多い尊容だとのこと。

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白不動は非常に可愛らしいような一見すると童子像にも見えるような像で特徴は天台僧円珍が感得した金色不動との共通性が高いそうです。
その特徴は左より垂らす弁髪がない事や、上半身は裸身で条帛もまとわない。裳裾が大きくめくれ上がり膝を見せるなどなどなど。
寺伝でも波切不動と言われ、通常は空海が帰国の途上に船中で嵐にあった折に表れ救ったとされる不動ですが寺伝では空海ではなく円珍を救ったとなっているそうです。
天弓愛染と並び真言寺院の神童寺に伝わる不思議を感じます。

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前期展で造形をじっくりと楽しみ、後期展では購入した図録に目を通してから時代背景や考察を通して拝してきました。
当ブログでは仏像ばかりを取り上げていますが、仏像以外にも仏画や縁起書、仏具、出土品など見どころはそれぞれにあると思います。
会期は6/15まで。一度訪れた方も是非二度目を。まだ訪れていない方はお忘れなく!

今回の南山城の古寺巡礼展で、間違いなく南山城を巡ろうと心に決めた方は多数いらっしゃると思います。
もちろん僕も必ず再訪しようと心に決めました。
博物館で見るのとはまた違った魅力を見せてくれるでしょうし、本来あるべき場所にいらっしゃるお姿を拝してこその特別展だと思わされました。



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※仏像写真は全て図録および京都 南山城の仏たちより
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京都国立博物館
京都市東山区茶屋町527











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東京都・東京国立博物館「時を超える仏の救いの巻き」

東京国立博物館 法隆寺館。
圧巻でしたね。
度肝を抜かれたと本気で書きたい。
何この理想郷?!そんな思いが頭に浮かぶ。

展示室一面に広がる白鳳金銅仏群!
どれもが吸い込まれるような魅力にあふれた金銅仏です。
あっちもこっちもカワイイ。
幼児体型的な愛嬌のあるとんでもなく可愛らしく美しい仏像群が整然と並ぶその一室は圧巻でした。
限られた時間の中で全てをじっくりと見る事は出来ないので全体をぐるりと2度回って、この日 思わず立ち止まってしまった仏像をじっくりと見てきました。
また次訪れたときは別の仏像の前で止まるんだろうなぁ、その日その時の心のありようで惹かれるものが変わるのが仏像の不思議さ。

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一面に寄せる波のように広がる金銅仏。
水瓶を持ち静かに佇んでらっしゃる方や、施無畏与願印を結び慈悲深き佇まいの方。そして思惟手をそっと頬にあて瞑想されている方。
どれもが美しくて可愛らしくて油断すると涙が溢れそうになる素晴らしさ。
救ってくださる立場の観音様達なのに何故か抱きしめてあげたくなってしまう。
飛鳥の時代よりずっと救い続けてこられた観音様。
1500年の時を施無畏し、与願し、思惟し続けている。
この先もずっと変わらず救い続けて下さる観音様に言葉では言い表せない想いが溢れてしまいました。


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東京都・東京国立博物館「憧れのトーハク仏の巻き」

4月20日。
前日はyo_kkunが企画された秘仏ツアーを巡り、夜は親睦会で飲み倒し、朝起きるが辛くまだまだ寝ていたいとホテルのベッドからなかなか出られませんでしたが、ここだけは行ってみたいと東京国立博物館へと行ってきました。
重い足取りでトボトボと歩いていたのですが、トーハクが見えた瞬間にテンションが上がりました。

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会いたかった数々の仏像がこちらにはいらっしゃいます。
その全てが展示されているわけではありませんが、素晴らしい方々にお会いしてきました。
巡った全ての仏像を詳細に語ることは出来ませんので特に感動した方々をピックアップしてお伝えしたいと思います。

まずは神奈川県立金沢文庫でお会いした菩薩半跏像と非常に良く似た造形をされた日光菩薩踏下像。
奈良時代の木心乾漆像で、もとは高山寺薬師如来像の脇侍として東京藝術大学の月光菩薩像と共に祀られていたそうです。さらに古くは亀岡の金輪寺の像であったとか。
非常に写実的で堂々としています。
損傷の激しいところもありやや痛々しさは感じるものの それでもなおあふれる尊厳は素晴らしいですね。
足元に表現される衣文のうねりも迫力があり垂下する左足にかかる衣のはためきも凄いです。
また、右足の膝周りの量感も逞しい!
慶派仏師たちが、天平佛の修復作業の中から学び、よりリアルで写実的な造仏を生み出していったのが非常に良く分かる菩薩像です。

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ずっとお会いしたかった秋篠寺の十一面観音菩薩立像。
写真を見た瞬間にしびれにしびれまくった十一面観音です。
お出ましになっているとは知らずに展示室へ入り目に留まった瞬間、腰が砕けそうになりました。
写真以上の迫力でした。
8頭身ほどかと思われるスタイルの良さに、腰をやや屈め、まさに歩き出そうとする非常に動きのある像容です。
左足を上げて歩き出そうとした一瞬のようで体もやや左へ傾倒しているか。
衣の表現はゴリゴリでバキバキ。
ぶっとい衣文線にヒラヒラと波打ちまくる大仰なほどのはためき。
天衣までうねって捻って美しい。よくぞ彫りあげたとため息が出る。
お顔も独特のお顔で腫れぼったい目で遠くを見つめます。
への字に結んだ口元と合わさって非常に意志の強さを感じました。
人差し指をすっと伸ばしたラインの美しさに惚れ惚れしながらため息をまた一つなのでした。



同室におられた多聞天像。
大迫力の方で畏怖堂々って感じです。
太い体躯にがっちりと纏う甲冑に立派な獅子面。
肩口から腹、膝頭に彫りこまれた見事な獅子面がむちゃくちゃカッコイイ。
頭上に掲げた宝塔の高さがより一層に気高さを感じさせます。
尊容は獣的なお顔ですが地方仏師等の獣顔ではなく、知性が宿っているような自信に満ちた輝きを見せます。
首をすぼめたような肩口からグっと腰を捻り臀部を突き出し、右腕も内へとねじり衣文も巻き込むように捻り流れていきます。
もう随所がカッコイイ。 まさにグッとくる仏像でした。


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法隆寺館へ続く。。。





東京国立博物館
東京都台東区上野公園13-9









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東京都・明王院「像高33.9cm!室町期の院派仏 如意輪観音像の巻き」

実相院からさらに移動を重ね向かったのは明王院。
到着する頃にはすでに夕暮れで、通常であれば拝観させて頂けるお時間ではないと思いますが今ツアーでは特別にお堂へ上がらせて頂きます。

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明王院。
1178年に源為義の三男 源義広が創建した古刹で、朱塗りの不動堂はその色から「赤不動」と呼ばれ知られています。
ご本尊の不動明王像は1月、㋄、9月の28日のご開扉。
今回拝観させて頂いたのは、通常であれば東京文化財ウィークの際にのみ公開される如意輪観音菩薩像です。
拝観の前にご住職からスライドを利用した詳細な説明を受けます。
その説明によると、像からは銘文が発見されており、その造像は1369年に院秀の作であることが判明しています。
またこの像は近年に京都で修復作業を受けており、どの様に修復がされたのかを細かく教えて頂きました。

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そしていよいよ拝観です。
修復前のお姿は髻がなく候補の宝冠を頭に掲げています。
本来六臂である腕は4本を欠損し、思惟する右腕と触地印を結ぶ左腕の2本のみ。
修復の際、作者が室町期の院派仏師であることから同時期の院派仏師の仏像を参考にし髻を復元します。
後補の宝冠は年代にそぐわないとの事で外されていました。
修復前のお姿はどこか頭の大きな童子のようなお姿に見えるのですが、実際にお会いした修復後のお姿は立派な高く結いあげられた髻のおかげか、非常にバランスが良くなっているように感じ、さらには大人びたようにも感じました。
非常に優れた小仏で見応えがありました。

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拝観を終え外へ出ると日は落ちはじめ一日の終わりを感じさせました。
非常に有意義で楽しかった秘仏ツアーも明王院で終了。
総勢74名の大移動をしながらの拝観で大きな事故やトラブルもなく終えれたことに感動と感謝の気持ちでいっぱいです。
多くの仏像仲間と知り合うことが出来てそれが何よりも嬉しかったかな。
行程を終えた一行はこの後親睦会へとなだれ込み仏像談義やいろんな話をたくさんさせて頂きました。
本当に楽しい一日の締めくくりでした。
次の仏像ツアーも参加させて頂きます!




明王院(みょうおういん)
東京都足立区梅田4-15-30
TEL : 03-3852-7378










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東京都・実相院「霊木感ありありの聖観音菩薩立像の巻き」

横浜の龍華寺を後にすると、そこから東京都足立区へと大移動。
向かう先は実相院、12年に1度のご開帳がされています。

実相院は、天平年間の行基菩薩による開山といわれ、当寺付近一帯を横沼と呼んでいたことから横沼寺と寺号がついたといい、前九年後三年の役では源頼義・義家父子が戦勝祈願をし寺領を寄進したといいます。
ご開帳されているご本尊は平安時代と推定される聖観音菩薩立像で都の文化財に指定され、古くから子育て観音として地域の信仰を集めており、お参りするとお乳の出がよくなると言われています。

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拝観は本堂の外より眺める形で遠く暗い。
そのため、像容を確認することは難しくどの様な仏像であったのかを伝えることは出来ませんが、霊木から彫りだされたような、一木造りの神秘的な方だなという印象だけは感じました。
右手をグイッとアゴ元へ持っていくような窮屈な姿勢だったような。。。
下半身は彫りこまれていないような木から彫りだされている途中の様な立木佛的な雰囲気。
遠く見えないからこその想像で見る事からの僕の脳内で作り出した像容かもしれませんが(笑)

もちろん間近で拝観出来るに越した事はありませんが、見えない像容をみんなでどんな姿?どんな感じ?とドキドキするのもまた楽しい拝観でした。もっと近くで見たかったけど(笑)

ご本尊のお写真はありませんので山門にいらっしゃるユーモアな仁王像を。
昭和初期の悪役プロレスラー的なニヤニヤが止まらなくなる仁王様がお出迎えして下さいますよ♪

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寶光山 実相院(じっそういん)
東京都足立区伊興4-15-11
拝観 : 午年4月ご開帳










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神奈川県・龍華寺「力強き大日如来!笑みの大黒!美しき地蔵菩薩!の巻き」

金沢文庫を後にし、昼食後の集合場所は君ヶ崎稲荷神社。
国道沿いにひっそりとたたずむ神社で、国道側には無縁供養塔と石仏群。
境内に座り込みボーっと景色を見るともなく見ているとなんだか気持ちがいい。

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集合時間になり民族大移動で龍華寺へ。
境内は牡丹祭り?で賑わい多くの人出でした。
龍華寺では特別公開されているご本尊 大日如来像に加えて、当ツアーの為に特別に公開して下さっている三面大黒天と地蔵堂の地蔵菩薩坐像を拝観させて頂きました。

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本堂内陣奥に蝋燭ゆらめく灯りで照らし出された密の雰囲気が溢れ出す鎌倉期の大日如来像がいらっしゃいます。
力強い唇と見据える瞳は男性的で、胸の前 高くに結んだ智拳印が蝋燭の灯りにゆらめき非常に雰囲気を醸し出します。
くすんだ金の色が薄暗い堂内の中に浮かび上がっていました。

そして外陣からの真ん前にはお厨子にいらっしゃる三面大黒天。
三面というよりは肩口に弁財天と毘沙門天の頭をのせているようなお姿で正面のお顔は非常に優しい微笑んでいるようなお顔でした。
僕の下手くそな写真では全く分からないんですが目がへの字に垂れるくらいの好々爺って感じでしたよ。

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この2体の仏像を拝観させて頂いただけでも満足だったのですが、地蔵堂で地蔵菩薩が拝観出来ますよと。
見逃さないでと主催者様から教えて頂き慌てて地蔵堂へ。
涼しげな瞳で下方を見つめる美しい地蔵菩薩坐像がいらっしゃいました。
ハラハラとはためく衣に見つめる瞳は非常に美しくため息が出ます。
下方を深く見つめる瞳にクラクラしながら夢中で拝ませて頂きました。

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知足山 龍華寺
神奈川県横浜市金沢区洲崎町9-31
TEL : 045-701-6705






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神奈川県・金沢文庫「東国の天平佛!脱活乾漆の菩薩半跏像の巻き」

午前中最後の予定地は金沢文庫。
こちらでは期間限定の特別展示で天平時代の脱活乾漆像が展示されているので拝観させて頂きに来ました。


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その菩薩半跏像ですが1998年に龍華寺から破損した状態で発見され修復され、その後にさらに市の文化財修理補助事業として復元されたそうです。
発見当初は破損状況の厳しさやなどから左右の足が逆に修復されたとか。
本来右足の踏み下げ像であった像が左足を踏み下げる形に修復されてしまいます。
しかし市の文化財修理補助事業で専門家の方々の慎重な検証により本来のあるべき姿へと修復され今のお姿になられたそうです。

また、兵庫県・金蔵寺の頭部が天平時代の乾漆像(胴部は江戸期の候補で木造)の阿弥陀如来像との類似性が指摘されているそうで、像に用いられている脱活乾漆造りは非常に手間と費用がかかる技法であり、そのほとんどが奈良を中心とした近郊に現存している事からも、この菩薩半跏像が元々は関西方面にあり、ともすれば金蔵寺阿弥陀如来像の脇仏であったのではないか?とも考えられているそうです。
これら情報は展示板などに記載されていたものではなく、秘仏ツアーに参加されていた知識豊富な方々のご高説より頂きました。
このような知識情報が自然に周りからあふれてくるなんとも贅沢な環境で、およそ一人で拝観していたらそんな知識もなく見ていただろうに、謎とロマン多きこの魅惑的な菩薩半跏像の色気にうっとりとしながら拝観させて頂きました。

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ネットより








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2Fでは特別展の「中世密教と<玉体安穏>の祈り」展が行われています。
見どころは何と言っても歓喜天。
なかなか目にすることの出来る仏像ではなくそのお姿に興奮する。
さらには歓喜天曼荼羅なるものまで!
歓喜天だらけのその曼荼羅図の異様さは圧倒的で下方にいらっしゃる方は六臂のお姿。
足元が揺れるような異世界の情景が描かれていました。





神奈川県立 金沢文庫
神奈川県横浜市金沢区金沢町142
TEL : 045-701-9069
開館時間 : 9:00~16:30
休館日 : 月曜日









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神奈川県・影向寺「収蔵庫にひしめく薬師の世界の巻き」

1寺目の能満寺から凄い仏を見た。。。これは凄いツアーになるぞ?!との興奮に包まれその勢いのまま向かったのは徒歩で直ぐの影向寺。
軽々と歩いて向かいます、むしろスキップするぞってな勢いで。
夕暮れ時にはゾンビのようになるとは想像すらせずに。。。

影向寺。
奈良時代の天平12年(740)、聖武天皇の命を受けた行基菩薩によって開創されたと伝えられていますが、近年の発掘調査により、創建の年代は白凰時代にまで遡ることが明らかになったそうです。

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まずは本堂へ上げて頂きご住職からの法話を頂きます。
何はともあれ「極楽は西にありといえども東にも 来た道探せ 皆身にぞある」なわけですよ。

そして格子戸越しに見える薬師如来坐像。
なかなかのイケメンです。
じっくり見ようと思っていたところでご住職の法話が始まり見れなかったのですがお目当ての薬師如来はこの方ではなかった!
収蔵庫にいらっしゃるとの事で移動を開始します。
ご住職のお話にあったお薬師様の背中に海を感じることが出来るのか?!
でも本堂にいらっしゃる薬師如来も良仏だったなぁ、あまりじっくりとは見れなかったけど。

向かった収蔵庫は通常の公開時期でも中には入れずガラス越しでの拝観となるそうですが、今回の秘仏ツアーでは特別に中へ入れて頂き、収蔵庫内をぐるりと巡らせて頂くことが出来ました。
しかも写真撮影の許可まで戴き今秘仏ツアーの特別さを味わう。

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収蔵庫には仏像がビッシリ!
ご本尊薬師如来坐像に脇侍の日光月光菩薩に十二神将像。
藤原期の定朝様を見せる穏やかな薬師如来の優しさ。
木肌があらわになり木目の浮かんだ面相からはなんとも素朴さを感じ、僕の方も優しい笑みを浮かべて眺めてしまいます。
柔らかく流れていく衣文も素敵で背中を母なる海と感じた拝観者がいたというご住職の話も頷けます。
いや、僕は背中見たときは山だと思ったんですけどね(笑)


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脇侍の日光月光両菩薩像もご本尊とよく似たお顔をされています。
柔和な笑みを浮かべたような優しさに、平安後期の浅い衣文造りがその優しさをさらに際立たせているようです。
肩幅・二の腕はしっかりとしながらスーっと直立されたお姿。

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また、さらにその脇を固めるのが二天像。
動きは固く目を大きく彫りだされた非常に動物的な印象を受けた二天像。
しかし腰に据えた指にしなやかさを感じ固い中の柔らかさにうっとりする。
動きの硬い二天像に対し、躍動感がたまらない邪鬼像。
邪鬼の愛らしさ躍動感にザワつく仏像好きの面々(笑)
足良かったなぁ。
なかなかの演技派でしたねあの邪鬼はw


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そしてその後ろを守っている十二神将像。
造像の時代は南北朝と若くなりますが非常に表情が豊かで素晴らしい。
カッコイイというよりも。
切なさを感じたんですよね。
凛々しく遠くを見つめる像、グッと睨みを利かせる像、明らかに寂しさを見せる像などそれぞれの表情を見せるのですがなんだか哀愁の様なものを感じましたねぇ。
玉眼の潤んだ瞳からその様な印象を受けたのかもしれません。
もうめちゃくちゃメロメロになっちゃったなぁ。
本当に表情が素敵な十二神将像でした。


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大満足の収蔵庫を後にしご住職の営業トークにまんまと乗っかり寺院のパンフを購入します。
通常2000円が特別に1000円ですよ!買っちゃいましたね。
本当ならここで次の目的地へ移動だったのかな?
しかし、そのパンフで十王像が載っているのを見た方が、十王像がどこにいらっしゃるのかご住職に確認されたのです。
すると特別に安置されているお堂を開けて下さると。
時間が押しているんですが慌てて拝観させて頂きました。
江戸時代の像でこちらも素晴らしい。
そして同仏師作かと思われる奪衣婆の迫力!
本当なら見ることがなかった素晴らしい仏像との縁を頂けて本当にありがとうございました。
いやぁ~良かった。


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威徳山 影向寺(ようごうじ)
神奈川県川崎市宮前区野川419
TEL : 044-766-7932









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神奈川県・能満寺「12年に1度の聖観音菩薩像の巻き」

4月の19日、仏像部として数々の企画を運営されているyo_kkunさんプロデュースによる「春の秘仏ツアー」へと出かけて参りました。
初めての関東方面への仏像拝観である事、普段はなかなか拝観するのが難しい仏像を拝観出来る事に加え、自身が仏像を拝観するにあたり常に参考にさせて頂いたブロガーさん達をはじめ、たくさんの仏像好きな方々と知り合える素晴らしい機会に胸躍らせて参加させて頂きました。

この場を借りてもう一度お礼を言いたいと思います。
総勢が74名という通常であればツアー会社の大型企画クラスの秘仏ツアーを企画運営して下さったyo_kkunさん、班長を務めて下さった方々、本当にありがとうございました。
10名から20名で1班を形成して班行動での拝観という動きの中で行われたこの企画。
yo_kkunさんはじめ、それぞれの班を率いて行動して下さった班長さん、表には出ていない苦労は当然あったことと思います。
本当に楽しくて有意義な幸せな時間となりました。
心より感謝しております。
ありがとうございました!



さて、集合場所にて班分けが行われ(事前に班名は知らされていました)そぞれの自己紹介。
結構人見知りな僕はひどく緊張していました(笑)
しかし周りはみんな仏像好きなんだという仲間意識がそんな緊張を和らげてくれました。
この日一日を共に行動して下さった皆さんありがとうございました。
そしてまず向かったのは神奈川県川崎市にある能満寺。

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能満寺は天台宗の寺院で、もともとは影向寺の塔頭十二坊(薬師さまを守る十二神の一体づつを祀った脇侍)のひとつとして行基菩薩が創建したと伝わっています。
天文年間にこの地に移り快賢が開闢、観空が中興したといわれまています。

今回 能満寺を訪れたのは12年に1度のご開帳となる聖観音菩薩像を拝観させて頂くため。
本堂のやや奥に開扉されたお厨子が安置されています。
像高は101.3cmでカヤ材の一木造り。市重要歴史記念物。

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非常に肉感的で肩幅の広い逞しい方で、表情も凛々しくて鎌倉期を思わせるお顔の男性的な聖観音像でした。
足元のU字に太く彫られた衣文も合わせて平安初期を感じさせて下さる方なんですが、お顔とのバランスが悪くどこか不安定な印象を受けます。
背面に朱漆による銘文が記されており、それによるとこの聖観音菩薩像が本像がもとは岩川村 長命寺観音堂の本尊であったことや、江戸時代(1674)に修理されたことが分かるそうです。
このアンバランスなお顔は後世の修復により玉眼が嵌め込まれ、その際に作り直しが行われているとか。
この為、アンバランスなどこか姿勢の悪い様相となってしまっています。
しかし、その堂々としたたたずまいはなお素晴らしく見応えタップリでした。


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雨が降るかもしれないと予報されていたのになんのその。
見事に晴れた境内は秘仏公開を楽しむ人で賑わって大満足の1寺目。
総勢74名 本当に拝観出来るのか?!と不安ではありましたが、そんな不安を見事に吹き飛ばす滑り出しでした!


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星王山寶蔵院 能満寺(のうまんじ)
神奈川県川崎市高津区千年354
TEL : 044-766-0009











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奈良県・奈良国立博物館「鎌倉の仏像展の巻き」

大阪で「山の神仏展」「東大寺展」と素晴らしい両展を楽しんだ後は一路奈良へ。
奈良でも同時期に素晴らしい特別展が催されていますので、この日は美術館・博物館巡りということで3展目の奈良国立博物館へと向かいました。

「鎌倉の仏像展」。
鎌倉時代の初めに慶派仏師の手によって作られた新しい仏像の様式は、時代の寵愛を受け鎌倉幕府の要人が自らの手で建てた寺院の造仏に競って慶派仏師を登用しました。
また、西大寺流律宗の東国進出にともない、忍性、叡尊が相次いで鎌倉に下向。
南都律宗寺院における造仏の主要な担い手となった善派仏師も活躍の場を鎌倉へと広げていきます。
この結果、鎌倉の地にはエキゾチックでリアルな、迫りくる仏像が残されています。

鎌倉国宝館に収蔵されている仏教彫刻や仏画に加え、近隣の寺社からも素晴らしい仏教美術品の数々がお出ましとなっている展覧会です。
とにかく素晴らしい仏像の数々が展示されていますので是非とも訪れてもらいたい。

僕的に素晴らしいなと思った仏像を何点か紹介したいと思います!
もうダントツの素晴らしさでうっとりしてしまったのは浄光明寺の観音菩薩坐像。
首を傾げ下方を見つめている姿が気高く凛々しい。
瓔珞などの装飾品はなく、体全体に衣をまとい装飾的に波打つ造形がより一層と気高さを感じさせてくれるような気がします。
指のしなやかさや、足の指の表現など、もうどれをとっても素晴らしくてため息しか出ません。
観音菩薩とのことですが頭には水瓶を乗せています。頭に水瓶を乗せるのは勢至菩薩だと思うのですがこれいかに。
宋代の中国では仁王像の阿吽や観音勢至を逆に表現するのが流行ったとか言うのをどこかで読んだような記憶もあるようなないような。
図録の表紙も飾った素晴らしい方でした。

建長寺の千手観音菩薩坐像も素晴らしかった。
静かな穏やかな表情がいいですね。
視線が合わないこの表情にグッときます。
この手の表情の仏像はなんだか天平の匂いを感じてしまいます。
広いお堂で一人ぼっちでこの方とずっと向き合っていたいな、そんな風に思わせて下さる方でした。

円応寺の十王像も凄かった。
特に初江王坐像。
もうカッコ良すぎ。迫力ありすぎ。これぞ鎌倉。
ポーズもカッコ良く表情も力強くて躍動感が凄かったです。

驚いたのは水月観音!
想像していたよりもはるかに小さなお方でした。
等身大くらいかと勝手に思っていたので本当に驚きました。
小さい方ですがその存在感はめちゃくちゃデカい。
遊戯坐に坐されたお姿は堂々としていてなんとも優美でまるでモデルのよう。
ずっと会いたかった方にようやくお会いすることが出来て感無量。

また、法衣垂下像といった着衣の裾を台座に長く垂らして坐る像や、土門と呼ばれる衣文表現を持つ像など、鎌倉の地域に集中する造形の像も紹介されていて非常に興味深いです。
まだまだここでは書ききれないほどの凄い仏像が目白押しで1回では満足できないので「山の神仏展」「東大寺展」と合わせて再訪するに決まっています。

ん~~物凄い空間やったぞ。
なんてこった。
あ、極楽寺の釈迦如来坐像も良かったなぁ。
左手を返した説法印でなんだか妙に色っぽかったなぁ。
いやいや、書き出したらキリがないのでこの辺で。

もう一回行ってきます(笑)



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速報 5月1日 京都巡り!南山城展と非公開文化財特別公開の巻き

昨日の5月1日に京都へ出かけてきました。

この日の目当ては京都国立博物館で催されている「南山城の古寺巡礼展」です。
Twitterで見かける絶賛の嵐にめちゃめちゃ楽しみに出かけてきました。
ちょうど現在は非公開文化財特別公開の真っ最中という事もあり、公開中の寺院も含めて巡る。
しかし夕方からは別件の用事があったので特別公開で巡れたのは千本釈迦堂、尊勝院の2寺のみ。
残念ですが仕方ありません。

ではではまずは最初に訪れた千本釈迦堂。
快慶の弟子行快の作である釈迦如来坐像が特別公開。
通常は年に4回の行事の折りにだけ公開されるご本尊が公開されています。
千本釈迦堂へは過去に何度も訪れていますが、ご本尊と対面したことはなくいつもお写真でした。
この機会を逃すまじと凛々しく力強い釈迦如来坐像にお会いしてきました。

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次に尊勝院を訪れ地蔵菩薩像にお会いしてくる。
通称 米地蔵と呼ばれ親しまれている平安初期の地蔵菩薩立像。
その他にも多数の仏像群があふれ、またライトアップの具合も非常に良く密教の雰囲気が非常にあふれた空間を演出。
天台宗に良く見られる形式の脇侍が毘沙門天&不動明王。この2像が共にカッコ良かったなぁ。
内陣へ入り間近での拝観が許され非常にじっくりと見ることが出来ました。
尊勝院をチョイスして間違いなかったと思えた素晴らしい空間でした。

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そして京都国立博物館へ。
もう素晴らしすぎて圧巻でした。
詳しくは本編で書きたいと思いますが、この展覧会を見て思うことは南山城を巡りたい!
もうめちゃめちゃ巡りたくなりますよ。
南山城地域の仏像を一度に見れて巡る手間が省けた!良かった良かった!とは決してならない。
南山城への想いが爆発してしまう空間です。
必ず南山城を巡ろうと思わずにはいられない空間。
何度か拝観させて頂いたことのある方がほとんどでしたがそれでも強烈にお寺への再訪を思わずにはいられませんでした。
グッズも充実しててたまりません。
めちゃくちゃ購入しちゃいました(笑)

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特別公開で巡りたいお寺は他にもありましたが、それでも大満足な一日でした。
南山城展は浄瑠璃寺の薬師如来の展示期間に再訪しようと思います。
またあの素晴らしい空間に浸りたいと思います。









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迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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