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奈良県 ・ 東大寺 千手堂「東大寺の鎌倉期の巻」

4月10日。
東大寺の千手堂が特別公開されているという事で拝観に訪れました。
奈良県東大寺。
幾度となく訪れていますが未だ拝めぬ仏像がまだまだいらっしゃいます。
今回の千手堂 千手観音菩薩立像も初見の仏像であり、鎌倉期の千手観音であるとのことで期待に胸ふくらませ拝観へと出かけてまいりました。

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8日より1週間の公開で僕が訪れたのは公開から2日目。
にもかかわらず拝観の人出は穏やかなものでした。
大仏殿周辺は人人人の大賑わいでしたが。。(笑)
僕的にはゆっくりと拝むことが出来るので人手が少ないほうが良いです。
仏像好きな方なら人手が少ないと嬉しいですよね?(笑)

そしてその尊容の素晴らしいこと。
見事なまでの鎌倉期慶派系の仏像で美しくカッコイイ。
切れ長で憂いのある瞳は衆生を引き込む力がありますよね。
伏し目がちなところがまたイイ!
やや遠目での拝観であることから双眼鏡、単眼鏡を用いて拝観する者ばかり。
ん~人は少なかれどこの場に訪れているもの皆 仏像好きと見た(笑)
狭い厨子内の四隅を取り囲む四天王像や扉絵(複製)も素晴らしい。
何度も思うことですがやはり仏像はあるべき姿であるべき場所で拝観するのが一番グッっとくる。
神々しさが増し、何とも言えない畏怖の念とも言うべき恐れ多さが溢れ出す。
すなわちカッコイイのだ。素晴らしいのだ。
展覧会では味わうことの出来ない重厚な美しさがそこにはある。
寺内での特別公開の素晴らしさはそこにあるように思います。

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また通常は公開されていない指図堂がこの日はたまたま扉が開いており拝観させて頂く事が出来た。
普段は土日?だけということで平日が休みで仏像拝観に出かけている僕は巡り合う機会がなかったのですが良縁に恵まれ今回拝観することが叶いました。
法然上人掛け軸を本尊とされるお堂で、脇侍?には阿弥陀三尊像と阿弥陀如来坐像をお祀りしています。
当ブログで特筆すべきはやはり脇侍像になるか。
向かって左の厨子入り阿弥陀三尊像が素晴らしい。
完全に斜め立ちとなった阿弥陀仏に片膝立ちの観音菩薩に中腰の勢至菩薩と江戸期以降の自由奔放な造仏が楽しめます。
非常に美しい造仏でしかも撮影OK。
厨子扉絵の美しさと金箔の反射で神々しいまでの迫力があります。
ほとんど立ち寄られる方はいないと仰っていましたが仏像好きは是非とも立ち寄るべきでしょう。
機会に恵まれるなら必ずお立ち寄りして厨子入り阿弥陀三尊像の美しさを堪能して下さい。

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奈良県 ・ 西念寺「宿院仏師の十一面!の巻」

仏縁に恵まれ素晴らしい出会いをさせて頂きウキウキとした気分で最終目的地の西念寺へ。
名阪国道 福住インターをおりて少しの場所にあり車でのアクセスが非常に助かるので奈良見仏の際には是非とも予定に組み入れて頂きたいお寺です(車移動なら)。


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さてお目当ての宿院仏師の十一面観音菩薩は本堂横の収蔵庫(観音堂)にいらっしゃいます。
像高は180cmの等身像で、遠目に見た瞬間に感じるその異様なまでの霊験に圧倒されます。
素地造りで木目が非常に美しいのが宿院仏師の特徴ですがそこに施される彫眼彩色と唇の朱が異様なまでの存在感、畏怖さえ感じそうな存在感があります。
涙を浮かべたかのように潤む双眸の美しさがありながら意志の強さを感じる瞳の素晴らしさ。
オーロラの様にひるがえる衣の柔らかさ。
大福寺 十一面観音立像よりはやや硬い感じもありますが仏像好きにため息を漏らさすには十分な迫力と美しさを持った素晴らしき十一面観音菩薩像です。

尊容を見れば即座に宿院仏師の作だと分かるほどに特徴のある顔立ち。
これは頭頂の化仏にまで表れていて驚きました。
化仏までがみな同じ顔(笑)

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僕が宿院仏師が好きな理由にどこか垢抜けない匂いというか都仏師にはない地方臭さというかを感じるんです。
本当の地方仏ほどには地方色はないんですが、何か田舎臭いような土着的な暖かさと都的を目指した背伸び感というものを感じます。
そんな背伸び感が畏怖を感じさせるのか 僕の拙い言葉では表現出来ないし的はずれな思考なんだろうけど面白くて好きなんですよね。
宿院仏師を調べると、室町期になると俗人の仏師が現れるようになり宿院仏師がその最たる例だとのこと。
なるほどと思わずにはいられません。
このなにか垢抜けない造仏は俗世の匂いだったのかもしれません。
面白いです。

十一面観音の横には厨子に収められた薬師如来坐像がいらっしゃいます。
こちらももちろん宿院仏師の作。
顔見たら即座に分かります(笑)
造形は簡略化された衣紋につり目の双眸でややこじんまりとしているか。
頭部は螺髪ではなく清涼寺式釈迦如来に近いような巻き髪なんですね。
そういえば大福寺のご本尊 薬師如来坐像も同様の頭髪をされていました。
この繋がりはなんなのか?
西念寺像は共に宿院仏師作ですが大福寺の薬師如来坐像は違うはず。
たまたまの偶然なのか何か意味があるのか。。
1体1体の意味だけでなく全体での意味やいろいろな繋がりもあるのかもしれません。
興味が尽きることはないですね。

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西念寺
奈良県天理市福住町7146
TEL : 0743-69-2074




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奈良県 ・ 光堂寺 「仏縁にて巡り合えた平安古仏の巻」

極楽寺を後にし次の予定地は天理市へと飛び宿院仏師の十一面観音を拝観するのみでした。
しかし実は何度も拝観の電話をかけるも繋がる事がなく諦めていた寺院がありました。

今回の仏像拝観に際し周辺地域の仏像を検索した中で大和郡山市の光堂寺というお寺に県指定文化財の木造四天王像がいらっしゃることを知りこれはどうしてもお姿を拝したいと思い連絡を取ろうとしていたのですが繋がらず。。
断腸の思いで拝観を断念し予定を組んだのですが当日になるとやはり諦めることが出来ない。。
ダメ元で現地へ行ってみよう!と光堂寺へと向かいました。

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光堂寺は村中の一角にひっそりとたたずむ小さなお寺。
訪れるとそこには一台の車が。
もしや人がいらっしゃるのでは?と思い声をかけてみると、中から女性の方が出てきて下さり僕は必死で事情を説明し仏像の拝観をお願いしました。
するとなんと!お許しを頂く事が出来、中へと招き入れて下さいました。

普段は無住である為、拝観等の連絡があっても気づくことがほとんどないのだとか。
幾度連絡を入れても繋がらなかったのはその為でした。
思い切って訪れてよかった。これが仏縁というやつでしょうか。

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通された堂内にはお目当てとしていた四天王像に加えご本尊の薬師如来坐像、十二神将像がいらっしゃいました。
本尊の薬師如来坐像はイケメンでやや鋭い相貌をされていました。
薬師如来は独特な味わい深いお顔ってイメージが個人的にはあるのですがここまでのイケメン薬師は初めて拝んだかも(笑)
鼻筋がとおりきつく結んだ口元に伏した強い眼差し。
ゆったりと坐し持ち上げた右手の施無畏印。。
あぁカッコイイ。。

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そして四天王像です。
暗がりの堂内にすし詰め状態で安置されているため前の2体持国天、増長天は細部まで確認できましたが後方の広目天、多聞天はよく見えず。。
広目天に関しては大和郡山市のHPにてお姿を確認することが出来ます。
平安期の初期~中期の造仏だとのことで、像高はおよそ100cm。ややそれより小さいか。
力強く硬い印象のあるポーズで丸い目をした憤怒相。
これですよこれ。平安期の四天王像の魅力は。
硬い動きの中に感じる力強さと丸く突き出す眼球の迫力の憤怒相。
素晴らしいです。
まさかお会いできるとは思っていなかたので奇跡の出会いでした。
諦めなくてよかったと尊像を前にして深く深く感謝致しました。


大和郡山市 文化財HP


光堂寺
奈良県大和郡山市椎木町445
TEL : 0743-59-0057


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プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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