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奈良県 ・ 大福寺「宿院仏師の最高傑作の巻」

2月28日。

地元奈良の古仏巡りである。
最初の目的地となったのは広陵町の大福寺さん。


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聖徳太子の建立と伝えられ当時は東大福寺、西大福寺と存在したが現在は西寺のみ。
本堂は江戸時代中期の建築で本尊は薬師如来坐像(江戸時代)
客仏に1560年箸尾殿御立願による南都宿院仏師作の十一面観音菩薩および難陀竜王・雨宝童子や鎌倉期の不動明王立像を安置。

御本尊 薬師如来坐像の台座にはごくごく最近の十二神将がずらり。
30cmないくらいの色彩されていない小さなお像ですが非常に愛らしくかっこよくじっくり見たくなる十二神将です。
しかし、今回こちらの大福寺さんへ拝観予約をして見に来たのは室町期の十一面観音立像。
錫杖を持つ長谷寺式と言われる十一面なんですがそれだけではなく、脇侍に難蛇龍王、雨宝童子を従える長谷寺の十一面三尊形式と同じ三尊で安置されています。

十一面観音菩薩と難蛇龍王の像内に墨書があり宿院仏師の源次、原三郎、源四郎、源五郎一門総出の造仏だそうで宿院仏師の最高傑作だとか。
今回の仏像巡りのテーマは宿院仏師!
室町期を彩る色気あふれる造仏をした仏師集団です。

いきなりメインとなるであろう大福寺を訪れたのは以前訪れた折にご住職(尼さん)より、お堂に太陽が差し込む午前の拝観が一番望ましいと教えて頂いていたから。
しっかりと陽の光が入り込んだ堂内は非常に明るく最高の拝観環境でした。

三尊とも素地造りで色彩がほとんど施されていなく木目の美しさを最大限に引き出した非常に美しい仏像でした。
木目が非常に美しく肉の張り、衣を押し上げる量感などが見事に表現され息を殺して魅入ってしまいました。
十一面観音は若々しく意思の強い表情をされ雨宝童子は穏やかで明るい表情。
木目で与える表情の印象を変えます。

また彫りだけではなく木目の流れをそのまま衣紋の流れとした素晴らしい造形美で、元々は大工業をされていた宿院仏師は木の選出眼に優れていたというお話にもしきりに頷くばかり。

色彩を施された仏像は誤魔化しがきくが、素地作りは誤魔化しが効かない 経年劣化にも強く歪みや欠落が少ないという話も聞くことができました。
なるほど欠落や剥落といった歪みを全く感じない造仏当時のまま年を経た美しさを感じさせてくれる美仏でした。

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今回 仏像の写真に関してはお願いするのをやめました。
というのも絵葉書を作る予定はないのか訪ねたところあるとの事。
3年越しで計画中とのことでした。
というのもやはり絵葉書を求める声が多く写真撮影のお願いをされることもしばしばだとか。
許可をすると撮影する分にはいいのだけれど、写真に夢中になりすぎて周りの法具を倒したり仏像に触れたりする方がいらっしゃるとか。。。
非常に残念な話です。。。
てなわけで今回は撮影のお願いをすることが恥ずかしくなり我慢しました(^^;
でも絵葉書が出来上がった時には送ってくださると言って頂きましたので楽しみに待つこととします!



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大福寺
奈良県北葛城郡広陵町的場80
TEL : 0745-56-5484







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プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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