奈良を攻める!今回は宿院仏師だ!の巻

先週の仏像拝観記事が書き終わっていない最中ですが今日も行ってきました。
今回は室町時代に活躍された宿院仏師の仏像を追う!

まず朝一に北葛城郡広陵町 大福寺さんで十一面観音立像と難蛇竜王&雨宝童子の長谷寺式十一面三尊。
そして午後に天理市福住の西念寺さんで同じく十一面観音立像と薬師如来坐像。
計5体の宿院仏師作の仏像を拝観してきました。

その合間には阿日寺~極楽寺~光堂寺(奇跡的な拝観!)と巡り素晴らしい仏像群と出会って来ました!
少しずつ更新していきますので宜しくお願いします。
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京都府 ・ 壬生寺「美しき平安の薬師如来」

満足のいかない仏像拝観を繰り返すことになりややテンションの下がってきた僕が次に向かったのは壬生寺。
こちらには多くの仏像が歴史資料室に安置されているとの事前情報をキャッチしていたので乾ききった僕の仏欲を必ずや潤してくれるだろうと急ぎ足で訪れた(笑)


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到着するやいなや阿弥陀堂にある歴史資料館へ直行する。
こちらにいらっしゃる通称「歯薬師」と呼ばれる平安期の薬師如来坐像が素晴らしい。
金箔彩色は剥落し木肌があらわになったお姿ですがそれが非常に美しい。
穏やかな優しい薬師様ですね。
薬師如来というと特異な尊容というイメージがありますがこちらの方は穏やかで上品な阿弥陀如来のような印象を受けます。
ただ口をやや開き気味で笑みを浮かべているような印象を受けることから笑みで歯が見えると歯薬師と呼ばれているそうです。
じーっと見てみましたが歯が。。。見えるような見えないような(^^;
ただただ穏やかな落ち着きのある美しさに見とれるばかりでした。
写真がないのが残念です。
もちろん撮影不可やしネットにも無いねぇ。。。
どんどn記憶から遠のいてしまう(--;
今年中にもう一度お参りしようと思います。
中央仏と地方仏のいい感じの融合があったような印象が残っているのでもう一度お会いしたいです。
完全な記憶の混同かもしれませんが(^^;(笑)



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壬生寺
京都府京都市中京区壬生梛ノ宮町31
TEL : 075-841-3381









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京都府 ・ 廬山寺「黒光りの定朝様阿弥陀三尊」

聖護院を後にして向かったのは大蓮寺。

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DAIRENJI.jpg HPより


安産祈願で有名なお寺であり洛陽三十三観音巡礼の第八番札所となっています。
堂内の拝観は不可でお外から望む形での拝観となります。
洛陽三十三観音巡礼の本尊である十一面観音は外からでもなんとなく確認は出来るものの阿弥陀三尊はほぼシルエット。
また、秘仏の薬師如来立像は拝観不可で公開する予定もないとのこと。。。
2年前の非公開文化財特別公開で公開されたんですがその時のことをお寺の奥様にお伺いしましたが口が重くもぉ多分二度とない的なことをおしゃっていましたた。。。
なにかあったのかな?(--;
御朱印をいただき次の目的地である廬山寺へと向かう。





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廬山寺の仏像は定朝様の阿弥陀三尊が有名で脇侍の観音菩薩勢至菩薩は大和座りの来迎形式です。
楽しみに拝観に訪れたのですが。。。
見えぬ。。。見えぬのだ。。。
外陣からの拝観で距離は遠く中尊の阿弥陀如来には幕がかかりお顔は完全に幕の内。。。ort

絵葉書を購入し帰宅してからの絵葉書拝観を行なう(´・_・`)

廬山寺のHP写真も見ながら特徴をつかもうとするとHPと絵葉書ではまるで違った印象を受ける。
まず中尊ですが胸を張り堂々とした威厳ある姿は共通するのですが尊容に大きな違いを感じます。
やや口を尖らせ しかめたような表情に見え、やや伏し目のうつむき加減に見えるHP像。
対し、絵葉書像は慈悲あふれる穏やかなしっかり正面を向いた優しいお顔。
光加減で表情ががらりと変わるのが仏像ですが公式のHPと公式の絵葉書でこうも違う尊容とは。
断然好みは絵葉書像。
モノクロの効果が抜群なのかな。

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IMG_3555_convert_20130226204223.jpg 絵葉書



脇侍の観音勢至も違った印象を受けます。
こちらはHP像はやや上方からの撮影、絵葉書像は正面もしくは若干の下方かという角度の撮影の違いからくる印象の違いか。
観音菩薩がいい。
蓮の花を抱え込むように大事に大事に包み込むお姿のなんと可愛らしいこと。
若年の観音像のように見え あぁ愛おしいといった感情が沸き起こる。
両脇侍とも肩口から腰への引き締まりが抜群でスタイル良さを感じます。
細身であり蓮の花や蓮台を持つ腕の優しさがどこか儚くうっとりとさせます。



10seisibosatu_B_convert_20130226204749.jpg HPより

IMG_3553_convert_20130226204238.jpg 絵葉書

10kannonbosatu_B_convert_20130226204731.jpg HPより

IMG_3552_convert_20130226204230.jpg 絵葉書


絵葉書拝観ではなく内陣より間近で尊容を拝みたいものです。
いつかのご縁を願って。



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大蓮寺
京都市左京区東山二条西入1筋目下ル457
TEL : 075-771-0944
HP http://www.anzan-no-tera.jp/


廬山寺
京都市上京区寺町通広小路上る北之辺町397
TEL : 075-231-0355
HP http://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/






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京都府 ・ 聖護院「不動三昧の巻」

この日まず最初に訪れたのは特別公開中の聖護院。
通常であれば仏像の拝観には葉書による予約が必要となる敷居の高さはトップクラスなんですが今は予約なしで拝観できるとあって鼻の穴をふくらませて馳せ参じてきた次第。


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まずは仏殿ですがこちらには3体の不動明王に蔵王権現というとんでもない空間。
この静かな境内の美しい庭に面した仏間に憤怒相の仏像群の圧力は結構凄い。
霊験だとかそういったものにはまるで関心のない僕ですが 流石に圧を感じてしまうぞこれは(笑)
ガイドの方曰くは廃仏毀釈や戦後の動乱などで集まった客仏だそうですが、なかでも右端の不動明王立像は雨ざらしの状態だったそうで損傷具合から見てもそんな感じのする像でした。
しかしそんな痛みがよりオーラを纏わせるというか凄みを持たせ1番圧を感じましたね。
仏師の造仏技術に降り注いだ自然の力。
どれほどの期間だったのかはわかりませんが、風雨にさらされ朽ちる時間軸の中にいたお不動様が今はこの仏間で睨みを効かせている。
グッときましたね。

そして本堂になる不動堂にはご本尊の不動三尊を中心に向かって右に智証大師、左に役行者像。
智証大師像はよく本でお見かけしていましたが記憶通りのロケットだ。。。
頭が見事にロケット。
仮面ライダーフォーゼみたい(笑)
いやこんなん言っちゃダメ。
ダメだけど頭ロケット。
ほんと?
ほんとにこの方はこんな頭だったのかな?

さてさて、本尊の不動明王立像の素晴らしさ。
これぞ不動明王というスタンダードな方。
真っ黒に焚かれたその体躯が美しい。
しっかりと睨みを効かした相貌に胸を張り堂々と起立したその姿は美しいです。
左胸前に垂らした辮髪も炎のように表現されカッコイイ。
しかし、制多迦童子と矜羯羅童子。
実におじさんだ。
童子とは思えないほどの老け込みよう。
なかなか若々しい童子像の制多迦矜羯羅には出会わないなぁ(笑)
なんか大体が歳いってるような気がするんですが。。。
童子像と思えるのは運慶像と奈良の宝山寺の制多迦童子くらいしかパッと思い浮かばない。
いや、いいんだけどね(^^;

そんなこんなで聖護院を後にした。

Fudoh_convert_20130224214832.pngネットより拝借


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聖護院門跡
京都府京都市左京区聖護院中町15
拝観には事前に葉書予約が必要

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京都屈指の千手観音菩薩像を巡る

2月21日。

冬の京都を巡ってきました。
目的は雨宝院の千手観音菩薩像。
また現在開催中の龍谷ミュージアム 多田寺展を合わせて巡ろうと思い予定を組んだ。

その結果、現在冬の非公開文化財特別公開中の聖護院門跡・不動明王像&役行者像を経て、大蓮寺・十一面観音立像~廬山寺・阿弥陀三尊像~壬生寺・薬師如来坐像等~雨宝院・千手観音菩薩立像~龍谷ミュージアムと巡ってきた。

期待はずれ有り、期待以上有りの浮き沈みのある拝観(笑)となりましたが雨宝院の素晴らしさが全てを吹き飛ばします。
重要文化財指定に異議あり!!
国宝やろこれは!
と、ただただ感服してまいりました。
龍谷ミュージアムも期待以上で大満足。

詳細は後ほど!
来週にちょろちょろとUPしていきますので!







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日本仏像史講義

ご存知の方も多いと思いますが、別冊太陽40周年特別記念号と題し、仏像研究の第一人者 山本勉氏による「日本仏像史講義」が発売されています。

帯には「仏像の黎明から、造形の変転を繰り返しながらも伝統の命脈をいまだ保っている江戸時代末まで1400年の歴史を通観する。300頁、500余点の図版とともに仏像研究の第一人者が最新の研究動向を踏まえわかりやすく書き下ろす 仏像鑑賞者必携の一冊!」とのことです。

第一講
仏像の黎明──飛鳥時代
仏像の渡来と飛鳥時代の開幕
法隆寺の造像と飛鳥時代前期の金銅仏
飛鳥時代前期の木彫
飛鳥時代後期という時代
飛鳥時代後期の金銅仏と木彫
さまざまな新技法

第二講
古典の完成──奈良時代
平城京の寺と仏像
法隆寺の塑像
薬師寺金堂薬師三尊像と大金銅仏の系譜
興福寺西金堂の諸像
法華堂の諸像と東大寺
唐招提寺と西大寺
木彫の成立と捻塑系の新技法
神仏習合の成立

第三講
転形と模索──平安時代I
遷都と仏教の革新
転形の時代
承和様式の仏像
和様の萌芽
典型の模索
清凉寺釈迦如来像の請来

第四講
和様と耽美──平安時代II
平安時代後期の盛期と定朝
平等院鳳凰堂
和様の継承と耽美への沈潜
新時代への胎動
地方造像の拡大
南都復興の開幕

第五講
再生と変奏──鎌倉時代I
鎌倉時代の開始
運慶の御家人造像
康慶と南都復興
運慶と鎌倉彫刻の完成
運慶の周辺
運慶・快慶の二代目
鎌倉中期の京都・奈良・鎌倉
蓮華王院本堂の再興造像

第六講
伝統の命脈──鎌倉時代II
南北朝時代以後
鎌倉時代後期
南北朝時代
室町時代
桃山時代
江戸時代



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奈良県 ・ 与楽寺 「弘法大師坐像の巻」

川西町の仏像拝観の予定を終え帰路に着くつもりでしたが、比較的時間も早かったため帰りがてら散策していると与楽寺を偶然見つける。
以前にこちらの十一面観音菩薩立像の拝観をしたくお寺へ連絡させて頂いたことがあったのですが4/21のみの御開帳とのことで断念したことがありました。

たまたま通りかかったのも何かの縁かと思いお寺の方にはご迷惑だったかと思いますが突撃拝観(笑)
もちろん十一面観音様にはお会いできませんが本堂の拝観を許して頂きました。

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本堂には府指定文化財の弘法大師像が本尊として安置されています。
玉眼嵌め込みの前をグッと見据えた迫力ある尊容で衣紋表現も大きくうねる様で力強い。
後頭部内部の墨書銘から応安6年(1373)に僧行盛が制作したことが判明しています。

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脇には釈迦如来坐像と阿弥陀如来坐像。
また、小仏の聖観音菩薩立像がいらっしゃいます。
この中に客仏として十一面観音もいらっしゃったのですが、その胎内から天平時代の壇像風十一面観音が発見されます。
マユミの木を使い頭上面から蓮華座までを一木で彫り出し冠飾、瓔珞などを精密に彫刻されています。
宝冠や頭上面の位置が特殊で遣唐使により唐より将来された可能性が指摘されているそうです。

今年の4/21は日曜日なので僕は拝観無理だなぁ。。。
いつかご縁があると信じて楽しみにするとします。


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奈良県広陵町HP
与楽寺 十一面観音






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奈良県 ・ 白米寺(白米密寺) 「平安期の地蔵菩薩立像!の巻」

この日の最後の予定地は白米寺(はくまいじ)。
本来は白米寺(白米密寺)は「くめじ」(くめみつじ)というそうですが川西町のHPでは「はくまいじ」となっており この辺りは曖昧というか。。収蔵庫で頂いたパンフには「白米密寺」と記されているだけで読みはふられていませんでした。

さて、この白米寺ですが元は大和川右岸の高堂八幡神社付近にあったそうですが近世以前に廃寺となり遺物は分散し、石造物は下永東方の教願寺に、重要文化財の仏像などは八幡神社の収蔵庫に収められることとなったそうです。
今回拝観させて頂いたのは八幡神社境内の収蔵庫に安置されている仏像群です。
重要文化財に指定される2体と県指定の1体、そして十一面観音像や弘法大師像などが安置されています。


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ご本尊は阿弥陀如来坐像。
像高143.3cmの半丈六仏。桧の寄木造りで平安末期の定朝様を示す阿弥陀如来です。
穏やかでゆったり堂々とされ、快慶阿弥陀とはまた違う魅力に溢れた阿弥陀様ですね。
快慶の3尺寸の立像阿弥陀も素晴らしく大好きですが坐像阿弥陀はやはり大きい物がいいですね。
丈六の圧倒感が好きで小仏はやや魅力に欠ける気がしていますがこちらの像は半丈六で丈六には満たないですがそれでも十分な迫力。
平安後期のやや浅めの衣紋線が穏やかな優美さを出し力の抜けた肩口の雰囲気や大きめな頭部がいい雰囲気を出していると思います。
パンフ等には頭部が大きくバランスを失しているとありますが、見仏記でのみうらじゅん&いとうせいこう両氏曰くのパース感ってやつではないのかな?
遠近感を出すために頭部を大きめにしているのではないのかな?と思いながら拝観させて頂きました。
現在は収蔵庫内にて間近で拝観出来る状況ですが当時はお堂須弥壇のやや高めの位置に安置されるべく造仏されたのでしょう。
見仏記で両氏がよくされるように四つん這いになり仰ぎ見るように眺めてみるとその存在感は圧倒さを増してより素晴らしくなるのを感じる事が出来ます。
伏し目がちな優しい表情とゆったりとした体躯にこの仰ぎ見る圧倒感こそ阿弥陀如来”坐像”の醍醐味ではないでしょうか?


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脇侍の不動明王立像は鎌倉期の良仏。
像高は51.5cmの桧材の寄木造りと小仏ながらグッと胸を貼り天地眼に見据える眼力と大きな存在感を持ちます。
見事な截金彩色が施されていて見応えがあります。
パンフによると京都の峯定寺の重文不道明立像の系列に入る作例とのことです。
僕はまだ峯定寺を拝観に訪れたことがないので比較等は出来ませんが峯定寺の不動明王を模刻したものなのかもしれません。
非常に表情が良く勢いのある若々しさを感じます。
これはかなりの美仏ではないかと思います。イケメンのイケ仏ですね(笑)


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同じく脇侍には地蔵菩薩立像。
この白米寺収蔵庫で最も僕の心を掴んだ仏像です。
像高162.4cm 樟の一木造りで平安初期の特徴を存分に見せてくれる地蔵菩薩です。
深き刻まれた翻波式の衣紋表現の見事さと意思の強さを感じさせる顎肉と唇の力感に強い眼差し。
非常に魅力的な地蔵菩薩です。
仏像好きな方には結構 地蔵好きが多いと思います。
法隆寺 地蔵菩薩、橘寺 伝日羅上人像、融念寺 地蔵菩薩、安産寺 地蔵菩薩。。
あげるとキリがありませんが上記像が好きな方には是非ともオススメな地蔵菩薩立像です。

量感あふれる体躯に深く数多く刻まれる衣紋線。
腹回りから大腿部へのY字の美しさは平安仏好きにはたまらない曲線ですね。
腹回りの肉感と腿にかけての太さがたまりません!
右手肘を中心とした流れも重厚で溢れ出る波ですね。
とどまることなく溢れ出してくる泉の流れのようで素晴らしい。
平安初期の太くゴツく深い一木の重みたっぷりの仏像はやはり存在感が段違いですね。
運慶快慶の造仏の存在感とはまた違う確かな量感があります。

衣も特徴的で両肩を覆う偏衫(へんさん)と呼ばれる僧衣にさらに右肩を折り返し覆う形でほとんど平安初期の奈良地方に限られてくる表現だそうです。
上記で挙げた地蔵菩薩がまさにそうした僧衣を着られています。


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収蔵庫内にはやや痛々しいお姿の十一面観音や小仏の地蔵菩薩立像、天部像、弘法大師像なども安置されています。
どれも江戸期など比較的新しく、よくお堂の隅にあるような色彩が残りつつ剥落激しい仏像群です。
どこかコミカルな雰囲気があり仏像というよりは人形の雰囲気を感じることも多々ありますがそれだけ庶民の中にまで仏像というものが浸透し「様」ではなくお地蔵さんや観音さんといったように「さん」へと親しみを込めて守られてきた様子が伺えます。


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同境内の八幡神社
堂前の阿吽の狛犬は大学の先生が調査にこられた優品だとか。
「どこの大学やったかなぁ。。忘れてしもたわぁ。。」とは世話役の方の弁(笑)
また境内隅にある水鉢も高堂八幡神社の唯一の遺物だと川西町のHPには記録されています。

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白米寺(白米密寺)収蔵庫
奈良県磯城郡川西町下永
川西町 教育委員会事務所
0745-44-2214(要予約)





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奈良県 ・ 富貴寺 「平安後期の阿弥陀&地蔵菩薩!の巻」

光林寺より徒歩2分。
南へ下ったところにあるのが2体の重要文化財の仏像を安置する富貴寺です。
実は光林寺へは堤防から直に向かえなかったので、富貴寺を通過するかたちで向かったので既に境内や文化財の看板などを見ていました(笑)


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富貴寺は六県神社と境内を一つにした神宮寺で貞観年間(859~77)に道詮律師によって建立されたと言われています。
現在の本堂は南北朝時代の寄棟造で国の重要文化財に指定されています。


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さて、約束の時間より早く到着しましたが世話方の方が既にいらしてて僕を見つけて下さり直ぐに責任者の方を呼んでお堂の鍵を開けて中へ招いて下さいました。


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お堂の真ん中に囲いがありその中に重要文化財指定の釈迦如来坐像、地蔵菩薩坐像が安置されています。
本尊 釈迦如来坐像は像高84.5cm、桧の寄木造で定朝様を見せる平安後期の作です。
前を見据え穏やかな表情をされた尊容です。
お堂には光がよく入り、光の加減で厳しくも見え表情の変化も見て取れます。
衣紋表現は浅く彫られ規律よく並ぶ波筋が平安後期の作風を思わせますね。
体幹も薄く程よい姿勢で座された優美なお姿です。

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地蔵菩薩立像は像高96.3cm、桧の寄木造でこちらも平安後期の作です。
ふっくらされた頬に厚い唇ともこっとしたお鼻。
肩も大らかで太さを感じます。
しかし衣紋表現は見事で薄く表現された衣に細く流麗な衣紋線が美しいです。
右腕や左脇から流れ出てくるような細く浅い衣紋が衣の柔らかさと衣の擦れる小さな音まで表現しているようです。

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背後の壁には来迎図が描かれているとのことでほとんど確認は出来ませんが5躯の如来系坐像、不動明王を中心に5大明王像そして左右の端に文殊菩薩、普賢菩薩が描かれているそうです。

堂内には他にも四天王像(3体)、地蔵菩薩立像、十大弟子(5体)が安置されています。
どれも江戸以降~近年の作と思われる像です。

世話役の方といろいろお話をさせて頂きましたが、
「ワシらは むかぁしから見て知ってるから、こんなん言うたらアレやけど そない遠くから見に来たりするのが分からん。人によったらこないだ1時間くらいじっと見てはったわ。 分からん。」
と、仰ってはりました(笑)
僕もなかなか堂内から出ることが出来ずに仏像が安置されている囲いから出ては、いやもう一度。。出てはやぱりもう一度。。繰り返し見てしまいました(^^;




重要文化財の本堂

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本堂東隣りに建つ地蔵堂。
元は三重塔があった場所だそうで現在は法隆寺に寄進され初層のみが移築され現存しているそうです。

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境内を同じくする六県神社

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富貴寺
奈良県磯城郡川西町保田33
川西町 教育委員会事務所
0745-44-2214(要予約)





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奈良県 ・ 光林寺 「深遠なる快慶阿弥陀の巻」

2月13日。

この日は奈良県磯城郡川西町の文化財を拝観して回った。
事前に役場へ連絡を入れ各世話役の連絡先を教えて頂きそれぞれへ拝観のお願いをしていくという、
中々に骨の折れる作業ではある。

しかしながら初めは緊張したものの慣れてくるとこの作業が楽しくなってくる。
まず自身の希望ルートを考え移動距離、拝観時間等を考慮し行程を組んで連絡を入れていくのですが、
世話役さんのご都合もあるので自身の都合とは合致せず予定を組み直すもしくは中止するということを余儀なくされることもあります。
そんな時は今回はご縁がなかったんだなと諦めますが出会えた仏様への感動は凄いものがあります。

今回の川西町仏像拝観の旅はどうなったのでしょうか?
それではまず1ヶ寺目に訪れた光林寺さんのお話。


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曽根川沿いの川西町西端に位置する住宅地にあるこの光林寺は、正和二(1313)年空信上人が伴堂(三宅町)で開いた草庵を35年後貞和四(1348)年に安養寺として中興し天正十一(1583)年頃 保田に移して寺名も光林寺としました。

曽根川沿いの のどかな堤防をテクテクと歩いていくと右手下方に幼稚園が見えてきます。
そしてその裏手にお堂が見えますがそこが今日1番目の目的地光林寺さんです。
表門横のインターフォンを鳴らし予約していた旨を伝えお堂に招き入れて頂きました。
対応して頂いた奥様は「ちょっと待ってや。重文やからなぁいちいち鍵かけなアカンねん。。開けるわなぁ」
と、ニコニコしながら応対してくださいました(笑)

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本堂へ上がらせて頂くと内陣と外陣を格子戸で区切られています。
開けられた格子戸の奥にお厨子に収められた御本尊の阿弥陀如来立像が見えます。
この阿弥陀如来立像は戦後の調査で足の枘より「承久三年法眼快慶」の墨書銘がみつかり鎌倉期を代表する仏師 快慶晩年の作ということが判明しました。
お厨子の間近まで寄らせて拝観させて頂く事ができまじまじと快慶仏を拝ませて頂きました。
また、お厨子は正面のみではなく側面の扉も開いて頂き左右からも間近で拝観するという贅沢なひととき!

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腹回りにたっぷりとした量感を持ち肩口から落ちるように、腹回りから流れるように美しい衣紋が波を描き出すまさしく安阿弥様な阿弥陀如来像です。
鎌倉期以降の阿弥陀かくあるべしを築き上げた快慶の美しき造仏が溢れんばかりです。
衣紋のトトトントーントーーーントーーーーーーンという(笑)重力に寄せられる衣の波の表現や、やや前傾左足やや半歩前の姿勢などこれ以上に美しい姿はなかったと思わせる造形美です。
衣の美しさは衣紋のみならず、柔らかく重なり合う衣やキュッと渦巻く表現は木だとは信じがたい柔らかさ暖かさを感じさせてくれます。

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また、印相を結ぶ指のしなやかな美しさ。
右手小指の儚さや左手の花弁を開くような優雅さはうっとりと見とれてしまう美しさです。

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尊容もまさしく快慶の阿弥陀で半眼の正面を見据えるような厳しさをたたえる眼は神々しく慈悲深いです。
意思のない意思、無関心の関心。。。どう表現したらいいのか分かりませんが、どこか人間とは違う深さを感じるお顔です。
それが神々しいという印象を僕に与えるのか畏怖の念から神々しく思ってしまうのか。

同じく快慶晩年の作である唐招提寺 奥ノ院の阿弥陀如来立像を思い出します。
あの時も神々しくて圧倒された思いでした。

大好きな仏師快慶。
快慶の彫り出す仏像は最上級の美と尊厳を感じさせてくれる。
くだけて言うとグッとくる!めちゃくちゃカッコイイのだ!

1発目からとんでもない出会いをしてしまった。
これは今日一日素晴らしい日になるんじゃないかとの思いを胸に光林寺を後にした。


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光林寺
奈良県川西町保田43-1
川西町 教育委員会事務局
0745-44-2214(要予約)




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奈良県 ・ 定林寺 「町で守られる十一面の巻」

ようやく来週に仏像拝観へと出かける時間が取れそうでテンションが上がり気味の迦楼馬でです。
車のタイヤがノーマルなんで雪が怖い地域へは行けないので地元の奈良を巡る予定です。

さてさてそんな中で昨年訪れた奈良県北葛城郡河合町の定林寺を訪れた話。

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拝観は役場へ連絡を入れ世話方さんの連絡先を聞き拝観予約を伝える形となります。
当日は世話方さんもしくは役場の方にお堂を開けて頂き説明を受けながらの拝観。
しかしこの日はなんの手違いか世話方さんと役場の方の連絡が上手くいかなかったのか、世話方さんが不慣れだったのか?約束の時間に世話方さんを尋ねるとお堂の鍵を渡され見てこいと言われる。

????
自分で鍵を開けて拝観するのか?
まさか?!
と思いながらも鍵を渡されるわけで不安に思いながらも定林寺へ。
そしてそのまま自身でお堂を開けて中へ。。。

後々に役場の方が来られて自身で鍵を開けて入るのは手違いで世話方さんの勘違いだったとのこと(^^;
おいおい、盗難事故が容易に起きてしまうじゃないの。。(--;


さて、堂内には町指定文化財の本尊十一面観音菩薩立像、地蔵菩薩立像を中央に同じく町指定文化財の厨子入り不動明王、銅鋳造 阿弥陀如来坐像が安置。
他にも木彫如来坐像、千手観音菩薩立像などが安置されています。

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本尊 十一面観音菩薩
像高117.5cm 台座総高 16cm
木造彩色 カヤ材 一材より両肩を含む像の大容を彫出す。
頭頂部面や左手首、右手首 両足先を矧ぎ付けています。
右手の形から錫杖を持っていたことが伺え長谷寺式の十一面観音だった事がわかります。
全体的に損傷が目立ちやや痛々しさもあるものの肉付きも良く衣の流れや天衣の流れなどから平安初期~中期の造仏だと思われます。
頬をふっくらとさせ一見すると童子を思わせる様なあどけなさとわがまま感を同居させたような印象を受けました。
しかし離れてじっと見つめると思案する大きなオーラを感じる慈悲深さが出てくる。
間近で、離れて、じっくりと拝観させて頂けます。

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地蔵菩薩立像
像高92.1cm 四重蓮華座 台座総高 27cm
木造彩色 サクラ材一木造り 内刳りなし
両手先、両足先、持物の錫杖・宝珠ともに後補
一木造りの重厚で厚みのある体幹、腹から腿にかけてY字に流れる衣紋が平安前期の特徴を示します。
やや簡素化されているように感じるのは都仏師の作ではなく地方仏師の作だからか?
翻波式とまではいかない大波が開けた間隔で流れていきます。
後期に差し掛かる頃の作なのか?
衣紋表現は凄く興味深いです。
各地の地蔵菩薩を集めた地蔵菩薩展なるものが開かれないかなぁ。。

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不動明王立像
像高92.5cm
木造古色 ヒノキ材一木割剥ぎ造り 内刳りなし 玉眼
両目を天地眼にし上下に牙を出す鎌倉期以降に見られる造形で左足を一歩踏み出し胸を張った勢いを感じさせる像です。

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奈良県北葛城郡河合町川合614-1 
TEL : 0745-57-2271(中央公民館 生涯学習課)






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奈良県 ・ 世尊寺 「微笑みの阿弥陀の巻」

仏像拝観に行く時間が取れない。。。
テンションだだ下がりで日々過ごしております。
てことで昨年にお参りした奈良県吉野の世尊寺のお話。



世尊寺は31代用明天皇2年(587年)勅願により、聖徳太子が建立された寺院であり、聖徳太子霊場 第7番の霊場 。
創建時は比蘇寺と呼ばれ、飛鳥寺、四天王寺、法隆寺と共に四大寺院の一つに数えられる大寺院でしたが、平安末期から鎌倉、室町にかけての武家政治の台頭とによる社会情勢の激変と、吉野という僻地であったことから荒廃の一途を辿る。
比蘇寺、吉野寺、現光寺、栗天奉寺、世尊寺と寺名が5度も変わることからもその興隆と衰亡を物語ります。

お寺への入り口となる山門をくぐり抜けようとすると頭上に邪鬼が。
グシャリとなりながらも支えてます(笑)
非常に愛嬌のあるお顔で左甚五郎の作となります。

山門をくぐり中門を抜けると本堂へ。
予約の旨を伝え、ご住職に招かれながら本堂へ上がらせて頂くと本堂には阿弥陀如来坐像と十一面観音菩薩立像が。

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ご住職からお寺の栄枯盛衰の歴史や仏像に関する逸話などを非常に興味深く聞かせて頂きました。
阿弥陀如来、十一面観音菩薩は共に光芒を放つ像とのことでその逸話はなかなかに興味深く、なかでも阿弥陀如来は「日本書紀」第十九の巻に造仏の逸話が登場し日本最古との伝承をもつに至ります。

【欽明天皇十四年(553)「夏五月、茅渟ちぬの海(大阪湾)の海中に、いなずちのような音を出して、光輝くものがある。天皇はあやしんでおみ溝辺いけべあたいに命じて海上を探させると、クスの大木の輝くのを発見した。天皇は感じて仏師に仏像二躯にたいを造らせた。今、吉野寺に光を放つ樟木の像なり」とあります。 】

この逸話によればご本尊の阿弥陀如来坐像は6世紀の作となり日本最古の阿弥陀となるのでしょうか。
善光寺に最古の阿弥陀がいらっしゃいますがあちらは552年に百済より日本んに伝来したとのことですので日本最古とはまた違うのでしょう。
しかし現存最古の仏像と言われる飛鳥寺の釈迦如来坐像(609年)よりも古いとなると。。
ここ手の逸話の信憑性はどこまでを信じるのかはそれぞれでしょうけど、このお寺に居る間は本気で日本最古と信じながら見仏いたしました。
その方が浪漫がありますよね。 実際には藤原時代の作ではないかとのことです。

さて、その阿弥陀如来坐像ですが像高145cm、クスの木の一木造り。
お姿は飛鳥大仏に良く似てらっしゃる尊様で面長のなで肩、耳が長く垂れ下がります。
「微笑みの阿弥陀」と呼ばれるそのお顔はふくよかで優しい笑みをたたえたお顔。 目尻を下げ口の広角を上げた本当に優しい微笑みです。
吸い込まれる笑顔とはまさにこの方の笑顔でしょう。仏の慈悲深い素晴らしいお顔です。
また、衣紋の彫りも優しく なだらかに流れていきます。 結跏趺坐した足元へ水面の波紋のように広がる流れは美しいです。

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本堂左側には奈良時代作の十一面観音立像を中心に役行者像、僧形文殊像、阿弥陀如来坐像などが並んでいます。
県指定文化財となる十一面観音ですがこちらの像にも逸話が。

【「日本書紀」や「聖徳太子伝暦」によると、『推古天皇三年(595)三月、土佐の南海に夜な夜な大いなる光があり、翌四月に淡路島に長さ八尺、太さ一抱えもある大木が漂着した。これを拾った漁師が薪と一緒にかまどに焼くと、すばらしい芳香を放ったので都へ献上してきた。
 これを見た太子は、「この木は
天竺国てんじくこくの南海の岸に自生する栴壇せんだんという香木からできた沈水香じんすいこうという霊木です。陛下が仏教を興隆しようとされているのに感応して、釈迦・梵天ぼんてんがはるばる送られてきたのでしょう。」と天皇に奏上した。そこで天皇はこの香木で百済くだらたくみに観音像を彫らせ、吉野の比蘇寺に祀った。この像はときどき光を放った』と、記されています。】

この逸話から本十一面観音菩薩像が壇像として造仏されたことがわかります。
吉野地方最古の木彫像。像高218cm 一木造り。 頭頂の面や左手先は鎌倉時代の後補。

肩から流れ落ちる天衣、両の腕に絡み落ちる天衣や足元の波打つような衣紋の造形はまさしく壇像風で素晴らしい十一面観音立像です。
惜しむらくは和室の一室のような場所に立つのではなくきちんとした厨子ないしはお堂に安置されていて欲しいです。
背景によって随分と魅力落ちしてしまっているような。。
間近での拝観が可能で有難いのですが。。素晴らしい方であるばかりに、このような場所にいるべきではないとの思いが強くなりました。。

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境内には県指定の有形文化財に指定された太子堂や芭蕉の句碑、石塔十三重塔に、150年ほど前の台風で倒れたものの、根元から再び幹が伸びて見事に蘇生。このため「不老長寿の桜」と呼ばれている聖徳太子お手植えと伝わる「壇上桜」など見所がたくさんでした。

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世尊寺
奈良県吉野郡大淀町比曽762
TEL : 0746-32-5976
HP : http://web1.kcn.jp/sesonzi/






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プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる三十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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