滋賀県 / 川道観音堂 千手院~尊住院
滋賀県長浜市の川道観音堂 千手院を訪れた。
目的は33年に1度のご開帳 本尊千手観音菩薩立像。
前回のご開帳が平成8年だったので次の本開帳は平成41年ですが本開帳の間に17年目の中開扉があります。
今年はその中開扉の年に当たりご本尊が約1週間の間厨子の扉が開かれます。
本尊 千手観音菩薩立像は明治33年に国宝指定され戦後の文化財保護法の制定により重要文化財に指定替えされました。
33年に1度本開扉とされる秘仏の中開扉と共に昨年3月に新たに重要文化財指定を受けた御代仏 千手観音菩薩立像が同時に拝観できるという絶好の機会。
御代仏(ごだいぶつ)。
お代わりになられる仏様。
昨年新たに重要文化財の指定を受けた御代仏 千手観音菩薩ですが寺伝によれば姉川より流れ着いたご本尊 千手観音菩薩をお祀りする際、誰かが取り戻しに来るのではと流れ着いた観音様と同じ千手観音を造り 取り返しに来たらそれを返そうと彫られたそうです。
しかし結局誰も来なかった。
昨年新たに指定を受けた千手観音菩薩様にはそんないわれがあるとか。
ご本尊の影武者のような いつその身を投うつかもしれない身代わりの運命を背負った菩薩が昨年、市と県を飛び越えての重文指定。
寺伝とは相違しご本尊と造られた年代が変わらない貴重な平安初期仏であるとの認定を受けた。
ご本尊と御代仏が同年代の造仏であるという不思議な川道観音堂の両千手観音菩薩立像。
今回、計画に無理をしてでも訪れると決めた理由はこの2体の千手観音菩薩をこの目で見比べたいとの思いからでした。
現地へ着くと幕が張られご開帳ムードいっぱいに人出もいっぱい。
ツアーバスも到着しておりかなりの賑わいを見せておりました。
ぞろぞろとツアー客に混ざりお堂へ入らせて頂いた。
正面左の厨子に御代仏 千手観音菩薩立像が、中央の厨子にご本尊 千手観音菩薩立像。



まずは御代仏 千手観音菩薩から拝観。
四角い輪郭に鼻筋が通り小ぶりな口元で平安古仏の優しげな表情を浮かべた美しい観音様です。
腹周りのふっくら感や腕の肉付きも豊かで全体的に優しい雰囲気に包まれているように感じました。
ひざ下からの翻波式衣紋に禍紋と彫り込みは大きくやや簡素化されたかな?とも思いましたが平安期の中でも初期の特徴がよく表れた造形ではないでしょうか。
頭頂の化仏の目には後補の彩色がなされ、やや地方珍仏的な香りがしたりもしたけれど、厨子に入り幕が掛かった状態なので全体像のバランスなどを見て取るのはやや難がありましたけれど、いいお顔をされた千手観音菩薩です。




そして中央の厨子 ご本尊 千手観音菩薩。
こちらは彫りはやや浅いながらも腰周りに見事な翻波式衣紋を見せ、腿から足元へかけての流れるような美しい衣紋線が素晴らしい。
御代仏の大きく彫られた衣表現とは異なり細かく表現された密な衣表現。
体躯はがっしりしたような印象を受け尊様も力強い眼差しに潰れた鼻と唇に四角い輪郭と厳しさを感じさせるお顔でした。
御代仏が母ならご本尊は父か。
下から見上げるように見るお顔は和歌山の慈光円福院の十一面観音菩薩に良く似た顔だなとふと思い当たる。
慈光円福院は女性的でしたがお顔の雰囲気がよく似ていらっしゃるように思います。




ちなみに和歌山県 慈光円福院 十一面観音菩薩像の尊様がこちら

2体の平安仏を眺めグルグルとお堂を行ったり来たりしながら存分に楽しませて頂き大満足の秘仏開帳でした。
開帳初日はご本尊のライトアップはなくお顔が暗く拝見しづらいとの声も聞きましたが、僕が訪れた折には改善されていて、ご本尊にもライトが当てられ非常に明るく見やすい環境となっていました。
右へフラフラ、左へフラフラと何度も往復するように2体の千手を眺める至福。
そしてそれだけでなく、右手厨子には薬師如来立像、脇に不動明王立像がいらっしゃりこちらもなかなか見応えのなる仏像でした。
薬師如来は立派な肩幅をされ衣表現も肩から胸にかけて重なり合うように複雑に彫り込まれていたり、不動明王は前傾姿勢の珍しいポーズをされた方で仏像好きを喜ばせてくれます。





境内大師堂
中には石仏の弘法大師像が。


そして隣接するように建つ尊住院でも同期間に河濯大権現特別開帳が行われておりました。
河濯大権現(愛染明王)は姉川の合戦で敗れた浅井長政の念持仏であったとされています。
脇侍には右に秋葉大権現、左に金比羅大権現が祀られ独特の世界観に溢れ神仏習合の怪しさに触れてきました。
金比羅大権現は凄かったなぁ。
鳥の上に翼を背をった不動明王のような方が乗られていてこの様な像は初めて見ました。
どのような意味を表しているのか勉強不足な僕には分かりませんが非常に興味深く拝観させて頂きました。



河濯大権現(愛染明王)

秋葉大権現

金比羅大権現


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目的は33年に1度のご開帳 本尊千手観音菩薩立像。
前回のご開帳が平成8年だったので次の本開帳は平成41年ですが本開帳の間に17年目の中開扉があります。
今年はその中開扉の年に当たりご本尊が約1週間の間厨子の扉が開かれます。
本尊 千手観音菩薩立像は明治33年に国宝指定され戦後の文化財保護法の制定により重要文化財に指定替えされました。
33年に1度本開扉とされる秘仏の中開扉と共に昨年3月に新たに重要文化財指定を受けた御代仏 千手観音菩薩立像が同時に拝観できるという絶好の機会。
御代仏(ごだいぶつ)。
お代わりになられる仏様。
昨年新たに重要文化財の指定を受けた御代仏 千手観音菩薩ですが寺伝によれば姉川より流れ着いたご本尊 千手観音菩薩をお祀りする際、誰かが取り戻しに来るのではと流れ着いた観音様と同じ千手観音を造り 取り返しに来たらそれを返そうと彫られたそうです。
しかし結局誰も来なかった。
昨年新たに指定を受けた千手観音菩薩様にはそんないわれがあるとか。
ご本尊の影武者のような いつその身を投うつかもしれない身代わりの運命を背負った菩薩が昨年、市と県を飛び越えての重文指定。
寺伝とは相違しご本尊と造られた年代が変わらない貴重な平安初期仏であるとの認定を受けた。
ご本尊と御代仏が同年代の造仏であるという不思議な川道観音堂の両千手観音菩薩立像。
今回、計画に無理をしてでも訪れると決めた理由はこの2体の千手観音菩薩をこの目で見比べたいとの思いからでした。
現地へ着くと幕が張られご開帳ムードいっぱいに人出もいっぱい。
ツアーバスも到着しておりかなりの賑わいを見せておりました。
ぞろぞろとツアー客に混ざりお堂へ入らせて頂いた。
正面左の厨子に御代仏 千手観音菩薩立像が、中央の厨子にご本尊 千手観音菩薩立像。



まずは御代仏 千手観音菩薩から拝観。
四角い輪郭に鼻筋が通り小ぶりな口元で平安古仏の優しげな表情を浮かべた美しい観音様です。
腹周りのふっくら感や腕の肉付きも豊かで全体的に優しい雰囲気に包まれているように感じました。
ひざ下からの翻波式衣紋に禍紋と彫り込みは大きくやや簡素化されたかな?とも思いましたが平安期の中でも初期の特徴がよく表れた造形ではないでしょうか。
頭頂の化仏の目には後補の彩色がなされ、やや地方珍仏的な香りがしたりもしたけれど、厨子に入り幕が掛かった状態なので全体像のバランスなどを見て取るのはやや難がありましたけれど、いいお顔をされた千手観音菩薩です。




そして中央の厨子 ご本尊 千手観音菩薩。
こちらは彫りはやや浅いながらも腰周りに見事な翻波式衣紋を見せ、腿から足元へかけての流れるような美しい衣紋線が素晴らしい。
御代仏の大きく彫られた衣表現とは異なり細かく表現された密な衣表現。
体躯はがっしりしたような印象を受け尊様も力強い眼差しに潰れた鼻と唇に四角い輪郭と厳しさを感じさせるお顔でした。
御代仏が母ならご本尊は父か。
下から見上げるように見るお顔は和歌山の慈光円福院の十一面観音菩薩に良く似た顔だなとふと思い当たる。
慈光円福院は女性的でしたがお顔の雰囲気がよく似ていらっしゃるように思います。




ちなみに和歌山県 慈光円福院 十一面観音菩薩像の尊様がこちら

2体の平安仏を眺めグルグルとお堂を行ったり来たりしながら存分に楽しませて頂き大満足の秘仏開帳でした。
開帳初日はご本尊のライトアップはなくお顔が暗く拝見しづらいとの声も聞きましたが、僕が訪れた折には改善されていて、ご本尊にもライトが当てられ非常に明るく見やすい環境となっていました。
右へフラフラ、左へフラフラと何度も往復するように2体の千手を眺める至福。
そしてそれだけでなく、右手厨子には薬師如来立像、脇に不動明王立像がいらっしゃりこちらもなかなか見応えのなる仏像でした。
薬師如来は立派な肩幅をされ衣表現も肩から胸にかけて重なり合うように複雑に彫り込まれていたり、不動明王は前傾姿勢の珍しいポーズをされた方で仏像好きを喜ばせてくれます。





境内大師堂
中には石仏の弘法大師像が。


そして隣接するように建つ尊住院でも同期間に河濯大権現特別開帳が行われておりました。
河濯大権現(愛染明王)は姉川の合戦で敗れた浅井長政の念持仏であったとされています。
脇侍には右に秋葉大権現、左に金比羅大権現が祀られ独特の世界観に溢れ神仏習合の怪しさに触れてきました。
金比羅大権現は凄かったなぁ。
鳥の上に翼を背をった不動明王のような方が乗られていてこの様な像は初めて見ました。
どのような意味を表しているのか勉強不足な僕には分かりませんが非常に興味深く拝観させて頂きました。



河濯大権現(愛染明王)

秋葉大権現

金比羅大権現


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