滋賀県 / 大津市歴史博物館 「阿弥陀さま」展
本来であれば10月の23日に行く予定だった滋賀県大津市の歴史博物館。
目的は10月13日より11月25日まで催される法然800回忌親鸞750回忌の特別展である「阿弥陀さま」展です。
しかしこの日は大雨&暴風となり予定をキャンセル。。
湖南方面の東方山安養寺の薬師坐像、敬恩寺の阿弥陀、金胎寺の阿弥陀三尊など多数の仏像を見て回る予定が全て吹っ飛びました。。
そして10月31日気を取り直して先週の予定は頭から消し特別公開最終日となる奈良県不空院の不空羂索観音拝観を組み込んだ予定に変更しての大津市歴史博物館へ。


先週の悪夢が消し飛ぶほどの阿弥陀郡がお出ましです。
特別展等によく出展される文化財指定を受けた阿弥陀様などばかりではなく、今後の研究が待たれている阿弥陀様、初公開となる阿弥陀様などが大挙して押し寄せる浄土教の中心地とも言える大津ならではの阿弥陀展でございます。
この空間にいて興奮を抑えろと言われて抑えられる仏像好きがいたら教えて欲しい。
皆無だと断言出来る!
阿弥陀、阿弥陀のオンパレード!
阿弥陀だらけで飽きるかと思う?
いやいや、「大津市内の阿弥陀如来」コーナーには地方仏臭ガンガンの匂い立つ古仏がいらっしゃったり院派の阿弥陀や脇侍仏がいっらしゃる。
「安阿弥様のほとけさま」のコーナーでは快慶、行快の仏像が並び美しく壮大な一角を作り出し華やかさを。
「さまざまなかたちの阿弥陀様」では快慶作 京都泉涌寺 悲田院の宝冠阿弥陀如来坐像を初め聖衆来迎寺、悲田院、西方寺などの"逆手の阿弥陀"や盛安寺の立像で説法印を結ぶ非常に珍しく、尚且つ右腕には衣の袖がない"片袖の阿弥陀"など個性的な阿弥陀如来が列をなす。
最終室には阿弥陀如来にとらわれず「大津市の浄土教寺院の宝物」と称したコーナー。
十一面観音菩薩や大日如来像などもいらっしゃいました。
さぁここからは個人的に惹かれた阿弥陀群を紹介したい。
京都 青龍寺の阿弥陀三尊。
法然上人が善導大師の『観無量寿経』に出会ったとされる報恩蔵という蔵がある青龍寺。
こちらの現在の本尊である阿弥陀三尊です。
後補の金箔により彫りの細部は分からなくなってしまっている様ですが、風になびき衣に動きのある造形は行快など鎌倉中後期によく見られる造形だと思います。
観音勢至の表情などは院派や室町期によく見られるかなぁとも思いましたが衣の感じとかは行快かなぁ。。
分からないなりにいろいろ考える楽しさが溢れます。


聖衆来迎寺の善導大師像。
通常 善導大師は下半身が金色に輝く造形で表されると思うのですがこの像はそういった特色は見られません。
上から下まで通常に袈裟を身に纏った上人像です。
その為か他の像であるとの見方もあるようですが今回の展示では善導大師として紹介されるとのこと。
善導大師かどうかは置いておくとしてもその造形は写実的で力強く見るものを惹きつける勢いがあります。
太子像や地蔵菩薩像に通じるような霊力というか魅惑を感じさせてくれる素晴らしい造仏です。


参考仏として写真だけあった西教寺の本尊丈六阿弥陀如来坐像は凄かったな。
写真パネルでしたが定朝様の素晴らしい阿弥陀。
長講堂の院尊作の阿弥陀坐像にも引けを取らないオーラ漂う雰囲気。
お会いできる日を夢見るのだ。

大津市小野寺・上品寺の阿弥陀三尊像。
現在は三尊として安置されているとのことですが、制作はどれも別々だそうで展示も三尊形式ではなく右から阿弥陀如来、2体の菩薩像と個別に展示されていました。
中でも目を引いたのは2体の観音菩薩立像。
1体は頬の張った力強い前を見据える眼差しと生気あふれる造形。
そう運慶工房を思わせる観音菩薩でした。
そしてもう1体は伏し目がちな目でやや釣り上がり小顔でふくよかな頬。
奈良仏師善円を思わせる造形であるとのこと。
ここでふと奈良国博での特別展「貞慶展」だったかな?で見た善円と思われる弥勒菩薩立像と快慶工房と思われる弥勒菩薩立像が並んで展示され長時間見比べてじっくりと拝観した記憶が蘇る。
今度は運慶と善円の見比べか!素晴らしい展示だなぁとひとり勝手に興奮し長時間フリーズの体勢に入る。
次の目的地が奈良でなければもっともっと見ていたかったなぁ。。。残念!



快慶の宝冠阿弥陀如来坐像は昨年悲田院で拝観させて頂いたけど相変わらずの素晴らしさ。
快慶仏はやっぱり随一の美仏。
もうかっこよさやバランス感が群を抜いているのが一目瞭然。
もうね最もカッコイイのはこの一瞬なんですっていう一瞬を見事に抜き出したって造仏。
安倍文殊院しかり醍醐寺弥勒しかり光台院阿弥陀三尊しかり、最も美しい表情最も美しい姿勢を閉じ込めたような結晶のような美しさ。
見とれます。本当に見とれます。思考が停止してただただ見つめてしまうんです快慶仏は。
今にも動くんじゃないか、一瞬も見逃せないぞと思わせる運慶仏とは真逆の究極の美があるように思います。

ん~長大な記事になってきたな(^^;
書き出せばキリがなくなる。。
まだまだ「逆手の阿弥陀」群や快慶・行快群、院派仏など見所は本当に多くよくぞこれほどの阿弥陀如来を一斉展示してくれたっ!と大喝采を送りたい素晴らしい特別展です。
この時期じゃなければ。。。特別公開シーズンのこの時期じゃなければ2,3度は通ってる凄さでした。

大津市 妙盛寺 鎌倉期の院派仏か?

京都市 大超寺 盛上彩色と截金模様の美しい阿弥陀

大津市 華階寺 快慶工房 栄快か?

大津市 浄国寺 鎌倉後期の院派仏か?
表層は平成の修理

大津市 聖衆来迎院 逆手の阿弥陀

京都 悲田院 逆手の阿弥陀2体

大津市 盛安寺 説法印を結ぶ立像阿弥陀
通称「片袖の阿弥陀」
あっそうそう!
各仏像の説明書きに度々出てきた仏師の特徴が現れるのは耳の造形という言葉。
一般ではなかなかじっくりと見ることのできない部分ではありますが(特にお堂では)そうなんやと勉強になりこれからは少し気をつけて見てみたいなと思いました。
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目的は10月13日より11月25日まで催される法然800回忌親鸞750回忌の特別展である「阿弥陀さま」展です。
しかしこの日は大雨&暴風となり予定をキャンセル。。
湖南方面の東方山安養寺の薬師坐像、敬恩寺の阿弥陀、金胎寺の阿弥陀三尊など多数の仏像を見て回る予定が全て吹っ飛びました。。
そして10月31日気を取り直して先週の予定は頭から消し特別公開最終日となる奈良県不空院の不空羂索観音拝観を組み込んだ予定に変更しての大津市歴史博物館へ。


先週の悪夢が消し飛ぶほどの阿弥陀郡がお出ましです。
特別展等によく出展される文化財指定を受けた阿弥陀様などばかりではなく、今後の研究が待たれている阿弥陀様、初公開となる阿弥陀様などが大挙して押し寄せる浄土教の中心地とも言える大津ならではの阿弥陀展でございます。
この空間にいて興奮を抑えろと言われて抑えられる仏像好きがいたら教えて欲しい。
皆無だと断言出来る!
阿弥陀、阿弥陀のオンパレード!
阿弥陀だらけで飽きるかと思う?
いやいや、「大津市内の阿弥陀如来」コーナーには地方仏臭ガンガンの匂い立つ古仏がいらっしゃったり院派の阿弥陀や脇侍仏がいっらしゃる。
「安阿弥様のほとけさま」のコーナーでは快慶、行快の仏像が並び美しく壮大な一角を作り出し華やかさを。
「さまざまなかたちの阿弥陀様」では快慶作 京都泉涌寺 悲田院の宝冠阿弥陀如来坐像を初め聖衆来迎寺、悲田院、西方寺などの"逆手の阿弥陀"や盛安寺の立像で説法印を結ぶ非常に珍しく、尚且つ右腕には衣の袖がない"片袖の阿弥陀"など個性的な阿弥陀如来が列をなす。
最終室には阿弥陀如来にとらわれず「大津市の浄土教寺院の宝物」と称したコーナー。
十一面観音菩薩や大日如来像などもいらっしゃいました。
さぁここからは個人的に惹かれた阿弥陀群を紹介したい。
京都 青龍寺の阿弥陀三尊。
法然上人が善導大師の『観無量寿経』に出会ったとされる報恩蔵という蔵がある青龍寺。
こちらの現在の本尊である阿弥陀三尊です。
後補の金箔により彫りの細部は分からなくなってしまっている様ですが、風になびき衣に動きのある造形は行快など鎌倉中後期によく見られる造形だと思います。
観音勢至の表情などは院派や室町期によく見られるかなぁとも思いましたが衣の感じとかは行快かなぁ。。
分からないなりにいろいろ考える楽しさが溢れます。


聖衆来迎寺の善導大師像。
通常 善導大師は下半身が金色に輝く造形で表されると思うのですがこの像はそういった特色は見られません。
上から下まで通常に袈裟を身に纏った上人像です。
その為か他の像であるとの見方もあるようですが今回の展示では善導大師として紹介されるとのこと。
善導大師かどうかは置いておくとしてもその造形は写実的で力強く見るものを惹きつける勢いがあります。
太子像や地蔵菩薩像に通じるような霊力というか魅惑を感じさせてくれる素晴らしい造仏です。


参考仏として写真だけあった西教寺の本尊丈六阿弥陀如来坐像は凄かったな。
写真パネルでしたが定朝様の素晴らしい阿弥陀。
長講堂の院尊作の阿弥陀坐像にも引けを取らないオーラ漂う雰囲気。
お会いできる日を夢見るのだ。

大津市小野寺・上品寺の阿弥陀三尊像。
現在は三尊として安置されているとのことですが、制作はどれも別々だそうで展示も三尊形式ではなく右から阿弥陀如来、2体の菩薩像と個別に展示されていました。
中でも目を引いたのは2体の観音菩薩立像。
1体は頬の張った力強い前を見据える眼差しと生気あふれる造形。
そう運慶工房を思わせる観音菩薩でした。
そしてもう1体は伏し目がちな目でやや釣り上がり小顔でふくよかな頬。
奈良仏師善円を思わせる造形であるとのこと。
ここでふと奈良国博での特別展「貞慶展」だったかな?で見た善円と思われる弥勒菩薩立像と快慶工房と思われる弥勒菩薩立像が並んで展示され長時間見比べてじっくりと拝観した記憶が蘇る。
今度は運慶と善円の見比べか!素晴らしい展示だなぁとひとり勝手に興奮し長時間フリーズの体勢に入る。
次の目的地が奈良でなければもっともっと見ていたかったなぁ。。。残念!



快慶の宝冠阿弥陀如来坐像は昨年悲田院で拝観させて頂いたけど相変わらずの素晴らしさ。
快慶仏はやっぱり随一の美仏。
もうかっこよさやバランス感が群を抜いているのが一目瞭然。
もうね最もカッコイイのはこの一瞬なんですっていう一瞬を見事に抜き出したって造仏。
安倍文殊院しかり醍醐寺弥勒しかり光台院阿弥陀三尊しかり、最も美しい表情最も美しい姿勢を閉じ込めたような結晶のような美しさ。
見とれます。本当に見とれます。思考が停止してただただ見つめてしまうんです快慶仏は。
今にも動くんじゃないか、一瞬も見逃せないぞと思わせる運慶仏とは真逆の究極の美があるように思います。

ん~長大な記事になってきたな(^^;
書き出せばキリがなくなる。。
まだまだ「逆手の阿弥陀」群や快慶・行快群、院派仏など見所は本当に多くよくぞこれほどの阿弥陀如来を一斉展示してくれたっ!と大喝采を送りたい素晴らしい特別展です。
この時期じゃなければ。。。特別公開シーズンのこの時期じゃなければ2,3度は通ってる凄さでした。

大津市 妙盛寺 鎌倉期の院派仏か?

京都市 大超寺 盛上彩色と截金模様の美しい阿弥陀

大津市 華階寺 快慶工房 栄快か?

大津市 浄国寺 鎌倉後期の院派仏か?
表層は平成の修理

大津市 聖衆来迎院 逆手の阿弥陀

京都 悲田院 逆手の阿弥陀2体

大津市 盛安寺 説法印を結ぶ立像阿弥陀
通称「片袖の阿弥陀」
あっそうそう!
各仏像の説明書きに度々出てきた仏師の特徴が現れるのは耳の造形という言葉。
一般ではなかなかじっくりと見ることのできない部分ではありますが(特にお堂では)そうなんやと勉強になりこれからは少し気をつけて見てみたいなと思いました。

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