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迦楼馬-カルマ-presents 佛旅Vol.4 in多摩仏像研究会 PMタイムテーブルの巻き

午前中に橘堂→東門院→佛性寺→佛法寺と巡り、本来であれば昼食に湖南市の「みくりやうどん」さんでエビ天エビフライがドーーン!っと乗ったエビ天エビフライカレーうどんを食べたかったんですが、東門院さんで非常に貴重な時間を過ごしすぎて昼の時間が。。。佛旅幹事として未熟な面がモロに出てしまいましたー。やっちゃったなぁ。
とりあえず、昼1番目のお願いをしていた正福寺へと向かいます。


湖南市に所在する正福寺は聖武天皇の勅願により良弁上人が開山したと伝わる寺院でご本尊は胎蔵界大日如来像。
度重なる兵火により堂宇は焼失したもののご本尊を含め多くの仏像はその難を逃れています。
本尊は秘仏であり30年に1度のご開帳との事ではありますが、ご住職曰くは、ご開帳の体制を整えることが難しく、今のところ公開の予定が立っていないとの事でした。
いつの日かお姿を拝みたいものです。
とは言えです!観音堂に並び立つ4体の十一面観音菩薩、薬師如来坐像、地蔵菩薩半跏像の横一列の情景は圧巻で、ここ何時間でもいれる。
平安期の仏像がズラリと並び立ち中でも中尊の十一面観音菩薩立像は最も時代が下る像で、像高も最も大きく衣紋の彫りも表情豊か。
また、脇に並ぶ十一面観音菩薩立像もそれぞれが美しく、体躯の太い方や細い方、正面から見るお姿と横から(斜めから)眺めるお姿の変化に右に左に行ったり来たり。
半跏地蔵の鎌倉期の匂いもしてくる凛々しいお姿も素晴らしいし、衣紋表現が大雑把なような細部に気を使っているような、柔らかくて固いような眺めていて本当に見飽きない薬師さんでした。


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善水寺。
今回のメインである善水寺のご開帳で、ご本尊の薬師如来様のお姿を拝みにやって参りました。

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ふっくらとした優しいお顔をされていて、写真で見るよりも全然優しさを感じる方。
施無畏印の指もふっくらぷにぷに。
お顔も体も指先までも太く優しく、お姿全身で慈悲の優しさを表現されているようでした。
思いの外大きくはない方でしたが、数多くの仏像が密集した空間にあり、どの方よりもオーラが半端ないまさにご本尊。
この方あっての善水寺本堂なんだなと感じました。

しかしだからと言って見過ごせないのが、脇に並ぶ方々で見事な四天王像や梵天帝釈像は圧巻。
特に梵天像の衣紋は凄かったなぁ。
肩から腕へ、腰から腿へ裾へと流れゆく衣紋や渦紋など素晴らしきかな。
本堂裏手にも佛の大洪水でご開帳の時期でなくとも、凄い勢いでした。

そして善水寺の湧き水を頂戴し、焼酎を割って飲みましたが美味しさが増し増しで酒飲みにはそこもたまらないですね(笑)
佛友さんから聞くところによると、この水で米を炊くとめちゃめちゃ旨いとか。

写真は善水寺HPで。




善水寺を後にし、ようやくお昼をセブンイレブンで。。。
ようやくお昼をセブンイレブンで。。。こんなはずではなかった(´・ω・`)


そして向かったのは金胎寺。
本堂には阿弥陀如来坐像を中尊に観音勢至両菩薩、そして二天像を脇に配する、言葉を飲み込んでしまう美しい空間でした。
それぞれのお像の造形ももちろん美しく見事である事は間違いないのですが、それよりもこの空間に惚れ惚れとしてしまいました。
中尊の阿弥陀如来は気高く伏し目がちで、優しくもあり力強くもあり。
脇侍の観音勢至菩薩は鼻が大きく素朴でありのんびりとされたお方。
そして二天像のダントツのカッコ良さ。
表情も力強く甲冑の造形も少ない彫り込みながら細部までしっかりと美しく仕上げられ素晴らしい。
外陣よりの拝観ではありましたが、凄かったなぁ。


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そして帰り際にご住職が、参道の石段の下からお堂を見上げると開いたお堂の扉の空間にちょうど弥陀様のお顔が合うのでどうぞ見て帰って下さいと。
しばらくの間はお堂を開けておきますのでじっくり拝んで帰って下さいねと仰って頂きました。
石段を振り返りながら下って行き、ときおり振り返る。
すると浄土かと見紛う風景がそこにはありました。
石段の上の方では見えるのは阿弥陀様のお体ですが、下へと進むにつれお顔が見えるように。
お参りさせて頂いた一同は感動の声を上げるのでした。


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もう1寺巡りたいなと考えておりましたがここでタイムアップ。
ドタバタと慌ただしくめぐる事になった今回の佛旅でしたが、巡ることが出来た仏像はどれも素晴らしく非常に充実した一日となったと思います。
善水寺では、ばったり出会った佛友さんとみんなで集合写真も撮れて嬉しかった!
反省点も多々ありましたが、素敵な一日になったんじゃないかなと思います。










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迦楼馬-カルマ-presents 佛旅Vol.4 in多摩仏像研究会 AMタイムテーブルの巻き

4月20日。

18日、19日と関西で猛威を振るった仏像LINK春の秘仏ツアーに仕事の事情で参加できなかった僕は、関東より来阪されツアーに参加された佛友さんと共に、滋賀県湖南方面へと後祭を楽しんできました!
今年の初めに、東京は多摩方面の仏像を巡る企画より誕生した多摩仏像研究会の第2回フィールドワークとして、湖南方面を巡る佛旅を企画させて頂き、我が見仏号タントがこの日も大活躍してまいりました。


8時半、南草津駅ロータリーに集合した一行は前回の佛旅同様、雨模様の空に不安を感じながら1ヶ寺目となる草津市志那町の橘堂(たちばなどう)へと向います。
橘堂に安置される三面六臂の観音像は、南都興福寺の僧定恵和和尚が天武天皇の勅願により北大萱(きたおおがや)に宝光寺を創建した際に、同時に建立されたそうです。
現在、吉田・白井両家により管理され15年に1度の秘仏となってはおりますが、拝観のお願いをすれば扉を開けて下さるようです。
小雨の中到着すると吉田さんがお堂の扉を開けて待って下さっており、早速 観音像を拝観させて頂きました。

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後補の部分も多いとの事ですが、穏やかな尊容としなやかで優しい指先の美しさは見事でじっと見つめてしまい目線を外せない。
観音菩薩のスッと下げた視線の先に印を結んだ指先があり、その姿を見つめているとため息が漏れてしまうのです。
全体的に見るとほっそりとしているように感じたのですが、細部を見ていくと実は非常にふくよかで肉付きが良い方。
穏やかで美しく繊細な本当に素晴らしい観音菩薩像でした。


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橘堂から車で15分、守山市の東門院(とうもんいん)へ。
通常は堂外からの拝観で堂内へ上げて頂くには団体のみとなっているようですが、今回はご住職に無理を聞いていただきお厨子の真ん前から拝する機会を得ることが出来ました。
東門院は、伝教大師最澄が比叡山延暦寺を開基した際、寺の東西南北にそれぞれ門を構えたうちの東門が始まりとされ、「比叡のお山を守る寺」で比叡山東門院守山寺。守山の地名の由来ともなっているそうです。


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拝観させて頂いたご本尊十一面観音菩薩立像は、平安初期に琵琶湖の底から網で引き揚げられたといわれる像で、杉材による一木造りで檀像風の造形の方でした。
足元に施された衣紋表現はしつこいまでに密に彫られており、天衣の際にはギザギザとした文様となる彫り込みまで見られます。まるで飛鳥時代の金銅仏の装飾を思わせるような見事さで橘堂に続きまたしても大きなため息が漏れるのでした。
素朴なお顔は簡素でありながらも独特の風貌で、密に彫り込み一種異様なまでの存在感を感じる衣紋との対比がこの像から目が離せなくなる魅力なのかもしれません。


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この時点ですでに予定の時間は大幅にオーバーしておりましたが、ご住職から通常は信者さんのみしか入ることが許されない護摩堂に、重要文化財に指定された不動明王坐像がいらっしゃるから お堂を開けてあげましょうというお言葉を頂き特別に見せて頂けることになりました!
近江一の大きさを誇り全国でも10体に入るとされる不動明王で一同はさらに興奮を高めるのでした。



大幅に遅刻しながら向かったのは野洲市にある佛性寺(ぶっしょうじ)。
かつては大伽藍を有する寺院だったそうですが信長の兵火により焼失したそうで、厄災を免れた阿弥陀如来坐像が収蔵庫には残されています。
丈六を超える像高281cmの見事なまでの阿弥陀如来像で国の重要文化財。
庫外より目に入った瞬間から鳥肌が立つほどの気品と迫力を持たれた方でした。
平安後期藤原時代の定朝様の気品と、来たる鎌倉の迫力が芽吹くような圧巻の阿弥陀様で、ここまで飲み込まれるような迫力ある阿弥陀如来座像には、なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。


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また、本堂には市の文化財に指定された薬師如来坐像も。
この方はスタイリッシュで小顔のイケメン。
筋肉質で男性的な薬師如来坐像で、衣紋表現は簡易的であっさりとしています。
しかしお顔はじっくりと力強い尊様になるように彫り込まれているようで、仏師の方のこだわりがあったような気がしました。


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続いて午前中最後の予定地は佛法寺(ぶっぽうじ)。
仏性寺から10分かからないほどの近在で共に巡られることをお勧めいたします。
こちらでは平安時代後期、一木造りの聖観音菩薩立像を拝観します。
非常に楽しみにしながら堂内へ上がらせて頂くと目に飛び込んできたのは大日如来坐像。
ふいに飛び込んできた智拳印に一瞬呼吸が止まる。
修復の手が多く入っており指定は市の文化財止まりですが、智拳印を結ぶ腕の力強さや趺坐する腿の量感はたっぷりで見上げるお姿は本当にカッコイイ!


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目的の聖観音菩薩像は錫杖を持つ珍しい造形で、左足に重心を乗せ腰を突き出すような体のラインが丸くもあり力強くもある方。
腕など後補の部分もあろうかと思いますが一木の量感と力強さが溢れ出す聖観音菩薩像。
尊容は大きな鼻に厚い唇と線を引いた様な目元。
木目が現れ非常に優美でありながら土着臭さも感じれる地方佛でした。


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押しに押しまくった結果、昼食を予定していたうどん屋さんへは寄れず。。。
食も楽しむカルマ’s佛旅が早くも挫折を迎えます(笑)
昼食を抜いて次の拝観予約を入れている湖南市の正福寺へと向かうのでした。








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滋賀県・西明寺「穏やかなのか厳しいか?!心が映る薬師如来の巻き」

湖東三山同時開帳の最後を締めくくるお寺は西明寺。

寺伝によると、平安時代の承和元年834年に三修上人(慈勝上人)が琵琶湖の西方を歩いていると東の空に紫雲が現れまぶしい光が射すのを見ました。
瑞光と見た上人はその光明を目指して湖東の山中に分け入り一筋の光明を放つ池を見つけます。
その光明の意味を知りたいと一心に池に向かって祈念したところ、不思議な事に薬師如来の尊像が現れ、続いて日光菩薩、月光菩薩、そして十二神将が現れました。
この出来事を聞いた仁明天皇は、この地に勅願寺を立てることを命じ、薬師如来が放った光が仁明天皇がいらっしゃった京都の西の空を明るく照らしたという事から「西明寺」と名づけられました。

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境内には国宝に指定された本堂、三重塔が並び立ちます。
反り返る屋根のラインが美しくて本当に見惚れてしまいます。
僕が訪れた時は曇り空と雨天と2度の拝観共に天気には恵まれず、晴天に堂々とそびえるお堂の絶景は見れませんでしたがそれでもなおカッコイイですよね。
建築物ってカッコイイんですよね。ホントにカッコイイ。

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さて、今回ご開帳されたご本尊ですが藤原時代とされる薬師如来立像で、量感たっぷりの太い方です。
肩幅も広く腹回りに刻まれる衣文線も力強く美しい。
圧力の凄い薬師如来だなと感じたのですが、なぜか表情は凄く穏やかで大人しく優しいお顔をされているなと感じました。
帰って来てから特別販売の写真を見ると、表情も堂々とした威厳にあふれ怖いようなお顔をされているのに驚きました。
あれ?お堂で見た時とお顔が違う!とビックリしたんですよね。
お堂では本当に優しい穏やかな、平安後期の観音像の様な素朴さを持たれたお顔だなと思ったものですから。
出会い方や、出会った時の心もちでここまで心象が変わるんですね。仏像って不思議で素敵で素晴らしいです。
2度目の拝観でお参りした時は、威厳あるお顔だぞとの知識が入っていたのかしっかりと厳しく見えました(笑)
1度目の拝観と2度目の拝観で全く違った薬師如来様に縁を頂けたような不思議で特別な気持ちになりました。

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そしてこちらも金剛輪寺と同じく須弥壇上や裏手にも多数の仏像が安置され見どころがたくさんあります。
躍動感にあふれ表情が生き生きとした十二神将はカッコ良く、伝運慶の弟子というのもさもありなんって感じ(笑)
もう少しだけ明るいところで見たい。細部や奥に並ぶ方々が見えぬのだ。
さらには脇を固める二天像の素晴らしさ。
下半身が異常に太く動きも鈍そうなんですが風を受けて流れる前腕部の衣文は美しい。
他が固いからなおのこと柔らかく感じました。
裏手には不動三尊に阿弥陀三尊、清凉寺式釈迦如来。
阿弥陀三尊は伝快慶とのことでしたが、明らかに時代は下ると思うので弟子筋か。

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次見る機会があるのかどうか分からない薬師如来のお姿を最後に拝んでからお堂を後にしました。
これで湖東三山を後にするのかと思うと後ろ髪を引かれますが。
次に訪れるのはいつになるか。
冬の湖東三山を訪れたい。今年かな?来年かな?




龍應山 西明寺(さいみょうじ)
滋賀県犬上群甲良町池寺26
TEL : 0749-38-4008
拝観 : ご本尊は秘仏
駐車場 : 有り









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滋賀県・金剛輪寺「これぞ秘仏!霊威をまとう生身の聖観音の巻き」

湖東三山同時開帳2ヶ寺目は金剛輪寺。
こちらも緑が美しく長い石段を汗をかきながら、景色を楽しみながらお参りします。


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金剛輪寺で公開される秘仏本尊は「生身の観音様」と信仰される聖観音菩薩立像。
奈良時代、行基菩薩が一刀三礼、拝みながら彫り進めると木肌より一筋の血が流れ落ちた。観音菩薩に魂が宿ったことを悟った行基は彫るのをやめて、粗彫りのまま本尊として安置しました。


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二天門。 重要文化財
大きなわらじが下げられているのは、七難即滅を願うものです。

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一昨年の拝観では拝むことの出来なかった秘仏本尊。
内陣へと入らせていただき厨子前で拝みます。

開かれたお厨子の扉の向こうに安置されるそのお姿は鳥肌の立つような妖しい光景でした。
ロウソクの灯りにより照らし出されるお姿は異様で全身の鑿の跡が生々しい。
顎周りの彫り口はまるで髭のようにも見えます。
垂下した右手と蓮華を持つ左手は彫り込まれていますが、腕部は体部にぴたっと吸い付くようで一木より彫り出される瞬間の様子をまざまざと伝えてくれます。
非常に霊威がありこれぞ秘仏と呼ばれるにふさわしいなぁと感じずにはいられませんでした。

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前回訪れた際のブログでも書いたように、こちらには他にも多数の仏像が安置されており、中でも裏手にお祀りされている十一面観音菩薩立像は必見で素晴らしいです。
平安後期の肉付き豊かな頬に穏やかな表情、浅く刻まれた衣文線が優しくやや左へと突き出した腰つきが愛らしい。
テクテクと歩き出しそうな気すらしてきます。
秘仏公開の機会でなくとも素晴らしい仏像群がいらっしゃる金剛輪寺。
次は冬の金剛輪寺を見にこようかな。雪景色の金剛輪寺もきっと美しいだろうな。

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金剛輪寺(こんごうりんじ)
滋賀県愛知郡愛壮町松尾寺873
TEL : 0749-37-3211
拝観 : ご本尊は秘仏
駐車場 : 有り









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滋賀県・百濟寺「根付きで彫られた植木観音の巻き」

4月16日、5月21日と2度のお参りをしてきたのは3ヶ寺の秘仏本尊同時開帳が行われた湖東三山です。
8年前の2006年に天台宗開宗1200年記念で三山同時開帳が行われましたが、今回は昨年10月に開通した「湖東三山スマートインターチェンジ」を記念してのご開帳です。

高速道路の開通といえば昨年、一昨年と小浜市でも舞鶴若狭自動車道の全線開通を控え、若狭地域への観光誘客拡大を目的にと同時開帳が行われとのは記憶に新しいところですが、今後もこういった機会の特別公開が増えそうですね。
来年の秋?くらいに丹後丹波でも京都縦貫道の丹後方面の開通を記念してご開帳が予定されているとの情報もありますし。

まず最初におとずれたのは百済寺。
こちらでご開帳されるご本尊は植木観音と呼ばれる聖徳太子御自作の観音像と伝わり、太子が根の付いたままの樹木に十一面観音を彫られたことに由来します。

寺伝によると、聖徳太子が慧慈と共に湖東の地に来られた折り、毎夜 東の山中に瑞光が見られたので慧慈に尋ねたところ、翌朝、慧慈の案内でその場所へと分け入ると上半分が切られて光明を放つ杉の巨木が立っていた。
この杉の上半分の幹は百済の龍雲寺の本尊十一面観世音菩薩像を彫る為に運ばれたそう。
そこで太子は、素晴らしい御衣木を得たと根の付いたままの下半分の幹に十一面観世音菩薩像を彫ったと伝わっています。
また、当時の先進技術・文化が百済から日本に移植・定着されたという意味もこの植木という言葉には込められているそうです。


桜の時期と新緑の時期の対比写真
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桜の時期と新緑の時期に二度訪れ、それぞれの美しい景色を楽しみながら登る参道。
ゆっくりと登り見えてくる仁王門からはまさしく異世界への扉の様な神々しいオーラが感じられます。
静かな景色の中に表れる仁王門の神秘さは素晴らしい。
石段を登り、ゆっくりと、徐々に、見えてくる仁王門やお堂の屋根に感動し興奮するのは僕だけではないはず。

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本堂へ上がらせて頂くと通常であれば外陣からの拝観となりますが、今回は内陣へと入ることが出来ます。
一昨年に紅葉の時期に訪れたとき、外陣より拝観した室町期の聖観音菩薩坐像、如意輪観音菩薩坐像も間近で拝観出来ました。
しかし、やはり釘付けになるのはご本尊の十一面観音菩薩立像。
こう言っては申し訳ないですが流石にこの独特な妖しさを発散させるご本尊の前には脇侍さん達は霞んでしまいます。
それ程までにご本尊から漂う空気は拝観者を飲み込むほどの粘度を持っていらっしゃいました。

非常に広い方幅を持ち、怒り肩のように首をすぼめ、その上に乗るお顔の特異さ。
独特のお顔で、目や鼻口がキュッとしています。 力が入りすぎたような印象も。
下半身に見える衣文の表現は、まさに刻んだというような力強く荒々しい彫り口がうかがえ、洗練された造仏とはまた違った真に迫る魅力を感じさせてくれます。
何とも言えない、言葉にできない魅力と雰囲気を全身から発散させる十一面観音菩薩立像に完全に飲まれてしまいました。

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釈迦山 百濟寺(ひゃくさいじ)
滋賀県東近江市百済寺町323
TEL : 0749-46-1036
拝観 : ご本尊は秘仏
駐車場 : 有り













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プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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