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比叡山延暦寺 釈迦堂ご開帳&福井県高雄神社ご開帳秘仏ツアー速報の巻き

毎年恒例、春秋の福井県観光連盟主催、「藤川学芸員と行く秘仏ツアー」に…もちろん今回も参加してきました!
今回の目玉は17年ぶりのご開帳、高雄神社の本地仏。
今やプラチナチケットとなりつつあるツアーに慌ただしくも参加してまいりました。



ツアーは10月9日でしたが、佛友さんと前日に集合して比叡山延暦寺 釈迦堂の特別公開へも行って来ました。
京都駅に集合してまず向かうのは滋賀県大津市。
歴史博物館で開催中の企画展「大津の都と白鳳寺院」展にまず訪れました。
佛的にそこまで期待をしていた訳ではなかったんですが訪れてビックリ?!
非常に見応えのある素晴らしい展示でした。

園城寺の檀像 十一面観音菩薩立像は素晴らしいですね〜♪
いくらでも見ていられます。
岡寺所蔵の如意輪観音菩薩半跏思惟像もお顔ふっくら可愛らしくて良いですね〜。
お近くの方は是非!



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そして本日のメインイベント比叡山延暦寺へ向かいます。
現地入りしてまず驚いたのは人の多さ!
甘く見てました〜
まさかここまで混み合っているとは!
公開最初の週末で連休中日という事で、駐車場へ入るのも待ちが出る混雑ぶり。


何とか駐車場へ入り久しぶりの宝物館へ。
有名な千手観音菩薩立像も素敵なんですが、素晴らしかったのは1階に展示されていた2体の薬師如来坐像。
10世紀の仏像は本当に素晴らしく好みですね〜。
共に巡る佛友さんと10世紀だね♪と盛り上がりました。


境内を移動し釈迦堂へ。
ここでも駐車場は大混雑。
なんとかなんとか停める事が出来ていそいそと釈迦堂へ向かいます。
お堂の外まで並ぶ行列に参加し小一時間並んで漸く内陣へ。
優しいお顔をされた清涼寺式の釈迦如来立像だけでなく、四天王像や小さなお社の扉も開かれ貴重な公開がなされていました。
内陣の雰囲気オーラは凄いものがありましたね。



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比叡山延暦寺を後にしお昼の予定が大混雑の為に時間は押せ押せ。
この後、福井入りして越前町でこれまた企画展を見るつもりだったので、久しぶりの拝佛棄食(佛を拝むことを優先して食を棄てる)で福井へ急ぎます。
しこしここでも大誤算。
湖西線を北上していたら大渋滞。
なんとインスタ映えを狙った白髭神社渋滞にかち合ってしまいこの日はゲームオーバー。
越前町の企画展は諦めてのんびり安全運転で福井入りしました。




ホテルにチェックインして温泉に入れば、お待ちかねの打ち上げです。
本来であれば定休日だったところを営業して頂き、美酒&美食を楽しみました。
福井に来ると必ず訪れるお店の1つライスバーさん
日本酒好きには本当にたまらないお店です。
北陸の地酒にへしこ三昧。
本当に美味しいです。


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コレを食べに来た!へしこの刺身

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驚くほど美味しかったへしこを発酵させたメニューにない品。トロとっろ!





9日。
二日酔いなく、「高雄神社御開扉と福井市の秘仏」ツアーへ参加。
まず訪れたのは高雄神社の17年ぶりとなる、御神体ご開帳。
白山本持仏と同じく阿弥陀如来、十一面観音菩薩、聖観音菩薩の3体で、泰澄大師作と伝わる本持仏。
観音像も如来のお姿をされていて、衣文表現は省略された造形でした。
また、本持仏としては珍しい立像で台座まで共木で彫り出されています。



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ツアーバス


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参道


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御開扉のポスター


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御開扉立て札





次に愛染寺で薬師如来坐像を拝観。
昨年の「福井の仏像」展でもお会いした薬師如来です。
展覧合いで見るお姿よりも凛々しく堂々とされている様に感じました。
やはりお堂でお参りするお姿は違いますね。


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愛染寺 薬師如来坐像 平安時代後期





午前中最後にお参りしたのが西雲寺。
こちらでは無指定の阿弥陀如来坐像を拝観。
存在すら知る事はなかなか難しい仏像も拝観出来るのが、学芸員さんと行くツアーの強みですね。

後補の漆箔が厚く、お顔などはかなり当初の造形から離れているのかな?と思いましたが、全体的に定朝様の平安後期のお像でした。



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西雲寺 阿弥陀如来坐像 平安時代後期





そして午後にやって来たのは滝波五智如来堂。
「福井の仏像」展で修復されたお姿がお披露目されましたが、そのお姿を今度はお堂で。
修復前にもお堂を訪れたことがあり、五智如来にお会いするのは3度目ですが、何度お会いしても素晴らしいですね。
中尊の大日如来は、髻&宝冠のお姿ではなく螺髪となっている珍しい造形です。
村の方みんなで愛し守られているのを強く感じる拝観でした。



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滝波五智如来堂 五智如来坐像




次に笹谷腹帯地蔵堂。
平安時代後期から鎌倉時代にかけて盛んに造像された地蔵菩薩半跏像。
静かに瞑想されているお顔は凛々しくイケメン。



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笹谷腹帯地蔵堂 地蔵菩薩半跏像






坪谷白山神社は以前に個人でお参りした事がありますが、その時には気にもしなかった出会いも!
後補の漆箔に覆われ聖観音菩薩立像がメインとなるのですが、祭壇の手前に祀られる四天王像に今回はくぎ付けになってしまいました。
お堂の新築に合わせて造像されたと勝手に思っていた四天王像は実は平安佛で、仏具屋さんに修理されド派手に塗りなおされていたそうです。
非常に残念なことではあるのですが、そのお陰で?生まれた邪鬼像が何とも言えぬ魅力を放っていました。
ちびまる子ちゃんにでも出てきそうな、ふてぶてしい表情の邪鬼に夢中になってしまいました。



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坪谷白山神社 聖観音菩薩立像

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実は平安仏

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天部像に踏まれるふてぶてしい邪鬼像





最後の締めくくりは文殊山楞厳寺。
非常にカッコいい文殊菩薩像を拝観。
下半身は損傷が多きく痛々しいお姿ですが、半眼で見据えるお顔は薄暗いお堂で見上げると威厳があり、飲み込まれそうになる迫力。



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楞厳寺 文殊菩薩坐像







ざっと駆け足で10月8日、9日の2日間を振り返りました。
非常に濃密で美佛&美酒&美食を楽しんだ2日となりまた。
訪れる度に福井を本当に好きになります。
今年は白山信仰1300年のメモリアルイヤーでご開帳、特別企画展がまだまだ行われています。
年内、もう一度福井に行きたいなぁ~♪


福井市、大野市、鯖江市、越前市、越前町で実施される「泰澄・白山信仰ゆかりの神仏 特別公開」の詳細はこちらから!
寺社でのご開帳や博物館等での特別展の情報が分かります。
白山開山1300年「泰澄・白山信仰ゆかりの神仏」特別公開



福井県・神明神社「17年ぶり!村人の愛に包まれたご開帳の巻」

草津市 宝光寺薬師如来像ご開帳の翌日は、福井県あわら市 北本堂神明神社の十一面観音菩薩像17年振りのご開帳へ。
このご開帳へは福井県観光連盟主催「福通寺 藤川住職と行く秘仏巡りツアー」に参加させて頂きお参りして来ました。




御開帳 十一面観世音菩薩ののぼりが立つ田園風景の中に北本堂 神明神社。

ツアーバスから降りた僕たちを、地域の方々が「ようこそ!ありがとうございます、ありがとうございます!」と何度も頭を下げながら迎えてくれました。
地域の方に本当に愛された観音様でありご開帳なんだなという事が、バスを降りた瞬間から感じられ、観音様をお参りする前からジーンと感動してしまいました。


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ご開帳された観音堂




鳥居をくぐった左手に観音堂。
石段を登り堂内に入ると厨子の扉は開かれ、等身大の十一面観音菩薩立像がいらっしゃいます。
カチッとしている様でもあり、ふわっと浮き上がるような柔らかさもあり、素敵な観音さま。


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ご開帳された堂内


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十一面観音菩薩立像 市指定文化財 平安中期 欅材 一木造り 像高176cm


市指定文化財で、平安時代中頃の11世紀前半の造像と考えられるそうです。
像高は176cm 欅材の一木造りで内刳りは全く行わず素材に彩色仕上げ。
堅材の欅を使用しほぼ全身を一木丸彫りをするなど材質的にも大きな特徴を備えた像と解説にありました。


平安時代中期の作となりますが、地域の方たちには泰澄大師御作と信じられており、由緒書きによると44代元正天皇の時代 養老元年に泰澄大師が白山へ登られたおり、西海に紫雲がたなびき夜は光明がかがやいていた。
これは諸佛影向の霊地に違いないと、泰澄大師はこの地を訪れ伽藍を建立し本堂の本尊に十一面観音菩薩を自ら彫られた、と伝わっているそうです。



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佇まいから非常に霊威的なものを感じる


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お顔の表面は摩滅がありハッキリとした表情は掴めない


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後補の彩色が厚かったのか当初のものなのか、足元などはモコモコとしていた




ご本尊 十一面観音菩薩立像の両脇には阿吽形の二天像が。
本尊と同じく平安時代中頃のお像で、太く大きな体で邪鬼をどっしりと踏みしめます。
共に両腕は後補の様ですが、頭大部からは表面は摩滅しながらも迫る勢いが感じられる。



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広目天立像 市指定文化財 平安中期 欅材 一木造り 像高95cm


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多聞天立像 市指定文化財 平安中期 欅材 一木造り 像高98cm



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広目天像に踏まれる邪鬼


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多聞天像に踏まれる邪鬼


お堂を出ると村の方々に集会所へ招きいれてくださり飲み物とお菓子をいただく。
帰り際には紅白の饅頭もいただき、何度もありがとうと頭を下げられて、県内外からの拝観者にご開帳の喜びを伝えられていました。


村で守る観音さまの晴れ舞台を心から喜んでいる村の方々のお姿を見て、僕たちも本当に幸せな気持ちに包まれました。
素晴らしいご開帳でした。







北本堂 神明神社
福井県あわら市北本堂14-39
TEL : 0776-73-5158 あわら市郷土歴史資料館
拝観 : 秘仏
駐車場 : 向かいの生活改善センター










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平安佛の大洪水!白山を仰ぐ「福井の仏像」展の巻④~菩薩編~

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並んで展示される2体の菩薩坐像は共に大日如来像であったのではないだろうかとされる像だそうで、1体は八坂神社の菩薩形坐像、もう1体は大安禅寺の文殊菩薩坐像。

八坂神社の像は明治時代の神仏分離令により隠された蔵であったらしく、本殿改修の折に床下より発見されました。
両腕の前腕部から先を失しているため尊名を確定できず菩薩形とされていますが、金剛界智拳印を結ぶ大日如来像であったのではないか、との解説でした。
定朝様を感じさせるゆったりと穏やかな姿勢で、ふくよかなお顔と合わせて非常に豊かな表情を持たれた方です。


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八坂神社 菩薩形坐像 重要文化財


大安禅寺像はどっしりとした体躯で堂々と剣を握る力強い方。
八坂神社像よりもさらに力強い像容。
真っ直ぐに正面を向く顔に伏せた双眸があり、知的な男性像に見えました。
肩や肘のつぎはぎ面の角度は後補により改変され、また腹部正面には定印を収めるような跡が残っており、元は法界定印を結ぶ大日如来像であったと考えられるそうです。


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大安禅寺 文殊菩薩坐像 県指定文化財




嶺北地方で現在最も古いとされる象も展示されています。
それは越前市 神宮堂の虚空像菩薩坐像です。
49cmの小像でありながら非常にパワーのある方で、見応えがあります。
この像を目当てに来館される方も多かったのではないでしょうか。


体に厚みがあり力強く、衣紋も深く刻まれます。
広い肩幅に張った胸板、非常にカッコイイですね。
肩より垂れ下がる天衣は脚部へと落ち、巻き込むように流れていき見応えがあります。
頭部やお顔など、後補の厚い漆箔に覆われ、尊容がつかみにくい面もありますが、それでもこれだけの迫力があるのだから素晴らしい。



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神宮堂 虚空像菩薩坐像 県指定文化財


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脚部を巻き込むように彫り込まれた天衣




展覧会へ向けて現地より搬出するのに、最も大変であったと仰られていたのが越前市 神明神社の千手観音菩薩立像。
頭体幹部、合掌手の前腕半ばまでを一木で彫り出し、宝珠手、脇手を剥ぎ付けているため、非常に重く持ちづらい。
現地では腰上ほどの須弥壇内に安置されているため、かなり苦労されたと思います。



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現地の安置状況


さて尊容ですが丸く引き締まるお顔は体のサイズよりやや大きく感じ、どこか童子を思わせる。
翻波式衣紋がみれれたり、腰から折り返す裳は2枚に重なるように表現されており特徴的です。
横へ広くひろがる脇手は非常に大きく、救いの手を求める信仰の強さが現れているのかなぁと思いながら眺めました。
脇手の裏には細かな板状の脇手が嵌め込まれており、真数千手の様相でした。
愛らしくもあり、信仰の強さも感じさせる素敵な千手観音でした。




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神明神社 千手観音菩薩立像 県指定文化財


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大きく広がる脇手


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腰から折り返す裳はU字に重なり合うように








会期は終わってしまいましたが、当ブログの更新はもう1回続きます。
更新が遅れ申し訳ございません!!






福井市立郷土歴史博物館
福井県福井市宝永3丁目12-1
TEL : 0776-21-0489
e-mail : kyoudo@city.fukui.lg.jp
「福井の仏像-白山を仰ぐ人々と仏たち-」展
会期10月14日~11月23日







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平安佛の大洪水!白山を仰ぐ「福井の仏像」展の巻③~十一面観音菩薩編~

美しく優しさと儚さを持たれた聖観音像の次に並ぶのは白山本地仏 十一面観音菩薩像。

平安後期に本地垂迹説が確立されると、白山神は山の神であり、水の神であり、水との関係深い十一面観音の垂迹が相応しいと、その信仰が広がるそうです。
今回の更新は、そんな白山信仰の本地仏 十一面観音菩薩像です。




越前市 八幡神社 十一面観音菩薩立像。
展覧会を訪れられ、「この方に目がハートになっちゃった」とは仲良くしていただいている佛友さんの言葉。
霊木より現れる仏さま。
その瞬間を彫りだそうと試みた仏師の意思、信仰の熱がこもった観音様です。


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立ち姿は、腰を左へと突き出すようにカーブを描き、どっしりとした量感を示します。
髻から足ほぞに至る頭体幹部、左手は肘、右手は手首までを、カヤ材の一木で彫り出し内剥りを施さず。
また、頭頂の化仏にはお顔が彫り込まれず。
この面相を表現しないのは福井市大安禅寺 十一面観音像、越前町日吉神社 十一面観音像などにも見られる、霊木化現の表現の一つと考えられているようです。
随所に奥深い信仰の力を感じさせて下さる、非常にパワーを感じる十一面観音像です。


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八幡神社 十一面観音菩薩立像 県指定文化財


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面相を表さない頭頂の化仏、穏やかであり力強くもある尊容




今回の展覧会に先立つ調査で新たに確認され、出展された貴重な十一面観音像が2体展示されています。
まずは坂井市内寺院の十一面観音菩薩立像。

穏やかで凛とした佇まいの観音様で平安後期から鎌倉の匂いも感じられるような美しい十一面観音像です。
表面には江戸時代の修復の跡が劣化し剥落しているので痛ましく見える部分もありますが、その裏にある当初のお姿を想像しながら眺めるのも非常に楽しいものです。
天衣は後補かな?手先は?どこまでが当初のものなのかな?
そんな風に見てみると、自身の思惑が当たってても外れててもいろいろな驚きを感じることができて楽しいですよ♪



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坂井市内寺院 十一面観音菩薩立像 無指定


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優しく上品な尊容


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装飾的な彫りを見せる下半身







そしてもう1体は越前町内寺院の十一面観音坐像。

32.1cmの小像でありながら大きな存在感を出す十一面観音坐像で、内剥りを施さない一木造りの像です。
両腕の肘から先や、脚部の付け根など候補の部分も多いようですが、小さいながらも量感があり、なによりそのお顔が魅力的でした。
童子のようなふくれっ面に見えるような、横から眺めると穏やかに瞑想しているような。
360°見れる展示のため、グルグルと回ってしまいます。
ぐるぐるぐる。
正面のお顔と横顔と。
違うように見えるなぁと仏像の奥深かさを感じるのでした。




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越前町内寺院 十一面観音菩薩坐像 無指定
正面のお顔は童子のような



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横顔は静かに瞑想しているような


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この顔が非常に好き



素敵な十一面観音像が新たに確認され、この展覧会を盛り上げています。
展示されていな新発見の仏像もいらっしゃるということなので、これからも福井県は目が離せません。
そしてこの展覧会の成功が更なる福井の仏像調査の推進力となり、調査発見が進むことを願わずにいられません。


次回更新は菩薩編となります。
(聖観音も十一面も菩薩だけど♪)









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平安佛の大洪水!白山を仰ぐ「福井の仏像」展の巻②~聖観音菩薩編~

前回の更新、プロローグ&如来編はこちら


如来像に続き展示されるのは観音菩薩像。
多くの仏像好きがこのラインで夢中になってしまうのではないでしょうか。
素晴らしい数々の聖観音菩薩像や十一面観音菩薩像が列をなしています。



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最初に展示されるのは鯖江市 加多志波神社の聖観音菩薩立像。
観覧前からポスター等でそのお姿は確認していましたが、実佛を目にしてまず思ったのが小さい!
勝手な想像で等身大の像で170ほどの像高があるものと思っていたので104cmという小ぶりな像容に思わず頬が緩みました。
可愛らしいと思えたのです。
お腹周りから太腿にかけて非常に量感たっぷりな体躯であるんですが、通常の観音像よりは短いように見えた垂下する右腕や、ふくよかな頬に小さく穏やかに刻まれた目鼻、口元などの印象からか、どこか童子のようにも感じられ、体幹部の量感も”堂々とした”というよりも”ゆったりとした”という表現も用いたくなりました。


像の各所には大きな節(ふし)が見られ、これらは特別な霊木より彫り出されたことを表しているとか。
霊木より彫り出されたどこか童子を思わせるようなこの像に多くの時間を費やしてお姿を眺めるのでした。



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加多志波神社 聖観音菩薩立像 県指定文化財


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大らかで優しさが溢れる、どこか童子の様にも見えた尊容


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深く刻まれる衣紋 足元には翻波式衣紋が




同じくポスターや公式HPにもお顔が取り上げられていた福井市 法承寺の聖観音菩薩立像。
17年に1度の御開帳という秘仏で、今回の展覧会には特別に出展された目玉ともなる聖観音さま。
加多志波神社の像とは変わって、衣紋の彫りは浅く彫られ、スラリとした立ち姿の像です。
スラリとしていて薄彫りの、ともすれば印象が薄くなりがちの像容を特異なものにしているのは何と言ってもそのお顔。
衣紋とは打って変わってしっかりと彫り込まれた目鼻立ちは、その大きな鼻と、少し開いているようにも見える口元、そして伏し目で目線の合わない双眸で威厳あるオーラを発散させています。
秘仏がよくぞお出ましいただけました!!



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法承寺 聖観音菩薩立像 市指定文化財


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鼻翼の広がり、少し開いた口元、伏した目 独特なものを感じる


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なで肩で、首をやや前に出しているような姿勢も魅惑的


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薄く彫られてはいるが翻波式衣紋が見られる





非常に人気の高かった聖観音菩薩立像は越前市 荒谷観音堂の観音さまだったのではないでしょうか。
足を揃え、脇を締め未敷蓮華を胸前で持つ姿は、儚さも感じるような。
全体的にやや左へと傾いた立ち姿は霊木から彫り出された故か。
像容も各所にノミの跡を残す、霊木・神木より出現する仏の姿を表す表現方法を用い、頭体から蓮台、天衣に持物に至るまでが一木より彫り出され、いかにこの像が神聖にお祀りされることを考え彫り出されたかが伺えます。
美しく儚げでありながら菩薩像としての表情は凛々しい素敵なお方です。


また、驚いたのは内剥りは施されていないこと。
像高170cmの一木造りでありながら内剥りが無いにも関わらず、目立った割れが生じていなかったこと。
背面には斜めに木割れがあるものの、尊容を含め前面部には無いことに霊木の御力を感じるのでした。



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荒谷観音堂 聖観音菩薩立像 県指定文化財


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脇を締め胸前で蓮華を持つ姿にグッとくる


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美しい菩薩像のお顔を見せる横顔




全ての観音像をご紹介することは難しいですが、その他の観音像にも軽く触れてみたい。
つまりは全てが素晴らしいのです。



福井市 西光寺 聖観音菩薩立像

下半身の量感がものすごく、安定感抜群。
上半身のスラリと伸びる感じとは対照的な下半身に目がいきます。
尊容は面長で頬の張りと地方色を感じた。


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坂井市 円海寺 聖観音菩薩立像

衣紋の彫り込みが非常に緻密で装飾的。
髻の大きく渦を巻く形状は僕の好みに合致して非常に好きなお方です。
お顔は唇を少し突き出すように表現されていて厳しさを感じる。


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展示された仏像すべてを載せてしまいそうになってしまうので、このあたりで自重いたしましょう。
次の更新は白山の本地仏 十一面観音菩薩編です。






福井市立郷土歴史博物館
福井県福井市宝永3丁目12-1
TEL : 0776-21-0489
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「福井の仏像-白山を仰ぐ人々と仏たち-」展
会期10月14日~11月23日







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迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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