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第24会 地方仏佛像研究会 南熊本ツアー速報の巻き②

南熊本ツアー2日目。
寝起きに温泉につかりさっぱりした後は美味しい朝食が待っています。
なんで温泉旅館での朝食ってあんなにたくさん食べれるんでしょうかね(笑)
朝からお腹一杯になり2日目行程開始です!


生憎の雨が降る中、この日最初に巡ったのは願成寺。
実はここの不動明王立像のお写真を見た時から心ときめかせていた方。
立ち姿が非常にカッコ良くて、睨みを利かせた尊容も本当にカッコイイ。
左手の羂索を持つ手首もカッコイイ!
そして阿弥陀如来坐像の厳しい尊容と見事な衣文表現は藤原期から鎌倉期へと移る時代の息吹を伝えるという。
おぉーっと声があげてしまう見事な阿弥陀様でした。衣文のドレープ見事!


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そして驚きの鬼木阿弥陀堂。
人吉町鬼木、ファミリーマートの向かいに並ぶ墓地の中にポツンと建つ阿弥陀堂。
まさかここに?!と驚く場所にいらっしゃったのは市の文化財に指定されて衛流阿弥陀如来立像。
薄い衣紋に素朴な朴訥な地方の優しさを感じさせてくれるような阿弥陀様です。
面長のお顔の中に大きな鼻を持たれた非常にレア感満載の方でした。


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次いで高寺院。
本堂の裏手の方に建っている収蔵庫に安置されている3体の毘沙門天像を拝観。
3体の内2体は国の重要文化財に指定されており、見事。
福岡観世音寺の毘沙門天像には及ばないまでも近しい力強い造形美を感じました。
動きは固いながらも細部もしっかりと彫り込まれた甲冑の表現や力強い表情など好みの天部像でした。


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美者も天像のお姿は山江村HPへ


続く明言院でも毘沙門天立像を。
損傷の具合は大きく表層も荒々しい状態ではありますが、腰を大きく左へと突き出し躍動感あふれる方。
滋賀県檪野寺に安置された田村毘沙門天像と酷似する造形。
坂上田村麻呂が自らの等身大の毘沙門天を彫ったと伝え残る滋賀の像との酷似は非常に興味深いものがありました。

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毘沙門天像のお姿は八代市HPへ


そしてとんでもなく細く曲がりくねった山道を登り切った先に見えてきたのは福城寺。
バスの運転手さんを泣かせても訪れるべき価値の合った見事な釈迦如来立像がいらっしゃいました。
慶派仏かと思われる造形で、安阿弥様を示す造形的には来迎印を結んだ阿弥陀如来様の様ですが、釈迦如来像として祀られております。
また、ご本尊は十一面観音菩薩立像。元は吉祥天ではなかったかと考えられているそうで、これまた非常に興味深いご本尊でした。


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最終地は康平寺。
ご本尊には二十八部衆を従えた千手観音菩薩立像。
しかしなにより僕らが注目したのは平安期の地蔵菩薩立像でした。
やや頭部が大きめでなで肩の幼児的な体型で、衣紋は大きく深く刻まれY字に流れていきます。
尊容も独特な風貌で微笑んでいるよう。見る角度によっては不気味さも感じてしまう様なお顔でした。


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ざっとダイジェストで振り返りましたが非常に充実した2日間で、南熊本の佛をこれでもかと堪能させて頂いたき、訪れた仏像全てが初見というドキドキが止まらない旅となりました。
企画していただいた感じ様本当にありがとうございました、そしてお疲れ様でした。







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第24会 地方仏佛像研究会 南熊本ツアー速報の巻き

さて!行って参りました南熊本佛ツアー!
3月14日、15日の2日間にわたり巡る、地方仏像研究会の第24回ツアーに参加させて頂きまして南熊本で守られ、お祀りされている数多くの仏像を拝する機会を得ることが出来ました。
非常に充実した2日間の南熊本の仏像ツアーをダイジェスト的に紹介したいと思います!


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14日、朝の9時に阿蘇熊本空港へと集合し、総勢15名の地方仏像研究会のメンバーはツアーバスへと乗り込み今ツアーの1ヶ寺目となる荒田観音堂へと向かいます。
球麿郡錦町、荒田公民館の脇に立つ荒田観音堂は地域のみなさんによってお守りされたお堂です。
拝観させて頂いたのは県の文化財に指定された釈迦如来坐像。
藤原時代の優美な方でカツラ財の一木造り。
伏し目がちで鼻筋の通った非常に美しいお釈迦様でした。


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中尊に祀られているのは聖観音菩薩坐像でしょうか。
後補の金箔の落剥や剥ぎ目の浮つき等 痛々しさもありますが、高い髻と力強い眼差しのなかなかに興味深い方でした。


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また、敷地内には薬師堂もあり薬師如来立像と天部立像が安置。
素朴で薄い衣紋のお薬師様。
体の厚みが非常に薄い方で頭部はやや大きめか。
隣りに立つ天部像はひしゃげたような造形でユーモア。


そしてこの荒田観音堂では驚くべきお接待を受けました。
村のお母さん方が集まり来たる僕たちへと心尽したおもてなし。
おふくろの味と言えるような野菜たっぷりのお惣菜を用意していてくれたのです。
この後、昼食へと向かうのにもかかわらずお箸が進む。
バスが見えなくなるまで手を振ってくれるみなさまに手を振りかえし、次へと向かうのでした。


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昼食へと向かったのは松の泉酒造。
熊本といえば焼酎。
焼酎蔵を見学させて頂き、ワクワクの試飲タイム。
お酒好きが集まる地佛研でありますからみんなゴクゴク。
美味しい焼酎を飲み昼食 ヒレカツとたご汁定食を頂きました。


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お腹がはち切れそうになりながら向かったのは中山観音堂。
お腹が苦しく動けねーという気持ちを吹き飛ばすどころではない物凄い空間が迎えてくれました。
到着した時には既に開かれていたお堂の扉。
歩を進めるにつれ見えてくる堂内の雰囲気に息を飲みました。


淡い灯りに照らされ浮かび上がるように現れた十一面観音菩薩立像の存在感は僕らの心を簡単に鷲掴みします。
脇に並ぶ四天王像も後補の彩色に彩られていますが、量感たっぷりの堂々とされた方たちで、心の底から漏れるため息が震えてしまうほどに興奮してしまいました。


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続く城泉寺では鎌倉期の阿弥陀三尊像を拝観。
慶派の造像であると考えられる見事な三尊像で、特に脇侍の勢至菩薩像が素晴らしいです。
尊容が抜群に素晴らしく生命力に溢れていました。
観音菩薩も素晴らしいですが勢至菩薩の素晴らしさは頭一つ抜けているんじゃないかな。
ただ、観音菩薩の髪の造形は面白く、流れや結んだ表現など見どころ多し。


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青蓮寺でも阿弥陀三尊像を拝観します。
同じく鎌倉期ですがこちらの方は院派仏。
院玄によって造像された阿弥陀三尊像は、僕が抱いていた伏し目がちで深く静かな気高さのあるような、というのが院派のイメージとしてありましたが、この方は慶派仏に近しいような生命感が溢れるような方でした。
足の指には銀の装飾が施され、造像に際して先鋭的な物を取り入れようとされた事が伺えより院派のイメージとは違ったものを楽しませて頂きました。


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お姿は役場HPで



次に向かったのは青蓮寺と同じく多良木町の栖山観音堂。
ご本尊は2mを超える大きな千手観音菩薩立像ですが修復に出られていましてご不在。
今回拝観させて頂いたのは平安期の毘沙門天像2体と持国天立像。
後補の彩色が施されていますが平安期ならではの固く重い力強さを感じ取ることが出来る天部像でした。
また、お写真ではありますが修復過程のご本尊を見る事も出来ました。
天部像と同じく後補の彩色をまとわれた方でしたが、その彩色が剥され現れ出たお姿は非常に惹きつける魅力を持たれた尊容でした。
11月頃にお戻りになるという事なので再訪したいなぁ。


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阿蘇釈迦堂。
紫のカーテンに囲まれた妖しげな雰囲気漂う堂内に安置されているのは釈迦三尊像&持国天、多聞天の二天像。
そして非常にコミカルな薬師&十二神将像でした。
平安後期の釈迦三尊像は非常に力強く、口元の口角をキュッとさげる共通の尊容をされていました。
向かって右脇にいらっしゃる薬師&十二神将像の可愛さよ。
非常にコミカルでトイストーリーばりに人の目が届いていないときは動き回ってんじゃないの?と思えてくる萌え佛でした。


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初日最後にお参りしたのは荒茂毘沙門堂。
前日に重要文化財へと答申されたばかり。
このタイミングでお参りできる貴重な瞬間でした。
今回はご本尊を含め3体の毘沙門天像が重要文化財に答申され中尊 毘沙門天立像はいらっしゃいますが脇に祀られていた毘沙門天像は修復にお出かけ。
しかしです!ここの右脇にいらっしゃる吉祥天像が凄い。
右腕から太く流れ落ちる衣文がたまらなく、足元に刻まれる衣文も特徴的で非常に非常に注目に値する方でした。


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ここからこの日宿泊させていただく「さがら温泉茶湯里」へ。
ナトリウム炭酸水素温泉でじっくりと体を温め癒し、夜の宴会へと雪崩れこむのでした。
食は美味いはお酒は美味いはでもう大変でございました。



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2日目と続く。。。

プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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