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宮城県・大光院「愛らしき4体の鉄仏阿弥陀の巻き」

角田市で高蔵寺 阿弥陀堂、小針薬師堂と拝観させて頂いき次に向かったのは柴田町にある大光院。
こちらには「発汗(あせかき)如来」と呼ばれる4体の鉄仏阿弥陀が安置されています。
文永三年(1266年)造像の銘がある事から鎌倉時代の作である事が分かり、東北の地に残る数少ない貴重な鉄仏です。


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境内にある収蔵庫に横一列に並んで安置され、お地蔵さんのように赤の頭巾をかけられた非常に愛らしい方々でした。
元々は五智如来として造像されたそうで、「略縁起」によると、厄災に苦しんでいた此の地の長者が旅の僧に相談したところ「五智如来像をを南蛮鉄で鋳造し厚く供養せよ」との言葉を頂き造像しました。
その内の1体は娘の身代わりとして供養され難を逃れた、庭の池に投げ入れると池が沸き立ち厄災の元凶であったヒルが浮かび上がったとも言われているそうです。
また、これらの像は村に厄災及ぶとき全身に汗をかいて異変を知らせるといわれ「あせかき如来」と呼ばれ厚い信仰を集めています。



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収蔵庫の外より拝観させて頂いたので細部は分かりませんでしたが、非常に良く似た4体が並んでおり、鉄仏である事から同じ鋳型から造られたのかと思いましたが、お顔が違う様な感じです。
凛々しいお顔をされた方、穏やかな優しいお顔をされた方といらっしゃいます。
これらの違いは当初よりの造形の違いなのか、磨滅具合により尊容に違いが表れてきたのかは分かりませんが、似ているようで少し違う、そんな4体の鉄仏 阿弥陀でした。


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大光院(だいこういん)
宮城県柴田町西船迫1-12-12
TEL : 0224-54-2524
拝観 : 自由
駐車場 : 有り









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宮城県・小針薬師堂「これぞ地方古仏!鳥肌たつ薬師如来の巻き」

高蔵寺から車で10分ほどで到着するのは小針薬師堂。
高蔵寺のご住職に案内され薬師堂内に安置されている鎌倉期の薬師如来坐像を拝観。
通常ではなかなか拝観することが出来ない像ですが、今回は仏像LINKツアーでご縁を頂くことが叶いました。


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ポツンと建つ小さなお堂の中、お厨子に安置される薬師如来坐像は建長6年(1254)の年号がある鎌倉中期の古仏です。
鎌倉期といえど写実的な都仏の像容ではなく、彫技的には簡素で簡易的な方。
しかし、このお像から伝わる魅力は彫技や造形美といったものではなくお像全体から発するオーラ、神秘的な魅力が伝わってきます。
小さなお堂であったため、10人程度に分かれて順次堂内へと上がり拝観します。
堂内へ入ってからも数列に並び順番に前へと進みお姿を拝観させて頂いたのですが、1列進み見上げるごとに、薬師如来に近づくたびにその尊容を変えていきます。
僅か数十センチ見上げる角度が変わるだけでも印象が変わりゾクゾクするような興奮を覚えました。
なにがどう違うのか、言葉で表すことは出来ないんですが鳥肌が立ち湧き上がってくる興奮に飲まれてしまう魅力がありました。



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この日 拝観させて頂いた仏像の中でも最も心に残りグッときた仏像。
頭部はやや大きめで優しいお顔をされた、造形美よりも像全体が発する地方古仏の魅力を存分に味わうことが出来る素晴らしい薬師如来坐像でした。
お姿は以下のHPから確認することが出来ます。
小野 幹 -東北の仏像-







小針薬師堂
宮城県角田市稲置字小針
TEL : 0224-65-2038(高蔵寺)
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納








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宮城県・高蔵寺「力強く坐す丈六阿弥陀如来坐像の巻き」

7月12日。
この日は3度目の参加となった仏像LINK様主催の秘仏めぐりツアーへと参加してきました。
今回巡る地は宮城県&山形県。そう!1泊2日の宿泊ツアーでした!
たくさんの仏友さんたちと秘仏を巡り、夜更けまで飲み明かすなんとも贅沢なツアーに参加させて頂きました。
あまりにも楽しすぎて大興奮に包まれた2日間の模様をこれから1寺ずつ紹介していきたいともいます。



当ブログにてツアー参加後の速報記事はこちら
仏像リンク主催!山形宮城仏オフツアー!ダイジェスト速報



8時40分、東京駅に集合し目的地へと出発するツアーバス。
バス内では恒例の参加者自己紹介を披露し、その後5時間かけて目的地を目指します。
まず向かった今ツアー1寺目は宮城県角田市にある高蔵寺阿弥陀堂。
高蔵寺由緒書きによると、阿武隈川の下流、角田市の西方に位置する高蔵寺は西暦819年に徳一菩薩が創建したと伝わります。
平安時代の建造物は、現在全国で二十六しか残っておらず、阿弥陀堂としては七ヵ所のみとなっており、現存する数少ない文化遺産で重要文化財に指定されています。


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ご本尊は同じく重要文化財に指定された平安時代後期、藤原秀衡とその妻が作らせたと伝わる丈六の阿弥陀如来坐像。
像高は270cmの寄木造りで、蓮華座から天井に届かんとする見事な透かし彫りの飛雲光背を合わせると518cmにも上る大きさです。
台座、光背共に当時のままで現存し、像容は非常に力強く厳しいお顔をされています。
体躯も平安時代後期のゆったりと穏やかなというよりは肩周りもガッシリとした力強さを持った方です。
平安時代後期から鎌倉期への過渡期の作風との事です。
通った鼻筋から厚みのある唇にゴツンとした顎などは非常に厳しさを感じ、威厳にあふれた強烈な尊容でした。
手も大きく、太く長い指に衣文表現にも平安後期の浅く整然とした表現よりは彫りが深みを増し力強さが目立ちます。
全体的に力強いオーラを発散する方で、個人的には鎌倉期への過渡期というよりは平安初期の力強さを感じたりしました。
お堂へ差し込む日の光が、尊容をより力強く見せてくれる素晴らしい環境で強烈な丈六阿弥陀を拝観するのでした。


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堂内には他にも大きく破損した阿弥陀如来坐像も安置され、この像はご本尊よりも5、60年も古い物だという。
胸部が破損したり、左腕を失ったりとかなり痛々しいお姿ではありますが、当時の寄木法が見て取れます。



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勝楽山 高蔵寺(こうぞうじ)
宮城県角田市高倉寺前49
TEL : 0224-65-2038
拝観 : 要予約
拝観料 : 300円
駐車場 : 有り








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プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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