山形県・松尾山観音「込められた”想い”があふれだす菩薩立像の巻き」
2日間に渡って巡ってきた仏像LINK宮城・山形ツアーもいよいよ終盤。
素晴らしい清凉寺式釈迦如来像を拝んだ法来寺から南下しやって来たのは松尾山観音。

こちらには平安時代の造像で山形県の文化財に指定される聖観音菩薩立像と勢至菩薩立像が安置されています。
調べるところによれば十一面観音と勢至菩薩と記される所もありますが、伝承によると行基菩薩の作とされ元明天皇の和銅元年の頃の話となるそうで、
行基菩薩がこの地を行脚し野宿している時、無量寿仏、観音、勢至の三仏が柱の木に留まる夢を見た。
山深く分け入ると夢に見た桂の古木が目の前に現れたので、これを切って三仏を彫ります。
その三仏は応永年間に盗難に合いますが、急な大雨に打たれ辺りは一体は洪水の様に氾濫し仏罰を恐れた盗賊は三仏を置いて逃げたそうです。
無量寿仏は雨に流され行方が分からなくなってしまいますが、観音菩薩、勢至菩薩は村の人びとにより今日まで大切に保存されているという事です。
伝承から辿るとお守りされている仏像は観音菩薩、勢至菩薩という事になるのでしょうか。
頭頂に仏面がある事から考えれば十一面観音となるのかな。

お堂へ到着するとご住職がお待ちくださっており堂内へと上げて頂きました。
堂内奥には固く閉じられたお厨子の扉が。
あの奥にいらっしゃるんだなと息を飲みます。
ご住職のお話を聞き、いよいよお厨子の扉が開く。

扉が開き、両菩薩のお姿がゆっくりと現れ。。。。
堂内がどよめくような、ウォ~~~~という歓声が沸き起こり2体の大きな菩薩立像が目の前に。
見上げるほどの大きな方たちで、そのお顔は本当に慈悲深い。
閉じられていた間に内包されたとでもいう様な物凄い圧が、開かれた扉から流れ出し押し寄せてきました。
全身に鳥肌が立つような凄い感覚で、共に巡った仏友さんの中には感極まり涙を浮かべ戸惑う方もいらっしゃったほど。
涙が止まらない、そんな感情の高まりをしっかりと理解できるくらいに僕もこの両菩薩像に飲み込まれていました。


手首は失われ、腹はえぐれ、足元は大きく破損する状態ですが、その尊厳は失われることなく綺麗に残り確認できる尊容から強いあたたかさを感じずにはいられません。
地方仏の特色であると僕が感じているこの”あたたかさ”は、まだまだ各地を全然巡れていない僕が言うのもおこがましいのですが、「地方仏」と呼ばれうる仏さまに必ず共通してくるように思います。
守られてきた土地の人びとの想いがこもりその表情をあたたかくしているように思えてならないのです。
祈り、願い、寄り添った人びとの想いがきっと仏さまにも伝わり月日の流れと共に刻まれていったに違いないのです。
そうでなければ、一目見た瞬間にこれ程までにも心に訴え揺さぶるような感情の芽生えを説明できません。
何百年もの人々の祈り願いが、今回拝観させて頂いた僕たちに仏さまを通じて流れ込んできたように思います。


拝観後はご住職と楽しく雑談。
しかしなまりが強く仰られている事の半分は分からない。。いや、ほとんど分からないか(笑)
神木より彫りだされたという伝承を実感できる非常に神々しくあたたかい見上げる巨像に、自然と沸き起こった仏像LINKツアー主催者様への拍手喝采。
参加されたみんなが感動と心に込み上げるものを感じたからこその拍手だったのでしょう。
この方とお会いできる機会を下さってありがとう。
本当に素晴らしい菩薩像でした。


松尾山観音堂
山形県山形市蔵王半郷2
TEL : 023-688-3328
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り

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素晴らしい清凉寺式釈迦如来像を拝んだ法来寺から南下しやって来たのは松尾山観音。

こちらには平安時代の造像で山形県の文化財に指定される聖観音菩薩立像と勢至菩薩立像が安置されています。
調べるところによれば十一面観音と勢至菩薩と記される所もありますが、伝承によると行基菩薩の作とされ元明天皇の和銅元年の頃の話となるそうで、
行基菩薩がこの地を行脚し野宿している時、無量寿仏、観音、勢至の三仏が柱の木に留まる夢を見た。
山深く分け入ると夢に見た桂の古木が目の前に現れたので、これを切って三仏を彫ります。
その三仏は応永年間に盗難に合いますが、急な大雨に打たれ辺りは一体は洪水の様に氾濫し仏罰を恐れた盗賊は三仏を置いて逃げたそうです。
無量寿仏は雨に流され行方が分からなくなってしまいますが、観音菩薩、勢至菩薩は村の人びとにより今日まで大切に保存されているという事です。
伝承から辿るとお守りされている仏像は観音菩薩、勢至菩薩という事になるのでしょうか。
頭頂に仏面がある事から考えれば十一面観音となるのかな。

お堂へ到着するとご住職がお待ちくださっており堂内へと上げて頂きました。
堂内奥には固く閉じられたお厨子の扉が。
あの奥にいらっしゃるんだなと息を飲みます。
ご住職のお話を聞き、いよいよお厨子の扉が開く。

扉が開き、両菩薩のお姿がゆっくりと現れ。。。。
堂内がどよめくような、ウォ~~~~という歓声が沸き起こり2体の大きな菩薩立像が目の前に。
見上げるほどの大きな方たちで、そのお顔は本当に慈悲深い。
閉じられていた間に内包されたとでもいう様な物凄い圧が、開かれた扉から流れ出し押し寄せてきました。
全身に鳥肌が立つような凄い感覚で、共に巡った仏友さんの中には感極まり涙を浮かべ戸惑う方もいらっしゃったほど。
涙が止まらない、そんな感情の高まりをしっかりと理解できるくらいに僕もこの両菩薩像に飲み込まれていました。


手首は失われ、腹はえぐれ、足元は大きく破損する状態ですが、その尊厳は失われることなく綺麗に残り確認できる尊容から強いあたたかさを感じずにはいられません。
地方仏の特色であると僕が感じているこの”あたたかさ”は、まだまだ各地を全然巡れていない僕が言うのもおこがましいのですが、「地方仏」と呼ばれうる仏さまに必ず共通してくるように思います。
守られてきた土地の人びとの想いがこもりその表情をあたたかくしているように思えてならないのです。
祈り、願い、寄り添った人びとの想いがきっと仏さまにも伝わり月日の流れと共に刻まれていったに違いないのです。
そうでなければ、一目見た瞬間にこれ程までにも心に訴え揺さぶるような感情の芽生えを説明できません。
何百年もの人々の祈り願いが、今回拝観させて頂いた僕たちに仏さまを通じて流れ込んできたように思います。


拝観後はご住職と楽しく雑談。
しかしなまりが強く仰られている事の半分は分からない。。いや、ほとんど分からないか(笑)
神木より彫りだされたという伝承を実感できる非常に神々しくあたたかい見上げる巨像に、自然と沸き起こった仏像LINKツアー主催者様への拍手喝采。
参加されたみんなが感動と心に込み上げるものを感じたからこその拍手だったのでしょう。
この方とお会いできる機会を下さってありがとう。
本当に素晴らしい菩薩像でした。


松尾山観音堂
山形県山形市蔵王半郷2
TEL : 023-688-3328
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納
駐車場 : 有り

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山形県・法来寺「これぞ釈迦のオーラ!神々しき清凉寺式釈迦如来像の巻き」
平塩よりバスに揺られて30分ほどでしょうか、次の目的地は山形市釈迦堂にある法来寺。
こちらには平安後期から鎌倉初期と考えられている釈迦如来立像が安置されています。
頭髪は螺髪ではなく、縄を編み込んだような頭髪で衲衣は首元まですっぽりと覆う造形の、いわゆる清凉寺式釈迦如来像という像です。



法来寺へ到着する頃には結構な本降りとなり傘が必需品な天候となってきました。
雨が濡らす樹木や霞み見えるお堂は綺麗ですね。
雨は降らないに越したことはないんですが、雨の仏閣は非常に美しく僕は大好きなんですよね。
雨に濡れた佛足石も綺麗です。

堂内へ上がると十六羅漢が施された絢爛な閉じられたお厨子が。
お厨子の脇には十大弟子像か。
薄暗いほのかな明かりのもとで見る堂内は非常に美しく荘厳。
展覧会で見る佛も素晴らしいですが、やはりこの雰囲気ですよね。

ご住職の説明の後、いよいよお厨子の扉が開きます。
おもむろに須弥壇へと上がり、お厨子の扉へと手をかけるご住職。
興奮はクライマックスへと到達します。
開かれた扉から現れたお姿は言葉に尽くせないほどの素晴らしい釈迦如来立像。
釈迦のオーラ全開の物凄い方が表れた!そんな興奮に飲み込まれる見事な像です。
もう訪れる寺院訪れる寺院飲み込まれっぱなしです。

お厨子内はライトアップがされ浮かび上がるように清凉寺式釈迦如来像が表れます。
目は彫眼で鼻筋はスーッと通った凛々しい表情。
光りの加減では無表情の様な少し怖いような表情にも見えます。
杏仁形の様に見える双眸に強めに結んだ口元が威厳たっぷりで、そしてセクシー。
色気も凄いわぁ~


向かって右側へと移動して見ていくと幾分 表情が和らいでいく。
口元はやや微笑を含むような気がしてくる。
しかし変わらず目は厳しさをはらんでいて釈迦の尊厳が微塵も薄れずとんでもないオーラが半端ない。
見ていてずっと感じたのが、釈迦ってスゲーでした。
軽くて稚拙な言葉でスイマセン。
素直に釈迦如来はやっぱり他とは違うなという神々しさを常に感じていたんですよねぇ。
首元から間隔狭く密に流れ出す波紋は本当に美しくて、幻想的な堂内の雰囲気も重なって本当に神々しいお方でした。
幻想的な堂内と、この密な間隔で流れる衣文表現や杏仁型の瞳が この幻想的な空間をより一層深めて、ある種の恍惚を呼び込むが如くの美しさでした。
鼻息を荒くし、うっとりとしたため息をつきながら最後の目的地へと移動します。


白馬山 法来寺(ほうらいじ)
山形県山形市大字釈迦堂66
TEL : 023-629-2712
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納

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こちらには平安後期から鎌倉初期と考えられている釈迦如来立像が安置されています。
頭髪は螺髪ではなく、縄を編み込んだような頭髪で衲衣は首元まですっぽりと覆う造形の、いわゆる清凉寺式釈迦如来像という像です。



法来寺へ到着する頃には結構な本降りとなり傘が必需品な天候となってきました。
雨が濡らす樹木や霞み見えるお堂は綺麗ですね。
雨は降らないに越したことはないんですが、雨の仏閣は非常に美しく僕は大好きなんですよね。
雨に濡れた佛足石も綺麗です。

堂内へ上がると十六羅漢が施された絢爛な閉じられたお厨子が。
お厨子の脇には十大弟子像か。
薄暗いほのかな明かりのもとで見る堂内は非常に美しく荘厳。
展覧会で見る佛も素晴らしいですが、やはりこの雰囲気ですよね。

ご住職の説明の後、いよいよお厨子の扉が開きます。
おもむろに須弥壇へと上がり、お厨子の扉へと手をかけるご住職。
興奮はクライマックスへと到達します。
開かれた扉から現れたお姿は言葉に尽くせないほどの素晴らしい釈迦如来立像。
釈迦のオーラ全開の物凄い方が表れた!そんな興奮に飲み込まれる見事な像です。
もう訪れる寺院訪れる寺院飲み込まれっぱなしです。

お厨子内はライトアップがされ浮かび上がるように清凉寺式釈迦如来像が表れます。
目は彫眼で鼻筋はスーッと通った凛々しい表情。
光りの加減では無表情の様な少し怖いような表情にも見えます。
杏仁形の様に見える双眸に強めに結んだ口元が威厳たっぷりで、そしてセクシー。
色気も凄いわぁ~


向かって右側へと移動して見ていくと幾分 表情が和らいでいく。
口元はやや微笑を含むような気がしてくる。
しかし変わらず目は厳しさをはらんでいて釈迦の尊厳が微塵も薄れずとんでもないオーラが半端ない。
見ていてずっと感じたのが、釈迦ってスゲーでした。
軽くて稚拙な言葉でスイマセン。
素直に釈迦如来はやっぱり他とは違うなという神々しさを常に感じていたんですよねぇ。
首元から間隔狭く密に流れ出す波紋は本当に美しくて、幻想的な堂内の雰囲気も重なって本当に神々しいお方でした。
幻想的な堂内と、この密な間隔で流れる衣文表現や杏仁型の瞳が この幻想的な空間をより一層深めて、ある種の恍惚を呼び込むが如くの美しさでした。
鼻息を荒くし、うっとりとしたため息をつきながら最後の目的地へと移動します。


白馬山 法来寺(ほうらいじ)
山形県山形市大字釈迦堂66
TEL : 023-629-2712
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納

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山形県・平塩寺「威厳と慈愛 阿弥陀三尊像の巻き」
平塩熊野神社からお隣りの平塩寺へ。

護摩堂、内御堂、如法堂の三社からなる平塩熊野神社の如法堂を、江戸時代に平塩寺と改め現在の平塩寺の源流となりました。
この頃の平塩寺は今日の平塩寺とは異なり、鎮護国家・天下泰平の祈願所として機能していました。
しかし明治期の神仏分離令により神道へと帰ることとなりますが、村民の要望により人々の葬祭を担う新しい平塩寺が誕生し、神仏習合の熊野神社は神道と仏教とに分かれ、仏教を引き継いだ平塩寺は現在に至ります。

本堂に施される彫刻が非常に美しい。
木鼻の獅子は勇猛でありながら目の上に掛かる巻き毛の前髪が愛らしくカワイイ。
向拝の彫刻も緻密で精巧でなかなか見れない素晴らしさでした。


本尊は阿弥陀三尊像。
南北朝時代の院派の作と伝わるそうです。
正面より拝すとスーッと伸びる目尻が美しく威厳ある風貌に見えてきますが、横手より望むお顔は目尻がやや下がり優しさと慈愛にあふれるようです。
正面から威厳、横手から慈愛といった風に感じ方が変わってきました。
これは脇侍の観音勢至両菩薩像にも共通しており横手からのお顔好きだわ~。
南北朝時代の院派仏との事でしたが、南北朝の院派仏のお顔は能面のような面長な印象がありましたが、こちらの三尊は丸顔で暖か味のある、やや印象の違うお方でした。
中尊は胸にある傷がやや痛々しく可哀想ですが、尊容や体躯は堂々としたもので見事。





脇侍の観音菩薩・勢至菩薩像は蓮台を掲げず、合掌手をしない、中尊側の手を掲げ外側の手を下げる造形。
観音勢至というよりは日光月光のようでした。
これら脇侍も非常に美しいのですが、特に勢至菩薩像の美しさは僕好みで、目線の遠さや通った鼻筋結んだ口の形など本当に静かで美しいです。
脇侍 観音菩薩立像


脇侍 勢至菩薩立像


また須弥壇には不動三尊像や江戸期の普賢菩薩・文殊菩薩像が。
中尊の釈迦如来像は廃仏毀釈により失われたそうです。
脇仏には破損仏の地蔵菩薩像が。
この方は平安期までさかのぼるそうですよ。




熊建山 平塩寺
山形県寒河江市大字平塩1-1
TEL : 0237-86-6228
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納

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護摩堂、内御堂、如法堂の三社からなる平塩熊野神社の如法堂を、江戸時代に平塩寺と改め現在の平塩寺の源流となりました。
この頃の平塩寺は今日の平塩寺とは異なり、鎮護国家・天下泰平の祈願所として機能していました。
しかし明治期の神仏分離令により神道へと帰ることとなりますが、村民の要望により人々の葬祭を担う新しい平塩寺が誕生し、神仏習合の熊野神社は神道と仏教とに分かれ、仏教を引き継いだ平塩寺は現在に至ります。

本堂に施される彫刻が非常に美しい。
木鼻の獅子は勇猛でありながら目の上に掛かる巻き毛の前髪が愛らしくカワイイ。
向拝の彫刻も緻密で精巧でなかなか見れない素晴らしさでした。


本尊は阿弥陀三尊像。
南北朝時代の院派の作と伝わるそうです。
正面より拝すとスーッと伸びる目尻が美しく威厳ある風貌に見えてきますが、横手より望むお顔は目尻がやや下がり優しさと慈愛にあふれるようです。
正面から威厳、横手から慈愛といった風に感じ方が変わってきました。
これは脇侍の観音勢至両菩薩像にも共通しており横手からのお顔好きだわ~。
南北朝時代の院派仏との事でしたが、南北朝の院派仏のお顔は能面のような面長な印象がありましたが、こちらの三尊は丸顔で暖か味のある、やや印象の違うお方でした。
中尊は胸にある傷がやや痛々しく可哀想ですが、尊容や体躯は堂々としたもので見事。





脇侍の観音菩薩・勢至菩薩像は蓮台を掲げず、合掌手をしない、中尊側の手を掲げ外側の手を下げる造形。
観音勢至というよりは日光月光のようでした。
これら脇侍も非常に美しいのですが、特に勢至菩薩像の美しさは僕好みで、目線の遠さや通った鼻筋結んだ口の形など本当に静かで美しいです。
脇侍 観音菩薩立像


脇侍 勢至菩薩立像


また須弥壇には不動三尊像や江戸期の普賢菩薩・文殊菩薩像が。
中尊の釈迦如来像は廃仏毀釈により失われたそうです。
脇仏には破損仏の地蔵菩薩像が。
この方は平安期までさかのぼるそうですよ。




熊建山 平塩寺
山形県寒河江市大字平塩1-1
TEL : 0237-86-6228
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納

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山形県・平塩熊野神社「大きな十王像のご威光の巻き」
洪水のような仏像群に飲み込まれて次に向かったのは同じ寒河江の平塩。
養老5年(721)紀州熊野より行基によって勧請されたと伝わるこの地きっての古社である平塩熊野神社がひっそりと佇んでいます。
もと熊野三所権現にならい、護摩堂、内御堂、如法堂に分かれていましたが、明応年間に現在地に合祀されたそうです。
この平塩熊野神社には山形県の文化財に指定される平安後期の木彫像、伝十王像二体が安置されています。
寒河江市の指定文化財、吉祥天立像も。
また、江戸時代の明暦元年(1655)2月、如法堂を熊建山(ゆうごんざん)平塩寺と改め、今現在も平塩熊野神社と並び建っています。
だんだんと日差しが強くなってくる中、平塩の地に到着。
平塩熊野神社、平塩寺と並んで建っていますので、ツアー参加者は二手に分かれて前半後半で入れ替わるシステムで拝観。
僕はまずは平塩熊野神社へ。



すーーっと延びる石段を、テクテク歩いていくおばあちゃん(宮司さんのお母様?)の後ろを追うように上ります。
この石段を登っていくとお堂が見えてくるって感じが大好きです。
自然世界に飲み込まれていった先に見えてくる聖域という雰囲気。
こちらの平塩熊野神社もそういった雰囲気にあふれており非常に神秘的。
境内にポツンとたたずむ石佛 大黒天像も神秘的で美しく吸い込まれてしまいます。




招き入れて頂いた堂内は内陣外陣が区切られており、格子戸の向うに見える伝十王像の威光は距離を置いてでもヒシヒシと伝わってきます。
宮司さんの説明のあと、内陣へと上がらせて頂き間近よりお姿を拝観させて頂きました。
そのお姿は非常に厳しく、一文字に結ばれた方と、への字に結んだ方と。
目は吊り上がり、こんな怖い顔した方にあの世で裁判を受けるのか。。。とちょっとビビる。
体躯も逞しく非常に力強い。
とてつもない威厳にあふれた方々ですね。
平安時代後期のお像で像高は共に140~50cmくらいか。
神像として造像されたのではと言われており男神像と女神像とも考えられているとの事。
いったいどちらが女神像なのだろうか。。。両方ともめっちゃ怖いぞ。

非常に大きく、量感溢れる力強さを見せてくれる十王像を前にまたもや飲み込まれるのでした。
木肌のささくれ立ちがより一層迫力を際立たせご威光をかもし出しているような、そんな気がいたしました。
十王像であり神像であるこの2体の像に神仏習合の歴史を感じながらお隣りの平塩寺へ。




堂内ガラスケースには県指定文化財の吉祥天像と多くの破損仏も

美しく精巧に彫り込まれた衣文

平塩熊野神社(ひらしおくまのじんじゃ)
山形県寒河江市大字平塩
TEL : 0237-86-2111 (寒河江市役所 観光課)
0237-86-0165 (建部宮司)
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納

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養老5年(721)紀州熊野より行基によって勧請されたと伝わるこの地きっての古社である平塩熊野神社がひっそりと佇んでいます。
もと熊野三所権現にならい、護摩堂、内御堂、如法堂に分かれていましたが、明応年間に現在地に合祀されたそうです。
この平塩熊野神社には山形県の文化財に指定される平安後期の木彫像、伝十王像二体が安置されています。
寒河江市の指定文化財、吉祥天立像も。
また、江戸時代の明暦元年(1655)2月、如法堂を熊建山(ゆうごんざん)平塩寺と改め、今現在も平塩熊野神社と並び建っています。
だんだんと日差しが強くなってくる中、平塩の地に到着。
平塩熊野神社、平塩寺と並んで建っていますので、ツアー参加者は二手に分かれて前半後半で入れ替わるシステムで拝観。
僕はまずは平塩熊野神社へ。



すーーっと延びる石段を、テクテク歩いていくおばあちゃん(宮司さんのお母様?)の後ろを追うように上ります。
この石段を登っていくとお堂が見えてくるって感じが大好きです。
自然世界に飲み込まれていった先に見えてくる聖域という雰囲気。
こちらの平塩熊野神社もそういった雰囲気にあふれており非常に神秘的。
境内にポツンとたたずむ石佛 大黒天像も神秘的で美しく吸い込まれてしまいます。




招き入れて頂いた堂内は内陣外陣が区切られており、格子戸の向うに見える伝十王像の威光は距離を置いてでもヒシヒシと伝わってきます。
宮司さんの説明のあと、内陣へと上がらせて頂き間近よりお姿を拝観させて頂きました。
そのお姿は非常に厳しく、一文字に結ばれた方と、への字に結んだ方と。
目は吊り上がり、こんな怖い顔した方にあの世で裁判を受けるのか。。。とちょっとビビる。
体躯も逞しく非常に力強い。
とてつもない威厳にあふれた方々ですね。
平安時代後期のお像で像高は共に140~50cmくらいか。
神像として造像されたのではと言われており男神像と女神像とも考えられているとの事。
いったいどちらが女神像なのだろうか。。。両方ともめっちゃ怖いぞ。

非常に大きく、量感溢れる力強さを見せてくれる十王像を前にまたもや飲み込まれるのでした。
木肌のささくれ立ちがより一層迫力を際立たせご威光をかもし出しているような、そんな気がいたしました。
十王像であり神像であるこの2体の像に神仏習合の歴史を感じながらお隣りの平塩寺へ。




堂内ガラスケースには県指定文化財の吉祥天像と多くの破損仏も

美しく精巧に彫り込まれた衣文

平塩熊野神社(ひらしおくまのじんじゃ)
山形県寒河江市大字平塩
TEL : 0237-86-2111 (寒河江市役所 観光課)
0237-86-0165 (建部宮司)
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納

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山形県・慈恩寺「溢れ出す密の空間!慈愛の空間!躍動の空間の巻き」
仏像LINK宮城山形ツアー2日目は慈恩寺特別開帳の早朝拝観!
前日の親睦会でのお酒が残り重い頭を抱えながら到着します(笑)
さて慈恩寺です。
何をメインに見ようか事前に決める事すら出来ないほどの仏量を誇り、どれもが一級品である物凄い仏空間が広がっています。
鎌倉期 慶派の造仏と考えられる見事な十二神将像。
平安後期、文殊菩薩像、普賢菩薩像。
平安後期、腕を欠損した儚さが漂う菩薩坐像。
三重塔に安置される鎌倉期、一木割剥ぎ造りの大日如来像。
そして今世紀初!今回の特別開帳で公開された本堂 宮殿に安置されるご本尊弥勒菩薩坐像及び脇侍を含めた五尊像。
とてつもない量のとてつもない造形美の仏像群が押し寄せてきます。
そんな期待を胸に、泊まったホテルからツアーバスに乗り込み一路慈恩寺へ。
そして朝霧の中 訪れた慈恩寺は神秘的な空間でこれからお会いする仏さまの霊威をより高めるような神々しい雰囲気に満ちていました。

境内全体から発する雰囲気がもうたまらなくワクワクさせてきます。
唾をゴクリと飲み込むような、興奮が爆発してしまうのを抑えようがないぞという高まりを感じながら本堂へと。


本堂へと上がり目に飛び込んでくる宮殿、そしてご本尊弥勒菩薩坐像及び脇侍たち。
グニャリっと空間が歪んで見えるほどの密の空間がそこにはありました。
尊像より発するオーラがゆらめき立ち空気が揺れて見える。
完全に飲まれてるんでしょうね僕は。
ご本尊をはじめ鎌倉後期の作とされる尊像で、中尊 弥勒菩薩坐像。
五仏宝冠を被り定印を結ぶ、醍醐寺 三宝院の快慶弥勒と同じ。
弥勒菩薩が胎蔵界大日如来と同じ定印を結ぶのは12世紀末以降に真言宗で唱えられた「大日即弥勒」思想によるものだそうで、持物に五輪宝塔をとると「不二大日」といい胎蔵界・金剛界の両大日如来を意味することになるそうです。
それを表すように、脇侍には降三世明王、不動明王という金剛界大日如来との組み合わせで醍醐寺系の「尊勝曼荼羅」の構成になる。
現在は持物を持たれてはいませんが当初は五輪宝塔を掲げていたのでしょうね。
また、脇には地蔵菩薩坐像と釈迦如来坐像が。
これらの組み合わせは過去、現在、未来の「三世」救済仏を表しています。
s.jpg)
鎌倉期というよりは宋風の影響を強く受けた室町期の仏像に近い造形。
頭髪の群青と唇の朱が際立ち素地造りの木の生命感が溢れ出してより一層に霊験を高めています。
衣の表現は波打ち折り返し非常に動的で宋風。
弥勒、地蔵、釈迦の切れ長でやや吊り目の鋭い眼光は、気高く尊い。
なんと妖しくも美しいんだろうかと鼻息を荒くしてしまいます。
s.jpg)
宮殿横手から裏手にも仏像群がびっしり。
それらの中でも特に凄いのは菩薩坐像__。
仏像好き、仏像好きでないに関わらず、この方の美しさ儚さは万人の心を打つのではないでしょうか。
日本人の心にある儚き美への憧れというか、日本人の涙腺にダイレクトに響いてくる美しさがあります。
この方を目にした瞬間、一切の音が消えたような気がしました。
上方から照らされる光にそっと静かに佇み、静かに見つめている。
ともすれば力尽きる寸前の様な、命の灯が尽きそうなまでの儚さを感じ、守ってあげなくてはといったような使命感すら込み上げてくる。
あぁ~....なんて美しく儚いんだろうか。
s.jpg)
次いで薬師堂へと足を運ぶ。
いろんな書籍等で見てきたあの十二神将がここにいらっしゃるんだ!と本当にドキドキしながら堂内へ入ると、まずは鎌倉後期院派仏師である院保の作であるとの墨書が残る薬師三尊像が。
当初よりこの三尊の形式であったかは定かではないとの事で、言われて見てみれば日光も月光も共に右手を上に掲げて蓮の花を持っています。
通常なら左右対称となっていることが多いですよね?
そしていよいよ薬師三尊の裏手へと回ります。
そこには躍動感にあふれかえった見事な十二神将が。
甲冑や衣、筋肉の表現も素晴らしいけれど、何と言っても秀逸なのはその表情でしょう。
視線が生きています。
魂の入った生きた目で遠くを見つめている。
魂の入った生きた目で遠くに睨みを利かせている。
魂の入った生きた目でじっと見つめてくる。
本堂の菩薩坐像とは全く違った美しさがありました。
単純にカッコイイ!!そしてカッコイイってのはこれ程までにも美しいものなんだなと感動してしまいました。
1体1体の姿勢、表情、目線を穴が開くほど見つめさせて頂きました。
本当に素晴らしい十二神将像です。

s.jpg)
本堂、薬師堂から少し離れたところに立つ三重塔。
こちらには鎌倉後期 大日如来像が安置されています。
十二神将像とはうって変わって穏やかな像です。
静かに目を伏せて瞑想している、そんな風に見えます。
しかしながらやはり鎌倉期、内に秘めた意志の強さの様な力強さも感じるのですから仏像って不思議ですね。
あぁ穏やかな優しい方だなぁと一目見て思っても、見ているうちに別の表情に見えてきたり。
初めの印象とは真逆の印象に変わっていくこともあるんですから本当に不思議で魅力的で引き込まれてしまいますね。

s.jpg)
ツアー2日目の1ヶ寺目。
次に訪れるお寺がこの後まだまだ控えているので、いつまでも留まる訳にはいきません。
本当に後ろ髪を引かれながら、まだいたいもっと見たいと思いながらバスへと戻るのでした。
来年にも特別公開が行われるそうで、2015年は「慈恩寺の美仏と阿弥陀仏たち」と銘打たれ阿弥陀如来像群にスポットを当てた公開が行われるようです。
平成27年5月23日〜7月20日。
瑞宝山 慈恩寺(じおんじ)
山形県寒河江市大字慈恩寺地籍31
TEL : 0237-87-3993
拝観 : 8:30~16:00
拝観料 :500円
駐車場 : 有り

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前日の親睦会でのお酒が残り重い頭を抱えながら到着します(笑)
さて慈恩寺です。
何をメインに見ようか事前に決める事すら出来ないほどの仏量を誇り、どれもが一級品である物凄い仏空間が広がっています。
鎌倉期 慶派の造仏と考えられる見事な十二神将像。
平安後期、文殊菩薩像、普賢菩薩像。
平安後期、腕を欠損した儚さが漂う菩薩坐像。
三重塔に安置される鎌倉期、一木割剥ぎ造りの大日如来像。
そして今世紀初!今回の特別開帳で公開された本堂 宮殿に安置されるご本尊弥勒菩薩坐像及び脇侍を含めた五尊像。
とてつもない量のとてつもない造形美の仏像群が押し寄せてきます。
そんな期待を胸に、泊まったホテルからツアーバスに乗り込み一路慈恩寺へ。
そして朝霧の中 訪れた慈恩寺は神秘的な空間でこれからお会いする仏さまの霊威をより高めるような神々しい雰囲気に満ちていました。

境内全体から発する雰囲気がもうたまらなくワクワクさせてきます。
唾をゴクリと飲み込むような、興奮が爆発してしまうのを抑えようがないぞという高まりを感じながら本堂へと。


本堂へと上がり目に飛び込んでくる宮殿、そしてご本尊弥勒菩薩坐像及び脇侍たち。
グニャリっと空間が歪んで見えるほどの密の空間がそこにはありました。
尊像より発するオーラがゆらめき立ち空気が揺れて見える。
完全に飲まれてるんでしょうね僕は。
ご本尊をはじめ鎌倉後期の作とされる尊像で、中尊 弥勒菩薩坐像。
五仏宝冠を被り定印を結ぶ、醍醐寺 三宝院の快慶弥勒と同じ。
弥勒菩薩が胎蔵界大日如来と同じ定印を結ぶのは12世紀末以降に真言宗で唱えられた「大日即弥勒」思想によるものだそうで、持物に五輪宝塔をとると「不二大日」といい胎蔵界・金剛界の両大日如来を意味することになるそうです。
それを表すように、脇侍には降三世明王、不動明王という金剛界大日如来との組み合わせで醍醐寺系の「尊勝曼荼羅」の構成になる。
現在は持物を持たれてはいませんが当初は五輪宝塔を掲げていたのでしょうね。
また、脇には地蔵菩薩坐像と釈迦如来坐像が。
これらの組み合わせは過去、現在、未来の「三世」救済仏を表しています。
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鎌倉期というよりは宋風の影響を強く受けた室町期の仏像に近い造形。
頭髪の群青と唇の朱が際立ち素地造りの木の生命感が溢れ出してより一層に霊験を高めています。
衣の表現は波打ち折り返し非常に動的で宋風。
弥勒、地蔵、釈迦の切れ長でやや吊り目の鋭い眼光は、気高く尊い。
なんと妖しくも美しいんだろうかと鼻息を荒くしてしまいます。
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宮殿横手から裏手にも仏像群がびっしり。
それらの中でも特に凄いのは菩薩坐像__。
仏像好き、仏像好きでないに関わらず、この方の美しさ儚さは万人の心を打つのではないでしょうか。
日本人の心にある儚き美への憧れというか、日本人の涙腺にダイレクトに響いてくる美しさがあります。
この方を目にした瞬間、一切の音が消えたような気がしました。
上方から照らされる光にそっと静かに佇み、静かに見つめている。
ともすれば力尽きる寸前の様な、命の灯が尽きそうなまでの儚さを感じ、守ってあげなくてはといったような使命感すら込み上げてくる。
あぁ~....なんて美しく儚いんだろうか。
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次いで薬師堂へと足を運ぶ。
いろんな書籍等で見てきたあの十二神将がここにいらっしゃるんだ!と本当にドキドキしながら堂内へ入ると、まずは鎌倉後期院派仏師である院保の作であるとの墨書が残る薬師三尊像が。
当初よりこの三尊の形式であったかは定かではないとの事で、言われて見てみれば日光も月光も共に右手を上に掲げて蓮の花を持っています。
通常なら左右対称となっていることが多いですよね?
そしていよいよ薬師三尊の裏手へと回ります。
そこには躍動感にあふれかえった見事な十二神将が。
甲冑や衣、筋肉の表現も素晴らしいけれど、何と言っても秀逸なのはその表情でしょう。
視線が生きています。
魂の入った生きた目で遠くを見つめている。
魂の入った生きた目で遠くに睨みを利かせている。
魂の入った生きた目でじっと見つめてくる。
本堂の菩薩坐像とは全く違った美しさがありました。
単純にカッコイイ!!そしてカッコイイってのはこれ程までにも美しいものなんだなと感動してしまいました。
1体1体の姿勢、表情、目線を穴が開くほど見つめさせて頂きました。
本当に素晴らしい十二神将像です。

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本堂、薬師堂から少し離れたところに立つ三重塔。
こちらには鎌倉後期 大日如来像が安置されています。
十二神将像とはうって変わって穏やかな像です。
静かに目を伏せて瞑想している、そんな風に見えます。
しかしながらやはり鎌倉期、内に秘めた意志の強さの様な力強さも感じるのですから仏像って不思議ですね。
あぁ穏やかな優しい方だなぁと一目見て思っても、見ているうちに別の表情に見えてきたり。
初めの印象とは真逆の印象に変わっていくこともあるんですから本当に不思議で魅力的で引き込まれてしまいますね。

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ツアー2日目の1ヶ寺目。
次に訪れるお寺がこの後まだまだ控えているので、いつまでも留まる訳にはいきません。
本当に後ろ髪を引かれながら、まだいたいもっと見たいと思いながらバスへと戻るのでした。
来年にも特別公開が行われるそうで、2015年は「慈恩寺の美仏と阿弥陀仏たち」と銘打たれ阿弥陀如来像群にスポットを当てた公開が行われるようです。
平成27年5月23日〜7月20日。
瑞宝山 慈恩寺(じおんじ)
山形県寒河江市大字慈恩寺地籍31
TEL : 0237-87-3993
拝観 : 8:30~16:00
拝観料 :500円
駐車場 : 有り

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