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高知県・大日寺「四国最大級の大日如来!並ぶ平安後期の観音菩薩像!の巻き」

5月19日の四国巡りもいよいよ最後のお寺。
向かったのは28番大日寺で、竹林寺からは15~20kmほどで車で20分ほど。
こちらに安置されているのは国の重要文化財に指定されている大日如来坐像と聖観音菩薩立像。
共に平安後期の作風を示す像との事で非常に楽しみに向かいました。


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大日寺。
聖武天皇の勅願により行基菩薩がご本尊の大日如来像を彫造し、安置して開創されたと伝えられる。
その後、弘仁6年弘法大師によって再興されるも、明治4年の廃仏毀釈により廃寺となるも明治17年に再興され現在に至っています。

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今回特別に公開させる大日如来坐像と聖観音菩薩立像は本堂の裏手の仏間?に安置され仏間の前より幕越しに拝観させて頂きました。
幕がかかってはいますが前に座して見ますので特に気になることはなく明かりも十分でしたのでしっかりと尊様を確認することが出来ました。

大日如来坐像。
国の重要文化財に指定され、ヒノキ材の寄木造りで像高は146cm。
四国中国地方では最大級の大きさ。
胸前で智拳印を結ぶ金剛界の大日如来で、なかなかに力強いというか厳しめなお顔。
身体も力強く若々しさが溢れ堂々とされた方でした。
衣文の流れは綺麗に流れ出し整然と美しかったですね。
体の張りもあって力強く厳しい表情をされていたので平安後期よりももっと古いような気もしました。
素晴らしい大日如来坐像でしたよ!

聖観音菩薩立像。
こちらも国の重要文化財で、こちらはヒノキの一木造り。
像高は171cmでいかにも平安後期の観音像という感じでした。
右手は垂下して手首を捻り手の甲を前に見せ、中指、薬指と親指を結ぶ印をされています。
手首を捻り人差し指と小指を伸ばす造形に優しさと美しさを感じます。
ゆったりと優雅で素晴らしいな。
衣文は浅彫りでやわらかくサラッと。
衣の裾からのぞく足は軽やかでチョコチョコと歩き出しそう。
平安後期の菩薩立像を見るといつも思うのが歩く姿はきっとチャップリンの様だろうなと(笑)
腰つきと裾からのぞく足首の感じにそんな雰囲気を感じてしまうのです(笑)



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この日巡ったのは4寺。
どれも素晴らしい仏像とご縁を頂き見応えがありました。
まだまだ特別開帳されているお寺がたくさんあるので各地を巡りたいのですが、秋にも今回巡った4寺がご開帳されているので、もう一度巡りたいと思ってしまう素晴らしさでした。
ん~~~どうするか考え中悩み中です。
どうしたもんかなぁ~。。。

仏像のお姿は神奈川仏教文化研究所 様でUPして下さっています。



法界山高照院 大日寺
高知県香美郡野市町母代寺476
TEL : 088-756-0638
拝観 : 秘仏 秋季公開 2014年10/21~11/28
駐車場 : 有り









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高知県・竹林寺「瞬間の奇跡!通り過ぎ行く文殊菩薩の巻き」

奈良の阿倍文殊院、京都の智恩寺と並び日本三文殊の一つに数えられる高知竹林寺。
ご本尊の文殊菩薩像は秘仏となっておりそのお姿を拝めるご開帳は50年に1度。
今年がその年に当たり、同じくして四国霊場開創1200年の年とも重なり僕も四国への仏像拝観を決めました。

竹林寺。
唐の五台山で文殊菩薩から教えを授かる夢を見た時の帝 聖武天皇が五台山に似た霊地を全国より探し出すよう行基菩薩に命じます。
そして高知のこの地が霊地であると感得した行基菩薩は栴檀の木に文殊菩薩像を刻み、山上に堂宇を建立して安置したという。


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僕が訪れたのはお昼頃でしたが、境内は多くの人で賑わいご本尊の文殊菩薩がお祀りされた本堂はかなりの人だかり。
まさしくベルトコンベア状態でご本尊の前を流れに身を任せて"通り過ぎると"いった感じでお姿を拝んでまいりました。
前にとどまったのは2~3分だったでしょうか?ネットなどでもお写真は見当たらないため、その僅かな印象しかありません。
すでにどの様なお姿だったか記憶にないのです(笑)
僕の拝観時のメモによると霊木的な独特の雰囲気と書かれています。
穏やかな表情で、ご開帳に賑わう堂内の騒がしさにも全く動じない揺るぎない静を感じさせてくれるような方でした。
この春のご開帳には鎌倉時代に造られた後補の獅子に乗られていましたが、秋の公開では当初の平安時代の獅子に乗られてご開帳されるとの事。



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ではその平安の獅子はこの時どちらにおられたのか?というと、宝物館でお会いすることが出来ました。
宝物館には他にも多数の仏像が安置され、平安時代や鎌倉時代の良作がひしめいていました。
鎌倉時代の迫力ある大威徳明王像に愛染明王、平安時代の持国天・増長天。
頭の大きな厚い唇を持たれた童顔の薬師如来坐像や、鎌倉から室町にかけてとされる丸々とされた胎蔵界の大日如来像など見どころはたくさん。
小仏ながら平安中期ごろの十一面観音も見応えがありました。

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仏像写真はポストカードより



そして平安時代の獅子は。。。。僕のメモによると、"もはや獅子ではなく見た事もない生き物"との走り書きが?!
聞いたこともないような鳴き声を上げそうです(笑)
秋にはこの方がお出ましになり、その背に文殊菩薩像を乗せるのかと思うと大変楽しみな反面、乗せて大丈夫なのかな?という心配もありつつ(笑)
秋にもご縁を頂ける時間を作りたいなぁと計画を練っているところです。


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それにしても!もう少しじっくりと見たかったなぁ。。
ベルトコンベアにしても何度か周回出来るような状況なら巡れるんですが、ご本尊の前を過ぎると、文殊菩薩の刀剣に触れさせて頂き堂外へという外に出されてしまう強制ルートなので残念だった!
50年に1度のご開帳、お姿を目に焼き付けること出来ずなので秋にもう一度なんとか訪れる機会を作りたいなぁ。





五台山 竹林寺(ちくりんじ)
高知県五台山3577
TEL : 088-882-3085
拝観 : ご本尊は秘仏
駐車場 : 有り








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高知県・雪蹊寺

種間寺より車で10分、次に訪れたのは雪蹊寺。
第33番札所で、霊宝館には伝運慶作の薬師三尊像、湛慶作の毘沙門天像、吉祥天像、善膩師童子像に加え、十二新将像が安置されています。

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雪蹊寺。
弘法大師により創建され、当初は真言宗 に属し少林山 高福寺と称します。
その後、慶運寺と寺名を改めていたことが天正6年(1588年)の長浜地検帳により確認されています。
一説によると、運慶、湛慶親子が薬師三尊像、毘沙門天像の造像に当たるため滞在したことからそう呼ばれたとも言われているそうです。
戦国時代にはいり、寺勢衰え廃寺となるも土佐国の戦国大名長宗我部元親の後援で臨済宗の寺院より月峰和尚を開山として初代住職に招き、中興の祖とした。
元親の病没後、四男の盛親が後を継いで長宗我部家の菩提寺とし、元親の法号「雪蹊恕三大禅定門」から寺名を「雪蹊寺」と称した。
四国八十八ヶ所霊場では珍しい臨済宗妙心寺派の寺院。
※四国八十八箇所霊場では2ヶ寺のみ。もう1寺は第11番札所藤井寺。


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さて、仏像好きが向かうのは霊宝館。
先述したようにこちらの霊宝館には伝運慶作の薬師三尊像と運系の息子 湛慶の真作と判明している毘沙門天三尊像、そして鎌倉期の十二神将像が安置されています。
薬師三尊に関してはあくまでも伝承の域を出ず、作風からも運慶よりも時代の下る仏師の作であろうと思われるのですが、毘沙門天、吉祥天、善膩師童子は毘沙門天像の足枘に書かれた墨書銘から湛慶の真作であることが分かっています。

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毘沙門天像は立ち姿が非常に力強く、腰を左へ捻る腰つきにも力が漲っています。
表情も若々しく迫力に満ちて、頬の張りやおデコ回りの肉付きというか顔筋も流石。
しっかりと見開いた眼差しに運慶の血筋を感じます。運慶のパンパンにはち切れそうな、甲冑すら押し破りそうな肉量からは大人しく感じますが、それでも漲る迫力は血筋ですね。
右腕を欠損しても失われないバランス感も非常に素晴らしいです。
この方にお会いしたくて何度でも来たくなります。


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同じく力強さを見せる吉祥天とは打って変わった天真爛漫な愛らしさを見せる善膩師童子。
悪意の欠片も存在しないつぶらな瞳や表情は高山寺の木彫狗児 の良く似ていてでこちらの像も湛慶作ではないかと考えられるのもうなずけます。
一目見て、あっ高山寺の。。。と僕もすぐに木彫狗児 が頭に浮かびました。
ん~秋にももう一度巡るつもりなので、その時は薬師三尊、十二神将に注目して拝観してこようと思います。





高福山 雪蹊寺(せっけいじ)
高知県高知市長浜857-3
TEL : 088-837-2233
拝観 : 要予約
拝観料 : 志納










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高知県・種間寺「四国総開帳!威厳にあふれた薬師如来坐像の巻」

5月19日。
この日向かったのは今年総開帳が行われている四国八十八ヵ所巡礼。
その中でも注目はやはり50年に1度のご開帳がちょうど重なりご本尊の文殊菩薩像が開帳される竹林寺でしょうか。
その竹林寺のご開帳は春季と秋季とに分かれて行われ、その春季公開へ行って参りました。
しかし、まずお参りさせて頂いたのは同じ高知県にある第34番札所 種間寺。

種間寺。
用明天皇の時代、大阪・四天王寺造営のために百済より多くの経論や仏師、仏工が渡来。数年後に落慶し、
その帰途の途上、土佐沖でひどい暴風雨に襲われ種間寺が建つ本尾山に程近い秋山の港に難を逃れ寄港。
彼らは、海上の安全を祈って約145cmの薬師如来坐像を彫造し、本尾山の山頂に祀った。これが寺の起源とされている。
その後200年以上が経ち、唐から帰朝し、この地を訪ねた弘法大師はその薬師如来像を本尊として安置し、諸堂を建てて開創された。その折に唐からもち帰った種子の米、麦、あわ、きび、豆またはひえの五穀を境内に蒔いたことから、種間寺と名付けたといわれる。

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朝一に訪れただけあってか人はまばら。しかもお天気は曇り空と心配な滑り出し。
僕以外にはお遍路さんが2人いるだけでした。帰り際に4、5人の方とすれ違ったくらい。
訪れた折、堂内ではちょうどご住職かな?がお経をあげられていて神秘的な感じが満ちていました。

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さて、お目当てのご本尊薬師如来坐像ですが、通常は旧暦の1/21に御開帳があるそうですが、お寺でお話を聞くと通常も扉は開いているとか。。。
今年の総開帳に限りなのかちょっと分からないニュアンスでしたが。。。
ただ、通常では上がれない堂内へ上げて頂き近くからお姿を拝することが出来ました。
このあたりが特別開帳なのかな?

早速お堂へ上がり近寄ってお姿を拝します。お厨子の中よりライトアップされた状態でお厨子の前までは行けないながらもハッキリとお姿を確認することが出来ます。
なかなかに厳しい表情をされたお薬師様で、口元の力強さや、下方を見据える目力も厳しさを感じさせます。
体躯は堂々とした量感で肩幅が広く威厳たっぷり。
近くから拝ませていたくことでより圧倒されるような強さを感じました。

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国の重要文化財。「安産の薬師」
公開期間は4/25~5/25の春季公開と10/25~11/25の秋季公開です。
竹林寺の公開期間と同じですので一緒に回られるのがベストだと思いますよ。

また、種間寺では底抜け柄杓と言われるお参りがあり、妊婦が柄杓をもって詣ると、寺では底を抜いて二夜三日の安産祈祷をし、お札を添えて返してくださいます。それを持ち帰った妊婦は床の間に飾り、無事に安産すれば柄杓を寺に返納する。
そのため、お寺にはそこの抜けた柄杓が集まっているそうです。




本尾山 朱雀院 種間寺(たねまじ)
高知県高知市春野町秋山72
TEL : 088-894-2234
拝観 : 通常秘仏?
拝観料 : 無し
駐車場 : 有り









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プロフィール

迦楼馬-カルマ-

Author:迦楼馬-カルマ-
仏像の美しさに感動して以来、ひたすらに仏像拝観に明け暮れる四十路街道を走る男の拝観日記。
仏像拝観歴は非常に浅いので間違いも多々あり!日々精進でございます。
僕自身が見て感じた仏像観を記していますので美術史的、仏教学的に誤っていることが多々あると思ので、その時はご教授ください。



訪れた寺社の全てを記事にするととても追いつかないので佛旅速報でまかない本編記事はピックアップという形になっていきます。

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